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いつどこでどうしてどれみにハマったか報告するスレ

1 名前:☆彡名無しっち♪ 投稿日:2003/07/05(土) 04:15
漏れは友人に勧められ#2話を見てからハマりますた。

289 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:34
「えっと、ここから・・・どうするんだっけ?
 うーん・・・根室本線に乗り換えて厚岸駅まで行く・・・か。」

依頼人から渡された旅程表を読み終わり、仕舞おうとしたものの
あまりの日差しの強さに、それで目上を覆ってしまう。

夏休みに入ったばかりだというのに、美空の街でも連日猛暑が続き、
ちょっと涼しくてキモチイイ空気が吸いたいな・・・ってのも
この「おつかい」を引き受けた理由のひとつだったんだけど・・・

「あっつぅい。なんなのさこの暑さ、ホントに北海道なの?」

・・・・・・・

コトの始まりは、おんぷちゃんからの電話。

「・・・あ、どれみちゃん? 今いいかしら」
「ああ、おんぷちゃん・・・いいよ、いまオフロからあがったトコだし。」
「実はね、どれみちゃんに頼まれて欲しいんだけど」
「いいけど、なに?」
「明日、わたし厚岸へかき弁買いに行く予定だったんだけどね
 急にお仕事が入っちゃって・・・もうチケットも買っちゃってるし、かき弁食べたいし・・・
 どれみちゃん、代わりに行って来てくれないかな?」
「えっ・・・おつかい ってコトだよね? いいけどその「あっけし」ってドコ?」
「北海道よ?」
「ふーん 北海道かぁ・・・ってオイ!
 そんな遠くは無理だよう。いくらおんぷちゃんの頼みでもさ・・・」
「・・・明日急に入ったお仕事、三重県の松阪であるんだけどな・・・」
「・・・・・・・まつさか・・・ぎゅう?・・・・・・・しもふり・・・とか?・・・」

・・・・・・・

・・・てな訳で、わがままなチャ・・じゃなかった
おんぷちゃんの代わりに飛行機乗ってかき弁当買いに、釧路まで来ている訳なのです。

「13:08の根室行き普通列車だ・・・これに乗ろう。
 あぁー、もう あちぃーなぁー どっか涼しいトコは・・・」

電車、モノレール、飛行機、バスと乗り継いで釧路駅まで
ここまでずっと冷房の効いた場所に居た為、余計に暑さが堪える。

駅前を見渡したものの、都会のような華やかさは全く無く
タクシー乗り場、左手にバスセンター、右は・・・遠くに長崎屋が見えていた。

駅構内に入ってみる。
駅舎が大きい割りに改札は小さい。が、意外にも自動・・・
ミスド、レストランに挟まれて、待合室を見つけた。冷房も効いている。

都会の駅ではまず目にかかることがないそれは、
列車本数が少ない田舎の駅ならではの、乗り継ぎ客などのサービススペースと言ったところだろう。

「あと30分位だし、ここで待ってよう。」

290 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:36
据え付けられたテレビでは昔の2時間ドラマが掛かっていたが、
途中だし、どうせ最後まで見られないだろうからボーッと眺めていた。すると

「・・・うわあああぁぁぁぁーん、おかぁさぁーん・・・」

待合室に泣きながら、5歳くらいの少年が入ってきた。
みんな何事かと一斉に振り返る。

「あれあれ?どうしちゃったのかなぁ、お母さんとはぐれちゃったのぉ??」
「・・・うん」
「そっかぁ・・・よし、お姉ちゃんにまかしときなさい。」
「ホント!!」

「ねぇボク?どこでお母さんとはぐれちゃったのかな?」
「・・・あっち」
「あっちって・・・あそこから歩いてきちゃったの?」
「うん、だって帰るときいつもここに来るから」
「ああ、電車に乗って帰るんで・・・ここに来ちゃったのかぁ
 でもお母さんまだ買い物してるかもしれないから、とりあえず戻ってみよう。」

少年が居たと言っていた長崎屋へ行って、店員さんに聞いてみたところ
親はすぐ見つけることができました。

「すみませんでした。本当にありがとうございました。」
「いえいえ・・・よかったネ、ボク?」
「お姉ちゃんありがとう!!」

少年の頭を軽く撫で、バイバイと手を降る。
・・・その様子を、じっと後ろから見つめる人の事に気付きもせずに・・・

駅に急いで戻り、出発間際の改札を通ろうとした その時

「・・・ふーっ・・・重くてかなわないわぁ・・・」

札幌から来た特急列車から降りた乗客だろうか?
両手に沢山の荷物を持った老婦人が改札の前で困っていた。

「どしたんですか? 荷物お持ちしましょか??」
「あ、ありがとうございます。
 そこのタクシー乗り場までで良いので・・・お願いできますか?」
「まっかしといてください!」

「いやねぇ、牧場を経営している息子夫婦のところに土産を持って行こうと
 思ったんですが・・・どうも多すぎてしまったようで、助かります。」
「いえいえ、困った時はお互い様っスよ。」

タクシーに乗った老婦人を手を振って見送った後、我に帰る。

「・・・あ、電車行っちゃった。 ま、いっか次に乗れ・・・うぇい!!」

291 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:37
改札上に掲げられた、次発列車の時刻を見ると・・・

「じゅ、16:14って・・・・じゃあ、あと3時間も来ないってコト?
 ・・・・・・う っ そ お お お ぉ ぉ ぉ ! ! _| ̄|○ 」

うなだれて待合室へと戻る。テレビでは、さっきのドラマがEDを迎えていた。
・・・あーあ、こんなコトなら見ておけば良かった・・・って、それも無理だったか

「あんた、世話好きなんだねぇ」
「へ?・・・」

振り向くと、後ろの席に大きなバックを持った中年女性が座って話しかけていた。

「え、ええ・・・まぁ・・・」
「・・・あんたも旅の途中だろ?
 こんな所で見ず知らずの人助けをしたって、なんの見返りもありゃしないじゃないか
 それなのに・・・なんであんたは 人を助ける?」

不思議そうにあたしの顔を見つめるおばさん。
その表情は疲れ切っていて、寂しげだった。

「・・・見返りなんて無くていいんです。
 あたしはただ、喜ぶ顔が見たい・・・人が笑顔になるのを見たいだけなの。
 ただ それだけなんです。」

「いや違う、違うだろう?
 あんた、私と同じ心を持ってる。

 人に裏切られて、傷ついてしまうのが 怖くて怖くて堪らない
 だからそうやって 笑顔の仮面 を被って人を騙し続ける。
 いいひとのフリ し続ける・・・

 少し前・・・いや、昔の私もそうだった・・・だから解かるんだよ。
 そうなんだろう? あんたもそうなんだろ!!」

女性の声は、まるで叫ぶような大声になっていた。
驚いて振り向く人々
俯いたまま、何も言い返さない少女
そして沈黙・・・

「♪お待たせいたしました。ただ今から15:08発、
 根室本線帯広方面行き、普通列車の改札を致します。」

放送を聞き、待合室のほとんどの客が立ち上がり改札へと向かう。

292 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:40
「・・・そうなのかもしれない。
 あたしって、いつも周りに人が居ないとダメだから・・・

 でもね、そういうキモチを心の何処かに持っていることで
 同じ寂しい心を持っている人達のコトが・・・よく解かるんだ。

 寂しい気持ちを埋めるだけの、自己満足なのかもしれない。
 でも、相手がそれで喜んでくれるなら・・・それだけでいい

 あたしは、その人の笑顔・・・ココロの笑顔が 見たい
 ただ それだけなの。」

少女は俯いたまま、でも、ハッキリとした声で答えた。

「・・・私もさ、人がニコニコしてくれるのが好きでさ
 お人好し・・なんて言われるのが嬉しくって
 ついつい調子に乗っちゃうんだよね・・・

 その挙句、騙されて、生活奪われて・・・いまここにこうしている。
 この性格の所為で・・・

 騙されていたって解かった時、惨めで情けなくって
 どうしてこんな性格なんだろう・・・って、自分を呪ったりもした
 でもさ、何故か自分が嫌いになれなかったんだ。

 それは心の何処かで、まだ人を信じる気持ちが残っているから・・・だろうな
 こんな辛い思いまでして、何故なんだろう・・・って

 そして、あんたに出会った。
 迷子の子供や老婦人の荷物持ち・・・それで列車に乗り遅れ
 まるでお人好しを絵に描いたようなあんたを見て

 この子だったら、わたしの見えない答え・・・
 こんな目に遭ってまで、何故、人を信じ続けられるのかを
 教えてくれるんじゃないか・・・って・・・
 そう思ったんだ。

 ごめんよ。」


「・・・答えならでてるじゃん。」



293 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:42
椅子に腰掛けたまま、振り向かず、少女は話す

「人を信じられる、とっても大切な気持ち。
 それが自分の 偽りの無い ホントの気持ちなんだよ。

 だから人を信じて 嫌いにならないで!
 自分を嫌いにならないで!!

 お願い・・・だよう・・・・」


振り向いた少女の目は・・・涙でいっぱいだった・・・

その顔が、みるみるうちに涙でぼやけていく・・・


「・・・・ありがとう お嬢ちゃん」


・・・・・・

厚岸駅

「えええええーーーーーーっ 売り切れぇぇぇぇぇーーー」
「かき弁当は人気があるから、夕方にはいつも無くなっちゃうんだよ。
 あと2、3時間早く来てくれればねぇ・・・ごめんねぇ」


・・・・・・

羽田空港

「おかえりどれみちゃん、お疲れさま。」
「あ・・・お、おんぷちゃん迎えに来てくれたんだ。あはは・・・」
「で、かき弁は?」
「かき弁?・・・・・・・・・・・・・・かき弁は・・・あはは・・・」
「・・・ま、いいわ。どれみちゃんの事だもの
 じゃ、松阪牛霜降りステーキはわたしが美味しく頂きまーす。」
「えー、ちょ・・・ちょっとだけでもイイから・・・だめ?」
「だめでーす。」

そのやりとりの向こう、到着ロビーに置かれた一台のテレビから・・・

「・・・今日夕方、東都四菱銀行・仙台支店の横領事件で指名手配され
 逃亡を続けていた40歳の女性が、北海道の釧路で警察に自首しました。・・・」




 嬉しいこと、楽しいこと
 辛いこと、哀しいこと
 そんな思いを持った、沢山の人達を見つめながら
 今日も「駅」は あなたのことを見守っています。


                 駅・STATION 春風どれみの場合   おわり

294 名前:12 投稿日:2004/07/30(金) 23:59
てな訳で、どれみさんハッピーバースデー!!
みたいな感じです。ハイ

 怒んないでね ゴメンナサイ・・・・・


>>288 さん
久々に名無しのお客様キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!!
嬉しいっスよー 応援これからもヨロシクですー

295 名前:West 投稿日:2004/07/31(土) 19:40
>>289-293
久しぶりの旅物ですね。もしや、おんぷちゃんとしてはこれ自体が誕生日プレゼントの
つもりだったのでしょうか?どこへ行っても変わらない彼女の優しさに目が熱くなります。


*「電車」という言い方にああ、どれみさんは関東育ちだなぁというのを実感しました
(北海道の大半を走っているのは「汽車」)。

296 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/01(日) 11:09
旅SS激しく(・∀・)イイ!
このまま発展させて、
「ひょんな事からどれみちゃんとおんぷちゃんが一日デート」スレに
するというのはどうでつか?
・・・
どうみてもスレの趣旨に合ってないですね。すいません。

297 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/12(木) 23:49
高校野球が始まりマシタ。遊学館、今年もBAN×2ですネ ガンバレー!! アヒャ

先週、おんぷチャンと秋田のカントウ祭りを見に行って来ました。
駅に着くと、改札口に何やら人だかりが・・・
ナントそこにはニッポン映画界の“某有名人”が居りました。
氏らしく「新幹線こまち号」に乗って来たみたいデス

え?誰かって?? そんなの言わなくても解かるデショ?
新幹線“超特急”が似合う超有名人よ??

・・・いやぁ、映画って本当に良いものですネ ではまた来週。 アヒャ

298 名前:12 投稿日:2004/08/14(土) 00:12
かよこです……


   私は、お店の手伝いがあるので明日のお祭りには行けません。
   常連客に情報を流さないお店は大キライです。


                           かよこです……

299 名前:駅・春風ぽっぷの場合 投稿日:2004/08/14(土) 03:59


どれ「うわぁー、おっきなビルだねぇー」
おん「・・JRセントラルタワーズ。
   地下2階から11階までの「ジェイアール名古屋タカシマヤ」をはじめ、
   ホテルやオフィス、それに国内最大級のインドアガーデンもあるの。
   51階のパノラマハウスからは、遠くアルプスや御嶽山、伊勢湾が一望できるのよ。」
ぽぷ「行ってみたい、行ってみたいー!」
どれ「だーめ、電車の時間があるんだからぁ」

小学校に入って、はじめての夏休み
わたし達家族とMAHO堂メンバーで高山のお爺ちゃんのお家へ行く事になりました。

最初、うちの車で移動する予定だったんだけど、
お姉ちゃんがみんなを誘って、大人数になるので電車に変更。

お留守番のマジョリカ達やハナちゃんにはちょっと悪いけれど、
なんだか遠足気分でとっても楽しーい♪

渓介「ここから特急ひだ5号に乗り換えるんだ。
   えーと、新幹線の案内放送では確か・・・何番線からだったっけ?」
はづ「11番線、11:03発車 です。」
はる「流石はづきちゃん。
   私達だけだったら、きっと迷っていたでしょうね ・・ねぇ渓介?」
渓介「・・・あはははは・・・・・はぁー」

ホームに着くと、既に電車は停まっていた。
銀色の車体にオレンジのラインが入った・・・

ぽぷ「カッコイイ!!」
どれ「ぽっぷったら、さっき乗ってた新幹線の時もそう言ってたじゃん。」
ぽぷ「こっちのほうがカッコイイ!!」
おん「JR東海キハ85系、特急ワイドビューひだ号。
   車窓の景色を余すことなく楽しめるよう設計された側面の大きな窓
   そして、編成両端は前面展望のできるパノラマカーなのよ。」
もも「 wide view まさにその名の通りネ」
ぽぷ「・・・さっきもそうだったけどさ、
   おんぷちゃんって、スゴイ物知りなんだねぇー わたし感心しちゃったよ。」
おん「パパのお仕事が寝台特急の運転手だから・・・
   小さな頃から電車とか旅行に興味があってね それでなの。
   中学生になったら、日本中あちこち旅してみたいなぁー なんてね、テヘッ♪」


300 名前:駅・春風ぽっぷの場合 投稿日:2004/08/14(土) 04:01

わたし達の乗っている1号車を先頭に、列車は定刻通り名古屋駅を発車した。

景色は市街地から住宅地、田園風景へ
そして大きな木曽川を渡って暫くすると、最初の停車駅 岐阜 へ到着する。

おん「ここから方向転換をして高山本線に入っていくの。
   だからこの車両は最後尾になっちゃうのよね、残念だけど・・・」
ぽぷ「えー、そうなんだぁー・・・つまんないのぉ」

岐阜を出ると、おんぷちゃんの言うとおり逆向きに走り出した。
運転席の後ろから、前面の景色を一緒に見ていたお姉ちゃん達も、
座席を回転させてトランプで遊び始めた。

どれ「ねぇ・・・ぽっぷはやらないのぉ?」
あい「みんなでやった方が楽しいでぇ、一緒にやろう ぽっぷちゃん」
ぽぷ「わたしは・・・いいよ・・・ちょっと探検してくる。」
はる「いいけど、他のお客さんに迷惑掛けちゃダメよ?」
ぽぷ「はーい・・・」

どれ「・・・・・ゴメン、あたしちょっとぽっぷの事・・」
おん「いいわ。わたしが見てくる。」

デッキへ出て、ドア窓から見える飛騨川の景色をぼーっと眺める。
日の光に照らされ、川の水が鮮やかなグリーン色に染まりとてもきれいだ。

ぽぷ「・・・・・・はぁ」
おん「どうしたの?ぽっぷちゃん」
ぽぷ「あ、うん・・・・川のお水が・・とってもキレイ」
おん「・・・そうだね。この辺りは川底が深いから、お水の色がよく解かるの。」

列車はスピードを落とさずに駅を通過してゆく
流れる景色に、小さな駅舎と行き違いのたった2両の列車・・・駅名は読めなかった・・・

ぽぷ「・・・わたしだけ、違うんだよね・・・」


301 名前:駅・春風ぽっぷの場合 投稿日:2004/08/14(土) 04:03

ぽぷ「みんなと一緒にMAHO堂のお手伝いしたり、ハナちゃんの面倒見たり・・・
   でも・・・なんか違うの。
   なにか起きても、わたしだけ何の役にも立てなくって・・・いつもただ見ているだけ
   ・・・まるでさ、お姉ちゃん達の舞台を客席から見ている「お客さん」みたいじゃん」

おん「ぽっぷちゃん・・・わたしが売れっ子のチャイドルで居られる訳、解かるかな?」
ぽぷ「それは・・・おんぷちゃんが可愛くて、演技や歌がとても上手で・・・」
おん「それだけじゃなれないわ。
   歌って、演じて、それを見てくれる・・・そして応援してくれる人が居る、一生懸命に
   だからわたしも頑張れるの。一生懸命になれるの。
   ・・・「お客さん」が居なかったら、わたしはただの女の子なんだよ?」

ぽぷ「・・・・・・」

携帯電話を掛けに来たサラリーマンが、わたし達に気遣いながら小声で会話し、
また座席へと戻ってゆく。

おん「わたしも4年生になったばかりの頃、ぽっぷちゃんと同じだった。
   どれみちゃん、はづきちゃん、あいちゃん・・・3人ともすごく仲良くって、
   わたしにも・・・
   嫌なことばかりしていた、あの頃のわたしにも、とっても優しくしてくれたの。
   でもね、それがなんだかイヤだったの。
   わたしだけにいつも気を遣って、まるで他人行儀みたいで・・・
   ・・・それで何度か「お仕事がある」って嘘ついて
   MAHO堂に行かなかった事もあったりしたんだぁ」

ぽぷ「おんぷちゃんも・・・そうだったんだ。」
おん「うん・・・
   でもね、ある時気付いたの・・・それはただの、わたしのヤキモチだって事に・・・
   みんなは純粋にわたしと、ホントに仲良くなろうとしてくれているのに、
   わたしは何つまらない意地を張っているんだろう・・・って」

意外だった。

すぐにお姉ちゃん達と打ち解けて、あんなに仲が良いと思っていたおんぷちゃんも

わたしと同じように・・・悩んでいたんだ・・・


列車は下・・・ちょっと口に出して言いたくない駅を出て、
また山間の渓谷風景が続いてゆく・・・


302 名前:駅・春風ぽっぷの場合 投稿日:2004/08/14(土) 04:04

おん「ぽっぷちゃんの応援が、パティシエ試験を頑張ろうって気持ちにしてくれるの。
   わたし達の大切な見習い仲間、そして、
   わたし達みんなのかわいい妹がいるから・・・
   どれみちゃんも、はづきちゃんも、あいちゃんも、ももちゃんも
   それから・・・わたしも・・・ぽっぷちゃんの事が大好きなんだよ!!」


・・・なんでわたし、こんなつまんない事で悩んでいたんだろう・・・

とびっきりのおんぷちゃんの笑顔を見ていたら 不思議

そんな惑いが、フッと消えていった。


ぽぷ「・・・・・・・あり・・・がと・・・エヘヘ」



  ・・・おんぷちゃんの魔法に かかっちゃったのかなぁ・・・


・・・・・・・

「ご乗車お疲れ様でした。まもなく、高山に到着致します。1番線到着、お出口は右側です。
 高山では1〜3号車、後ろ3両を切り離します。その作業の為、4分停車致します・・・」

ぽぷ「お父さん、電車の写真撮ってよぉ〜」
渓介「そうだなぁ、名古屋駅で時間が無くて撮れなかったし・・・
   少し停車時間があるみたいだから、みんなで撮ろうか?」
全員「さんせ〜い!!」


高山駅到着
わたし達の乗ってきた車両はここで切り離し、3両の身軽になった編成が
山を越えて日本海側の街、終点富山を目指す。

「ひだ」のマークが入った先頭車両をバックに、わたし達6人が並ぶ


渓介「それじゃあみんな撮るぞー・・・はい」

全員「マルチーズ!」


  パシャ!


ぽぷ「あーー、ももちゃんそんな前に出て ずーるーいー!!」


              駅・STATION 春風ぽっぷの場合   おわり




303 名前:12 投稿日:2004/08/14(土) 04:35
丸の内線スレより

15 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/08(日) 03:13
そろそろSSが上がる頃か?w

・・・  呼  ん  だ  ?   w


という訳で、かなっぺさんの絵に触発されての「ぽぷたん編」でした。

>>295 West さん
モツカレサマです・・・
で、今回も姉妹揃って“電車”な訳です。w
てか、恐らくおんぷちゃん以外は皆「電車でGO!」デショ?

>>296 さん
が煽てるから、またこんなの書いちゃったyo・・・テヘッ
そんな296さんにはココがオススメ!

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今日から時刻表ともお別れです。すべてただ
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雨にも負けず、風にも負けず
夏の暑さにも負けず
夏込みに逝けない悔しさにも負けず

次こそ、かよナイの続きを・・・_| ̄|○

304 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/15(日) 12:50
 ああっ!いつの間にか良いものが上がってるじゃないですか!
どれみちゃん、ぽっぷちゃんと来たなら他のメンバーも書きますよねっ!(爆)

305 名前:かなっぺ ◆Gw1H0Youjo 投稿日:2004/08/18(水) 12:19
うお! うお!! いつの間にかこんなSSがっ(;´Д`)=3=3
普段来ないスレなので下手すりゃずっと気づかないままでしたょ…
おんぽぷだし、絵のシーンも再現していただいたし、最高ッス。
ありがとうございます。

306 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/21(土) 00:07
・・・絨毯爆撃なんて書いてあるから、
今度は絨毯のセールスカキコでもあったのかと一瞬素で思ってしまいました。 アヒャ

山陰本線に由良という小駅があります。
そこに着くと「コナンとスイカの町 大栄町」と駅出口に大きく書かれた看板が目に付きます。
そう、そこはサンデーとよみうりテレビでやってる「名探偵コナン」の原作者青山氏の故郷なのデス。
町には「コナン通り」「コナン大橋」など、もうコナンだらけ・・・
数年前発行された地域振興券にもコナンが描かれてマシタ(ももはレプリカ持ってマス)

たかなし♥サンの故郷も「どれみとスパンクの町」とか売り出してくれたら良かったのにねぇ  アヒャ

307 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/08/21(土) 00:34
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今日から交通渋滞ともお別れです。すべてただ

308 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/23(月) 00:16
・・・お説教は大嫌いですが、説教臭いのは大好きです。  アヒャ

優勝旗がついに津軽海峡を越えました。オメデトウゴザイマス
汗 涙 熱い声援 歓声・・・そして運命の女神は微笑んだ。

あんなに暑かった甲子園に吹く風は もう秋の匂いです・・・
高校球児の皆さん、今年も感動をありがとう そしてお疲れ様でした。

あと、2週分おあずけ食らっていた関西プリオタの皆さん モツカレー  アヒャ。

309 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/30(月) 17:52
台風が来てますネ 中四国地方の皆さん、ホント気をつけてクダサイね。

実はもも、今 何故か広島に居ますの。
昨日の夜行列車に乗って九州入りし、大牟田でハナチャンとどれみチャン
が活躍中の「プリティーオンアイス」を見に行こうと思ったんですけどね・・・
まぁ、今のトコこんなカンジです・・・ つttp://www.uploda.org/file/5494.jpg

開催は明日までですので、ご近所の方はゼヒお見逃しなくぅぅぅー!  アヒャ

310 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/30(月) 19:08
つーかリアルで台風直撃してますのだw
さっきはトイレに入ったら停電になったし、今日は今日で仕事が集金・・・
店舗に入るまで雨風に晒されてきつかったですなぁw

プリティオンアイスかぁ・・・って、行くに行けず帰るに帰れないことになってますね。
えっと、無事ですか?ももさん?キコキコダッシュで帰ってこられればいいのにね・・・
自分の場合、例え近場でも素面だと一人で絶対に行けないだろなぁ。

311 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 22:57

「あー もおっ!! オトコってどうしてこんなワケ解かんないこと突然すんだろ?」

新宿発新潟行き、ムーンライトえちご
大きなリュックに、自転車の入った大きな袋を持った彼女は
列車を待つ列に並び、ブツブツと呟いている。

・・・・・・

6月も終わりに近付いた或る日
彼・・・森川君から電話が掛かった。

「なぁ、木根 夏休みにさ・・・その・・・あのだなぁ・・・えっと」
「なーに? もう、なんなのよ勿体ぶっちゃって」
「あのさ・・・ツーリングに出掛けないか? 北海道へ」

高校までは一緒だった彼とも、さすがに大学までは同じにならなかった。
わたしは短大、彼は四年生の私大

でも、逢えない時間が多くなった分
1、2ヶ月に一度の、会える時間がとても大切に思えた。

わたしは彼が好き。
彼はわたしのことをとても大事にしてくれる。

・・・お互いの気持ちが確かめられたようで、かえって良かったかも知れない。
でも・・・

一昨日の事。
旅程の詳細を知らせる為に、掛かってきた彼からの電話で・・・

「・・・わたしさ、今度 警察官の試験を受けてみようと思ってるんだ。」
「なっ なんだよ藪から棒に・・・」
「ホントはね、直接会って話さなきゃいけないことなんだけど・・・
 こんな大事なことを黙って旅行に出掛けてしまったら
 森川君を騙すみたいで・・・つらかったの。」

・・・暫くの沈黙の後、彼は優しく笑って 答える・・・

「バッカだなぁ、おめーは
 オレはそんなこと、とやかく言える立場じゃねぇよ
 オレだって、整備士になりたいって夢があるんだ。
 木根は・・・そのことに反対するか?」
「ううん・・・応援する。
 森川君だったら、きっと立派な整備士になれるよ! 絶対応援する!!」

「だろ? オレだって気持ちはおまえと同じなんだよ。
 自分が進みたい道・・・夢先を自分で決めたんだ。
 オレも木根の事・・・応援するよ  ガンバレ!木根巡査!!」

なんて気の早い事言って・・・応援するって言ってくれたのに・・・

「ええっ、森川君もう出掛けちゃったんですかぁ!?」
「昨日の夜よ? 私てっきり、ひろこちゃんと一緒に出掛けたものだと思って・・・」

電話に出たのは森川君のおばさんで、彼は昨日の夜行で出掛けてしまっていた。

なんで? なんで一日早く行っちゃったのよぉ・・・


312 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 22:59

これから普通電車を乗り継ぎ、北海道への長い旅が始まる。

全席指定の列車は全て満席。
私と同じように自転車を持った若者、グループのおばさん達
大きな時刻表を広げ、仲間達と話し込んでいる学生・・・
旅への思いを馳せ、列車は新潟へ向けて出発した。

午前一時、高崎
ここで小休止 後発の夜行急行能登に追い越される。

「・・・うーん、眠れん。」

なかなか寝つけない。夜行列車に乗るのが初めてだからだろうか?
それとも・・・

「ったく バカ!」

こればかりが口をついて出てしまう。
でも、それを言いたい相手は・・・隣にいない・・・


・・・早朝、まだ明けきらない新潟駅に列車が着く。
ここから普通列車を乗り継ぎ青森まで、文字どおり「鈍行の旅」が始まる。

途中村上駅、酒田駅と秋田駅で乗り換え。
しかも後者2駅では、次の列車までの待ち時間が1時間以上もある。

「一体この荷物で何処へ行けというのよ・・・トホホ」

酒田から先の電車は、座席は向かい合わせではなく、
窓側に張り付いた長い椅子 そして並んだ吊革・・・
それは都会で目にする「通勤電車」そのものだった。
今まで乗ってきたデッキ付きの車両と違うので、自転車の置き場に困る・・・

11:31秋田着

「お腹すいたなぁ しゃーない、外に出るか。」

朝ご飯が、パンとお茶だけだったので、空腹に負けて駅の外に出る。
駅前のヨーカドー内レストランで昼食
のち、まだ少し時間があるので本屋で立ち読みをする・・・

「えっと・・・確か13:31発よね・・・
 あ、あれ・・・誰も居ないし、なんで電車も停まってないの?
 ・・・・ゲエッ! 31分じゃなくて13分だった・・・あっちゃー」

乗り継ぎ列車に乗り遅れてしまった。
急いでポケット版の時刻表を開き、次の列車を確かめる・・・

「うーん・・・15:28の電車で、途中大館で乗換えて・・
 青森の到着が19:45・・・予定より2時間半も遅くなっちゃうなぁ」

「・・今日は臨時便が出てるから、少し早く着けるわよ? お嬢さん」


313 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 23:02

お婆さんというにはまだ少し早いような・・・
“おばちゃん”という言葉がピッタリ来るような女性が覗き込んで見ていた。

「いやぁー、助かりました。そんなの書いてないし、気付かないトコでしたぁ」
「今日一日だけ、五所川原のお祭りへ行く臨時列車なのよ。
 付録のページには書いてあるんだけれどね」
「え そなの?・・・・あ、ホントだ。あははー」

14:53、列車は秋田駅を出発する。

「一人旅かい?」
「・・・ええ、まぁ」
「あたしもそう。」

国内の旅行にしては、ちと大袈裟な大きなスーツケースには
色々なステッカーが所狭しと貼られている。

「どちらまで行かれるんですか?」
「札幌。家へ帰るの
 一昨日の夕方、ロスから帰って来てね。久々に電車を乗り継いで帰ろうと思って
 新宿からずっと乗ってきたの。」
「へぇー、私も同じムーンライトに乗ってきたんですよ。
 自転車で北海道一周しようと思って、函館まで行くんです。」

そのおばちゃんは、結婚して暫くアメリカに渡って暮らしていた。
でも、半年前にご主人を亡くし、実家のある札幌へ戻ることに決めたらしい。

結婚当時は貧しく、元軍人だったご主人と
汽車と連絡線を乗り継ぎ、横浜からアメリカへと旅立っていった・・・
その頃を懐かしみ、その道筋を40年振りに辿る事にしたそうだ。

「あの頃はお金もないし、軍人を辞めてしまった旦那に職のあても無かった
 彼は映写技師、私はスタイリストになる・・・そんな夢を描いて渡米したの
 お互い誰にも負けない 夢と希望だけはあったわ・・・若かったのね フフッ」
「素敵な思い出ですね・・・いいなぁ・・・」

列車を弘前で乗り換え、青森まで
おばちゃんの思い出話を聞いていたら、あっという間だった。

19:06青森着
ねぶた祭りへ向かう人達で駅はごったがえしていた。

「ねぇ、折角だし ちょっと見ていかない? ねぶた祭り」

ここから先、北海道方面へ向かう列車は特急と急行以外無いので、翌朝の列車になる。
もともとここで泊まるつもりだったので、一緒にねぶた見物をすることにした。


314 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 23:04

歴史的な物語を題材に、鮮やかに彩色された大ねぶたを
何十人もの大人達が必死になって動かす。
また、子供達が引く小ねぶたも可愛らしい。

「テレビでしか見た事なかったけど・・・すごくきれいですねぇー」
「・・・随分と様変わりしたものねぇー
 三沢のクラブで働いていた時、当時米軍基地に居た旦那と出会ったの。
 それで、初めてのデートが・・・このねぶた祭りだった・・・
 その頃は、数もこんなに無かったし、もっと小さなねぶただったわ
 でも・・・祭りに賭ける人達の情熱は 昔も今も変わってない。」


懐かしむような遠い目で語るおばちゃんが、
なんだかすこし羨ましく思えた。


おばちゃんは、札幌へ向かう夜行急行に乗って、この後も旅を続けてゆく
祭り客でごった返すホームで、私は彼女を見送る。

「ごめんねー 昔話ばかりで退屈だったでしょ?」
「そんな事ない。おばちゃんの話、すごく面白かったよ」
「フフッ・・・ありがと。
 本当言うとさ・・・ちょっと落ち込んでたんだよね 柄にも無く・・・
 実家に帰るって言っても、親はもういないし、妹は東京に住んでいるし、誰も居ないの。
 ・・・これから先 一人で、どうやって生きていこうか って・・・
 考えちゃうとね・・・ダメなんだなー・・・」

「・・・人は その姿形が無くなっても
 大切に想われた人の こころの中 思い出の中で 生き続ける事ができる。

 本当に死んでしまうのは 想われた人の記憶からも 消えてしまう時。

 おばちゃんは一人じゃないでしょ?
 今まで仲良く暮らしてきた、ご主人との40年間があるじゃないですか!
 そんなコト言ってると、旦那さんに怒られちゃうぞ!!」

・・・おばちゃんは、えへへ と照れ笑いを浮かべ・・・


 ぎゅっと私を抱きしめた。


「・・・大丈夫 忘れないよ・・・ 忘れられるもんか!」


「♪〜まもなく6番線から、津軽海峡線 札幌行き、急行・はまなすが発車致します。」

「・・・これ、あんたにあげるよ。」

おばちゃんは、古ぼけた鈴を私に手渡す。

「ねぶたの鈴は幸運の呼ぶって言い伝えられてるのさ。
 この鈴には40年間、世話になったからね。あたしはもう十分。

 あんたの人生はこれから
 いい仕事に就いて、いい旦那を見つけて、幸せになるんだよ。

 ・・・あんたに出逢えて 本当に良かった。」

「また、いつか何処かで・・・」

そう言い掛けたところで、ドアが閉まってしまう

走り出す列車の中で、おばちゃんは手を振っていた。
私も負けじとおもいっきり振り返す。

いつまでも いつまでも


お互い名乗りもしなかった でも、何故か そう思えた。


「・・・またいつか何処かで 必ず逢える その時まで・・・」




315 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 23:06

「・・・って、キレイに締めたいトコだけど・・・そうもいかないのよね ハハハ」

駅付近のホテル、旅館はお祭りの所為で何処もかしこも皆満室。
こんな事なら、おばちゃんと一緒に夜行急行に乗れば良かった・・・

駅前で私と同じ「宿無し」の若者が固まって寝袋の準備をしていたので、混ぜてもらう。

「女の子一人にこんな思いまでさせて・・・ったくアイツは・・・」


・・・ いい旦那を見つけて、幸せになるんだよ ・・・


「幸運の鈴・・・かぁ・・・
 覚えてなさい ぜったい見つけてタダじゃおかないんだからね。
 でも、もし見つからなかったら・・・

                 ・・・ま、そのときはそのときよ。 アハッ」



 
                     駅・STATION 木根ひろこの場合   おわり

316 名前:12 投稿日:2004/08/30(月) 23:37
想定外の場所で、予想外の空き時間が出来てしまったので・・・_| ̄|○
書きかけのひろこタン編をしageてみますた。

>>304 さん
どうもです。
こうなったら他のメンバーも書いちゃいますよぉー

でも、おんぷたん編ばかり思いついてしまうのは、やはりあのスレの怨念か・・・
保守して貰っちゃったし、久々にあっちのも書いてみようかな?

>>305 かなっぺさん
本人様降臨キタ━━━━━━━━◎(゚∀゚)◎━━━━━━━━!!!!!
いや、ハズカスィーやら嬉しいやら・・・
実は、このひろこ編を先に書いていたのですが、かなっぺさんの絵を見て
もう書かずに居られませんデシタよー
こちらこそありがとうございました。

>>307 さん
◎( ´∀`)◎σ)´Д`)

317 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/30(月) 23:49
心配してくれてアリガトウ。今は雨も風も止んでますヨ
てか、>>310サンのほうが心配デース・・・
もう列車とか動き出したみたいなので、明日の最終回には間に合うかナ?

とりあえず飛鳥地蔵尊にお祈りしておきまショー  アヒャ




◎(゚∀゚)◎
              ( O┬O
          ≡ ◎-ヽJ┴◎   キコキコ

318 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/30(月) 23:50
ズレタ・・・明日はダメってコトだろか?  _| ̄|○

319 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/31(火) 14:58
いいズレっぷりだ・・・むしろ清々しい(w

320 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/09/05(日) 00:27
すがすがしくズレたお陰で、グリーンランドでお散歩出来ましたyo  アヒャ

9月になりました。長いようで短かった夏休みが終わってしまいましたネ
皆さんちゃんと学校行ってますか?仕事してますか??絵やSS書いてますか???
楽しい時間はスグ過ぎていってしまうものです。これは宿命。ガンバリましょう。

・・・ももはまだ、こんなカンジです。
◎つttp://www.uploda.org/file/6230.jpg
人のコト言えNeeeeeeeeee

絵師さんガンガレ。超ガンガレ  そしてももにネタをください。  アヒャ

321 名前:駅・藤原はづきの場合 投稿日:2004/09/08(水) 03:06

彼女に気付いたのも 今日と同じ 風の強い日だったなぁ・・・


中学二年生になった春
住んでいた社宅の建て替えとかで、暫く電車通学を余儀なくされた。

志土にある中学まで、太陽電鉄・京南線で通う
この線は各駅のホーム出口が中央付近と前方に偏っているのと
下りで都心とは逆方向になる為、車両の後方は通勤時間帯でも多少空いている。

一番後ろの車両の 一番後ろのドア
そこが毎朝、俺の特等席・・・って立っているから席じゃないか。

ドア横に立ち、ぼーっと窓の景色を眺める
川岸にある桜並木、美空駅近くなると見えてくる海原
いつもと変わらない いつもの風景

そんな風景の中、いつも変わらず いつも同じ場所に立っている人影に気付く。

雨の日も、日差しの照りつける暑い日も、風の強く吹く日も・・・
屋根も無い 美空駅上りホームの外れにひとり
登校日には必ず立っている

私立の制服を着た 女の子

彼女は何故いつも、あんな場所に立っているのだろう?
後から来る友達か誰かを待っているのだろうか?

俺はいつしか、車窓の彼女を眼で追うようになっていた。


・・・今日は何か、楽器のケースのような物を持ってる。バイオリンだろうか?
彼女は音楽部にでも入っているのかな?

・・・今日から6月、衣替えだ。
彼女も俺と同じに、夏服に変わっている・・・

・・・今日は何だろ? ジャージを着てるな。
彼女の学校は体育祭なのか、それとも課外授業でもあるんだろうか?


毎日そんな妄想に耽って
毎日・・・彼女を見るのが楽しみになっていた。


彼女は 彼とかいるんだろうか?


好きな人はいるのだろうか?


一言だけでもいい 彼女と 話をしたいな・・・



322 名前:駅・藤原はづきの場合 投稿日:2004/09/08(水) 03:08

翌日 いつも乗るひとつ前の列車に乗り、美空で下車する。


・・・正直、俺はこれまで女の子に振られたこともあった。
同じサッカー部のマネージャーで、お互い何度かデートみたいな事もしていた。
でも、或る日 思い切って彼女に告白したら・・・

「えっ、何でだよ! 俺じゃダメなのかよ!!」
「・・・アンタの事は良い友達だと思ってるよ。
 でもね、それとこれとは別・・・私は先輩の事が・・・どうしても好きなの。
 黙ってて・・・ごめんね。」

そのコは、一年先輩の副キャプテンが好きで
その為にサッカー部のマネージャーになったのだと・・・


別にあの彼女と付き合いたいと思っている訳じゃない。
ただ「何でいつもこんな場所に立ってるの?」と聞いてみたいだけ

ただの好奇心なんだ。

でも何故だろう・・・
あの振られた時の苦い思いが、何故か心をチクチクと突付いているような気がした。



電車を降り、改札へ向かう階段を降りる。
そして、反対側の上り方面の階段を上ってゆく・・・

乗車口番号に整列して、都心方面へ向かう列車に乗る人達を潜り抜け
ホームの端までやって来る


・・・いた。


いつものようにホームの隅で列に並ぶわけでもなく
彼女はひとり佇んでいた。


一歩 また一歩と彼女に近付く
その度に、俺の心臓はバクバクと早鐘を撞くように高鳴る。

7m、6m・・・どんどん彼女との差が縮まるにつれ
彼女がもし、俺の事をヘンな奴だと思ったりしたらどうしよう・・・とか
無視されたらどうしよう・・・とか
今更どうしようもない思いが頭を突いて出てくる。

もう・・・どうしたらいいんだよ!


目をおもいっきり瞑り
意を決して、パッと見開いた瞬間

もう俺の目の前まで来ていた彼女の右手が ふっと小さく振られた。


彼女の目線は・・・俺に向いてはいなかった。
反対ホームでもなく、列車でもなく・・・

高架下の道路に向かって・・・


・・・そうか そういうことだったんだ・・・



323 名前:駅・藤原はづきの場合 投稿日:2004/09/08(水) 03:11
思った途端、俺は彼女に背を向けていた。
ホームの人ごみを掻き分けるように走っていた。


彼女はいつもあの場所に立って
高架下を歩いて、地元中学に通っている男に向け、手を振っていたのだ。

多分小学校の同級生か何かで・・・彼氏なのだろう
その嬉しそうな彼女の顔を見た時
・・・はじめて気付いた。



あ、俺 あのコの事 いつの間にか 好きになっちゃっていたんだなぁ・・・・・・・



恥ずかしかった。自分がみっともなかった。


男のくせに・・・男のくせに・・・・・涙がでた・・・


「あーあ コンチクショウ!  あはははは・・・」


・・・・・・・

また台風が近付いている。
今日もまた、強風で壊れてしまいそうな傘をしっかり握って
美空駅上りホームのいちばん隅っこで


                         彼女は・・・・・




                        駅・STATION 藤原はづきの場合   おわり






324 名前:12 投稿日:2004/09/08(水) 03:29
自サイトで勿体振らず、早くd−ch絵版にageてクダサイと書こうと思ったら
もう既に上ってますな。

・・・bの字さん、スミマセンとお伝えください。 アヒャ


よくよく考えると、このスレのトップバッターでありながら
それ以降書かれているモノでは、ほとんどストーリーに絡んでいない
はづきさん主役話でした。

え、台詞すらないのに何処がだ って?
いいえ、それでこそ は づ き さ ん 主 役 話 で す 。

・・・_| ̄|○ ゴメンナサイ



えっと、月に1〜2本程度しかagaらないのにこんな事言うのもアレですが、
ワタクシちょっと理由あって、暫くROM専に戻ります。
かよこのナイショのおはなしとか中途半端でゴメンナサイです。

投槍とか和食とかRBD裏表とか、全裸正座で待ってますので ガンガレー!!

325 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/12(日) 17:07
あうぅ・・・_| ̄|○

実はこの理由っての、この駅みたいなのを幾つか書いて
イベントで本を出してみようかナ とか思っていたのですが
つまんないですかネ・・・

反応全くないと正直すごく悲しいので
もし見てくれている方が居りましたら
一言だけでもいいです。このスレに「エサ」ください。

おねがいしまつ。

326 名前:b 投稿日:2004/09/12(日) 18:29
ペギャ━━━━(゚Д゚;;)━━━━ !!!!

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!
このところ立て込んでて、どchスレの閲覧をすっかり怠けてましたッ!!
「日曜日にまとめて見ちゃお〜っ!」なんて言ってたらアンタっ!_| ̄|○

まさるっちに尽くすはづ吉さんの一途さと、それを遠巻きに見る主人公と。
いろんな感情が混ざって、いろんな色の溜め息が洩れて来ます。切ないなあ……


改めて、本っ当にごめんなさいっ!(マッハで土下座)
いやはや、もったいないオバケが疼いて結局投稿しちゃいました。
まあ、裏でくすぶらせておくよりは……ね?w


Σ(゜Д゜;) 裏ページ、バレバレだーーー!!

327 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/14(火) 15:45
見てますヨー(´▽`*)駅〜STATION〜(違

大丈夫。だからきっと大丈夫(´ー`)

328 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/15(水) 00:25
駅、見てますよ〜。毎度読ませてもらってます。なので、「エサ」投下。
はづ吉さん編はbさんが描いてくれたので(違?)こっちは・・・

ttp://www.geocities.jp/mu_and_mo/hiroko.jpg

・・・すいません!1時間描きじゃコレが限界です!3日間だけ置いときます。
あぁ・・・イベントも挿絵も絵板も手付かずなのに、なにやってんだ俺は? orz

329 名前:12 投稿日:2004/09/15(水) 19:42

皆様レスありがとうございます。
なんか、だだっこみたいなカキコしちまって情けないですね。ゴメンナサイ

>>326 bさん
御呼び立てしてスミマセンです。
絵の中の、ちょっと寂しげな
はづきちゃんの表情に、おもいきり惹かれマスタ
これにどう鉄分を加えようかと悩んでたら・・・コンナンナッチマイマスタ_| ̄|○

あっこにはネタがいっぱいありますネ(よさこいとかも使っちゃおうかとオモタ)
bさんみたく書けて描けるヒトがホント羨ましい限りです。
ありがとうございました。

>>327 さん
アリガトー!
なんていうか、その・・・
もしレス来なかったら、もう書くの止めちゃおうか なんて思うことあるんですよ。
そういう時にポッとネタにしてくれたり、ミテルヨってレスがあったりすると
ホント救われるんですよ。マジで・・・ダカラコレカラモ ヨロシコデス

>>328 試食の絵師さん

ヒロコタンin青森キタ━━━━━━━━━━━━◎(゚∀゚)◎━━━━━━━━━━━━!!!!!

もう、なんとお礼を言ったらいいものか・・・

クレヨン画(違うかな?)って温か味があってすごく好きなんですよー 私
美味しく美味しく美味しく頂かせて貰いましたyooooooooooooooooooooo ハァハァ・・・


あと

今回も影でお骨折りくださった某お方
貴方が居なければ、おそらく私ゃもうここに居なかったでしょう。
ありがとうございます、マジ感謝してます。


暇つぶし程度でいいんです
見てくれて、ちょこっとレスしてくれるだけで
死ぬほど嬉しいので 名無しさんとか、ホント宜しくお願いします。

330 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/15(水) 20:01
 私も物陰からじーっと見守っていますのでがんばって下さい〜w

331 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/16(木) 02:38
ゴメンナサイ…もぅずっと来てなかったYO…

起きたら必ず拝読しますんで、ここに居なかった、なんて言わないで。
お願いですから・・・ね♪

という訳でお詫びの前払い…ロクデモナイミカンセイモノデゴメンネ

つ彡ttp://www.geocities.jp/fairydodotyan2/graphic/momo03.jpg

332 名前:12 投稿日:2004/09/17(金) 09:56
12です……

 慰められると泣きそうになります。

             12です……

                    _| ̄|○


>>330 さん
超即レスどうもです。
ホント心配掛けちゃってゴメンナサイ
これからもどうぞ宜しくお願い致します。(ヤフオク定型)

>>331 さん
気に掛けてくださってアリガトウです。
なんだか最近こちらでのご活躍が無いので少し寂しいのですが・・・

oh! ももたんだぁー! アヒャ!!
331さんの絵は、描く度に画風がガラリと変わるので興味津々です。
このももたんがどうなってゆくのか楽しみにしておりマツ。

あ、このスレは後ろ乗り、前降りの運賃後払い方式ですのでお気兼ねなくw


完全に私的スレにしてしまってスミマセン。
ひと月位したら、かよこ編再開しますので

みなさまどうぞ、よろしくおねがいしますー。

333 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/10/06(水) 22:05
ホシュがてら。

どれみが終わってからとんと泣くことがなくなった……。
これだけ新作アニメが(新作週47本!)作られても、涙が止まらなく
なる作品というのは全く無さそう。

それだけどれみが稀有な作品だということだろうなぁ。
嬉しいような、寂しいような。

334 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/09(土) 03:02
こっち(名古屋方面)は明後日が土管最終回です。
といっても、先々週のFriendsでもう十分に泣かされましたが。

星の数ほどあるアニメの中から、どれみに出会えた俺らはラッキーですよ。

自分はといえば、ファンファンファーマシィーや夢クレが終わって、
どれみがそういう作風でなくてがっかりしたものでしたw

しかし!第3話「あいこ登場!」ではもうどっぷりはまっていたのは
我ながら現金というか何と言うかw
「世界を救え!」ではなく、「ご町内や小学校で、自分の大事な人のために」
というスタンスが素晴らしかった。

335 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/11(月) 09:41
正直、この歳でアニメにハマるなんて絶対ないと思ってたのに…

無印初期のはづきちゃん話に夢中になり、現在に至ります。w

これだけハマり、夢中になれるアニメなんてこの先きっと無いだろうな…

336 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/10/11(月) 23:46
>>333
ゆき先生スレなみに板違いなネタになっちゃうけど、最近泣いたのっていえば
「プラネテス」だなぁ。特にユーリの奥さんの話は涙が止まらんかった。

ああいう、お互いを愛しく想う姿ってのに弱いんだな洩れは。どれみもしかり
(なんとか繋がった)。

337 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/12(火) 01:05
なんだかスレタイ通りの流れになってきたな

338 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/13(水) 00:22
どの話でハマったという訳でなく
なんかこう、ジワジワと溢れ出す温かさに惹かれました。

飽きっぽい性格の自分が、未だに好きで居られるのが不思議なくらい
どれみにハマりました。

339 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/13(水) 23:20
初めのうちは、ビデオで録画したのを2、3本まとめて見ていたけど
#が始まる頃には、リアルタイムで見る習慣がついて
目覚まし無しでも8:30には必ず起きれるような体になってた。

ハマってるなって実感したのはその頃だな。

340 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/20(水) 23:16
>>339 俺もかつてはそういう習慣があったが今は・・・

341 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/11/30(火) 08:46
保守?

342 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 27 投稿日:2004/12/01(水) 23:39

お久しぶりです、かよこです。
たった1週間しか経っていないのに、なんだか半年ぐらい経ってしまったような気が・・・

・・・コホン。ま、そんなことキニシナーイ


今日も朝からとても暑いです。
そのせいか、お客さんは全然来なくて・・・
「ちいとな、夏物のバーゲンがあってのぉー こやつらと出掛けてくる。」
とマリカさん達は、お買い物へ行ってしまった。

夏物って、服の事よね?・・・マリカさんが着るの??・・・・・ま、いっか

オープンテラスに出て、椅子に腰掛ける。
海沿いの高台近くにあるこのお店には、時々そよかぜが吹き込んできて心地良い。

夏休み課題のひとつ、読書感想文。ついつい本を読むのに夢中になってしまい、
気が付いたら空が明るくなり出すまで読み続け・・・
徹夜状態だったわたしは、ついつい うとうと・・・

・・・ ・・・ ・・・ ・・・・ん?

「・・・あっ、やだ わたしったら眠っちゃってた!?・・・!!」
「お目覚めかな、ねむり姫?・・・なんちゃって」
「・・・あ、あの・・・わたし・・・えと・・・」

気が付くと、向いの席に西さんが座っていた。
寝顔を見られていたのが恥ずかしくて、言葉がスグに出てこない

「寝顔の次は真っ赤になった顔・・・今日はかよこちゃんのかわいい顔が見放題ですね。」
「・・・・・・」
「ハハハ・・・ゴメンゴメン、コーヒー頂戴な。」
「・・・・・ハイ」

そそくさと店の中へ消えてゆく、かよこの後姿を見ながら微笑む。

・・・あいつも・・・あんな風に コロコロ表情を変えるやつだったな・・・

「おまたせしました。」
「ありがとー・・・今日はかよこちゃん一人なんだ。」
「うん。マリカさん達はお買い物に行ってるし、とおる君は昨日から田舎だって」

お昼には少し遅いし、三時のお茶にはちょっと早い
そんな微妙な時間のせいか、お客さんどころか道を歩く人もほとんどない。
時折、船の汽笛が聞こえるだけの 静かな午後・・・

「・・・ところでさ、さっきの読書感想文 かよこちゃんは何選んだの?」
「伊藤左千夫の「野菊の墓」です。
 ・・・親たちの世間体に引き裂かれてしまう政夫と従姉民子
 ちょっとわたしにはまだ早いかなって思ったけど、読んでみてよかった。」

「・・・悲恋・・・小説かぁ」


343 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 27 投稿日:2004/12/01(水) 23:42

「ふゎあぁ〜っ・・・あ、ゴメンなさい なんかボーっとしてると眠っちゃいそ。」
「いいよいいよ・・・・・
 そだ。子守唄代わりに僕が眠くなりそうな昔話でもしてあげようか?」
「やめてくださいよー!・・・でも、昔話は聞きたいかも。」

持っていたトレイを置き、西さんに向かい合わせる席へと腰掛ける。

「これは・・・えっと、魔法使い界に伝わるお話なんだけれどね・・・
 昔、界の掟を破った青年がここ人間界へ追放処分となったんだ。
 その時の青年はまだ若かった・・・腹癒せに人間界に来ても無茶なことばかりやって
 ついに魔法力まで奪われる破目になってしまってね。
 もう何もかもが嫌になって、自棄になって・・・
 そんな時、青年はある人間の少女に出会ったんだ。
 その子はドジでおっちょこちょいだったけれど、面倒見が良くて誰からも好かれていた。」

なんだか、どれみちゃんみたい・・・

「青年は恋に落ちた・・・その子のことが好きで堪らなくなってしまったんだ。
 でも青年は仮にも魔法使い。追放処分になっているとはいえ、
 種族の違う者同士の結婚には魔法使い界が猛反対した。
 やがて青年は決意した。魔法使いを辞める事を・・・そして、二人は結ばれたんだ。」
「困難を乗り越え、自分の能力を捨ててまで愛を貫く・・・素敵なお話ですね。」

「・・・そうだね。ここで話が終わってしまえばね・・・でも実際は違ったんだ。
 その後10年間、彼らは幸せに暮らした。
 しかし、ある日突然、彼女は彼の前から消えてしまった・・・

 「あなたが好きです。今までも、これからもずっと。
  だから私はあなたの元を去ります。ごめんなさい・・・」

 そう書かれた、ただ一枚の紙切れを残して・・・何も言わずに」
「そんな・・・好きなのに離れるなんて・・・おかしいよ。」

「好きだから別れる・・・
 彼もその意味が解からなくて、居なくなってしまった彼女のことを懸命に探し回った。
 もう好きでなくても、自分と別れることになってしまってもいいから
 ・・・もう一度だけ会って話がしたかった。
 でも・・・ついに彼女を見つけることは叶わなかった。
 その代わり、ひと月に一度、彼の元へ差出人の名の無い手紙が届くようになったんだ。
 彼はそれが彼女からの手紙だと確信した・・・」
「・・・どんな手紙だったんですか?」

「絵手紙さ。海や山、花火や季節の花・・・
 その全てが丁寧に心を込めて描かれたいた・・・そうだよ。
 それから毎月、ずっと欠かさずに絵手紙は届いた。
 そして、その手紙が30年程続いたある日、
 ふと彼は、その絵手紙の画風が少し変わったことに気付いたんだ。
 気になって、消印の新潟・柏崎だけを頼りに彼女を探しに出掛けた。
 虫の知らせだったのだろうか・・・あれだけ必死になって探していた
 彼女の行方が、ついに解かったんだ。」
「会えたんですか?彼は彼女に」

「会えたけど・・・会えなかった。」


344 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 27 投稿日:2004/12/01(水) 23:44

「!?・・・どういうことなんですか?」

「柏崎で彼を出迎えたのは・・・彼が出会った時のままの彼女だった・・・
 絵手紙の差し出し主は、彼女の娘さんだったんだよ。
 彼女の遺言で、娘さんが絵手紙を引き継いで描き続けていたのさ・・・そう
 その半年前に・・・彼女は既に・・・亡くなっていた・・・」
「・・・・・・」

「亡くなる少し前に、彼女は娘さんに・・・

 「わたしには、昔いっしょに暮らした・・・好きな人が居たの。
  その人とは、私がどんなに頑張っても超えられない壁があってね・・・
  私は・・・彼にこんな老いた・・・惨めな姿の私を見られたくなかった・・・
  彼の前では、ずっと綺麗なままの私で居たかった・・・だから逃げてしまったの。
  でも・・・彼に忘れて欲しくないって想いが心の何処かに残っているのでしょうね
  こうやって今でも絵手紙を出し続けているのよ・・・
  お願い。出来る限りで良いから
  私が亡くなった後も・・・月に一度、彼に絵手紙を描いてくれないだろうか?」

 そう言い残したそうだ。
 ・・・彼女は彼と暮らした10年の間に、悟ってしまったんだよ
 人間と魔法使いの時の流れの違いを・・・
 やがて自分は老い、死んでいってしまう。
 その姿を若い青年のままの彼に見取られる・・・それが辛くて堪らなかったんだろう。」
「・・・そんなのってないよ・・・悲しすぎるよ・・・」

「人間界で暮らす魔女や魔法使いは皆、
 人間達とたくさんの出会いと別れを続けている
 故に別れが辛くて、あまり人間に深く関わらない者も居る・・・
 でも、人間も同じだったんだよね。
 去る者も、去られる者も・・・その思いは同じだったんだよ。」


聞こえていたミンミンゼミの鳴き声が
いつしかヒグラシの鳴き声に変わっていた・・・

それはまるで泣いているみたいに寂しく・・・哀しく聞こえた。


345 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 27 投稿日:2004/12/01(水) 23:46

「・・・それでその後、青年はどうしたんですか?」
「その青年は・・・」

「青年がどうしたんじゃい?」
「てか、誰こいつ?」
「ちちー?ちちちー!!」
「かよこ殿、泣いておるのか?・・・むむ、こやつ人間ではないな!!
 ・・・貴様、かよこ殿に何かしたのだな!」

気が付くと、買い物から帰った4人が真横で聞いている。
しかもヒルピーちゃん、勘違いして西さんに何か発動しようとしてるし・・・

「ま、待って!違うの・・・ってアレ?」

今まで目の前に座っていた西さんがこつぜんと消えてる・・・

「ハハハ、残念だけどこの続きはまた今度だね。
 ヒルピーちゃんとやら、人間界での魔力のご利用は計画的にね♪ なんちゃって
 かよこちゃん、お代はカップの下に置いといたから・・・ではさらば。」
「まて!逃げるな なにが計画的にだ!馬鹿にしおって!!」
「ちょっと落ち着いてよ、ヒルピーちゃん」

あーあ、聞きそびれちゃったなぁ
青年はそのあと、どうしたんだろう・・・





・・・青年は彼女と出会い、そして暮らしたこの横浜で
彼女と刻んだ“時”を忘れない為に 今もずっと・・・




346 名前:12 投稿日:2004/12/01(水) 23:52
なんかフツーに、スレタイ通りの流れになってしまったので
続きはどーしようかと思ってたんですが、
やはり愛着があるこのスレを離れられませんでした・・・

ホシュして下さった御方、アリガトウゴザイマス

347 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/12/02(木) 22:01
 ををっ!これはこれは・・・

>たった1週間しか経っていないのに、なんだか半年ぐらい経ってしまったような気が・・・
>・・・コホン。ま、そんなことキニシナーイ

なんか、某和食料理店の店員さんに芸風が似てきましたねw

348 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 28 投稿日:2004/12/05(日) 09:55

雨、そして強い風・・・
季節外れの台風から変わった温帯低気圧が、関東付近を通過してる。

今日は空を飛ぶのがちょっとコワイので、電車通勤(?)です。

車内の熱気と湿気で窓が曇ってしまい、景色も見えない。
たまにハンカチで拭いても、またすぐに曇ってしまう・・・

暇だな・・・読む本でも持ってくればよかった。

 ・・・トサッ

・・・ん?・・・

隣に腰掛けていた、小さな女の子がわたしにもたれ掛かっている。

あー、眠っちゃったのね フフッ
わたしはどうせ終点まで乗るんだし、
起こしちゃかわいそうだから・・・このまま眠らせてあげよう。

少女の寝顔を見ていたら、なんだか・・・わたしも・・・


・・・ ・・・ ・・・ちゃん ・・ねぇお姉ちゃん?

「・・・はっ・・・えっ? な、なに?」

隣の女の子が起きて、ニッコリ笑ってわたしの顔をみていた。

「お姉ちゃん、とってもいい匂いがする・・・」
「えっ・・・そ、そうかな?」
「なんだか、おかあさんみたい。」
「・・・あ、ありがと。」

お母さん・・・かぁ
でもさ、わたしまだ小学生だよ?・・・喜んでいいのかどうか複雑だなぁー

「雨、いっぱい降ってるねぇー」
「うん、そうだねー。風もびゅんびゅん吹いてる・・・」
「お姉ちゃんは、雨・・・キライ?」
「うーん・・・どちらかと言うと晴れた日の方がいいかも?
 わたしはね、夜にお星様を見るのがとっても好きなんだぁ。
 雨が降っていると雲が出ていて見えないでしょ?お星様」
「そ、そうだよねぇー・・・」

そう言って、なんだかちょっぴり寂しそうな顔をする少女・・・


349 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 28 投稿日:2004/12/05(日) 09:57

「でもね、雨はよごれた空気をおそうじしてくれるから、
 雨上がりの夜空は、遠いお星様まで見えてとってもきれいなの。
 だから、嫌いじゃないよ。」
「キライじゃない?ホント??」
「うん。」
「そっかぁー・・・アハハハ」

曇った顔が、みるみるうちに笑顔に変わってゆく・・・
この子は雨が好きなんだ・・・

「ワタシね、ずーっと遠いとこからゆっくりゆっくり旅して、この街にきたの。
 みんなとお友達になりたくって、そばからずっと見ていたんだぁ
 でも・・・みんなワタシのこと迷惑そうな・・・嫌な顔して見ているの。
 だから、どうしてワタシのことがキライなのか聞いてみようと思って・・・
 おかあさんに「人と話しちゃ絶対ダメ」って言われてたんだけど、
 嫌われたままなんて・・・ワタシ絶対にイヤだもん
 だから・・・だから・・・」
「わたしに話しかけてきたんだ?」
「うん・・・」

「雨が降ると、木や草やお花たちが水を飲むことができる。
 雨が降ると、カエルさんたちが楽しく歌い始める。
 雨が上ると、とってもきれいな虹が浮かぶ・・・
 イヤな事もあるけど、いい事だっていっぱいある。
 好きじゃないと思う人も居るけど、喜んでいる人もきっといるはずだよ。
 わたしは絶対嫌ってなんかいない・・・だから・・・心配しなくていいよ。」
「うん・・・わかった!」

雨が止み、雲の切れ間から太陽が顔を覗かせる
走る列車の窓から、薄日が差し込んできた。

「そろそろ行かなくっちゃ・・・おかあさんが心配しちゃう」
「そう・・・じゃあ、さよならだね。」
「でも、そのまえに・・・チョットだけ」

 トサッ・・・

「お姉ちゃんのやさしい匂い、忘れないよ・・・」

わたしにもたれ掛かり呟く、女の子の香り・・・

雨上がりの時みたいに 甘く・・・ 何処か、せつない・・・


ふと気が付くと、隣の席から少女は姿を消していた・・・

あの子は一体誰だったんだろう・・・夢、それとも幻?
ううん、違う。
だって今は、こんなにも雨の事が好きになってるんだもの。



曇った窓ガラスをハンカチで拭き、外を見る。

 

晴れ上がった夏の空に おおきな虹が ぽっかり浮かんでた。




350 名前:12 投稿日:2004/12/05(日) 10:08
コッチのほうは、夜中に雨風がスゴかったス・・・
んで、チト書いてみますた。

>>347 さん
大丈夫です。某和食料理店店長にちゃんと許可とってますので。ハイ



 

 
大ウソです・・・ スマソ

351 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 29 投稿日:2004/12/06(月) 00:17

夏休みに入ってからというもの、
ぜんぜんお客さんが来ない日があったり
はたまた、オープンテラスも満席になる程の忙しい日もあったりと・・・
お客さんの流れがイマイチ掴みにくい。

今日は まぁ ・・・前者な訳なのですが。

「かよこ、ちょっと頼まれてくれんかの?」
「はい・・・なんですか?」
「銀行へ行って、振込みをしてきて欲しいんじゃよ
 いやな、この間行ったバーゲンの梯子で、ちとプラスチックマネーを使い過ぎての。」
「ぷ、ぷらすちっくまねー!!?」
「・・・クレジットカードの事じゃよ。TVでデウィ夫人が言っとった。」

・・・ビックリしたー
魔法でプラスチックをお金にでもしてるのかと思った・・・

という訳で、今日は関内にある銀行までお遣いです。


「お振込みですね。では、こちらのカードを取ってお席で暫くお待ちください。」
「はい・・・」

一人で銀行へ来るなんて初めてだなぁ・・・なんか、こーいう雰囲気って苦手。

ソファに腰掛け、傍に置いてある雑誌をペラペラと捲る・・・

「某有名タレントb氏と、歌劇女優mさんが熱愛・・・はっ
 こんなの読んで、何が面白いんだろ・・・」
「・・・手をあげろ。」

・・・・!!
背中に当たる筒状の感触・・・これってもしかして、銃?!

「こーらっタケル!!駄目でしょ悪戯しちゃ! バシッ」
「・・・いてーなぁー、何すんだよぉ」

振り向くと男の子と、お母さんが立って居る。
どうやら銃のようなモノは、おもちゃのピストルだったようだ・・・

「バカやってんじゃないの! ビックリしたでしょー?ゴメンなさいねー
 ほら、アンタもお姉ちゃんに謝りなさい。」
「・・・ごめーんなさい。」
「い、いえ・・・」


・・・ホントにビックリしましたよ・・・


352 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 29 投稿日:2004/12/06(月) 00:19

その後も、男の子は店内を歩き回って、またお母さんに怒られてた。
でも、その様子がなんか見ていて微笑ましい・・・

「89番のカードをお持ちのお客様、窓口へお越しください。」
「あ、はい」

「手を上げろ。」

まーたやってるのか、あの子・・・・・?

・・・・・違う。全然違う大人の声。

「手を上げろっつってんだろ?さっさとしろよ!おまえら!!
 それと、ちっとでも居る場所動いたら、これブッ放すぞ?え??」

カウンターのすぐ手前まで来ていた
わたしの真後ろから、男の怒鳴り声が聞こえてくる。

・・・どうしよう、本物だ・・・本物の銀行強盗だ!

外から見えないように、店のシャッターを閉めさせ
行員と店の客を、一箇所のソファに座らせ、後ろ手を縛らせた。
支店長らしき人物だけ連れて行き、金庫のカギを開けさせて、
男が持ってきた鞄に、お金を詰めさせている・・・

魔法を使って、なんとかしたいけれど
手を縛られていて、タップをポケットから取り出せない。
それに、こんなに沢山の人たちの前じゃ、変身すら出来ない・・・どうしよう

「よーし・・・ダミー札とかヘンなもん使って下手な真似したら、解かってんだろーな?」
「・・・わ・・解かってますから、銃口向けないでくださいよ。」

パンパンになった鞄を持ち上げて、男は笑った。

「どうせ地道にやったって高が知れてるんだよ。
 これさえありゃ・・・当分、遊んで暮らせるっしょ?アハッハッハッ」

そう言いながら職員通用口から出ようとした。
扉を開けようとしたもの、辞めて、用心深くそっと覗き窓から外を伺う・・・

「・・・・くっそおー」


 パン!! パン!! パン!!

353 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 29 投稿日:2004/12/06(月) 00:23

天井に向かって、男が銃を撃つ
客や行員達が一斉に悲鳴を上げる
その時、外から・・・

「・・・こちらは横浜中央警察です。銀行は完全に包囲されています。」

拡声器を使った大きな声が外から聞こえてくる。
助かった・・・

「・・・くっそぉおおお!! 誰だ、チクリやがった奴は!!」
「・・・・・・・」

当然、誰もその問いには答えない。

「言わねぇと皆殺しにすんぞ?え?」
「・・・・・・・」
「もういい、5分毎にひとりずつ殺す。いいな・・・」

どうしよう・・・もうこうなったらわたしが・・・・?

お金の用意をさせられた支店長が、わたしの前に座らされていた。
そして、さっきから何かを紙に書いて・・・その紙片を男に渡す。

「なんの真似だ?おい 動くと殺すって言ったろうがぁ!」

言うと同時に、支店長は男に突き飛ばされる。

「フンッ・・・おまえ、外の警察と交渉して逃走用のヘリコプター用意させろ。」
「そ、そんな無茶な・・・」
「人質取ったって、車で逃げりゃ絶対に追いかけてくる。
 でもヘリなら車じゃ追いつけないし、成田近くのヘリポートまですぐ着く。」

成田って・・・海外へ逃げるつもりなんだろうか
こんな騒ぎを起こして、簡単に出国出来るとでも思っているの?

「・・・ねぇ、お姉ちゃん これ。」
「えっ?」

わたしの隣に座らされていた、さっきの男の子が小声で言い、
突き飛ばされた支店長の傍に落ちていた紙片を、片足で引き寄せた。
支店長は男の要求通り、ヘリを手配すべく携帯電話で警察と連絡を取っていて
男の子の行動に気付かない。

その紙には、こう書かれていた・・・



354 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 30 投稿日:2004/12/08(水) 04:43

「へたな真似はやめて下さい。そんなむ
 りな事をしても、絶対捕まります。気
 を確かに持ってください。
 用事でここへ来ている沢山のお客様に申し訳がない。
 意味のない行動はやめて自
 しゅして下さい。このまま立て篭もっても
 ろくな事にはなりません、お願いです。」


所々平仮名の、ちょっとおかしな文章・・・でも、動揺しているのだから仕方ない。

「あの支店長もグルだよ。きっと」
「えっ、な、何で!?」
「暗号だよ暗号。この文、先頭をたてに読むんだよ。」
「縦読み・・・えっと・・・“へりを用意しろ”か。なるほど」
「先週のバトルレンジャーでワルワル将軍の手下が使ってたんだ
 これ見てからすぐにアイツ、ヘリコプター用意しろって言い出したじゃん。」
「確かに・・・よく気付いた、キミえらい!」
「エヘヘ・・・それより、このままじゃアイツに逃げられちゃうよ。」

「おいガキ共、何さっきから喋ってんだ。あ? てめぇらから殺してやろうか?」

銃口を少年に向け、男は構える。

「やめてください!!この子を撃つのなら、わたしを撃ってください。」

少年の母親が叫ぶ。その声に一瞬、男が怯んだ。

 ・・・ドンッ!!

その隙に、座っていた少年が男に体当たりしてしまった。

「・・・このクソガキがぁ」
「みんな騙されるな!コイツとその支店長は仲間なんだ!!」
「!?・・・わ、わたしは被害者です・・・見りゃ解かるでしょう?
 坊や、これはテレビじゃないんだよ。
 本物の強盗事件なんだ。お願いだから大人しくしててくれ・・・」

「うそつけ!暗号文を渡していたじゃないか・・・解かってんだぞ!!」
「!!・・・・・」
「もういい、このガキから殺す。」

男はなんの躊躇いもなく、銃の引き金に手をかける。

・・・本気だ。間違いなく殺る気だ・・・

「やめてぇーーーー」



  パン!!




355 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 30 投稿日:2004/12/08(水) 04:45

「ううっ!!・・・はっ・・・・あっ・・・・」

「お姉ちゃーーーん!!!」
「キャーー」


・・・だって、しょうがないじゃん。

目の前で男の子が撃たれるのを黙って見ていられなかったんだもの。

魔法が・・・使えていたらな・・・


「お姉ちゃん、しっかりしてよ・・・お姉ちゃん、お姉ちゃん」
「救急車呼んでよ!この子死んじゃう」


 ガシャーン!! バリッバリバリ!!!


「キャー」
「畜生!何しやがった!!」

激しい衝撃音と共に、店内に煙が充満してゆく
先程の銃声で、警察による強行突入が始まったみたいだ。


ちょっと遅いよ・・・もう少し早ければ、わたし撃たれなかったのに・・・

胸がすごく痛い  息が苦しいよぉ・・・

わたし、まだ何もしてない・・・何も出来てないのに

お父さん、お母さん、許して・・・

マリカさん、元の姿に戻すこと 出来なくなっちゃった・・・

どれみちゃんに・・・お返しも・・・できなかった・・・


みんな みんな ごめんね・・・


周りの景色が、だんだん白くなってゆく
聞こえる音も、どんどん小さくなってゆく



わたし、やっぱりこのまま死んじゃうのかな?



そんなの・・・やだな




356 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 30 投稿日:2004/12/08(水) 04:47


翌日、喫茶マリカ


店のカウンターには、昨日の男の子とそのお母さんが持ってきた
大きな花束が花瓶に生けられている。

「気に食わなかったけど・・・こうなっちゃうとアレよね
 思い出が美化されるってゆーか・・・アイツも結構良いやつだったのかな?」
「かよこ殿は最初から良い人間だった。
 いや・・・良い人過ぎたのかも知れない。」

その傍に座り、ヒルピーとリリが呟くように話している。

「かよこ、この花 綺麗じゃな・・・」

窓に向かって、ニッコリ微笑むマリカさん

外から差し込んでくる、日差しが あまりにも眩しくて・・・目を細めた


何事もなかったように、今日が始まろうとしている・・・


今日も昨日と同じ・・・


暑い一日になりそうだ・・・















357 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 30 投稿日:2004/12/08(水) 04:49
















「って、ちょっと!やめてよぉー!!
 これじゃまるで、わたしが死んじゃったみたいじゃないのぉ!」

「ちぃちぃ・・・ちちー、ちちっち ちちちっち ちちちーちち。」
「まぁまぁ・・・ヒルピーが共犯説をうやむやにして、逃げようとしてた
 往生際の悪い支店長にお灸すえて来たんだから、
 そんなに怒らないであげて・・・ですって?
 まぁいいわ・・・あとマリカさんも、ちゃんとわたしを見て喋ってくださいよぉー」
「い、いやな・・・ワシの道楽のせいで危険な目に遭わせてしまったんでの
 おまえに悪くて、顔をマトモに見れんのじゃよ・・・許せ、かよこ。」
「んもー、気にしてないってばぁー」

「しかし、本当に頑張ってくれたよな・・・こいつ。」
「うん・・・これが無かったら、本当にわたし・・・死んじゃってた。」

オープンテラスに座り、西さんに診て貰っている・・・それは

わたしの身代わりとなって、金属部分がぐにゃりと捻れてしまった
たいせつな・・・わたしのペンダント

「直りますか?ペンダント」
「ガラスの部分にはヒビも入ってないし、付け根の部分だけ交換すれば無問題。」
「よかった・・・」





またわたし、助けられちゃったな・・・


ありがとう、どれみちゃん。




358 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 31 投稿日:2004/12/08(水) 04:53

「アタシがついて行きゃ、合格間違いナシよ。」
「やめーい!リリ どうせオマエは、かよこにプレッシャーかけるだけだろうが!!
 邪魔をするでない!」
「チッ・・・」

月の笑う晩。
今日はずっと滞っていた、8級試験の日です。

「本当はな、試験など受けんでも良いんじゃ・・・ワシはおまえと・・」
「マリカさん、それは言わない。・・・それじゃ、行って来るね。」
「・・・ああ、気をつけてな。」

・・・・・・

前のときもそうだったんだけど・・・
思い描いていた魔女界の厳かなイメージっていうのが全然感じられないのは
わたしがまだ半人前の魔女見習いだからなんだろうか?

「足八本に、足十本って、タコとイカの事だってすぐ解かってしまうし、
 夫婦でタコヤキ屋台引いてるのがすぐ見つかったし、
 今回もなんだか拍子抜けだったなぁ・・・
 こんな簡単に進級して行っちゃって大丈夫なんだろうか?」

と、ブツブツ呟きながら、試験官屋台への帰り道。
不意に誰かにつけられているような気配を感じ、振り返る

「誰? だれかいるの??」
「・・・・・・」

気のせいだったのかな・・・?

 ・・・カサ・・カサカサ・・・

「そこね!」
「み、見つかってまったかいな?」
「・・・・・・・・うっ!?」

シダの葉のような物の裏に、隠れ潜んでいたそいつは・・・

「な、なんでサザエが喋ってるの?」
「だって、あんさんが指定したんやないか
 “サザエのつぼ焼きがキライ”って・・・だから出てきたんよ?」

指定?? あー
試験開始前にアンケートとか言って書かせた、あれね。
って考えてる間に、サザエがじりじりとわたしに寄ってくる。

「ちっ・・・近寄らないで、お願いだから・・・
 わたし、サザエの匂いを嗅いだだけで・・・・うっ!?」



359 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 31 投稿日:2004/12/08(水) 04:56

わたしは小さな頃から、サザエのつぼ焼きが苦手だ。

確かあれは・・・幼稚園くらいの時だったろうか?
お父さんが出張か何かのお土産で買ってきたものを、家で焼いていて・・・

「ねぇ、おとうさん これなーに?」
「これはサザエって言うんだよ、かよこ。
 焼くと、とても美味しいんだ。食べてみるかい?」
「うん、たべてみる!」

お父さんは、貝の蓋を取り、器用にサザエの身を取り出す・・・

「あなた、サザエなんて まだかよちゃんには早いんじゃない?」
「まぁまぁ・・・味見程度に、少しくらいならいいだろう。
 かよこ、さあ お食べ。」
「いただきまーす!・・・パクッ・・・・・・うっ!?」
「か、かよこ・・・」
「かよちゃん!!」
「・・・うえぇーん・・・うっ、うっ・・に、ニガイよぉー」

・・・先に尻尾(?)の部分だけ食べてしまったわたしは
そのなんとも言えない味と苦さに、思わず泣き出してしまった。

・・・それ以来、あの磯の香りを嗅ぐだけで避けてしまう程
サザエのつぼ焼きがキライになってしまったのだ。

「・・・・って訳なのよ、わかる?」
「なにゆーてんねん!! あの苦味こそ、通の好みなんやないか!
 ・・・って言うても、5歳のオコチャマにはちとキツかったんやろう。
 しゃーない、ワイがあんさんを立派な“サザエ好き”にしたる。」
「いえ結構です。わたし急ぎますので、それでは・・・」

「待ちぃー!! ピトッ」
「いやぁーーーー!!触らないでぇーーーー!! ・・・うっ!?」

アカン・・・嫌いっつーか、拒絶反応起こしとるわ・・・

「ちいと聞くが、あんさんカレー食べられるかい?」
「カレーなら・・・好きだけど?」
「・・・わかった。んじゃ、食べんでええから料理を作ってくれ。」
「・・・サザエ料理?・・・・・やだなぁー」

・・・でも、これって試験の一環なんだよね・・・仕方ないか

「わかった。作るだけなら・・・やってみる。」



360 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 31 投稿日:2004/12/08(水) 04:58

「まず、サザエの身を取り出す。そしてワタを切り離す。
 そして、身を4つか5つ程度にきざむ。あと人参、じゃがいも、玉ねぎも適当な大きさにする。
 下準備が終わったら、フライパンに油を敷いて玉ねぎを炒める。
 さらにサザエ、人参、じゃがいもも入れて炒める・・・
 その具を今度は鍋に移し、水300cc程度を入れ、だいたい15分くらい煮込む。
 焦げないよう、よくかき回しながらカレールーと牛乳少量を入れ、
 1〜2分さらに煮込んで・・・サザエカレーの出来上がりや!」

「出来ました。」
「おお、どれどれ・・・うん、美味い!」
「それじゃ、わたしは・・・」
「待ちぃなぁー、折角作ったんやさかい・・・チョットだけでもいいから食べてんか?」
「だめです。約束と違います。」

どうにか食べさせようと、わたしを説得するサザエ・・・なんとも奇妙な光景だ

「・・・和食、中華、洋食・・・
 世の中にはいろんな食べ物屋があるやろ?
 そこに居る料理人達に、料理する食べ物が嫌いな者が居ると思うかい?」
「いないでしょう? 好きじゃなきゃそんな職に就かないと思う。」
「やろ? 食べ物が好きじゃなきゃ、美味い料理なんぞ出来やしないんや。
 あんさんは、こんなに美味しいサザエカレーが作れたんや
 きっと好きになれる・・・そう、ワイは思うよ。」

「・・・・・わ、わかったわよぉ・・・・ホントにチョットだけよ?」
「そうこなくっちゃ!!」

覚悟を決め、目を瞑り、そぉーっとカレーを口に運ぶ・・・

「・・・パクッ・・・」
「・・・どや?」

このコリコリするのがサザエよね・・・うん、意外と大丈夫かも。

「・・・・・・・うん、まぁまぁね。 パク パク パク 」
「一生懸命、真心込めて拵えたモンには
 目に見えん、とっときのスパイスが加わる・・・
 どんなキライな料理でも、美味しく食べられるようになる
 それは不思議な“魔法の料理”ができあがるんや。
 あんさん、一生懸命カレー作っとった・・・だから美味しく出来たんや。」
「うん・・・ありがと。」

なんだか照れちゃうなぁ・・・
“まほう”の料理かぁ・・・って

「いっけなーい! わたし試験中だったんだ。それじゃ、行くね。」
「おう、頑張れよぉ!」
「うん・・・えっと・・・
 これからは、ちょっとだけなら・・・サザエのこと、好きになれそう。
 アナタのお陰だよ。ありがとう!」


ホーキに乗って飛んでゆく彼女を見送りながら・・・サザエは呟いた。



「あんさんの頑張りはホンマもんや・・・きっと立派な魔女になれるよ。」



361 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 32 投稿日:2004/12/08(水) 05:01

今日も暑く、猛烈な日差し・・・
外に出たくない人が多いのか、デリバリーの注文が多い。

「えっとねぇー、山下町3丁目の村岡さん。ホット3つに、アイスひとつ
 ・・・だってさ、アンタ聞いてる?」
「はい、聞こえてますー。30分位でお持ちしますって伝えてください。」
「あぁ?なんで妖精のアタシがこんなことしなきゃならないのよっ! てか、何様?」
「ゴメンなさい、マリカさん買い付けで出掛けちゃってるし、
 今お客さんいっぱいで電話取れるのリリさんだけなの。お願いします・・・」
「んもう!わかったわよぉ・・・ったく」

プンプン怒りながらも、きちっと対応している。
客は今より少なかったが、以前は2人きりでこのお店を切り盛りしていただけあって
リリは勝手がよく解かっている。

「かよこ殿、届けてきたぞ。」
「あ、ヒルピーちゃんご苦労様・・・じゃ、今度はわたしが配達に行ってくるから
 お店の方をお願いしてもいいかな?」
「了解した。」

・・・・・・

「・・・えっと3丁目って、このホテルの横からだったよね。・・・」

そのホテル、マリカさんが言うには、戦前から建っているそうだ。
それだけあって、年季は入っているものの、手入れが行き届いていて綺麗なホテル。

その場所で、少し前くらいからだろうか、ちょっと気になっていることがあった。
そのホテル前のタクシー乗り場に立つ、ひとりの女性。
タクシーは待っているのに、それに乗らず、ずっとその場に立っている・・・

「あのひと、今日も待ってる・・・」

その女性は昨日、一昨日の配達の時も見掛けていた。
・・・一体、なにを待ち続けているのだろう?

あまり見ていては失礼だとは思いつつ、配達の帰り道もつい目がいってしまう。

「・・・あれ、いないや・・・今日はもう帰っちゃったn」


  ドカッ!



362 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 32 投稿日:2004/12/08(水) 05:05

よそ見をしていて、思わず人とぶつかってしまう。

「あ、ごめんなさい・・・大丈夫?」
「大丈夫です、こちらこそすみません・・・あ。」
「・・・はい?」
「あ、いえ・・・」

あのひとだ・・・ これって偶然? それとも魔法の力??

「あなた、時々このホテルの前の道を通ってるわよね?」
「あ・・・はい」
「それで、私のこと見ていたりするでしょ?」
「・・・ごめんなさい」

「ふふっ・・・いいのよ、別に。
 いっつも何待ってるんだろうって、変に思ってたんでしょ」
「ち、違います。ヘンに思ってなんていません。
 ただ、何でいつも立っているのかなって・・・ちょっと気になっちゃって
 本当にごめんなさい。」

「こんなトコで立ち話もなんだし・・・
 そうだ、あなたの喫茶店にでも連れて行ってもらおうかしら?」
「なんでわたしが・・・あ、これか」

おぼんを持って道を歩く人なんて、そうは居ないものね。


喫茶マリカ

夕方近くなって、一息ついたお店に彼女を招き入れる。

「いいお店ね。とても静かで落ち着くわ・・・」
「ちょっと待っていてください。今、コーヒー淹れますから」

先程から姿の見えない3人(マリカさん除)は、何処かで聞き耳を立ててるんだろう。
彼女はコーヒーカップをゆっくり揺らし、冷ましながら喋りだす・・・

「私はあそこで、タクシーを待ってるの。」
「えっ? だって、目の前に沢山停まって・・・」
「違うの。フツーのタクシーじゃなく
 黄泉の世界へ連れて行ってくれる、特別な車なんだ・・・
 それに乗りたくて、ずっと待ってるの。」



363 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 33 投稿日:2004/12/10(金) 02:13

「この世に未練も何もなく、誰にも迷惑を掛けずに消えてしまいたい・・・
 そんな思いの人が、あの古いホテル前のタクシー乗り場で待っていると、
 この世から跡形もなく消え去ることの出来る
 黄泉の国行きのタクシーがやって来るって、昔、噂があってね。

 ・・・私ってさ、何やってもダメなんだよね・・・
 派遣先の会社で失敗ばかり起こして、契約切られちゃうし、
 彼氏が信じていた友達に奪われちゃって・・・友達と彼、同時に無くしちゃったし、
 親は親で、私と母を保証人にして借金拵えてドロン・・・
 もう・・・誰も信じられないし、信じない。

 つくづく嫌になっちゃったんだよね・・・この世に居るのが疲れちゃった。
 それで、あそこでタクシー待ってたって訳なんだ・・・
 って、ゴメンゴメン・・・こんな話、するつもりじゃなかったんだけど・・・
 ・・・どうしてかな?」

もうすっかり冷め切ってしまっているのに、まだカップを揺らし続けている。
それは、今の彼女の心のうちを見ているようで・・・哀しくなってしまう。

「生きてゆくのは大変です。疲れちゃいます。
 でも、それが生きていくって事なんじゃないでしょうか?
 辛くて、悲しくて、何をやっても失敗ばかり・・・
 でも、それがあるからこそ、楽しいこと、嬉しいこと
 何かが成功した時に、何倍にもしあわせを感じられるんだと思うんです。

 こんな小娘が言ったところで、なんの慰めにもならないし、説得力もないけど・・・
 それでも・・・わたしには・・・わたしには・・・」

「うん、わかったよ。あなたの温かい気持ち、スゴク伝わったよ。
 だから・・・泣かないで、ね?」
「・・・もう、タクシーを待たないって・・・約束してください。」
「う、ん・・・わかった・・・約束する。うん。」

そう言い、笑って店を出て行く彼女を見送った。

彼女は笑った。確かに約束してくれた・・・でも
去り往くその後姿に、見えない影が潜んでいるような気がして・・・ならなかった。


あの店は、何故かこころを温かくしてくれるような不思議な場所だった。

言葉では上手く表現出来ないけど・・・なんだか勇気が沸いて来た。
このまま、なにもかも丸く収まりそうな・・・



 プルルルル プルルルル・・・ガチャ

「はい、もしもし・・・」
「オラァ、何昼間逃げ回ってんだコラ!そんな暇あったら、とっとと金返せや!
 返す当て無いんだったら・・・どや、いいとこ紹介したろか? ケッケッケッ・・・
 それが嫌だったら、ババァ殺せ。その保険金で・・・ガチャ」

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・いっ・・・イヤァアアアアアア」



364 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 33 投稿日:2004/12/10(金) 02:15

翌日、ホテル前

虚ろな目をして、タクシー乗り場に立つ彼女・・・

「ごめん・・・やっぱり、もうだめだよ・・・
 お母さん、ごめん・・・それから・・・名前聞くの忘れちゃった・・・
 喫茶店の女の子・・・約束破っちゃって・・・ごめん」

その目の前に、黒塗りのクラシックなタクシーが一台 停まり、ドアを開ける。
彼女は吸い込まれるように、その車に乗り込む。

初老の運転手は、行き先も聞かず
ただニッコリ笑って、車を発進させる・・・

「ま、待って! 待ってよお!!」

そこへ、かよこが駆け込んできて、走り出した車のドアを叩く。
だが、彼女は手でゴメンのポーズを取ったままで・・・
タクシーは停まることなく、走り去ってしまった。

「よし、こうなったら魔法で・・・」
「やめておけ、かよこ殿」

振り向かずとも判るヒルピーの声を無視し、走り出そうとするわたしを
すごい力で押さえつけ、阻んだ。

「いやよ!!ジャマしないでヒルピーちゃん。あの車、止めなきゃ!」
「無理だ。あれは、黄泉の国の使いの車なんだ。
 我々魔女や魔法使いの力でも、走り出したら止める事は出来ない。」
「そんな・・・それじゃあ、あの人は・・・・・・」

・・・・・・

「お客さん、もうすぐ黄泉の国の入り口です。」

それまでずっと黙っていた運転手が口を開いた。

「ここを入ったら、もう二度と元の世に戻ることはありません。
 安心して、黄泉の国での生活を送ることができますよ。」
「・・・もう・・・二度と戻れない・・・」

その言葉で、急に怖くなってしまい、我に返る。

「ちょっと待って、気が変わったわ。今すぐ、元の世に戻して頂戴。」
「それはできません。
 まぁ、最初は皆さん怖がられて「帰りたい」と仰られる方も居ります。
 でもすぐにこちらの生活に慣れて・・・」
「やだ、やだやだ! 戻る、戻りたいの。ねぇ、お願い わたしを戻してよぉ!!」


365 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 33 投稿日:2004/12/10(金) 02:19

初めは気にも留めずに進めていた運転手が、急に車を止める。

「ん? これは・・・いや、参ったなぁー
 こんなことは初めてだ・・・仕方が無い。わかりました、元の世に戻りましょう。」
「・・・あ、ありがとう。」

「もう二度とこのタクシーに乗ろうなんて、考えを起こしちゃいけませんよ。
 それと・・・礼なら私ではなく、“その子”に言ってあげなさい。」
「えっ・・・その子って?・・・」

パァァーっと、光に包まれ
気がついたときには、元居たホテルのタクシー乗り場に立っていた。

「おかえりなさい。」

涙でグシャグシャになりながらも、女の子は笑顔で私を迎えてくれた。

「・・・ただいま。それから・・・ごめんね」


・・・・・・・


ヒルピーの無駄だと言う言葉を聞きもせず、魔法玉が無くなってもなお
「あのひとがここへ戻ってきますように」と体力の限界が来るまで呪文を唱え続けたわたしは
翌日、店に出ることも出来ず、眠り続けた・・・

しかし、後にその労力が無駄であったことが判明する。

「えっ、赤ちゃん?」
「そう・・・お腹の中に、元彼の赤ちゃんが生まれていたのよ。
 だから私、あの車から降りることが出来たんだと思うの。
 このお腹の子の「生きたい」って気持ちが、そうさせたんだって・・・」
「そう・・・だったんだ・・・・・はぁー」

それじゃ、わたしが必死になった努力は徒労に終わったって事でFA?・・・_| ̄|○
・・・でも良かった。ほんとに良かった。

「だから言ったであろう、魔法は効かないから無駄だと。」
「あ、あたしの努力が・・・それはいいとして
 無くなっちゃった魔法玉、マリカさんにどう説明したらいいのよぉー・・・ウエェェーン」
「フッ・・・ハッハハハハハ・・・」
「あー、笑ったなぁー ヒルピーちゃんヒドーイ!!」




・・・まぁ、あの女性のお腹で眠っていた子供の心を呼び覚ましたのは
他ならぬ、かよこ殿の仕業なのだが・・・


それはもう少し黙っておこう。






366 名前:妖精リリのひ・と・り・ごと 投稿日:2004/12/10(金) 02:21

あー、暑い。アツイわ・・・
こう暑いと、なーんかイライラしてくんのよねー。

いや・・・このイライラは暑さの所為だけじゃない。
アイツよ あ い つ !
あろうことか、アタシの主・マジョマリカをカエルの姿にしてしまった

憎っくき魔女見習い、長門かよこ!!

もう何がイラつくかってと、全部。チョー全部。

まず、アタシが人間界に戻って来たじゃない? そしたら、あれよ
店にガキンチョ連れ込んでるわ、勝手に店を増床してるわ
マリカ丸め込んで和気藹々やってるわ・・・
おまけにコッチのコマとして用意したマジョヒルピーまで、上手く味方に付けちゃって
敵を味方にする戦略って・・・まさか、りりかは見てないわよね?
やってたの9年前だし、一体何処で覚えたんでしょ?
キーーーッ、もうムカツク!!

もう何がムカツクかってと、すべて。チョーすべて。

まず、こないだ行ったショッピングで貰った、元町商店街の福引券
どーせ当ったって未等の飴か、ティッシュ位だろうと思って、アイツにくれてやったの。
そしたらどーよ、2等が当ったって大喜びで帰ってくるじゃない?
おまけに景品が「エステ3万円分無料券」だったんで、
「わたしじゃ使えないから、リリさん良かったらどうぞ」だってさ
天然なんですか?かよこって・・・そういう申し送り事項受け取ってないけど?
キーーーッ、もう腹立つ!!

もう何が腹立つかってと、オール。ちょーオール。

アタシ「ぬれせんべい」が好物なの。意外でしょ?
それはどーでもいいんだけど、たまたま手持ちのぬれ煎が無くなっちゃって
フツーの煎餅をわざと湿気らせて、なんちゃってぬれ煎作っていたら、どうよ?
アイツ「あっ、湿気っちゃってたから捨てちゃった」だってさ?
そんでアタシが怒ったら、ホーキで新潟まで飛んでって、ぬれせんべい買ってきたの。
嫌味ですか?ってか、あんたいつから旅好きのおんぷになった訳?
キーーーッ、もう許せない!!

もう何が許せないかってと、ことごとく。チョーことごとく。

アイツの妖精チチ。結構使えるのよね、主と違って
そんで、アタシの舎弟にしようと思って、上手く言い包めたんだけど
ダメね・・・「訳(かよちゃんに限って、絶対そんなことはない。わたし信じてる)」
だってさ?師弟愛・・・ああ、なんと良い響きだろうか・・・
ケッ、バッカじゃないの? ハッ 魔女見習いが妖精持つなんて、100億万年早いわよ。
キーーーッ、もう・・・・えーっと・・・


367 名前:妖精リリのひ・と・り・ごと 投稿日:2004/12/10(金) 02:23


「もう終わりなのか?リリ殿」
「・・・いやいや、まだよ。アタシの浴槽に使ってたスープ皿を・・・
 って、うわぁあああー・・・ビックリさせんじゃないわよぉー」
「いや、何か独りでブツブツと、寂しそうだから聞いておった。」

「え・・・何時から聞いてたの?」
「ナースエンジェルの辺りからだ。」
「ほとんど聞いてら・・・_| ̄|○」

「お主は妖精の中でも群を抜いた頭脳を持っておる。
 かよこ殿がどんな娘か、もう気付いているはずだろう・・・何故毛嫌いする?」
「・・・からよ」
「ん?何て言ったのだ」

「・・・フッ・・・フフフ・・・それはね、アイツが か よ こ だからよ。フハハハハハハハハ」



 ・・・なんか、もう必死でしょ? 最近の妖精リリ。






「・・・フーン。じゃ、わたし 風 右 子 にでも改称しようかしら?」
「エッ・・・((((; ゚Д゚))))))))」




368 名前:12 投稿日:2004/12/10(金) 02:31
ども。
次のを読む前に、こちらを読んで頂けるとチョット解かるかもです。

http://www.doremich.or.tv/test/read.cgi/doremi2/1073481999/196-197

369 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 34 投稿日:2004/12/10(金) 02:32

今日はお空を飛んでます。
と言っても、ホーキではなく飛行機だったりします。

お盆の5日間、マリカさんにお休みを貰って
家族で、北海道の伯父さんの家へ出掛けることになりました。

「確か、最後に足寄へ行ったのが、お義母さんが亡くなった時だったから
 かよちゃんと私は5年ぶりになるのよねぇー・・・」
「ああ、兄さんだけになってしまったからね。
 たまには家族全員で墓参りしないと、おふくろ達も寂しがるだろうし」

わたしが星座に興味を持つ、きっかけを作ってくれたのが
足寄のおばあちゃんだった。

亡くなる3日前、体調が思わしくないのに無理して、わたしを連れ出し
夜の星空を・・・沢山の星達をわたしに見せてくれた・・・
あの日のことは、今でも忘れない。

女満別空港から、バスと鉄道を乗り継ぎ、足寄へ到着
駅前まで、伯父さんが車で迎えに来てくれていた。

「兄さん、ひさしぶり」
「ご無沙汰しております。」
「いやいや、遠くからよく来てくれた。
 あれ・・・かよこちゃんかぁ、随分大きくなったねぇー」
「こんにちわ。」

小さなショッピングセンターとコンビニがあるだけの市街地を抜けるとすぐ
ただただ草地と林が続く、北の風景へ変わる。

「この景色を見てると、子供の頃が懐かしいよ・・・
 都会は相変わらず忙しなくて、心の余裕ってのが無くなってしまう。」
「こっちはこの間、電話局が閉鎖されちまったし
 鉄道の、ちほく線も廃止するだ何だって、よく騒いどる・・・
 人が居なさ過ぎるってのも、あんまり良いことないもんだよ。」

車は、舗装道からあぜ道へと進む。
暫くすると、記憶の中にあった古いサイロが見えてきた。
家の前に、伯母さんが出迎えている。

「いらっしゃい。長旅で疲れたでしょう?
 ・・・あら、かよこちゃん大きくなったねー」
「あ、はい・・・こんにちは」

・・・大人から見ると、やはり子供の成長ってのが一番驚くことなんだろか?


370 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 34 投稿日:2004/12/10(金) 02:34

早速、散歩に出て 新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。

「うーん・・・きもちいいなぁー」
「久しぶりだね。かよこ」

えーっと・・・誰だっけ?
中学校の制服を着て、自転車に乗ってやって来た少年が、わたしに話しかける。

なんて言うか・・・たつや君を2、3歳年上にしたような感じの、悪ガキ風のコ。
わたしのこと呼び捨てにしてるって事は、かなり親しいって事だよね?

「おいおい! まさかオレの事忘れちゃったりしてないだろうなぁ?
 帰る時に「大きくなったらこっちへ来て、おにいちゃんの恋人になる」って
 べそ掻いて言ったこと・・・覚えていないのか?」
「わたしそんなこと言ってません!」
「・・・そうか、やっぱり忘れてしまっていたんだ。5年も前だもんな、仕方ないか
 でも、名前くらいは覚えてるだろ?」
「えっと・・・さとにい?」
「・・・ヨカッタ、名前まで忘れていたら立ち直れないトコだった。」
「ごめん・・・」
「いいっていいって・・・エヘヘ」

隣の牧場の、さとし兄さん
照れ臭そうに鼻の頭を掻いている、その仕草をみていて
だんだんと、昔の記憶が蘇ってきた。

牧場の囲いに間違って入っていっちゃって、牛に驚いてワンワン泣いていた
わたしを助けてくれたのがきっかけで、よく遊んでくれた。

広い家の中でかくれんぼしたこと、牛のお乳を飲ませてもらったこと
遠くの川まで行って、帰り道疲れて泣いてしまったわたしを
おんぶしてくれたこと・・・

「それにしても、かよこ・・・おっきくなったな。」
「もー・・・さっきからそればっかり
 わたし、背はそんなにおっきい方じゃないんだけどな。」
「いや、前に来た時はオレの半分くらいしか背丈がなかったからさ
 それで、みんな驚いてんだよ。」
「そう言うさとにいだって、随分大きくなったでしょ?
 あの時と、見上げる顔の高さが殆ど変わってないもん。」
「ま、お互い様ってコトですね。」
「「ハハハハハ・・・」」

「ホラ、これ」

と、鞄の中の本から取り出したそれは
ふにゃふにゃのビニールのような物の中に、茶色い何かが入っていた。


371 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 34 投稿日:2004/12/10(金) 02:36

「川に行った帰りに、おぶって帰って来たじゃない
 その礼にって、かよこが作ってくれた栞だよ。」
「ああ、あれね・・・さとにい物持ちいいんだ。」

お花を摘んで、電話帳に挟んでおいて、それをラップに包んで作った栞
もう中身の花は変色してボロボロなのに、まだ持っていてくれたんだ。

「・・・あ、さとしこんなトコ居たの?
 グランド整備をサボって帰ったって、先輩カンカンだったぞぉー」

さとにいと同じ制服姿で自転車に乗った女の子が、喋りながら近付いてくる・・・

「あちゃー、バレてたか・・・」
「私が謝って、残りやってきたんだから感謝してよね。」
「スマン!この通りだ
 いや、コイツが今日来るって聞いてたから、早く会いたくてつい・・・
 紹介するよ、長門かよこ。オレの・・・妹みたいなヤツさ」
「あ、はじめまして・・・」

「私は中谷葉月、さとしのクラスメートなの。よろしく」

葉月さん・・・藤原はづきちゃんと同じ名前だ。

「妹ねぇー・・・ふーん」
 で、かよこちゃんはさとしの事、どう思ってる訳?」

何故だろうか 少し意地悪そうな目をしてわたしに聞いてくる。

「かよこはオレの事、今まで忘れてたんだとさ・・・ハハ」
「ゴメンナサイ・・・
 わたしも、さとにい・・いや、さとしさんはお兄ちゃんみたいに思ってます。」
「・・・そうなんだ・・・そうなのかぁー ハハハハハ」

そう言いながら、葉月さんは笑顔になっていった。
・・・一体なんだったんでしょ?

「こっちには何時まで居るんだ?」
「来週の火曜日まで、5日間居るよ。」
「じゃさ、明後日
 ウチとこの家族で雌阿寒岳へハイキングに出掛けるんだ、一緒に行かないか?」
「あ、確か近くにオンネトーって凄く綺麗な池があるんだよねー
 行ってみたいかも。わかった、お父さん達に相談してみる。」
「うん。じゃ、そのつもりで準備しておくよ。」

「私も・・・行ってもいいかな?」
「おっけー。じゃ、オマエは弁当全員ぶん作ってくること。」
「え゛ー・・・でもまぁ、いいか。」
「おー、言ってみるもんだなぁ・・・期待してるぞ」

なんだか見えてきた・・・葉月さん、さとにいの事が・・・
それでさっき、わたしのコト勘違いしてあんな目でみてたんだな。

 

 今回も楽しい思い出、たくさんできそう・・・

372 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 番外編 投稿日:2004/12/12(日) 00:38
とある、お盆の日の朝・・・

リリ 「あー・・・ヒマね。お盆に入ってから客がパッタリ来なくなったわ
    ・・・まー、かよこが居ないから丁度いーけど」
ヒルピ「うむ。私も先程、表通りまで行ってきたが、人はおろか
    いつもは必ず渋滞している公園通りに車が殆ど居なかった・・・
    何故、急にこんなにも沢山の人々が居なくなってしまったのだ?
    もしや、これは何か良からぬ事が起こる前触れで、
    人間達は皆逃げ出してしまったのではなかろうか!?」

リリ 「フッ・・・アンタも想像力豊かねぇー
    人間・・というか日本人は、盆と正月・・8月15日と1月1日の前後は
    生まれ故郷の田舎へ帰るっていう慣わしがあるのよ。
    それで、その時期になると都会がガラーンとなっちゃう訳。」
ヒルピ「そうなのか・・・流石リリ殿、博学であるな。」
リリ 「まぁ〜 それほどでも・・・あるけど。」

お昼過ぎ・・・

ヒルピ「うーむ・・・マリカ殿はまだ起きて来ないのか?
    もしや、病に罹っているのではあるまいな??」
リリ 「違う違う!ただの徹夜麻雀よ。ほっときなさい」

ヒルピ「麻雀とは!?・・・相手など居るのか??」
   「それが居るのよっ! ホラ、あのガキンチョが
    インターネット麻雀とか言うのをマリカに教えてくれたのよ。
    パソコンと電話回線を使って、見えない相手と対戦することが出来てね
    一緒に会話もすることができるらしいのよ・・・」
ヒルピ「なんと!?・・・まるで魔法のようだな!」
リリ 「なんか最近、人間界もちょっとの間にスゴク進歩しちゃうから侮れないわ」

見えない相手と麻雀・・・どうすればそんな事が出来るというのだ?
かの有名な発明家・マジョトロン氏だって、そんな発明は見た事がないだろう。
人間界とは、とてつもなく凄い所なのかも知れん・・・

リリ 「ねぇ、何意味深な顔してんのよ?
    どーでもいーけどさ、アタシお腹空いちゃった。ヒルピーなんか作って。」
ヒルピ「うむ。かれーらいすで良いか?」
リリ 「いいわよ。お願い」
ヒルピ「了解した。」

・・・・・

ヒルピ「リリ殿、出来たぞ。」
リリ 「ありがと!んじゃ早速、いっただっきまぁーす!! パクッ・・・・・?!
    ・・・・・ウギャーーーーーーー!!!!!」



373 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 番外編 投稿日:2004/12/12(日) 00:40

ヒルピ「どうした?リリ殿  パクッ パクッ パクッ・・・うむ? こ、これは・・・」
リリ 「水、水、みず、ミズゥーー ハァハァハァ・・・
    ちょっとアンタこれ・・・まさか、かよこから貰った?」
ヒルピ「そうだ。かよこ殿から
    「ご飯だけ炊いて、これをお鍋で温めて掛ければ食べられるの」と頂いた。」

それはこの間来た客が、沖縄行って買ってきたというボンカレー。
フツーのボンだけど、パッケージがオバチャンになってる。
昔はこれがデフォルトだったが、今はコレ、九州と沖縄だけでしか売られていなくて
ちょっと珍しい・・・とか何とか、よく解かんないこと言いながら
かよこにくれてたヤツ。かよこもカレーが好きみたいで、喜んでた・・・

そこでアタシ、ひらめいちゃった訳。
そのボンの中身を、アタシが買ってきた リーの辛さ30倍カレーとすり替えちゃうの。
それをかよこが食って・・・あまりの辛さに悶え苦しむ・・・って寸法よ。
フフフ・・・良いアイデアでしょ、まるで王様?

ヒルピ「で、その王様のアイデアに自分で嵌ったって訳か。
    リリ殿も随分と器用な事をするな。 パクッ パクッ 」
リリ 「だいたい、折角仕掛けたトラップを、アンタが・・・
    ・・・ハァ〜 辛っ・・・  ってか、アンタよく平気で食ってられるわね?」
ヒルピ「平気も何もこのカレー、実に美味ではないか。パクッ・・・」

・・・前から少し変わってると思ってたけど・・・やっぱコイツ、へん。


3時過ぎ・・・

リリ 「あー・・・まだ口の中がヒリヒリするわ・・・ったくぅ」
マリカ「ふぁ〜・・・よく寝たわい。」
ヒルピ「マリカ殿、やっと起きたか。待っておったぞ。」

マリカ「んむ?なんじゃいヒルピー」
ヒルピ「いや、その・・・私も、いんたーねっと麻雀と言うのを体験してみたくなってな
    魔女界の手伝い先で、問屋魔女とよく手合わせするので、少し練習してみたいのだ。
    ・・・やらせては貰えないだろうか?」
マリカ「そりゃ良いが・・・パソコンはとおるからの借り物だからのぉ? 丁寧に扱えよ。」
ヒルピ「了解した♪」

数時間後

ヒルピ「うーむ・・・こ、こやつ手が汚いぞ!
    それに・・・さっきからしきりに書いておる「リアルしょうじょ ヒルピーちゃんハァハァ」
    ってどういう意味なのだ?  あーもう!!イライラしてきた・・・このぉっ!!」

 
 バシッ!! ・・・ぴぴぴぴぴーーーーーーーー・・・・プスッ


374 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 番外編 投稿日:2004/12/12(日) 00:42

マリカ「なんじゃい、いまの音は!?」
リリ 「あーーーーーっ、アンタなんて事を!!」
ヒルピ「ん?・・・いやな、コイツが汚い手や訳の判らない事を言い出すから、
    今、少しだけ仕置きをした。」

リリ 「仕置きってアンタ・・・パソコンがフリーズしちゃってるじゃない!
    ・・・ってか、再起動もしないじゃないのおー!!」
マリカ「こ、壊れた・・・のか?」
ヒルピ「そのようだ。」

リリ 「そのようだ じゃないわよ!!
    どーすんのよ、コレまだ最新機種だから30万くらいするわよ?」
マリカ「そんなにするのか!?・・・ふぅー、マイッタわい。」
ヒルピ「・・・すまぬ」
マリカ「よいよい。ワシが付いて見ておれば良かったんじゃ
    ・・・そうだ、あやつに相談してみてはどうじゃろうか?」

夕方・・・

西  「い、いくら僕でもパソコンはちょっと・・・」
マリカ「そこを何とかならんかのぉ?頼れるのはおまえさんだけなんだよ・・・
    お、おいヒルピー、何を構えておるんじゃ!」
ヒルピ「そやつ・・・魔法使いであろう
    それに、この間かよこ殿に何か良からぬ事を吹き込んでおったのだろ?
    油断はならぬぞ、マリカ殿!!」

マリカ「やめい!西はもう人間界の住人じゃ。
    ってオイ、人の話を聞かんか・・・うわぁ」

  バシュッ!!・・・・ ドッカーーーーン!!

西  「おいおい・・・」
マリカ「はっ、パソコンはどこじゃ・・・・・・・_| ̄|○」
リリ 「あーあ・・・木っ端微塵だしぃ? どーすんのこれ??」

夜・・・

古くからの慣わし、今まで食べたことも無い美味なカレー、そして奇妙な発明品・・・
人間界には、まだ私の知らない物が沢山ありそうで、毎日が楽しみである・・・まる。

リリ 「あー・・・なんか今日、めっさ疲れたわ・・・」
マリカ「ふー・・・このままでは店も破壊されかねん。早くかよこが帰ってこんかのぉ・・・」


ヒルピ「どうした?二人とも、元気が無いな。そんな調子では夏は乗り切れんぞ!ハッハッハッ」




マリカ・リリ「「・・・あんたのせーだよ。」」




375 名前:ゾウのハナちゃん はづきとハナちゃんのないしょ 投稿日:2004/12/12(日) 00:44

「ねぇ、はづき。行こう!」「行くパオ」
「それじゃあ、行きましょうか。」

最近、週末になると決まって遊園地に行きたがるハナちゃん
それは、遊園地で遊びたいという訳ではなく・・・

電車で6駅行ったところにある、美空市のはずれに
美空が丘遊園という、遊園地がある。

ジェットコースターに観覧車、ゴーカートにお化け屋敷
その遊具からすこし離れた、林の中にそのコはいた。

「はーなちゃん、きたよぉー」「きたパオー」

そのコ・・・ゾウのハナちゃんは
遊園の何周年記念かに外国から贈られた、年輩のゾウ

実際、小さな頃から何度かこの遊園に足を運んでいた私も、
その存在に気付いていなかった。

「はなちゃん、今日はリンゴとね、バナナを持ってきたよ。食べる?」

その声に反応するかのように、鼻を高く上げるゾウ
ポーンと放った果物を、器用にキャッチして、口に運ぶ。

「おいしい?」「オイシイって言ってるパオ」
「・・・そうか、おいしいんだ。アハハッ」

同じ名前という事があったからか、ハナちゃんはこのゾウがとても気に入ったようだ。

・・・・・

そんな事が暫く続いたある日、私はあまり良くない噂を耳にする

遊園地の閉園・・・

それは同時に、ゾウのハナちゃんも居場所を追われるという事になる。

いつものように、少しの果物を持ってゾウの前にやってくる。
しかし、ゾウはその噂を知ってか知らずか・・・少々、元気が無い。


376 名前:ゾウのハナちゃん はづきとハナちゃんのないしょ 投稿日:2004/12/12(日) 00:46

「・・・ねぇ、はづき はなちゃんどうなっちゃうのかな?」
「係員さんのお話じゃ、近くの動物園に引き取られる予定なんですって
 でも、閉園は来年の6月だから、暫くはこのままここに居るみたい。」
「じゃあ、これからもはなちゃんに会えるんだ。良かったぁー」

無邪気に飛び跳ねながら、はしゃぐハナちゃん。
その姿に、ようやくゾウが立ち上がっていつものように鼻を上げる・・・

「そっかぁ、はなちゃんも嬉しいんだね。アハハッ」


その帰り道
電車の中で寝てしまったハナちゃんから、
奇妙な形の帽子が、私の頭の上に乗り移る・・・

「ど、どうしたの? パオちゃん」
「・・・あのゾウ、もう・・・・・・」
「!!!・・・・」


・・・・・・

その次の週末
どんよりとした空が、遊園地に着く頃には雨空に変わっていた・・・

「今日はリンゴとおイモ・・・ねぇ、はづき ゾウさんっておイモ食べるの?」
「うん・・・食べると思うわ・・・」
「・・・なんか、はづき・・・元気ないね どうしたの?」
「・・・・・なんでもない」

いつもと同じように、ゾウ舎へ向かう。でも・・・

「あ、あれ・・・はなちゃん居ない。どうして?」

檻の丁度まん中付近に、立て札と・・・・・花束が置かれている。

「・・・・・ハナちゃん、ゾウのはなちゃんはね
 今朝・・・・・天国へ行ってしまったんですって。」
「・・・・・てんごく?
 ・・・・・・・・・・う、うそだうそだ! だってこの前だって
 リンゴ食べてくれたもん! お鼻を高く上げて喜んでくれたもん!!
 ・・・・・そうだ、きっと今日は雨でお客さんが少ないから
 遊園地のどこかで遊んでるんだよ・・・・ハナちゃん探してくる。」
「待ってハナちゃん! ゾウさんはもう何処にもいないわ」
「うそだ! ハナちゃん信じない!!」


377 名前:ゾウのハナちゃん はづきとハナちゃんのないしょ 投稿日:2004/12/12(日) 00:48

雨の中を、持ってきたリンゴやおイモをバラバラと落としながら
ハナちゃんは走ってゆく。

そして、雨で滑りやすくなっていた坂道で 見事にすっ転ぶ。

「い・・・イタイよぉ!!」
「ハナちゃん!!」

・・・・・

あまりにも突然過ぎた 受け入れたくない事実
まだ2歳のハナちゃんにとって、それは酷だったのかも知れない。

「痛かったね、ハナちゃん・・・・」
「・・・・ウェーェーン・・・はづきぃィィィーー・・・」

痛いのは腕に負ったキズよりも、きっとココロに負ったキズ。

その傷が少しでも癒えるように・・・優しく、そっと頭を撫でた。


・・・・・

「はづき、あのね 夢にはなちゃんが出てきてね・・・こう言ってた。」


 わたしは ちいさなころに ここへやってきて

 たのしくあそぶ たくさんの こどもたちを みてきたの

 だから わたしは このゆうえんちと ずっといっしょにいたいの

 ごめんね ハナちゃん
 
 いままで いっぱい ありがとう


「そう・・・」

「でも・・・でもね
 はなちゃん 笑ってたの。
 だからね、ハナちゃんも 笑って バイバイしたの。」

「そっか・・・きっとゾウさんも、ハナちゃんの笑った顔が見たかったんだね・・・」




「ウン・・・」






 とおいおそらの ゆうえんちで  またいっしょに あそぼうね。






378 名前:12 投稿日:2004/12/12(日) 00:49

bの字さんの「泣きっ面ハナたん」に触発されて、ちと休憩話でした。

一昨年の4月、桜の花が散るのを待っていたように息を引き取った
「あやめ池遊園」のゾウのハナちゃん。
その遊園地も今年6月に閉園してしまったそうです・・・

379 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 35 投稿日:2004/12/13(月) 01:15

「いい天気になって良かったなぁ
 ・・・しかし両手に花とは、さとしもヤルもんだなぁー ハハハ」
「うっせーなぁー、そんなんじゃねーよぉ!」

バックミラー越しに息子の顔色を見てニヤニヤする、さとにいのお父さん
どういう反応を取ったらいいのやら、わたしはただただ苦笑い・・・

信号も交差点も無く
すれ違う車も殆ど無い国道241号線を、阿寒方面へ向けて車は走ってゆく。

「あっ、鹿だ。親子みたい・・・カワイイ」

道路脇の崖の上から、鹿の親子が顔を覗かせている。

「鹿はこっちじゃ、あまり有難がられてなくてねぇ
 冬場、食べ物が無くなってしまうと、鹿は木の幹や根をかじってしまうんだ。
 そうなっちゃうと木が枯れてダメになってしまう・・・」
「そうなんだぁ・・・でも、ちょっと可哀想だね。」

暫く走ると、右手に富士山に似た形の整った山と、
それに寄り添うようにある、どっしりとした山が見えてくる。

「あれが雌阿寒岳と雄阿寒岳。
 富士山似の雄阿寒岳は傾斜がキツくて健脚向きだけど、
 今日登る雌阿寒岳のほうは、行程も比較的緩やかでファミリー向けなんだ。」

とはいえ、予想していたよりかなり高い山に見える。
大丈夫だろうか・・・

「山の上のほうにはこの時期、たくさんの高山植物が咲いているよ。
 ・・・ほら、かよこは植物とか好きだろ?」
「へぇー・・・さとにい、よくそんな事覚えてたね」
「そう言って栞をくれたんで覚えてた。」
「・・・・・・」

「あ・・・えと、葉月さんは植物とかは・・・」
「キライ。」
「・・・そ、そうですか・・・・・・」

わたしばかり構ってちゃ、葉月さんが気を悪くしちゃうじゃない。
もー・・・さとにい、鈍感なんだから・・・でも
そういうわたしも、こういう展開は苦手だったりするのよね・・・お互い様か

「雌阿寒岳は一応、家族向けの山だけど、油断は禁物だよ?
 葉月ちゃんもかよこちゃんも、辛くなったら無理しないで言いなさい。」
「「はい。」」


380 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 35 投稿日:2004/12/18(土) 19:12

さとにいのおじさん、葉月さん、わたし、さとにいの順で山道を登り始める。

遠くにカッコウ、変わった鳴き方をするエゾセミの鳴き声・・・
そして、山の木々から漂う 緑の匂いがとても心地よい。

登るにつれ、広葉樹林が針葉樹林へ
さらに行くと、木の数も減って、火山灰の砂地へと変わってきた。

少しづつ視界が開け、先ほどの雄阿寒岳が眼前に広がる。
また、岩の所々を高山植物のコマクサやメアカキンバイの黄色が鮮やかに彩る。

「よーし、みんな着いたぞ」

登り始めて2時間30分、ほぼ予定通りに山頂へ到着。
雌阿寒岳は火山で、山頂には大きな火口が広がっている。

「うわぁー・・・きれい」
「いい眺めだなぁ・・・」
「苦労して登ってきた甲斐があるってものよねぇ・・・」

少し離れた場所にある阿寒湖や、出発点のオンネトーがとても小さく見え
所々に雲が、綿菓子のように浮かんで・・・まるで空の上のよう。

魔女見習いになって、空を自由に飛びまわることが出来る今でも
やはり、自分自身の足で登ってきたという爽快感が、
見る景色を何倍にも素晴らしいものにしてくれた。

「さ、それじゃあメシにしますか?」
「「「はーい!」」」

一昨日言っていたとおり、葉月さんはみんなの分のお弁当を作ってきてくれた。

「おおっ・・・葉月にしては頑張ったなぁ」
「にしては は余計よー!
 今朝4時に起きて作ったんだから、さとし全部残さず食べなさいよっ
 さっ、おじさんも、かよこちゃんも食べて食べて」

どれもこれも、とても美味しくて
わたしには真似できない、手の込んだ料理・・・

葉月さんが作ってこなかったら・・・と思って、
わたしがこっそり作ってきた、オニギリの出番はどうやらなさそう。

食後に、少し辺りを周って
お父さんから借りてきた、デジタルカメラで景色や植物を撮る。

「かよこは、今でも植物とか好きなんだ。」
「うん・・・普段は図鑑でしか見た事の無い
 高山植物の実物が見れるなんて思いもしなかった・・・ありがと、さとにい」
「あ・・・うん」

「なーんか・・・さとしとかよこちゃん・・・
 兄弟っていうより・・・恋人みたいだね。
 ・・・・・私、ちょっと頭が痛くなってきちゃったから、先に山下りるね。」
「お、おい待てよ葉月!」


381 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 35 投稿日:2004/12/18(土) 19:13

制止する さとにいやおじさんを振り切って、葉月さんはひとりで下山してしまった。
慌てて帰り支度をし、わたしたちも後を追いかける。

「ん・・・まずいな、ひと雨くるかも知れん。少し急ごう。」

さっきまで、あんなに晴れ渡っていたのに、
今は空一面、白い雲がかかってしまっていた。

下り道は登りよりも多少楽で、所要時間も少ない。
が、足に掛かる負担はかえって登りの時よりも大きい。

少しつっぱった足をポンポンと叩きながら歩いてゆく。
その所為で、ちょっとづつ
さとにいとおじさんとの間が離れていってしまっていた事に
わたしも、さとにい達も気付いていなかった・・・

「・・・あ、あれ? さとにい おじさん?・・・・・・いない」

ふと気付くと、歩いている場所が
来た時にはなかったような、細い道へと変わり・・・だんだん獣道のようになってくる。

「・・・え・・・うそ!? わたし、逸れちゃった?」

木々の間に道が無いかよく目を凝らしていると、
山の麓の方からだんだんと白いものが這って登ってくるのが見えた。

・・・・・ガスだ。
それに気がついた時には、もう辺り一面真っ白になってしまっていた。
サーッと血の気が引いて、わたしはしゃがみ込んでしまう・・・

「・・・どうしよう・・・わたし・・・わたし・・・・・・あっ!」

震える手で脚を擦っている手が、不意にポケットのタップに触れた。

・・・そうだ、わたしは魔女見習いじゃない!
今まで怖気づいていた自分が嘘の様に、パッパと見習い服にお着替えを済ます。

「なんだかミョーに久しぶりな気もするけど・・・ま、いいや  コホン・・・
 ♪トゥルリラ トゥーリラ ファソラシ ペーペルト! 霧の道よ、晴れて!!」

・・・スゥーっと、わたしの前の霧がぽっかりと開いて、トンネルが出現する。
その道は有難いことに、正規の登山道へと続いているようだ。

「よし、これでさとにい達の所へ辿り着ける。」


382 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 36 投稿日:2004/12/18(土) 19:15

魔法で出来たトンネルを伝って、山道を駆け下りてゆく。
その途中で、何かに躓き転びそうになる・・・

「・・・あっ、これは」

見覚えのある赤い水筒・・・葉月さんのものだ。

霧に包まれた、周りの林に目を凝らす。
すると、少し離れた岩の影にちょこんと座る人影が見えた。

「あの、葉月さん?」
「・・・・・かよこちゃん?」
「良かったぁ、わたしもさとにい達と逸れちゃって・・・」
「ダメだよ、かよこちゃん!
 山でこーいう悪天候になった時、下手に動くと遭難しちゃうのよ。」
「えっ・・・あ、ハイ・・・すみません」

・・・魔法で道作って歩いてきたので大丈夫・・・なんて言えないものね。

葉月さんの隣に腰を下ろし、辺りを見回す。
わたしが出したトンネルは、魔法が切れてしまったのか、いつの間にか消えていた。

「・・・ごめんね、先に下りてきちゃって
 もしかして、私を探していて逸れちゃったとか?」
「あ、いえ・・・ゆっくり歩いていたから
 わたし、小さい頃からみんなより何かをする事が遅くて・・・
 いつも置いてけぼりになっちゃうんです。」
「フフ・・・なんか、私とかよこちゃんて似てるのかも知れないな・・・」

葉月さんは、何かを思い出すように
霧の中に目を遣りながら・・・話し始める。

「・・・私は・・・小さい頃、札幌から転校してきてね、
 なかなかクラスに馴染めなくって、意地悪されたりしたの。
 なんて言うのかなぁ、そういうのって妙な連帯感とか出てきちゃって
 嫌われてない子達も、何故か私と口を利いてくれなくなっちゃったりしてね・・・
 でもただ一人、私を助けてくれた人が居たの。
 それが、さとしだった・・・

 後になってから解かった事なんだけど、私に構ったことで
 彼もみんなに無視されたり、随分と嫌がらせを受けたりしていたの・・・
 でも、そんな事ゼンゼン顔に出さないで、私の前で彼はいつも笑ってた。

 その時思ったの。
 私を救ってくれたこの人に・・・いつか恩返しをしなくっちゃいけない。って」

葉月さんの想い、わたしがどれみちゃんに抱いている気持ちと同じ・・・

「でも・・・そんな気持ちがいつしか
 好き・・・って想いに変わってしまったの。

 私はさとしの事が・・・好きになっちゃったんだぁ。」


383 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 36 投稿日:2004/12/18(土) 19:16

やっぱり葉月さんは、さとにいの事が好きだったんだ。ふーん・・・

・・・もしどれみちゃんが男の子だったら、
わたしもこんな気持ちになれたのかなぁ・・・

「でも・・・でもね
 さとしは違ったの。彼にはずっと昔から・・・好きな人が居たの。」

えっ、そんなぁ・・・
昔って、わたしの知っている頃のさとにいは、
川で遊んで、駆けずり回って、悪戯をしてよく怒られて・・・
とても好きな人が居るような素振りはなかったけどなぁ?

「その子は遠く離れた所に住んでいて・・・まぁ、遠距離恋愛ってやつなのかな?
 その彼女がね、3年前位に学校に行けなく・・・登校拒否になってしまったの。
 さとしはそれを知り、なんとか彼女の事を助けたくて
 春休みに家族に黙って独りで、彼女の居る街へ行こうと試みたの。
 でも結局、足寄の駅でお巡りさんに見つかって連れ戻されちゃったんだけどね・・・」

・・・3年前・・・登校拒否!?・・・

「さとしはその後もずっと元気がなくって、クラスでもどうしたんだろう?って
 心配されちゃうくらいに落ち込んじゃってて・・・
 それでわたし、彼のこと元気付けてあげようと思ってさ、
 12月の中頃に、ふたご座流星群が来るから一緒に見ようって誘ったの。」

・・・・・・・・・・。

「彼、流星群を見に来てくれた・・・私、すっごく嬉しかった・・・
 でも同時に、これは叶わない恋だって事に気付かされた・・・

 ・・・さとしね、星が流れる度に、一生懸命お願いしてたんだ。
 「アイツが学校に戻れますように」・・・ってさ」

どうしよう・・・ドキドキが・・・止まらないよ・・・

「私、泣けちゃったよ。彼の健気さと、自分の惨めさに・・・
 でも・・・それでも私はアイツが好き。」

霧の中、お互いの顔もぼんやりとしか判らない中・・・
わたしは何の言葉を発する事も出来ず、ただ黙って下を向く。

葉月さんは、そのコが誰なのか・・・きっと解かっているに違いない。
それで、わざとわたしに聞かせたんだ・・・

「でも、私は負けないよ。
 さとしが、ずっと彼女の事を想っていても
 いつか必ず、さとしをふり向かせてみせる。絶対に

 だって私は・・・さとしの事が大好きなんだもの!」


「さとにいは優し過ぎるから・・・気付かないだけだよ。」


384 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 36 投稿日:2004/12/18(土) 19:19

「えっ?・・・」
「わたしの友達にもね、そっくりな女の子が居るの。
 人の痛みがすごく解かって、いつも誰かの為に頑張って・・・

 傍に好きだと想ってくれる男の子が居るのに、彼女はそれに気付いてない・・・
 周りの人間はみんな気付いているのに、本人はゼンゼン気付かないの。」

「ハハハ・・・ニブチンさんなんだね。」
「人に優しくなる余り、ついつい自分の事には無頓着になっちゃうのかな?
 きっと、さとにいも同じだと思う。
 うん、きっと・・・だから・・・

 だから、葉月さんも諦めちゃダメだよ!」

すごくビックリしたような顔でわたしを見つめ・・・そして、フッと微笑んだ。

「うん・・・そうだよね・・・
 もうちょっとだけ、頑張ってみようかな・・・」

すうっと目の前が明るくなり、霧が晴れてきた。

「さぁ、いこっか?」
「はい」

少し道を降りたところで、探しに戻ったさとにい達に合流する。
わたし達は無事に麓まで下りることができた。

・・・・・・・

帰る前日の夜、わたしはさとにいを連れて星空を見に出掛けた。

「明日帰るんだよな? 一週間なんて、あっと言う間だったなぁ・・・」
「うん、楽しい時間は早く過ぎるって言うけどホントだね。」

街灯も、街の明かりも無く
持ってきた懐中電灯の明かりを消すと、辺りは何も見えなくなる。

そのかわり、夜空には・・・

「やっぱり素敵だなぁ・・・これが本当の星空なんだよね。」

天の川、時折見える流れ星、そして幾千、幾万もの星達・・・
小さな頃、おばあちゃんに教えて貰った わたしの大切なたからもの。

「あ、あのさ・・・かよこ オレさ・・・」

その言葉を遮るように、わたしは喋る・・・

「・・・この前足寄へ来た時、わたし さとにいの恋人になりたい って言ったけど
 わたし、そのコトはおろか、さとにいの事すら忘れていた。
 ・・・さとにいの気持ち・・・聞く資格なんてないよ。」


385 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 36 投稿日:2004/12/18(土) 19:21

「それに・・・わたしはまだ、男の子を好きになる気持ちって
 正直、よく解かんないんだぁ。」

まっ暗で、お互いの顔がなにもみえなくて・・・夜空を見上げたまま・・・

「・・・そうか・・・・・
 フラれちゃったか・・・いや参ったなぁ アハハハハ・・・」

「・・・でも、さとにいがわたしをずっと想っていてくれた事
 スッゴク嬉しかったよ。ありがとう・・・」


それから・・・・・ごめんね。


・・・・・・

翌日、足寄駅
伯父さん達、さとにいのお父さん、そして葉月さんが見送りに来てくれた。

「お世話になりました」
「いやいや・・・なぁーんにも無い所だけど、また来てくださいね。」

・・・でも、その中に さとにいの姿はなかった・・・

「ったく、何やってんだろう あのアンポンタンは!」
「いいの・・・これきり会えないって訳じゃないし・・・」

昨日の事は・・・葉月さんには言えないな・・・でも

「葉月さん、諦めty・・」
「そーんなこと!! 言われなくっても解かってるって
 大丈夫 だってまだ・・・
 私の恩返し、終わってないもん。」

そうだよね・・・わたしも葉月さんに負けないように頑張らなくっちゃ!

帰りは帯広空港から飛行機に乗る為、往きとは逆の池田方面行き列車に乗り込む。
これからまた長い旅が始まる・・・

列車が走り出すと、車窓左手に利別川が見えてくる。

「・・・あっ、あれ  さとにいだ!!」

川の対岸に立つさとにいが、こちらに向かって大きく手を振っている。

その姿を見たら 何故だか涙が零れた・・・




もしかしたら・・・


わたしも 失恋しちゃったのかな・・・




ありがとう、さとにい・・・ バイバイ



386 名前:12 投稿日:2004/12/18(土) 19:57
おかげさまでこのスレも無事、終焉を迎えることが出来ました。
新作を書いてくださった方、ひたすら応援して下さった方
そして、このスレを読んで下さった皆さん

  ほんとにほんとにありがとう !!

387 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 37 投稿日:2004/12/18(土) 19:59

長かったようで、短かった夏休みが
もうすぐ終わろうとしている。

「ああっ、その分量は3:1じゃなくて4:1って言ったでしょお?
 ったく使えないわねぇー・・・何やってんのよぉ!」
「は、はい・・・ゴメンナサイ」
「そんな細かい事まで覚えてられるかっ!
 分量なんて、やっていりゃ体で覚える・・・勘でいいんじゃい」
「なーに適当な事言ってるのよ! マリカがそーやって甘やかすから
 コイツがつけあがるんじゃない!」

リリの通っている大学の夏休みは9月20日まで続くが、
同行のヒルピーは31日で終わってしまう為、一緒に帰ってしまうらしい。

一日に一回はあるだろう、こんな事も
もうすぐ無くなってしまうのかと思うと、ちょっぴり寂しかったり・・・

「・・・ってか、アンタ聞いてる?」
「あ、はい聞いてます。」
「・・・大方、アタシがもうすぐ帰るんでラッキー!とか思ってたんでしょ?
 ハッ・・・甘い!甘い!! 甘すぎるぅー!!!
 ちゃんと冬休みにも戻ってきて、しっかりアンタをイビってやるからさ
 まぁ、楽しみに待ってなさいよ。ハハハハハ・・・」

・・・前言撤回。

それはそうと、ヒルピーちゃんの様子が昨日からどうもおかしい。
何かそわそわして落ち着きが無いし・・・

「・・・んむー・・・あー・・・やはり辞めておこう。・・・
 いや、でも・・・うーん・・・」

・・・今日も朝から、こんな感じだ。

「どうしかたの、ヒルピーちゃん」
「ああ、かよこ殿・・・実は・・・いや、何でもない。」
「・・・何でもないのに、そんな風にはならないと思うけど
 それとも、わたしじゃ頼りにならないかな?」
「そんな事はない!!」
「じゃナンデ??」

一瞬困った顔をしたものの、なおも食い下がるわたしにようやく観念した。

「実は、以前私は人間界に来て、とある魔女見習いと会ったのだ。
 そやつ・・・いや正確にはそやつらは、もう見習い修行を4年もしていて
 幾多の困難を乗り越えながら魔女の赤ん坊を育てたり、
 今は魔女界の元凶となっている先々代女王を目覚めさせようとしている・・・」
「あ、わたしそのヒト達のことマリカさんから聞いたことある。」


388 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 37 投稿日:2004/12/18(土) 20:00

ヒルピーちゃんが前に会った魔女見習い
それはどうやら、以前マリカさんから聞いたツワモノの見習いさんらしい。

その時、相手がどれだけの魔法力を持っているか試す為
怯ませる目的で変身したのが、今のおんぷちゃんの姿で
この格好をしていれば、偶然また見習いさんに会えるかも知れないと
今回もこの姿になって人間界に来たそうだ。

「へぇー、そうなんだぁー
 わたし、もともとおんぷちゃんに似てるのかと思ってたよ・・・」

そーいえばここへ来た時、仮の姿云々言ってたっけ・・・

「でも、何故その事で悩んでるの?」
「いや・・・折角人間界へまたやって来れたのだから、
 またあの魔女見習いに会ってみたいと思っているのだが・・・」

だが?・・・ヒルピーの視線の先には、夕方近くで今は空いてきたお店・・・

「もしかして・・・お店が忙しかったから言い出せなかったんでしょ?」
「いや・・・そんな事はない」
「ごめんね・・・わたし、ついついヒルピーちゃんの事頼りにしちゃって
 明日でお休み最後なんだし、見習いさんに会っておいでよ!」
「あ・・・いや、やはりいいのだ。今の話は無かった事にしてくれ。」

「無かったことに出来ません!」
「うーむ・・・・・・」

・・・かよこ殿は優しいのだが・・・かなりの頑固者である
一度言い出すと、頑として引き下がらない・・・困ったものだ。


あやつが元気にしているかどうか、判るだけでもよいか・・・
かよこ殿の好意に甘えて、明日行ってみることにしよう。

・・・・・・

翌日・・・

週末は気温も落ち着き、めっきり秋らしくなったなぁ・・・と思ったのも束の間
今日は午前中から30度を越える真夏に逆戻り。

「なんというか・・・ずっと暑かったというイメージしか残らんなぁー
 ・・・まぁそんな事でも、今日が最後となると妙に感慨深いものがある。」

かよこはまだ出勤前。
マリカとリリはまた暫く会えないのでと、伊豆の魔女が経営している
温泉つきペンションへ昨夜から泊りがけで出掛けてしまった。

ヒルピーはひとりで、開店前の掃き掃除を始める。


389 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 37 投稿日:2004/12/18(土) 20:03

・・・ジリリリリン・・・ジリリリリン・・・

店の電話が鳴る。注文電話にしては時間が早いな・・・と思いつつ、受話器を取る。
「もしもし、喫茶マリカです。」
「・・・あー、もしもし ワシじゃワシじゃよ。解からんか?」
「ん、ワシ?・・・マリカ殿か?」
「そうそう、マリカじゃよ。お前、元気にしておったか?」

「・・・元気も何も、昨日別れたばかりだろうが?
 それにマリカ殿、今日は随分と野太い声だな、どうかしたのか?」
「い、いや 今日はチョット風邪気味でのぉ・・・
 そんな事より、実はさっき車で事故を起こしてしまってな」
「なに!?それは一大事であるな・・・怪我はないのか!」

「ああ、ワシは大丈夫だったんじゃが
 相手の車が運悪くヤクザのベンツでなぁ・・・今そやつらに捕まっておって
 示談金50万円持って来ないと開放しないと言うんじゃ・・・参ったよ。」
「ヤクザとは、悪の一味か何かなのか!?
 まぁそんな事はどうでも良い。今助けに向かうので、場所を教えろ!」
「それが・・・解からないんじゃよ
 ここに連れてこられてすぐ、目隠しをされてしまってのぉ・・・
 それに、下手な真似をしたら生かして帰さないと言っておるんじゃよ
 お前だけが頼りなんじゃ  お願いだ・・・ワシを助けておくれ!!」

魔女ガエルになっていても、魔力は使えるはず。
その力を封印出来る程の強力な術士に、マリカ殿は囚われてでもいるのであろうか!?
これはただ事ではない・・・

「わかった。50万円、私が用意すれば良いのだな。」
「ああ・・・ありがとよー 済まないねぇ・・・」
「して、その金をどうするのだ?」
「今日12時までに、マリンタワーの入り口まで持って来ておくれ・・・
 そこにこやつらの代理人が居るから、50万円を渡して欲しいんじゃ」

「昼にマリンタワー前だな。了解した。」
「ワシの命が掛かっておるんじゃ・・・くれぐれも頼むよ。」

そのままプツリと電話は切れてしまった。

「マリカ殿・・・そうだ、金を用意せねば」

と、3歩歩いたところで我に返った。
そんな大金、マリカ殿も居ないのに、どうやって用立てるのか?

店のレジには数千円と小銭のみ。私の所持金はリリ殿に貰った120円(「ジュース代よ」と
言われ貰ったが、人間界の自販機の使い方が解からなかったので使わなかった。)のみだ。

「そうだ、魔法で出せば・・・いや、人間界の通貨は馴染みが無いので
 イメージが沸かないし、もし相手が魔術者だとしたらすぐにバレてしまう・・・
 うーむ、どうしたものか・・・」


390 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 37 投稿日:2004/12/18(土) 20:06

10時を回り、かよこ殿がやってきた。
ガチャ・・・

「ヒルピーちゃん、おはよー・・・ど、どうしたの? そんな深刻な顔して・・・」
「かよこ殿、一大事である。金を貸しては貰えないだろうか?」
「うんいいよ。いくら?」
「50万円だ」
「ふーん、50万円かぁ・・・って、ナニィ!! そんな大金一体何に使うの!?」
「実は・・・かくかくしかじかで・・・」

「ヒルピーちゃん、その電話“オレオレ詐欺”だよっ!!
 自分の名前を言わず、さも孫や家族みたいに装い
 ありもしない事故の慰謝料やら示談金の名目で、お金を騙し取る手口なんだよ。」
「なんと!?」
「だいたい考えてもみなよ。
 魔女ガエル姿のマリカさんが車なんか運転するハズないでしょう?騙されてるんだよ!」
「・・・私としたことが、不覚を取ってしまった。
 人を思う気持ちを悪用するとは、何たる卑劣な行為・・・許せん、仕置きをしてくる!」

「ちょっと、やめなよヒルピーちゃん・・・・・って、もう居ないし」

・・・・・・

約束の時間の12時、マリンタワー前

辺りを警戒するような素振りをしながら、初老の男がやって来た。

「・・・まだ来ていないのか? やはり失敗したんじゃ・・・」
「おい、私はここに居るぞ」

少し離れた自販機の上で、腕組みをして男を睨みつけるヒルピー。

「かっ、・・・金は持って来たんだろうな?」
「・・・ああ、持ってきたとも、今くれてやる。・・・パチン」

 ドスン!!

いきなり男の周りが真っ暗ななってしまう。

「・・・お、お前何をしたんだ!」
「お主の望みどおり、かねを持ってきたのだ。
 もっとも、現金ではなく“鐘”だがなっ ハッハッハッハッ・・・
 これに懲りて、もう二度と人を騙そうなどと思うのではないぞ!」

「わ、判った。だから、ここから出してくれ!」
「ならぬ。少しそこで反省しておれ。」

そういい残し、鐘の中に閉じ込められた男を放って、その場を後にしようとするヒルピー
しかし、次の言葉でその歩みを止める。


「・・・ワシだって・・・被害者なんだよ!!」


391 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 38 投稿日:2004/12/18(土) 20:11

タワーの売店で、自身の所持金で2個買えるボリボリ君(ソーダ味)を買い
男に勧めながら話を聞く。

「・・・先週、ワシもオレオレ詐欺に引っ掛かってしまってなぁ
 郵便局で下ろしたての年金50万を騙し取られてしまったんじゃよ。
 警察に届け出ても犯人が捕まらない限り、金は戻ってこないし、
 日々の生活いっぱいいっぱいでやっておったワシに貯金など残っていないし・・・
 ・・・目には目を・・・騙されたなら、騙し返してやろうと思ったんじゃ。」
「それで、最初に電話を掛けたのが喫茶マリカだったという訳か」

「すまん、本当に申し訳ない・・・これから警察に行ってくるよ。」
「待て! 私は騙されておらぬから、その必要は無い・・・」

すまない、すまないと何度も言いながらヒルピーに土下座を続ける男を
もう良いから気にするなと、ベンチに座らせ・・・

「しかしお主、生活費が無くなってしまって、これからどうするのだ?」
「・・・・・・まぁ、どーにかするさ」

その表情から見て、当てがないのがすぐ判った。
・・・もしこのまま帰してしまったら、また同じようなことを繰り返すやも知れん。

「よし、わかった。その金 私がなんとかしよう!」
「そんなこと、お嬢さんに頼めないよ。・・・もういい いいんだよ・・・」
「遠慮は無用だ。夕方6時、もう一度ここへ来てくれ!」


夕方、それは私が人間界を離れるタイムリミットでもあった・・・

・・・・・・

夕方までに用立てるとは言ったものの
ヒルピー自身にその当ても無く・・・

「何か手っ取り早く稼ぐ方法は無いだろうか・・・うむ!?」

“時給5万以上、若い人大歓迎!!”
店の前に貼られたそのチラシを見て、目を輝かせる。

「すまぬ、ここで働かせては貰えぬか 今すぐに」
「あのねぇ・・・キミ、ここで何するか解かってるの?」
「掃除に炊事、洗濯・・・何でもやる。頼むから使ってくれ。」
「わかった。キミみたいなカワイイ子は大歓迎だ
 ・・・10年経ったらいらっしゃい。採用を約束しとくよ。」

・・・子供だからと馬鹿にしおって・・・うむむ!?


392 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 38 投稿日:2004/12/18(土) 20:13
野毛、場外馬券売り場・・・
馬のレースの1着と2着を予想し、ここで馬券なる物を購入する。
見事的中させれば何倍もの配当金が得られる・・・とリリ殿が言っておったな
ま、見習い4級試験レースの時にやるアレと同じような物だろう・・・

「そうだ、このレースを魔法で予想して配当金を得れば・・・
 ダメだ、賭け事予想は禁止魔法で魔女界では厳しく罰せられるし、
 それ以前に私には1円の元手もない・・・
 ダメダメであるな。 ハァ・・・」

街のあちこちを歩き回ったが、結局なんの当てもなく時は過ぎ・・・

・・・・・・

夕方、喫茶マリカ
伊豆から戻ったリリは、魔女界への帰り支度を終えてヒルピーの帰りを待っていた。

「もう、なにやってんのかしらあの子は・・・」

かよこは落ち着き無く、店の中を往ったり来たりしている。

「鬱陶しいわねぇ・・・ちょっとアンタ、なんか知ってんじゃないの?」
「い、いえわたしは何も・・・」

リリさんはわたしの目の前に飛んできて、睨みつける。

「うそコケ! 知ってるんでしょ、あのコの行き先」
「・・・・・・」

パタン・・・

店のドアが開き、ヒルピーがしょんぼりした顔で帰ってきた。

「ヒルピーちゃんどうしたの? 心配してたんだから・・・はっ」
「心配って何よ、え?・・・ったく最後まで反抗的な態度を取ってからに・・・
 まぁいいや、ヒルピー帰るわよ。」

「・・・・・・・・クスン・・・」

・・・・・ヒルピーちゃんが・・・泣いてる
気が強くて、感情を殆ど顔に出さず、何事にも動じないと思っていた彼女が・・・


「私は魔女に生まれた事を誇りに思っている。
 でも・・・私は・・・ここ人間界で
 たった一人の人間をも救うことが出来なかった。」

今日あった出来事をヒルピーちゃんは話してくれた。

「そんな事があったんだ・・・」
「・・・魔法は万能。魔法さえあれば何でもできるし、望みも叶うと思っていた
 でも、ここ人間界では魔法が如何に脆く、無力なものなのかを思い知らされた。」

わたしはヒルピーちゃんの頬をそっと拭い・・・

「うん・・・確かに、人間界で魔法は非力でしかないのかも知れない。
 でも、ヒルピーちゃんの人の為に何かをしようっていう・・・優しい気持ち
 それは、わたし達人間に負けていないと思うよ。
 ・・・だから、元気を出して ね?」
「かよこ殿・・・」

スッ・・・
その目の前に、長方形の封筒が差し出された。

「・・・これはなんだ? マリカ殿」
「この一月ちょっとの間、
 夏休みで忙しい店を手伝ってくれたじゃろ? これはそのバイト代じゃ
 それと・・・かよことワシから、少しばかりの餞別じゃ 受け取れ。」
「50万円もあるではないか、こんなに沢山・・・・・はっ!!」
「・・・あと30分待ったげるから、早く行ってきなさい。」

「みんな・・・すまない。」

・・・・・・

「これは私が夏休みの間働いた金だ。気にせず使え。」
「気持ちは嬉しいけど・・・この金は貰えねぇ
 汗水して働いたんなら尚更だ、有難く気持ちだけ受け取っておくよ。」
「・・・よし、ではこうしよう
 お主がこの金を返せるまで、貸すという事にしておこう。それなら良いであろう?」
「・・あ、いや・・・でも・・・?」

顔を上げたそこに、少女の姿は無く・・・いつの間にか男の手には
お金の入った封筒と、ボリボリ君の当たりバーが握らされていた。

「ありがとう、お嬢さん・・・」

・・・・・・

「帰っちゃったね・・・」
「よーやく喧しいヤツらが帰ってくれたわい。」
「でも 明日からちょっと、さびしくなっちゃうな・・・」

「かよ姉ちゃん、マリカさんただいまぁー」

夏休み中、田舎へ行っていたとおる君が真っ黒に日焼けして帰ってきた。

「おかえりー、とおる君田舎は楽しかった?」
「うん、えっとね・・・」
「あー・・・土産話の前に・・・
 とおる、実は借りていたあのパソコンの事なんじゃがな・・・」


・・・・・・

魔女界への帰路

結局、あの魔女見習いには会えなかったな・・・
でも、「お互い立派な魔女になった時、名乗り会おう」と約束をしたしな
私はまだ半人前魔女故・・・今はまだ会えなくて正解だったのかも知れん。

「なぁ、リリ殿 人間界へ戻る時、また私を誘っては貰えぬだろうか?」
「そうね・・・いいわよ、アンタ面白いし また誘ったげる。」


なんたって・・・人間界には、私の友達が2人も居るのだからな。


 しばしの別れだ。   かよこ殿 また会おう!!

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