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いつどこでどうしてどれみにハマったか報告するスレ

1 名前:☆彡名無しっち♪ 投稿日:2003/07/05(土) 04:15
漏れは友人に勧められ#2話を見てからハマりますた。

152 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 1 投稿日:2004/04/02(金) 00:06 ID:???
それは春休みの最終日・・・

「もしもし、どれみちゃん?
 あのね、明日学校、始業式だけでしょ・・・だから・・えっと・・・
 午後から一緒に遊園地・・・行かない?」
「うん、いいっスよ。
 MAHO堂もどうせ暇だろうし・・・お休み貰うよ。でも、マジョ・・・いや、
 店主のリカさんがちょっとウルサくってさ、貰えるかどうかはワカンナイけど・・・(汗)」
「ウフフ・・・じゃあ、もし休みを貰えたら行こ。ねっ」

何を着ていこうかな
そうだ、お昼は遊園地で食べよう。お弁当の献立考えなきゃ・・・
・・・楽しみだった。ウキウキしていた。
でも・・・

「ごめん、今朝から色々あってさ・・・行けなくなっちゃったの・・・ホントにゴメン。」
「いいのいいの。わたしが急に言い出したのがいけなかったんだから・・・気にしないで。」

お弁当を持って、オシャレな洋服を着て、駅で電車を待っているわたし・・・なにやってんだろ?

「・・・・いいもん。わたしひとりで遊んで、楽しんできちゃうんだから・・・・・・はぁ〜」

電車に乗って、横浜のコスモワールドへ
遊園地・・・というにはちょっと物足りない感じ。
でも、帆船日本丸があったり、海が近くに見えてステキな場所

観覧車に乗ってみる。海や高層ビル群、遠くに富士山も見えて、眺めが良い。

「・・・・どれみちゃんと一緒に・・・来たかったなぁ・・・
 やっぱりつまんないな・・・・帰ろ。」

遊園地を出て、とぼとぼと歩いてゆく。

・・・どれみちゃんはわたしのコト、どう思っているのかな・・・
友達?親友?・・・それとも、ただのクラスメイト?・・・

・・・どれみちゃんにとってのわたしって、どうなんだろう
一緒にいると楽しい?・・・それとも・・迷惑・・・?・・・・

「・・・あ〜、何考えてるのよ、わたしったら・・・・??」
「・・・・・ぶない・・・危ないよ!!」

声にハッとなって気付いた。
わたしは赤信号の横断歩道を真ん中まで歩いてきてしまっていた。

「あ、あ、ああ・・どうしよ・・!!!」

・・・バイクだろうか?
視界に入ったそれは、あっという間にわたしに飛び込んできた。

瞬間、空・・・まわる景色・・・夕焼けがきれい・・・・
・・・わたし、死んじゃうのかな・・・・
・・・最後に・・・・どれみちゃんに・・・・会いたかったな・・・・

・・・・・???

でも、わたしの目には、いつまでも夕焼けが見えていた。
空中に・・・浮いてる??

辺りを見回すと、傍でひっくり返っているバイクと運転者。
そして・・・近くの木の陰で、私に向かって手を差し伸べている女の人の姿・・・

なにか・・・まるで・・・術を使っているように・・・

わたしは助かった。接触した右腕と腰が少し痛いものの、無事だったのだ。
奇跡が起こった・・・んじゃない。
これは・・・・

「・・・これは超能力?それとも・・・魔法?」

そう言葉にした瞬間、木陰の女の人が煙に包まれて・・・消えた。


・・・・・・・

その後、念のため近くの救急病院で診察を受け、警察の人に事情を説明する。
そして、連絡して来てもらったお母さんに付き添われて、帰路につこうとした。
でも・・・何か・・・

何かが、わたしの心に呼びかけているような気がしてならなかった。
・・・もう一度、あの場所に戻らなければいけないような・・・

辺りはすっかり夜になっていた。
わたしが跳ねられた横断歩道には、チョークで○や×が書いてあるのが判る。
もしかしたら、ここで死んでいたかも知れないと思うと、体が震えてきた。

そして、傍に立つ道路樹。
木の上を見てみるが、暗くてよく解からない。
でも、人が居るようには思えなかった。

「・・・何処へ行ってしまったんだろう?あの人」
「かよちゃん、あの人って?」
「わたしを助けてくれた人。ここに立っていたの。」
「えっ?ここに??・・・道路からこんなに離れているのに?」
「う・・・ん・・・」

説明しようとして、やめた。
わたしが頭でも打ったと思われては厄介な事になる。
それほど、突飛な事なのだから・・・

「・・・ゲコ。」

? ・・・カエル??
足下を見ると、一匹のカエルがいた。

「ゲコゲコゲコ。」

わたしの顔を見て、何か言いたげな表情で一生懸命鳴いている。

「ゲコ・・・アシタマタ、ココニキテ・・・カナラズ。」

??!!

153 名前:12 投稿日:2004/04/02(金) 00:08 ID:???
つづく   全51話予定(信)w

出番のほとんどなかった、6年生のかよちゃん。
実はこんなコトしてました・・・的駄文、初の続きものになりそうです。
てか、あのお方の「まねっこ」なんスけどネ

154 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 2 投稿日:2004/04/03(土) 06:56 ID:???
翌日放課後

「あ、あのね、どれみちゃん・・・わたし昨日ね・・・」
「ごめん、ちょ・・ちょっと今忙しくってさ・・・後でまた・・・」
「いいよいいよ・・・じゃ、また明日ね。」

親戚(?)の巻機山さんが転校してきた。
どれみちゃんはその子の世話で忙しい・・・らしい。
ホントは一緒に行って欲しかったんだけどな・・・

昨日と同じように電車に乗って横浜へ向かう。

・・・あのカエルが・・・わたしを助けてくれた女の人? まさかね・・・

交差点傍の木の植え込みを覗く。が、カエルはいない。
辺りを見回してみても見当たらない・・・まさか車に轢かれちゃったんじゃあ・・・

「・・・おい、このカエル、なんかイモムシみたいだな。」
「ほんとブッサイクだな、アハハハ」

カエル?・・・わたしの後ろの方から男の子達の声が聞こえてくる。

「こいつさ、車に轢かせてみようぜ。ペシャンコになるぞ。」
「お、それ面白いかも。」
「ダメーーーーー!!」

後先考えず、その男の子達からカエルを奪い去る。

「なんだよテメー」
「ふざけんじゃねえよ・・・それ、俺らのオモチャなの。返しな」
「な・・なにバカな事言ってるのよ!!、生き物をオモチャだなんて・・
 アンタ達こそ、ふざけないで!!」

血の気が引いてゆく 怖い・・・
でも、つぶれそうな声を精一杯張りあげて、怒鳴り、相手を睨みつけた。

わたし・・・刃向かってる。いじめっ子に立ち向かってる!スゴイ!!

「いいよ・・ンなモンくれてやるよ・・・アホかコイツ。」
「バッカじゃねえの?アハハ」

男の子達が居なくなるまで、ずっと睨み続けて
見えなくなった途端、その場にへたり込んでしまった。

「・・・あ、アレ?・・・こしぬけちゃったぁ〜・・・ははは」
「ありがとう、お嬢ちゃん・・・これで”おあいこ”って事かね。」
「えっ、あ、あ、あっ、あの、なんで、あの、えっと・・・」
「フフフ・・・まぁここじゃ何だし、あたしの家に連れて行ってもらいましょうかね。」

155 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 2 投稿日:2004/04/03(土) 06:57 ID:???
カエル・・・いや、彼女の家は元町からすこし離れた高台にあった。

「ここじゃ。」
「”純喫茶 まきはたやま りか ”ですか?」
「違う。マキハタヤ マリカ じゃ。」

古い洋風の建物のだが、手入れが行き届いていて
そして、何故だろう・・・どことなく惹かれるような、不思議な気持ちになる。

お店の中に入って、客用の椅子に腰掛ける。
彼女はテーブルの上・・・わたしの目線に座る。

「んじゃ自己紹介、ワシはマジョマリカ、魔女じゃ・・・いや、じゃった。」
「やっぱり魔女さんだったんですねぇー・・・すごい・・・ホントに居たんだぁー」
「フフ・・・面白いヤツじゃ 魔女だというのを疑いもしないなんて・・・」
「でも”だった”って?・・・もう魔女じゃないんですか?」
「・・・・・・おまえ、あの事故の時、ワシの事”魔女”って言ったじゃろう?
 それでこの”魔女ガエル”になっちまったんだよ。
 魔女は人間に正体がばれてしまうと、カエルになってしまうという掟があるんじゃ・・・」
「そ、それじゃあ・・・わたしのせいで・・・」
「おいおい泣くな。おまえは悪くない。さっきワシを助けてくれたじゃろう?」
「クスン・・・それだって、わたしが事故に遭わなければ・・・
「ハイハイそこまで!もうそれは言いっこなし!!」

そこまで言うと、彼女はパチンと指を鳴らした。
途端、店の中が・・・まるで生きているように動き出した。

コーヒー豆を挽き、サイフォンをたてて
カップを2つ並べて、そこへ出来たてのコーヒーを注ぐ・・・

「・・・おいしい。」
「フフフ あたりまえじゃ。伊達に100年喫茶店やっとらんわい。」

・・・美味しいだけじゃない。
なんだろう・・・心が温まるような・・・言葉では上手く言えないけれど
とっても良い気分になれる・・・魔法の珈琲・・・なのかな?

「コホン・・・で、おまえに相談なんじゃが・・・そのー・・・」
「何ですか?わたしに出来る事なら何でもします!!」
「うん・・・じゃ、魔女の見習いになってくれ。」
「・・・へ?・・・・・・・・・エーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!
 だめです。無理です。わたしには絶対ムリ!」
「ダメかぁー・・・そうか・・・」
「・・あ、そうだ! わたしのお友達に魔女に憧れているコが居るんです。
 そのコに魔女見習いになってもらうって言うのは・・・」
「それはダメなんじゃ。
 実はな、このカエルの姿を元に戻すってのがじゃな、正体を見破った人間に見習いになって
 もらって、魔女見習い一級試験に合格し、魔女になってもらう。
 そして、元の魔女の姿に戻る魔法を掛けてもらう。それしか方法がないんじゃよ。」
「そう・・・なんですか・・・・・・」

わたしには見習い試験に合格して、魔女になる自信が全く無い。
でも、ここで断ってしまったら・・・マリカさんはカエルのまま元に戻れない・・・
それに・・・
もし、魔法を手に入れることができたら、どれみちゃんにお礼ができるかも知れない。
・・・わたしを救ってくれた恩人への・・・とっておきの何かをプレゼント出来るかも・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・よし、決めた。

「やります、わたし。見習い。
 美空小学校6年1組 長門かよこ 魔女見習いになります!!」

156 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 3 投稿日:2004/04/04(日) 09:24 ID:???
翌日朝

「かよちゃーん、おはよー」
「・・・あ、どれみちゃん おはよ〜・・・・」
「?・・・ナニ?かよちゃん寝不足なの??」
「う、うん・・・ちょっとね。エヘヘ・・・」

・・・「おまえは考え方が丁寧すぎる」・・・かぁ・・・
ケーキを出そうとすれば、小麦粉やクリームと・・・作る材料が出てくるわ、
人形を出そうとすれば、マネキンだし・・・まぁ間違ってはいないけれど・・・

でも、どうすれば魔法を上手く使えるようになるんだろう・・・

「魔法ってのは教えて覚えるもんじゃない。
 まぁ、気張らずに、ゆっくりと魔法に慣れてゆけば、時機に上手くいくようになるじゃろうて。」

家に帰って練習してはみたものの、上手くは行かず
たちまち部屋の中は、訳のわからないものだらけ・・・そして魔法玉はからっぽに・・・

確かマリカさんが、この美空に、魔女界の女王様からも一目置かれている
凄腕の見習いが居るって言っていたっけ・・・

「できれば教えてもらいたいなぁ・・・その凄腕さんに・・・」
「スゴウデさん?? 誰なの?ソレ?」
「・・あ、アハハ・・なんでもないよ、どれみちゃん。」
「うーん?・・・・かよちゃん、あーやしいぞぉー 何かアタシに隠し事してるんじゃないのぉ??」
「ううん、何もない。ハハ。」

危ない危ない・・・バレちゃったら・・・

・・・「見習いのオマエもカエルになってしまうぞ。
 じゃから、ホーキで空を飛んだり、魔法を使うときは十分注意すること。」・・・だからなぁ

・・・これだけはナイショなの  ゴメンね、どれみちゃん・・・

157 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 3 投稿日:2004/04/04(日) 09:26 ID:???
放課後

マリカさんのお店をお手伝いする為、横浜へ向かう。電車で。

「何故ホーキを使わんのじゃ? 時間もお金も掛かって、かよこが大変じゃろう?」
「・・・だって・・・上手く飛べないんだもん・・・」

・・・昨日、ホーキを試した時、数センチ浮き上がっただけでクルクル回転
目を回してしまっていた・・・

「あ・・・ああ、そうじゃったナ・・・悪かった。それじゃあ今日はホーキの特訓じゃな。」
「えーっ、いいですよ。わたし電車で来ますから。」
「そんな事言って逃げようとしてもダメじゃ。
 ホーキに乗れない魔女なんて聞いた事が無いからの。さぁ特訓特訓!」

見習い服に着替え、喫茶店の裏庭から空へ飛び立つ。

「うわっ、うわわ・・・こ、こ、こわ・・うわぁ!」
「ホーキに頼ってしがみついていても、上手くは飛べん。
 自分で空を飛ぶ気持ちになれ。そうすればホーキも術者の気持ちに反応してくれる。」
「そんな事いったって・・・無理です。わたしには」
「・・・空は気持ちが良いぞ。心地よい日差しに、風が踊っておる・・・行ってみたいとは思わんか?」
「・・・・・・・」

・・・自分で空を飛ぶ気持ち・・・かぁ・・・・・よぅし

「・・・と、飛んだ、飛べた!!マリカさん、わたし飛べたよ!アハハハ」
「よしよし、その調子。それじゃぁ、ちょっと空中散歩にでも出掛けてみるかの。」
「はい!」

グーンと上昇して、雲がすぐ傍まで・・・気持ちいい。
街がまるでオモチャのように小さく見える。
わたし・・・ホントに空を飛んでいるんだ・・・夢みたい・・・

「・・・かよこ・・・魔女見習いになった事、後悔してはおらんか?」
「ううん、そんな事全然ないです。むしろ・・・嬉しかった。
 今はまだ、魔法も上手く使えないけれど・・・きっと使いこなして見せます。
 ・・・必ずマリカさんを元の姿に戻してみせます。」

こんなに優しい心を持った少女に・・・運命を背負わせてしまった・・・
・・・ワシは酷い奴じゃ・・・

「さてと・・・そろそろワシは店に戻るとするかの。もう遅いから、かよこはこのまま家へ帰りなさい。」
「はい。それじゃ、マリカさん。また明日来ます。」

そのままホーキを美空市方面に向ける。20分程でその町並みが見えてくる。

「空を飛ぶと、結構近いもんなんだなぁ。・・・あれ?」

下をふと見ると、八割がた散ってしまった桜の木の下
すがる様な目で、木を見つめているお婆さんの姿が・・・
そして、その目線がわたしに・・・まずい!!!!

「あ!!」

・・・どっ、どうしよう・・・見つかっちゃったよー

「神様、お願いします。もう一度・・・この木を・・・桜の木を満開にさせて下さいませ。」
「へ?」

158 名前:71 投稿日:2004/04/04(日) 22:42 ID:???
長編お疲れ様でつ。
結末が楽しみでふ。

159 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 4 投稿日:2004/04/06(火) 01:28 ID:???
「あ、えっと・・・ごめんなさい・・わたし神様じゃないんです、お婆さん。」
「じゃあ、魔法使いさんですかね?」

!!!・・・慌てて自分の体を見回す。
緑色!?・・・あ、見習い服を着ているんだった・・・それに目線も変わっていない。
・・・ホッ・・・カエルにはなってない。良かった・・・

「・・ま、まぁ・・・そんなトコです。・・・エヘヘ」
「それじゃあ尚更、この木を魔法でもう一度満開に戻して下さい。お願いです。」
「また桜を満開に戻すって・・・何か訳があるんですか?」
「おじいさんと花見をしたいんですよ・・・
 この公園へは、私とおじいさんが結婚してから、ずーっと・・・毎年欠かさず花見に来ていた・・・
 でも今年は、おじいさんが入院してしまって二人で来れなかったんですよ。」
「そうだったんですか・・・」
「ここの桜は、わたしたちにとって特別な存在なんです。
 ・・・戦後間もない頃のこの公園は、空襲で森や木々が焼けてしまって、荒地になっていた。
 でも、憩いの場である公園に、桜の木の一つでもなければ・・・と、その当時、公園事務所の所長
 をしていた、おじいさんが苗木を植えたのがきっかけで、段々桜の木が増えていったんですよ。」

昔を懐かしむかのように語る、お婆さんの瞳には何が見えているんだろう・・・

「それで、おじいさんはもう元気になったんですか?」
「ええ、今週末に退院出来そうだって」
「それで、散ってしまった桜を満開に戻して欲しいと・・・」
「はい、お願いします。」

困ったなぁ・・・わたしまだ、マトモに魔法が使えていない・・・でも・・・
こんな時こそ、魔法を役立てなきゃいけないような気がする・・・・・ヨシ

「わかりました。今週末・・・土曜日にまた満開に戻してみせます!」
「・・・ありがとう、ありがとう・・・魔法使いさん。」

・・・・・・・・

翌日午後、喫茶マリカ

とは言ったものの、どうしたらいいんだろう・・・
昨夜も魔法の練習をしてはみたものの、結果は×××

「マリカさん、魔法玉ちょーだい?」
「うむ?・・・もう使ってしまったのかい。・・・かよこ、おまえ・・何か焦っておらんか?」

核心を衝かれ、ドキッとしたトコロを見逃されるはずも無く・・・

「昨日何があったんじゃ?」

160 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 4 投稿日:2004/04/06(火) 01:29 ID:???
・・・昨日飛んでいる所を見つかったこと、魔法使いに間違われ桜を満開に戻すように頼まれたこと
彼女は眠っているように目を閉じて聞いていたが・・・

「かよこ、おまえが叶えようとしている願いは、確かに良いことだと思う。
 でも、そんな願い、誰しも持つものなんじゃないのか?
 この世の中には、もっと切実な願いを持つ者もいる。その全ての人々の願いをおまえは叶える事が出来るか?
 ・・・いいかい、世の中は何事にも平等でなければならない。それは人間でも、魔女でも一緒なんだよ。」
「・・・・・・・でも・・・」
「それに、ワシやかよこの持つ能力で、もし、誰かを幸せにする事が出来たとしても、
 果たしてそれは本当の幸せに繋がるんだろうか?
 それに、その魔法を使ったことで何かが変わってしまったら・・・
 自然の流れを変えてしまった”その後”にまで、おまえは責任を持てるか?」
「・・・・・・・・・」
「魔女が必要以上に、人間に介入しないのは、そういう意味もあるんだよ。かよこ。」

・・・・・・・・・

帰り道、お婆さんに教えてもらった病院へ向かう。

「どうしよう・・・魔法はダメになっちゃったなんて・・・言えないよぉ〜」

おじいさんの病室の前まで来て、ウロウロ・・・
中々入れないでいると、何か病室の中から話し声が聞こえてきた。
どうやらお婆さんはいないらしい。おじいさんと・・・中年の男の人・・先生かな?

「・・・本当に奥さんには言わなくて、宜しいんですか?」
「・・・ええ、言ってしまえば、きっとあいつは悲しむ。
 せめて・・・私の生きている短い間だけでも、あいつを幸せで居させたいんです。」
「しかし・・・本人には告知しない・・という事は今まで何度か経験がありましたが・・・
 貴方のように自分で病気・・癌の事を知って、家族に知られないよう”先手”を打つなんて・・・」
「・・・私は判るんですよ・・・木や草花達が教えてくれるんです。」
「でも、ほんとうに注意して下さいよ。今度の外泊許可だって本当は無理だったんですから」

「・・・・・・えっ?・・・・・・・」

言葉が聞こえ無くなってゆく。視界から色が消えてゆく。
次にわたしが聞いたのは、お婆さんのわたしを呼ぶ声だった。

「・・さん・・魔法使いさん?」
「・・あ・・・お婆さん」
「今日は普通の格好なんだね・・・・?・・どうしたんだい?・・泣いているのかい?」
「あ、ううん・・違うの。・・・ごめんなさい、また来ます。」
「あっ、ちょっと待・・・

飛んだ。夕焼け空を・・・おもいっきり
それで何も解決できないことは判っているのに・・・

・・・そして・・・泣いた。

161 名前:12 投稿日:2004/04/06(火) 01:36 ID:???
ヨカタ・・・ミテクレテテ・・・ 71サン、アナタハカミサマデス・・・

実はちょっとはしゃぎ過ぎて、ウザがられているのかな?なんて思っていたもので・・・
宜しければお付き合いお願いします。

162 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/04/06(火) 16:01 ID:???
>>161
71さんではありませんが、うざいなんて思ってませんよ。
自由に、思ったとおりにやっちゃってください。
応援してます。

163 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 5 投稿日:2004/04/06(火) 19:50 ID:???
翌日、わたしは学校を休んでしまった。

・・・「魔女にとって、使ってはいけない・・・禁呪がある。
 人の心を変えてしまうこと、怪我や病気を治してしまうこと、それに、死人を生き返らせること。
 これは何事があっても使ってはならない・・・禁断魔法なんじゃ。
 もしも、この魔法を使ってしまったら、術者に何倍にもなって返ってくる。
 その魔法によっては、100年の眠りに就いてしまうことや・・・命を落とすこともありうる。
 ・・・いいかい、かよこ 禁断魔法は決して使ってはならんぞ。」・・・

マリカさんから教わった言葉を思い出す。
もし、わたしがおじいさんの病気を魔法で治してしまったら・・・わたしは・・・
この事をマリカさんに喋ったら、絶対魔法は使わせてくれないだろう。

・・・でも、わたしには病気を治してしまう能力がある。
おじいさんを・・・お婆さんを助けることができるのに・・・

・・・なのに・・・なにもできないなんて・・・こんなのってないよぅ・・・・・・・

どうしよう・・・わたし、どうしたらいいの?・・・おしえて・・・・・どれみちゃん・・・

気分が悪いと、朝から何も食べずに部屋のベットの中
ふと、階段を上がってくる足音が聞こえてくる。

コンコン コンコン
・・・お母さんごめん。今はわたしに構わないで・・・

「かよちゃん、起きてる? お友達よ。」

「・・いやぁ・・・かよちゃんが病気みたいだ って関先生に聞いて・・さ?
 どうしたの? かよちゃ・・・

!!・・・そこには・・・イチバン会いたかった人が立っていた。

「ウワーーーン・・・どれみちゃん・・・わたし・・わたし・・・」

・・・・・・・

「そっか、辛かったんだね、かよちゃん・・・
 いいんだよ。あたしには我慢なんてしなくて・・・おもいっきり泣きな。」

彼女はわたしの気持ちを察するかのように、何も聞かず、ただ優しく抱いてくれた。
わたしはただ・・・彼女の胸に抱かれて、泣き続けた。

・・・・・・・

「・・本当に辛い事があったら、あたしに相談して。
 かよちゃんの為に、絶対力になるからさ。ねっ。」
「・・・ウン、ありがとう」

どれみちゃんが帰ってゆく・・・その姿が見えなくなるまで、部屋の窓からいつまでも見続けていた。


そう・・・・・・・わたしには、黙って見過ごす事なんでできない。

164 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 5 投稿日:2004/04/06(火) 19:51 ID:???
夜、病院

見習い服姿で、おじいさんの病室へ入ってゆく。 震えがとまらない・・・
まだ一度も成功した事のない魔法。でも、失敗は許されない。

おじいさんのベッドの前で、呪文を唱えようとする。
が・・・その瞬間、脳裏にどれみちゃんやお母さん、お父さん、マリカさんの姿が・・・

「ダメよダメダメ!・・・もう決めたんだから。 よし・・・」

深く深呼吸をして、呪文を唱える。

「トゥルリ・・・」
「・・・誰じゃ?」
「!!」
「あんたは・・・もしや、婆さんの言ってた魔法使いさんかい?」

・・・・・・・

「どうしたんじゃ? 確か、桜の木の約束は明日じゃ・・・」
「違うんです。わたし、おじいさんの病気・・・治しに来たんです。」
「!!・・・・・・それは・・・イカンよ、お嬢さん。」

電気の消えた暗い病室。カーテンの隙間から差し込む僅かな月の光に照らされて・・・
二人は話を続ける。

「どうして? わたしはおじいさんを治す魔力を持っているのよ。
 わたしが術を掛ければ・・・これから先も、ずっとお婆さんと元気に暮らしていけるのに、
 ・・・・お婆さんを悲しませずに済むのに!!・・・・」
「・・・ワシだって、この病気を治してもらいたいさ。
 元気になって、婆さんを喜ばせてやりたい・・・もっと、もっと・・・長く生き続けたい。」
「・・・だったら何故?」

おじいさんは微笑みながら、真直ぐな瞳で語りかける。

「人にはな”運命”ってものがあるんじゃ。
 この世に生まれ、そして育って、やがて息絶えるまで・・・
 こればっかりは、人の手によって変えたりしちゃ神様に怒られちまう気がするんじゃ。」
「・・・・・・・・」
「今はもう吹っ切れた。だから、ワシの残された時間で
 ・・・婆さんに出来るだけ良い・・楽しい思い出を作ってやりたいんじゃ。」
「・・・ウッ・・・ヒック・・」

「お嬢さんは優しい人だ・・・婆さんが神様と間違えたのも解かる気がする。
 ありがとう、小さな魔法使いさん。」

もう見飽きるほど見た、今日何度目かの滲んだ景色を・・・月の光が優しく照らしていた・・・

・・・・・・・

躊躇いなど無い。マリカさんに怒られても良かった。
これは「見習い魔女かよこ」に出来る、おじいさんとお婆さんへの、精一杯のプレゼント。

不思議・・・あれだけ不安で、成功したことの無い魔法が、
いまなら絶対成功する自信があった。

わたしと、おじいさん、お婆さんの想いよ、届いて!!


「トゥルリラ トゥーリラ ファソラシ ペーペルト! 公園の桜の木よ、満開になって!!」



165 名前:12 投稿日:2004/04/06(火) 20:05 ID:???
>>162 さん
応援ありがとうです。
もう、レスが付いてるだけで泣けるほど嬉しいデスよー

166 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 6 投稿日:2004/04/07(水) 19:21 ID:???
「これと、これ・・これも・・それと、これもじゃ。」
「エーッ・・・もう持てないですよぉー・・・」

ダメと言われた魔法を使った罰として、お買い物の荷物持ち。
ここぞとばかり、大量の買い物をするマリカさん・・・

「お・・重い・・・あのぉー、魔法使っちゃダメですか?」
「ダメじゃい。使ったら罰にはならんじゃろうが」
「ウエェーン・・・」

店に戻ると、ひとりのお客さんがドアの前で待っていた。
男の子・・・・ん?・・・確か、何処かで・・・

「あーっ!アンタこの間の」
「うっ、な、なんだよ・・・あー、おまえ確か可笑しなカエルの女」

それは、マリカさんを車に轢かせようと言っていた”あの少年”だった。

「で、何しに来た訳?あのカエルなら絶対に渡さないわよ。」
「ちがう。オレは客だ。」
「ハァ?・・・アンタなんかに飲ませるものなんか・・・イテテ」

「ヒソヒソ(何するのよぉマリカさん、耳なんか引っ張って痛いじゃないのぉ)」
「ヒソヒソ(誰であろうと、お客様じゃ。入れてやりなさい。)」
「エーッ・・・」

「なにこそこそ独り言言ってるんだよ。早く店に入れろよ!」
「はぁーい・・・・・・どーうぞ。」

言われたものの、納得いかない無愛想な顔で店を開ける。

「なんか辛気臭ぇ店だなぁ・・・」
「じゃあ帰れば。」
「・・・いいよ・・・コーヒーくれ。」
「ハーイ、かしこまりましたーぁ。」

無愛想な顔のまま、コーヒー豆を挽く。
・・・ん?・・!・・フフ・・いいこと思いついちゃった。

「おまたせいたしましたぁー。ご注文のコーヒーでぇーす。」
「あ、ああ(なんだか妙に愛想良くなったな・・・)」

そんな飄々とした顔してられるのも今のうちよ。フフフフフ・・・

「・・・・ブッ、うエ・・・なんだこれ!!」
「どう?かよこ特製カラシ入りコーヒーのお味は」
「辛、辛ェー・・みず、水くれ水!!」
「ホラ・・・水ならここにあるわよ。ソレ」

バシャーッ!!・・・バケツの水を勢いよく頭からぶっ掛ける。

「フフッ・・・これに懲りたらもう二度とここには来ないことね。」
「ちっくしょー・・・覚えてろよ、オマエ。」

ずぶ濡れのまま、辛さでべろを出したまま・・・少年は店を出ていった。

167 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 6 投稿日:2004/04/07(水) 19:22 ID:???
「バッカモーン!!」
「ひぇ・・・な、何? マリカさん」
「何じゃない! なんであの少年を追い出したんじゃ!!」

本気で怒るマリカさんを、わたしは初めて見た・・・

「え、だって・・・あいつ・・・」
「かよこ・・・忘れたか?
 この店は、悩みを持つ者を引きつけるチカラがあると言ったじゃろ。
 ・・・あやつ、きっと何か悩みを抱え込んでおるはずじゃ。」
「・・・どうしよう、わたし・・・
 マリカさんごめんなさい、ちょっと出掛けて来ます。」

変身して、ホーキで追いかける。
店を出て、山の頂にある公園に、あの少年は居た。水をガバガバ飲んでる・・・(汗)

「あー・・酷い目にあったぜ・・・あの女・・・」

そう呟きながら、公園の出口へと向かう。と・・・

「アンアン・・・アンアン」

少年に子犬がまとわり付いてくる。いけない、何かされちゃう!・・・でも

「おっ・・・ヨシヨシ。おまえ一人か?」
「アン!」
「そっかぁ・・・エライなぁ・・・それに比べりゃ、オレは・・・オマエと違って卑怯者だ。
 言われるままに・・・いろんなヒドイ事をしてきて・・・
 でも、そうしなきゃオレ・・・また一人になっちまうんだ。」

・・・また一人になるって・・・どういう・・・ことなの?・・・

「おい、たつやぁー あのカエル女、見つけたってホントか?」
「まさお・・・ああ、見つけたぜ、この近くの喫茶店にいやがった。
 あいつ、オレにからし入りのコーヒーなんか飲ませやがってヨォ・・・マジむかつくぜ。」
「ハハハ・・・バッカだなぁ、たつや。なんで仕返ししねえんだよ。」
「いいよもう・・・あいつは・・・」
「良かねぇだろ?・・・おっ、オレ良い事思いついちゃった。・・・おい耳貸せ。」

何か二人でヒソヒソと話している。が、突然

「えっ、火を付ける!?」
「おい声がでかいぞ・・・そうだよ・・・今夜その喫茶店に」

フッ・・・バカな奴らね。”あの女”がここで聞いているとも知らずに。
でも・・・


その事とは何か違う・・・なんだろう・・・胸騒ぎがする・・・

168 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 7 投稿日:2004/04/09(金) 00:37 ID:???


気乗りしない思いで、喫茶店の前にあの少年 たつやはやって来た。
そこには既に、もうひとりの少年 まさおの姿が

「・・・遅えぞ、たつや」
「あぁ・・・悪ぃ」

二人ともそのまま黙りこくってしまう・・・暫しの沈黙の後、まさおは・・・

「・・・・なぁ・・・オレから言い出しといて、何だけどさ・・・」
「やっぱりやめようぜ、こんな事。・・・だろ?」

・・・やっぱりね。二人ともそんな気は無かったのに・・・
隣の建物の屋根で見張っていたわたしは、ちょっとホッとしていた。・・・が

「おまいら、ここまで来てやめるなんて言うなよなぁ。」
「?・・・誰だ!?・・・って、うわ!!」

たつやとまさおの前に男が現れ、いきなり、まさおの胸倉を掴み、殴り倒してしまう。

「まさお!!・・・てっめぇー、いきなり何するんだ・・・!!」

男につっ掛かっていこうとした、たつやの目の前に、不気味に光る物・・・ナイフを持っている!!

「大声出すんじゃぁねぇよ。店の人間に気付かれんだろうが」
「な、なんだよ・・・あんた・・・オレ達をどうする気だ」

男は不気味に笑い、煙草に火を点ける。

「・・・最近さ、この辺りでで放火事件が多発してんだろ?・・・あれ・・犯人オレな訳。」
「・・・なんだって!!」
「そんでさ、さっきおまいら公園で「このサテンに火ぃつける」って言ってたっしょ?
 それでオレ閃いちゃった訳。・・・おまえらに連続放火犯の罪をなすり付ける事をさ。」
「ばっ、バッカじゃねえのあんた。そんなのオレが否定して、あんたが犯人だって警察に言えば・・・」
「それがバカじゃないんだよねぇー。オレ、これでも堅い職業やっててさ・・・
 そんな”大人”の言う事と、近所でも評判の”悪戯ぼうや”の言う事。
 おりこうな警察はどっちを信じるだろうね。え? ヒャッヒャッヒャッ」
「・・・クッソオォ・・」

・・・どうしよう・・・あの男、正気じゃない・・・ このままじゃ・・・このままじゃ!!

「ま、かるく焼いたらオレが119番しとくからさ、
 ちゃんと「僕がやりました。」って言うんだぞ。ぼうや? ヒャッヒャッ」

そう言うと、男は持ってきたポリタンクの蓋を開けて液体を撒き散らす。

・・・・そうはさせないんだから・・・よぉーし
屋根の上から、聞こえないような小声で呪文を唱え、ポロンを振る・・・

「トゥルリラ トゥーリラ ファソラシ ペーペルト!
 ポリタンクの液体よ、水になれ!! それと・・・」

男は店の前にまんべんなく液体を撒く。水とも知らずに・・・
そして、ライターで火を点けようとする・・・が、当然点かない。

「んあ?・・・ちっ・・・なんだよ・・・ったく、点け!点け!!」
「・・・無駄です。火は点きませんよ。」
「あぁ?・・・なーんだオメー?」

苛立ち、焦り・・・男の表情は狂気に満ちている・・・ダメ、怯んじゃだめよ・・・

「こ・・この店の店員です。あなたこそ何をしているんですか?」
「ったく、ジャマなのが来やがってよぉ・・・!?」

わたしにナイフを振りかざそうとした手が止まる。
男の目は、わたしが手にしている物を凝視していた。

「これ、何だか解かりますか?
 今までの、この子達との会話、全部これに録っているんですよ。」

魔法で出したテープレコーダーを見せつけながら、さらに大きな声で・・・

「論より証拠って言うじゃないですか。
 おりこうな”大人”が、これを聞いたらどうなるんでしょう・・ね・・?!」

ドカッ!! ・・・い、痛い・・・ウッ、く苦し・・・い・・・
男はいきなりわたしを壁に叩き付け、首を絞めてきた。

「渡せ、渡せ、渡せ、渡せ、渡せ、渡せ、渡せよ!渡せ、おまえ!!」

苦しい・・・わたし、殺されちゃうの?・・・いやだよ、そんなの!!

「・・助・・・けて・・・助けて誰か!!」

頭がどんどん真っ白になって・・・景色が・・見えな・・く・・・?・・・
誰か・・・わたしの前で・・・争っている?・・・・

そのままわたしは気を失ってしまった。

169 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 7 投稿日:2004/04/09(金) 00:38 ID:???
・・・・・・・・

気がついたら、マリカさんが傍に居た。

・・・怖かった・・・

彼女の顔を見て、涙がとめどなくでてきた。
彼女はわたしを猛烈に怒って、そして優しく頬を撫でてくれた。

マリカさんが上手く警察を呼んで、放火犯は逮捕されたそうだ。
驚いたことに、犯人は学校の先生だった・・・堅い職業ねぇ・・・

「マリカさん、ありがとう、わたしを助けてくれて」
「・・・礼を言うなら、ワシじゃなく、アイツじゃ。」

と、隣のベッドを指差す。そこには、傷だらけの、あの少年・・・たつやが居た。

「かよこに男が襲い掛かった時に、この少年が男にしがみ付いて離れなかった。
 こやつが居なければ、おまえはどうなっていたか判らんぞ。」
「こいつが・・・・・・・・・・・・・ありがとう、たつや」

・・・・・・・・

数日後、喫茶マリカ

今日もお客さんは誰も来ない・・・暇だ。
気持ちよくなって、うたた寝をしていると・・・鼻に、なにか触る・・・?

「は・・はっ・・はっ・・はっくしゅん!」

紙縒りを作って、鼻をくすぐっている・・・たつやだ。

「ヘヘヘッ・・・なーに寝てんだよ!オマエ。泥棒に入られちまうぞ!」
「たつや・・・くん、怪我治ったんだ。」
「あ・・ああ・・・まぁあんなモン、蚊にさされたようなもんだからな。ヘへ」
「・・・・あ・・ありがと・・・」
「あ?・・・なに?聞こえないぞ!」
「・・・いいよ、もう」
「なんだソレ?・・・はっきりしねーオンナだなぁ・・・まぁいいや。コーヒーくれ。」
「はぁーい」

わたしのことを助けてくれた。やっぱりコイツ・・・ホントに悪いヤツじゃなかった。

・・・・人は皆、心に優しさを持っておる。
でも、それを素直に表現できない・・不器用なヤツもおるんじゃよ・・・

あの時言っていたマリカさんの言葉を思い出し、プッとふいてしまった。

「何笑ってんだよ、気持ち悪りぃオンナだなあ・・・」

・・・ムカ・・・なによ、さっきからオンナ、オンナって失礼しちゃうわ・・・よぅし・・・

「おまたせいたししましたぁー、ご注文のコーヒーでぇーす。」
「あ、ああ(なんか、イヤな予感・・・)」
 ・・・・ブッ、うエ・・・なんだこれ!!」
「どう?かよこ特製わさび入りコーヒーのお味は?
 ジャン・レノもお気に入りの”大人”の味よ! フフフ」

「ナニが大人の味だ!・・・辛、辛ェー・・みず、水くれ水!!」

170 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 8 投稿日:2004/04/09(金) 23:50 ID:???
その日、おんぷは横浜のラジオ局での仕事を終えて、車での移動中だった。

「おんぷちゃん、お疲れサマ。今日のお仕事はこれでお終いよ。」
「うん。・・じゃ、帰りにMAHO堂に寄ってい・・・アレ?」

窓の外に、かよこが大きな荷物を抱え、忙しなく歩いていた。

「お、重い・・・もうマリカさん、毎度毎度なんでこんなに沢山お買い物するんですかぁ?」
「ストレス解消じゃ。」
「えーっ、買い物なんかでストレス発散出来るんですかぁ??」
「そうじゃ。浪費ってのは気分が良いモンじゃぞ・・・
 かよこも働くようになれば、きっと解かる。」
「・・・そんなの解からなくていいです。」

「かよこちゃん・・・・一体何してんだろ?
 それに、あのポシェットから覗いているの・・・まさか!!」

・・・・・・・・

翌日 昼休み、美空小

何だか最近、色々あって、ちょっと疲れ気味・・・すこし寝ちゃおう・・・
机に突っ伏していると、頭の上から声が

「どしたの?かよちゃん・・・なんか疲れてるみたいだけど・・・大丈夫?」
「んぁ・・どれみちゃん・・・うん、昨日ちょっとお買い物に出掛けてネ・・・えへへ」

「かよこちゃん。」

廊下から呼ぶ声・・・ひょこっと顔だけ出している彼女を、全校生徒知らない者は居ない。

「あ、おんぷちゃん・・・なに?」
「ちょっといいかな?」
「う・・・ん」

彼女・・おんぷちゃんは、転校してきた日がわたしと同じだ
しかし、クラスは3、4年の時、5、6年の時とずっと違っている。

彼女もわたしと同じに・・・随分と変わった。
初めてあった頃は、笑顔の中に・・・何かを隠しているような、そんな娘だった・・・
でも、今では心の中から笑顔になれている・・・

・・・わたしと同じ・・・どれみちゃんに出逢って、変わったひと・・・

171 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 8 投稿日:2004/04/09(金) 23:52 ID:???
「かよこちゃん・・・昨日、横浜の山下町に居たでしょ?」
「あ、見られちゃったんだぁ・・・あはは いっぱいお買い物しちゃってネ、エヘヘ」
「ふ〜ん、そうなの。」

・・・み、ミラレテないよね・・・魔女見習いの格好とか・・・

「最近かよこちゃん変わった。なんだかすっごく明るくなった。
 ・・・って、どれみちゃん言ってた。」
「そ、そうかナ・・・エヘヘ」
「なにかあったのかなぁー?・・・例えば・・・・・・・魔女に出逢ったとか。」

!!!!

「・・・あ・・アハハ・・・おんぷちゃんったら何言い出すのかと思ったら・・・
 魔女なんか居るわけないよ。・・・・」
「そうかな? わたしは居ると思うけど。
 ・・・もし、かよこちゃんが魔女に出会っていたとしたら・・・・・ま、いいわ。
 ごめんね、呼び出しちゃったりして。」
「ううん・・・」

・・・びっくりしたぁー・・・まだドキドキしてるよぉ・・・
でも、もしかして、おんぷちゃんに何か勘付かれているとしたら・・・どうしよう・・・

放課後、いつものようにマリカさんの店へ向かう。
でも、おんぷちゃんが怖くてホーキが使えず、電車で横浜へ・・・

「随分と遅かったねぇ、居残りかい?」
「わたしは、居残りさせられるようなコトは し ま せ ん 。
 そんな事より、マリカさん、あのね、今日わたしの隣のクラスの瀬川・・・

「ガチャッ」とドアが開き、お客さんが入ってき・・・た


「わたしがどうしたの? かよこちゃん」

172 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 8 投稿日:2004/04/11(日) 04:10 ID:???
「どうしたの?かよこちゃん。この世の終わりみたいな顔しちゃって・・・」

そんな気持ち、彼女はおそらく持っていないのだろうが、
わたしには、彼女が”獲物を捕らえた豹”のように・・・とてつもなく恐ろしく見えた。

「・・・お、おんぷちゃん・・・どうしてココに?」
「ちょっとね、かよこちゃんの後を尾けてきちゃったの。テヘッ♪」
「ハハハ・・・そうなの。(←棒読み)」

彼女はお店の中を見渡す。まるで、何かを探しているように・・・
マリカさん、上手く隠れてくれたかなぁ

「かよこちゃん、今誰かと話していたわよね。・・・誰と話していたの?」
「あ、あのぉー・・・それは、そのぉ・・・独り言 かな?」
「うそ。このカエルと話していたんでしょ?」

ササッとカウンターの裏側へ回り込み、マリカさんを持ち上げて見せつける。

・・・・・・・終わった・・・・

「ん?・・・・何これ・・・あれ・・・スポンジ?・・・うそ、ぬいぐるみ!?」

・・・・・え?

「ぬいぐるみじゃ困るのかね? お客さん。」
「「えっ」」

そこには・・・魔女ガエルになる前の姿のマリカさんが立っていた。

「何をしているんだい、かよこ お客様のご注文を聞かんかい」
「は、はい。・・・おんぷちゃん、何にする?」
「え? え、ああ、えっと・・・じゃ、コーヒーちょうだい。」

あっけに取られた二人を尻目に、マリカさんは揺り椅子に腰掛ける。
・・・魔法で元の姿に”変身”しているんだ・・・

わたしは豆を挽き、サイフォンをたて
おんぷちゃんは・・・何か納得いかない表情で、カウンター席に腰掛けた。

「お客さん・・・どっかで見たことあると思うが・・・」
「マリカさん、おんぷちゃんは、テレビとかによく出ている
 芸能人の”瀬川おんぷ”ちゃんなんですよ。」
「ほう、そうじゃったのか・・・
 有名人さんが来るなんて、この店始まって以来じゃわい。」
「・・・・・・・・」

173 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 8 投稿日:2004/04/11(日) 04:11 ID:???
暫くの沈黙・・・静かだ。
最近、何故だろうか・・・晴れた日には必ずと言っていい程、風が強い。
今日も例外なく、ガラス戸をカタカタ言わせる音だけが店の中に響く・・・

出来たてのコーヒーを、彼女はひと口飲む・・・そして

「おいしい。」
「そうじゃろう。ワシがかよこにコーヒーの淹れ方の”いろは”を
 みっちり仕込んでやったからのぉ」

でも、彼女はにこりともせず、マリカさんに向き直る。そして

「・・・マリカさん・・・あなた、魔女さんですよね。」
「え"っ、ヤダ、おんぷちゃんったら・・まだそんな事・・・
「そうじゃ、如何にもワシは魔女じゃ。」

ダメだ・・・今度こそ、本当に終わった・・・・

「ワシはな・・・ここへ来るお客様に、やすらぎ、励まし、希望を与える為に
 このコーヒーに魔法をかけておるんじゃ・・・”頑張れ”って、ちょっとだけの後押し・・・
 おまえさんだって、演技している自分を見ている人々、応援してくれている皆に
 同じように魔法を掛けておる・・・ 元気になる魔法をな・・・
 人を思いやる心・・・その想いが、とびきりの”魔法”なんじゃ。
 人間誰しも、人々に”想い”を届ける事のできる魔法を持っておる。
 ・・・誰だって魔女になれる・・・そう、わしは思うとる。」

彼女は、ゆっくりと喋るマリカさんの言葉を最後まで聞いて、コーヒーを口へ運ぶ。
そして、笑った・・・

「フフフッ・・・一本取られちゃったなぁ。」

・・・・・・・・

「ねぇ、かよこちゃんはどうして、あのお店を手伝うようになったの?」

美空への帰りの電車のなか、彼女が問いかける。

「うん・・・一月前くらいにね、わたし、交通事故に遭いそうになっちゃって、
 その時、あのマリカさんに助けて貰ったの・・・だから、マリカさんはわたしの命の恩人。」
「それで、恩返しのつもりで、お手伝いしているのね。」
「恩返しって程じゃないけれど・・・
 少しでもマリカさんの役に立てればなぁ・・・って思って。」
「・・・エライんだ、かよこちゃん。」
「そんな事ないよ・・・それにおんぷちゃんだって、
 お仕事もしながらMAHO堂のお手伝いしているし・・・わたしよりずっと頑張ってる。」

電車は地下区間から地上へ出る・・・窓から差し込む夕日が、眩しく二人を照らす。

「ほんとはね、わたし、かよこちゃんが・・・わたし達と同じ・・・
 ううん、わたしの早とちりだったみたい。尾け回しちゃったりしてゴメンなさい。
 でも、ちょっと残念だなぁ・・・」
「えっ、なんで?」


「それはね・・・な・い・しょ よっ! テヘッ♪」


174 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/04/11(日) 04:14 ID:???
反応無いな。
やっぱりダメなんかな・・・

175 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/04/11(日) 14:39 ID:???
いや、ダメなんかじゃないっすよ。

地下にあるから、更新に気付きにくいだけで、読者はここに存在しておりますです。
はい。

176 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/04/11(日) 21:41 ID:???
毎回、楽しみにしてま〜す。

コーヒーにわさびとか入れちゃったり、おんぷちゃんにおびえるかよちゃん。
最高だよ〜。

177 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 10 投稿日:2004/04/14(水) 20:41 ID:???
日曜日、喫茶マリカ

店も開かず、マリカさんは上機嫌で出掛ける支度をしている。

「あれ?・・・お店はどうしたんですか??」
「休みじゃ。今日はかよこに面白いものを見せてやろう。」

休みって・・・ただでさえ、お客さんが来ないのに
書き入れ時の休日に営業しないなんて・・・そのうち誰も来なくなってしまうんじゃなかろうか?

いつものようにマリカさんはおぼん、わたしはホーキに乗って出掛ける。

「何処へ行くんですか? 海それとも山?」
「デパートじゃ。」

駅前にある、大きなデパートの屋上へ降り立つ。

「ここに・・・何があるんですか?」
「まぁ焦るな。お楽しみはこれからじゃい」

だんだん人が集まってくる。親子連れが殆どだが、
中には三脚付きの本格的なカメラやビデオカメラを持って来ている人も・・・
ますます解からなくなって来た・・・何が始まるの??
やがて舞台に、司会と思われるお姉さんが・・・・

「みなさーん、コーンニチワー!!
 今日はみんなの為に、テレビの人気者 ミラクル戦隊・ふたりはピュアキュア から
 ピュアレッドとピュアイエローの二人が遊びに来てくれました!!」

「・・・・なんですか、コレ?」
「なんじゃ、かよこは知らんのか? ピュアキュアのキャラクターショーじゃよ。
 子供達の間では有名な人気者なんじゃぞぉ!!」
「・・・・マリカさん・・・こんなご趣味があったんですか・・・」

悪の手により、支配されてしまったピュアイエローの心を取り戻そうとするピュアレッド。
どんな攻撃にも、決して反撃せず、ボロボロになってゆく・・・
でも、次第にイエローの呪縛が溶かされてゆき、やがて真の心を呼び覚ます・・・という展開。

流石に内容にはついて行けなかったものの、見ている子供達が一生懸命に声援を送ってる・・・
本当にみんなピュアキュアのことが好きなんだなぁ・・・と、チョット感動。

そういえば、どれみちゃんも「バトルレンジャー」のショーをよく見に行くって言っていたっけ。
どれみちゃんやマリカさんの気持ちも少し解かる気がする・・・ような しないような・・・

「な、面白かったじゃろぉ?
 このショーはテレビでは見られんからのぉ・・・来た甲斐があったわい。
 仲間を助けたいと思う真の心・・・今の子供達にはこういう気持ちを伝えるのが大切なんじゃい!!」
「はぁ・・・
 ・・・ちょっとマリカさん、興奮するのは解かりますけど、
 あんまりポシェットから乗り出していると、落っこちちゃいますよぉー」
「・・・・・・」
「って、マリカさん?・・・・あれ??・・・いない!!」

休日のデパート、人々でごった返していて、マリカさんがなかなか見つからない。
・・・・蹴飛ばされたり、踏んずけられていたりしたら、どうしよう・・・

「キミ、これ落とさなかったかい?」
「えっ?」

振り返ると、小柄な青年が立っていた。マリカさんを持って
・・・良かった・・・無事だったみたい・・・

「あ、はい、わたしのです。ありがとうございます!」
「・・・・キミ、さっき屋上でピュアキュアのショー見ていなかった?」
「へ?・・・あ、いや、そのぉ・・・このコが観たいって言うものだから・・・アハハ?」

青年から返してもらったマリカさんを、テレ隠しに縦へ横へと引っ張りのばす・・・

「いや、いいんだよ。キミ位の歳の女の子が観に来てくれるなんて珍しかったから
 ショーの最中、ちょっと気になっちゃってね。」
「・・・・??・・・あの、ひょっとして、あの人形の方ですか?」
「うん、あの着ぐるみの中のひとだったりして。ちなみに僕はピュアレッドさ。」

178 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 10 投稿日:2004/04/14(水) 20:43 ID:???
また屋上へ戻り、喫茶コーナーへ
わたしが「お礼をさせて下さい!」と頼み込み、二人でコーヒーを飲む。

お兄さんは、大学を卒業して、すぐにこの着ぐるみ劇団に入り
いろいろな場所で、沢山の役をこなしたそうだ。

「夏場なんかは結構キツくてね、気温35度の屋外テントでやった時はさすがに参ったよ。」
「うゎぁー・・・・大変なんですねぇー・・・・わたしだったら絶対耐えられない。
 でも・・・なんでそんな思いまでして、この仕事を続けられるんですか?」
「そりゃ辞めようと思ったことなんて、一度や二度じゃない・・・しょっちゅうあるさ
 でもね、舞台に立って、役を演じる・・・そうするとさ、
 一生懸命になって僕らを見てくれる 応援してくれる・・・
 子供達の笑顔だよ・・・いろいろあるけれど、これに代えられるものはなかった。」

どんなにキツくて辛い事があっても、その笑顔さえあれば続けてゆける・・・
熱くおもいを語るお兄さんは、とっても優しい笑顔だった。

「でも・・・今日のピュアキュアで、僕は引退するんだ。」
「えっ・・・なんで??」
「故郷の親が「そろそろおまえも、落ち着け」ってウルサくてね・・・
 それに、この間のショーで演技中に転んで・・・他にも、今月に入って
 3回も失態を犯しちゃってさ・・・ 体力的に、かなり無理してきたツケかなぁ・・・
 そろそろこの仕事も潮時なんじゃないか・・・って思ってね。」
「・・・でも!でも!!」
「「着ぐるみを着て、舞台に立った者は、”人”であってはならない
 どんな事があっても”ヒーロー”でなければならない。キミには出来るかい?」・・・
 劇団長が面接の時、僕に言ってくれた言葉・・・それで僕はこの劇団に入る決心をしたんだ。
 ・・・僕がヒーローで居られる時間も、終わりの時が来たんだよ。」

「そんな・・・そんなのってないよ!!」

こもったような女の人の怒鳴り声
気がつくと、青年の真横に・・・ピュアイエローの着ぐるみが立っていた。

「ごめん・・・黙っていて・・・舞台で動揺させちゃいけないと思ってさ
 今日のショーが終わったら言うつもりだったんだ・・・許してく・・
「許さない! 許さないんだから・・・・勝手に辞めるなんて、わたし絶対に許さない!!」

・・・・・・・

かえりみち
夕焼けの空を、ホーキに乗った少女と、おぼんがゆっくりと飛んでゆく・・・

「・・・かよこ・・・また、何か余計な事を考えておらんじゃろうな?」
「・・・いいえ・・・なにもぉ。」
「うーむ・・・かよこは頭の良い子じゃ。なのに何故いつも、そう聞き分けがないんじゃ?
 あやつは自分自身で役者を辞める決心をした・・・引き際を悟ったんじゃ。
 あの青年の為を想うなら・・・余計な事はするな。よいか?」

もう・・・嘘のつけない人だなぁ・・・
でも、わたし・・・このままなんてイヤだ!・・・・・・・・そっか、そうだ!!


「ハイ、魔法は絶対使いません。マリカさん、安心して!」

179 名前:12 投稿日:2004/04/14(水) 21:00 ID:???
前回の番号、重複しちゃってます。
あと、174で愚痴垂れてるのも私です。
明け方まで書いてて爆発状態でした、スミマセン

>>175 >>176 さん
ありがとうございます。嬉しいヨォー
反応が無かったんで、正直、ダメなのかなぁー と弱気になってましたです。

>>某スレの居候さん
ネタ使わせて頂きましたヨォ。でも、ミラクル戦隊マジョマリカって??w

何か書き込みがあれば「あ、見てくれてる」って解かるので
アヒャだけでも良いから・・・ハンノウクダサイ・・・お願いしまつ。

180 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/04/14(水) 23:46 ID:???
>アヒャだけでも良いから・・・ハンノウクダサイ・・・お願いしまつ。

 ではリクエストにお答えしまして・・・・・・・アヒャ!


 だけというわけにも行かないですよね(^^;

かよこちゃんの見習い修行、楽しませて貰ってます〜、うまい感想が
思いつかないのでなかなか書き込みできませんが、ここにも一人読者が
いると言うことで(^^;

181 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/04/15(木) 23:38 ID:???
アヒャ。


   .


   .
ヽ(`Д´)ノ 読んでるに決まってんぢゃん!!(逆ギレ)

こんなオモロイもんをコソーリと書きやがって!
思いっきりageたいところだけど、ここはガマンでsage感想。

現在のところ、正伝とも、パラレルとも取れそうな展開に萌えまくりです。
ぷ様が、MAHO堂メンバーが、かよこちゃんとどう係わってくるのか、
はたまたかよちゃん1人で、どのように話が展開するのか、
これから先楽しみで仕方ありません。続き、楽しみに待ってます。


(;゚ー゚) …レスって、こんなんでいいんだっけ?書き方忘れちゃったよ。

182 名前:71 投稿日:2004/04/17(土) 12:57 ID:???
アヒャ。

私もちゃんと読ませてもらっておりマシュ。
ただ180さん同様、私も感想書くのが苦手なもんでついつい放置プレイに…
さくっと感想が書けない自分が腹立たしいです。
さてさて、今回も感想書けなさそうなんですが(ぉゐ
この長編が終わり次第まとめて読み返して
感想(ダメだし)書いて差上げられればと思ってますので、
がんばって書き綴ってくださいませ〜。

183 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 11 投稿日:2004/04/21(水) 19:24 ID:???
夜、ベッドの上で・・・あの屋上でのやりとりを思い出す・・・

「みやちゃん、私にいつも言っていたじゃない。
 失敗しても、決してうろたえるな・・・見ている子供達を、裏切っては絶対にダメだ!!って
 たかが何度かの失敗で、辞めようだなんて・・・逃げてしまうだなんて・・・
 みやちゃんこそ、子供達を裏切っているじゃない!!」
「・・・・そう・・だよな。ハハ
 言っている自分が、こんな事してしまうなんて・・・もうお終いだよな。」
「・・・夢は・・・どうするの?
 将来、独立して、日本だけじゃなく、外国へ行って着ぐるみショーを演りたい・・・
 もっと、もっと沢山の子供達に・・・素敵な物語を届けたいって・・・」

着ぐるみの中から、涙声で・・・でも必死に訴え続ける女の人の声・・・
このひとは・・・きっと、お兄さんのことが・・・

「・・・夢は叶えてしまうと、現実になる。
 現実は夢のように甘くはない・・・辛く、厳しい。
 ・・・夢は、夢である時が・・・一番良いんだよ、きっと。」
「・・・なにそれ?・・・なんなのよ!!
 ・・・・・・・・・・もう・・・・・ダメなの?・・・・」

それきり・・・ふたりとも何も言わなくなってしまう・・・

マリカさんの言うとおり・・・これは、あのふたりの問題。
外野が余計なお節介を焼いても、何も意味が無い・・・でも・・・

でも、わたしは・・・・・・・・

・・・・・・・

一週間後の日曜日

お兄さん・・・宮田さんは、郷里の愛媛へ帰ることになった。

「宮田さん、元気で!」「みや、向こうへ帰っても俺達のこと忘れんなよ!!」

劇団の仲間達に送り出されて、空港行きのバスに乗り込む宮田さん。
でも、その場に、あの女の人・・・さつきさんの姿は無かった。

バスが見えなくなり、劇団の人たちが引き揚げようとする。
それを物陰から見ていたわたしと、もう一人・・・

ゴメンね、マリカさん・・・わたし、やっぱりこのままじゃ嫌だよ・・・
ちょっとだけ・・・きっかけを作るだけだから・・・許して。

「・・・あの、ちょっとお願いがあるんです。」

184 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 11 投稿日:2004/04/21(水) 19:25 ID:???
・・・・・・・

「さつきのヤツ・・・やっぱり来てくれなかったなぁ」

空港の出発搭乗口まで来て
ふと、振り返ってみる。・・・そこは空港出発ロビーの雑踏

・・・夢と現実の境界線・・・

ここを通ったら、もう・・・二度と都会(ここ)へは戻らない・・・いや、戻れないだろう。
あれだけ「決めたはずの思い」が揺らぐ・・・

「フッ、何をいまさら・・・・もう、決めたんだ。
 ・・・・・・ごめんよ・・・・さつき・・・・」

溜息をついて、入り口の列に並ぶ。 が・・・何か、後ろの方が騒々しい・・・

「・・・だめだよ、行っちゃイヤだよ宮田さん!!」
「行っちゃだめだよぉ」

コンコースの雑踏を掻き分けながら、のそのそとやって来る、
赤色と黄色の・・・ピュアキュアの着ぐるみ!?

「わたしたち、どんな楽しいときも、辛い時も
 子供達の喜ぶ顔を見る為に・・・いっしょに頑張って来た仲間じゃない・・・
 このままお別れなんて・・・わたしたち寂しいよ・・・」
「ま、また一緒に夢の為に頑張ろうよぉ」

集まっている人だかりの中から、警備員が走ってきて、わたし達を取り押さえる。
連れて行かれそうになっても、かまわず叫ぶ・・・

「宮田さんは、本当に決心したの?
 めげず、挫けず、どんな時も一緒に頑張って来た・・・
 お兄さんの大切な想いを、イチバン良く解かってくれていた人
 さつきさんを置いて行ってしまうの?」

「いいのよ、もう・・・」

わたし達の後ろから・・・女の人の声・・・昨日の着ぐるみの声と同じ・・・さつきさんだ!

「みやちゃんが納得して決めた事だもん・・・もう止めない。」

もうダメ・・・ゴメン マリカさん  一度だけ・・・魔法を使わせて お願い!

「でも・・・でもね、もう一度このコ・・・着ぐるみ達に会いたくなったら・・・帰って来て。
 ・・・それまで私が・・・夢のアンカー務めるからさ・・・ねっ!」

ずっと背を向けて聞いていた宮田さんが振り返る
その泣き笑いの、彼の胸に飛び込むさつきさん・・・

わたしはタップを握り締めたまま・・・何も出来なかった。

・・・・・・・

滑走路が見える、展望スペース

わたしと、もうひとりの着ぐるみの中の人・・・
このまえの一件のたつや君が、飛び立つ飛行機を眺めていた。

「ちっ・・・ったく、無理やり着ぐるみ着させられるわ、あの後、警備員に怒られまくるわ・・・
 オマエのせいでヒドイ目に遭っちまったじゃねえかよ!」
「・・・ごめんなさい。」
「・・・・・ま、まぁ、オレはこんな事慣れてるから別にいいけどヨ
 しっかし、オマエも見掛けによらずスゴイ事するオンナだよなぁ〜」

「ホントはね、わたし、無理やりにでも宮田さんを止めてしまおうと思っていた。
 でも・・・それはさつきさんの想いでも、二人の幸せでも無い・・・
 わたしのただの余計なお節介・・・ワガママなんだ、って気付いたの。
 本当の幸せは、人に助けて貰うんじゃなくて、自分達で叶えなきゃ意味無いものね。
 わたしったら・・・まだまだ甘ちゃんだな」
「そんなことない!おまえは頑張った・・・・・・と、思うぞ。」

・・・たつや君はわたしを見て、目が合うと、フッと滑走路の飛行機に視線を移した。

麗かな春の日差しを受けながら、飛行機がまた空へ飛び立ってゆく
あの飛行機は、一体何処へ行くのだろう?・・・



夢の続きは・・・・旅人次第

185 名前:12 投稿日:2004/04/21(水) 20:05 ID:???
なんかねぇ・・・スゴク嬉しいっスよ。マジで
レスくれた皆様、ありがとうございます!!

>>180 さん
初アヒァ どうもです。
感想なんて無くっても全然OKっス
私も人様のSSや絵の感想書くの苦手なほうでして・・・
そのくせ、自分のにはクレクレなんて調子いいバカですね。スイマセン
ただ見てくれているだけで、あたしゃ幸せデスよー

>>181 さん
一応、外伝っぽく始めてみたのですが・・・どうなる事やら
イロイロ言いたいんですが、言っちゃうとツマラン物が余計詰らなくなるので
今のトコ、ナイショです。
でも、おおまかな登場人物(特にオリキャラ)については
説明しておいたほうが良いのかな??

>>71 さん
いつもアリガトウゴザイマスです。
71さんは、いつも悪い点をズバリ仰って頂けるので、スゴク刺激になります。
・・・ひょっとしたらSS書きさんなのかなぁ・・・とか思ったり。
出来るだけ(ダメだし)が無い様、ガンバリますです。

186 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 12 投稿日:2004/04/23(金) 01:50 ID:???
月の笑う晩・・・

わたし、魔女見習いかよこ 初の見習い試験
9級試験が行われる。

難しい試験だったらどうしよう・・・という不安
初めて行く魔女界って、どんな所だろう・・・という期待
わたしの胸はドキドキしていた。

しかし・・・

「じゃぁーねぇー 水のぉー入った花瓶とぉー・・・あとぉータイヤキをぉー出してぇー」
「は?」

試験場は屋台だし、試験官はやたらと間延びした喋り方をする人だし・・・
なんだか気が抜けてしまう・・・

「は? じゃないじゃろ、かよこ! 早く花瓶とタイヤキを出さんかい!!」
「は、はい・・・えっと・・・ウーン・・・っと、よし!
 トゥルリラ トゥーリラ ファソラシ ペーペルト 水の入った花瓶と、タイヤキよ出てこーい!」

・・・結果は無事合格。
そして、魔女の証である遣い魔・・・わたしにも、お供の妖精が与えられたのだ。

「こーれぇーがぁー、あなたのぉーお付きの妖精よぉー」
「うわぁーカワイイ・・・」

フワフワと飛んで、手のひらに乗る妖精
・・・パッチリとした瞳で、わたしのことを見つめている。

「はじめまして、わたし かよこ。 よろしくね チチ」
「・・・・・・・」

・・・・・・・

翌日、喫茶マリカ

「んー・・・・・・・」
「・・・・・・・」

チチが・・・喋ってくれない。

「・・・ねぇマリカさん、妖精って喋らないんですかぁ?」
「そんな筈は無いんじゃがのぉ・・・まだ喋らんのか・・・」

昨日部屋に帰ってから、何度も問いかけているのに返事をしない。
目は開いているので、寝ているわけではないし
時折、キョロキョロと辺りを見回したり、目をじっと見たりしているから
わたしが言っていることは解かっているらしいんだけど・・・

「妖精は遣い手である主に似る。だから、かよこと同じで少し大人しいのかも知れん。
 ・・・まぁ、まだ赤ちゃんのようなモンじゃし、時期に喋りだすじゃろうて」
「そうなんですかぁ・・・」
「・・・・・・・」

187 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 12 投稿日:2004/04/23(金) 01:52 ID:???
「・・・マリカさんには妖精って、居ないんですか?」
「おるよ、魔女界に・・・魔女大学で勉強する為に、今は向こうへ行っておるんじゃ。」
「あのぉ・・・妖精さんは、マリカさんが魔女ガエルになっちゃった事を・・・」
「・・・教えておらんよ。知ったらすっ飛んでここへ帰って来てしまう
 あやつはワシに似ず利口で・・・人一倍優しいヤツじゃからのぉ。
 ワシの唯一の自慢なんじゃ・・・だから・・・あやつの夢を邪魔したくないんじゃよ。」

・・・まるで自分の子供の事のように話すマリカさん・・・なんだか羨ましい・・・

わたしもこのコと・・・そんな素敵な友達になりたいな

・・・・・・・・・

夕方の、とある公園

ブランコを漕ぐ。
チチは肩に乗り、わたしの目をじっと見つめている。

「・・・わたしはね、この公園が好きなんだぁ
 まだちっちゃい頃、この近所に住んでいて、お父さんとお母さんとお花見に来たの。
 それがきっかけで、ここへは良く来たっけ・・・」
「・・・・・・・」
「その頃のわたしは、引っ込み思案で、お友達が出来なくって・・・
 クラスのみんなが、わたしのことを迷惑に思っているような気がして・・・
 学校へ行くのが辛くて・・・嫌で嫌でしょうがなかったの。
 でも、そんな時・・・夜にちょっとナイショで家を抜け出してね、
 ここで夜のお星様を眺めるの・・・
 そうするとね、あっ、もしかしたら明日は良い事があるかも・・・
 もしかしたらお友達が出来るかも知れない なんて気がしてきて・・・不思議だよね。」

桜の木の下まで歩いてきて、見上げてみる。
青々と茂った葉・・・そこにはもう、桜の花びらは一輪も残っていなかった。

「今年はあっという間に散っちゃって・・・チチにも見せたかったなぁー」
「・・・・・・・」

水平線の彼方に沈んでゆく夕日
明日はもしかしたら・・・チチとおはなしできるかも・・・

・・・・・・・・・・

夕食 長門家

「あら、かよこ ご飯そんなに残して・・・お腹の具合でも悪いの?」
「うん・・・ちょっとね。後で食べたくなるかも知れないから、お部屋へ持っていっても良いかな?」

・・・妖精は主の魔力をエネルギーにしておるからの
食べられなくはないが、食べなくても良いのじゃ・・・

とは言っていたけど・・・やっぱりチョットだけあげちゃおう。

「・・・チチ、ゴハン食べる? おいしいよぉー」
「      」
「・・・あれ? チチ チチ・・・ やっぱりいない」

押入れ、引き出し・・・トイレにお風呂場・・・何処を探しても、チチの姿は見つからない。


「どうしよう・・・チチがいなくなっちゃった!!」

188 名前:71 投稿日:2004/04/24(土) 17:23 ID:???
チチどこいったの〜…むぅ、気になるのぉ…

>>ひょっとしたらSS書き?
いぇいぇ、ケチつけるしか能が無いアフォでござるょ〜

189 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 13 投稿日:2004/04/27(火) 20:28 ID:???
夜 喫茶マリカ

ドンドンドン・・・

「・・・誰じゃー? こんな夜更けにぃー・・・・・か、かよこ!」

店のドアの前には、凄い慌てようのかよこが立っていた。

「マリカさんどうしよう、チチが居なくなっちゃったの。
 家の中も、辺りも探し回ったんだけど見つからないし・・・」
「チチが居ないって・・・昨日まで魔女界に居ったヤツがホイホイと外など歩けまい。
 ホントに家の中をよく調べたのか?」
「うん、何度も調べたんだけど・・・居ないの。」

・・・その後、マリカさんに手伝って貰い、また辺りを探し回った。
でも、チチは見つからなかった・・・

店の周辺、美空までの道筋、そして夕方に寄った公園・・・
どれくらい探し回っただろうか・・・白々と、夜明けが近づいてくる。

「・・・かよこ、もう家へ帰れ。あと少しワシ一人で探してみる」
「やだ、わたしも一緒に捜す。」
「おまえは今日学校があるんじゃろう? 少しでも休んでおかんと体が参るぞ。」
「いいの。」
「いいじゃない! 早く帰って休め。」
「・・・わたしは・・・わたしはチチの主なんだよ?
 心配せずに休んでなんかいられないよぉ・・・」

・・・・・・・

美空小 1時間目

眠っていないのに、眠くない。
そんな事を考える余裕すら、今のわたしには無かった。

・・・もしかしたら・・・
チチは、わたしが主になったことが嫌で逃げ出してしまったんじゃないだろうか?

見習い魔女で、十分な魔力をチチに送ってあげる事の出来ない、わたしを・・・
話が下手で、チチを退屈させていた、わたしを・・・
故郷の魔女界から、無理やり人間界に引っ張ってきてしまったわたしを・・・

きっと嫌な子だと思っていたんだ・・・
わたしのせいでチチは・・・逃げ出しちゃったんだ!!

「・・・・tyん・・かよこちゃん・・・かよこちゃん!」
「・・・えっ、なに?」

隣の席の飛鳥さんが、心配そうな顔でわたしを覗き込んでいる。

「・・・どうしたの? 顔が真っ青だよ。気分でも悪いんじゃ・・・
「うっ・・・・ ご、ゴメン・・・ちょっと・・・」

関先生に断る間も無く、わたしはトイレへと駆け出していた。

・・・ひさしぶりだった。

苦しくて、辛くて、涙が出て・・・こんなイヤな気持ち、もう二度とないだろう
・・・そう思っていたのに


こんな悲しい思いするなら・・・妖精なんて・・・貰わなければよかった・・・

・・・・・・・・

午後、喫茶マリカ

「なに? チチを魔女界に返すじゃと?」
「・・・だって、仕方ないよ。
 チチはきっと後悔している、人間界へ来たことを・・・わたしが主になった事を
 だから嫌になって・・・逃げ出したんだ・・・きっとそうなんだよ。」
「落ち着けかよこ、チチはおまえを嫌いになってはおらん。」
「うそ! じゃあ何でいなくなっちゃったの?
 嫌いじゃないなら、なんでわたしから逃げちゃったの??・・・どうしてなの!!」

気を遣ってくれているマリカさんに八つ当たりするなんて・・・最低だ、わたし
・・・きっと惨めで・・・嫌な子だって思われちゃった。

「・・・なぁ、かよこ 初めに言ったじゃろ? 妖精は主に似る と・・・
 主の心に共鳴して、感じる嬉しさ、楽しさ、辛さ、悲しさを分かち合う
 ・・・例えチチと上手く接する事が出来なくても、きっと気持ちは伝わっておる。
 おまえの・・・チチを想う優しい気持ちはきっと届いておる。
 ・・・必ず戻ってくる。あやつを・・・
 おまえの遣い魔を、もっと信じてやるんじゃ。」

・・・・・・・・

夕方 長門家

外で変身を解かずに、そのままベランダから急いでわたしの部屋へ入る。

「チチ・・・チチ・・・・」

何度呼んでも、出てこない・・・やはりチチは、まだ帰って居なかった。
途端に疲れがドッと出て・・・そのままベッドへ倒れこんでしまう。
下に顔を出さないと、お母さん心配しちゃうな・・・
でも、もうカラダが思うように動いてくれないよ

・・・そういえば、わたし昨日から寝ていなかったんだったっけ・・・
眠気に薄らいでゆく意識の中、窓に見える薄明るい月が、涙でぼんやり見えていた。

「なんか・・・月が泣いているみたい・・・
 ・・・・・・逢いたいよぉ・・・チチ」

190 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 13 投稿日:2004/04/27(火) 20:29 ID:???
・・・夢の中・・・

満開の桜の樹の下で、わたしとチチがお花見をしていた。
あの子は楽しそうに、わたしの前でクルクル飛び回って
わたしはニコニコ笑って・・・とっても嬉しそう・・・

ふと、近寄ろうと足を踏み出した途端 暗闇が広がり、何も見えなくなってしまう・・・

「・・・はっ!」

どれくらい経ったのだろう・・・窓に見える月は、高く明るく輝いていた。

「・・・いっけない、だいぶ眠っちゃったみたい。
 お母さん達心配しちゃう 下に降りなきゃ・・・・・・・・・?」


月の光に照らされた机の上に、影が映る。
その小さな小さな影は、間違いなく・・・・

「チチ!!」
「・・・・・・・・」
「・・・ごめんねチチ、わたしが主になっちゃってイヤだったんだよね。
 ごめんね・・・ホントにごめんね・・・・」

チチがふらふらと、わたしの前に飛んでくる
ほんとうにあの子なのかと見間違う程に薄汚れ、あちこち傷ついていた。

「どうしたの?そのケガ・・・早く手当てしないと・・・?」

・・・チチの、その背中に何か棒のようなものが縛り付けてある
・・・それは・・・

「・・・これ・・・桜の木の枝・・・・・・・はっ!!!」


・・・・・わたしはなんて自分勝手なバカなんだろう・・・
勝手に嫌われてると思い込んで、魔女界に帰りたがって逃げ出したんだと思って・・・

この子は・・・わたしが「お花見をしたかった」って言ったのを聞いて、
咲いている桜を探していたんだ
チチはわたしの為に頑張ってくれていたんだ!!・・・なのに・・・なのにわたしは・・・


「・・・・ウワァアアン」

手のひらの中の、優しく温かいぬくもりを感じながら わたしはおもいきり泣いた・・・

「チチ、ごめんね・・・・・ ありがとう 」

「・・・・・・ ち ・・ ち ちち・・・」

「!!!・・・喋った!! 喋れた!! やったぁチチ!! やったねチチ!!」

今泣いたカラスが、もう笑った
・・・これじゃあ、どっちが主だか解かんないよぉー
チチには 叶わないなぁ・・・

・・・・・・・

晩御飯を分けて、ふたりだけの小さなお花見会。

「あのね・・・わたしまだ、半人前の見習い魔女だけど
 頑張って、きっと立派な魔女になってみせるから・・・これからもよろしくね。チチ!」
「ちちち、ちちちち!」


・・・ガラスコップに挿した桜の枝には、たった一輪だけの花が残っていた・・・・

191 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/04/27(火) 20:43 ID:???
実は、予定では妖精さんは出さないつもりだったんです。
でも、かよちゃんだったら、凄く可愛がるだろうな・・・
とか妄想したら、ついつい・・・

>>71 さん
むぅ・・・そうですか スミマセン
でも、ダメなとこ、良いとこをズバリ言って頂けるってのはスゴク嬉しいッスよ
これからもヒマな時でヨイので、宜しくオネガイシマツ。

192 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/04/28(水) 22:13 ID:???
  アヒャ


  Goodjob。

193 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 14 投稿日:2004/05/01(土) 01:53 ID:???
ジコ、ギコ・・・ジコ、ギコ・・・

「・・・マリカさん、巻き終えましたよぉー」

お店の柱に掛かった、小さなボンボン時計
マリカさんがお店を始めた時からある、古時計。
・・・それが今朝、止まってしまったのだ。

「うむ、ご苦労さんじゃったの。・・・で、動いておるか?」
「・・・うーん・・・・・動いてませんねぇー」
「やっぱりダメか・・・困ったのぉー
 わしゃその時計の・・・時間になるとボンボン言うのがないと、どうも落ち着かんのじゃよ。」
「じゃあ、わたし修理に出して来ましょうか?」

・・・・・・・

「うーん、これは・・・かなりの年代物ですねぇ よく今まで動いていたもんだ。」
「あの、それでこの時計、直りそうですか?」
「古いですからねぇ、ウチには部品がもう無いんですよ。・・・残念だけど修理は無理ですねぇ。」

似たような時計は無いかと聞いたものの、みんな電子音で時報を知らせるものに変わってしまい、
やはり今では、ボンボン時計なんて置いていないそうだ。

仕方なく関内の大型電気店を出て、時計の入ったカートを引っ張りながら歩いてゆく・・・

今日は真夏のように暑く、歩く人々も皆半袖姿
そんな日があるかと思うと、雨が降って冬のように寒くなる日もあったりと・・・
どうも最近の天気はきまぐれだ。

でも・・・寒くなったり、暑くなったりしながら着実に・・・春はもう終わりに近付いてきている。

「暑いねぇ・・・チチ、何か飲みたくない?」
「ちちち ちっちちっち」
「えっ・・・あ、ダメだよ水晶玉から出ちゃ・・・人に見つかっちゃうでしょ?」

水晶を飛び出して、わたしの周りをグルグル飛びはじめるチチ・・・困ったナ・・・

「ちち、ちちち・・・♪ちっちちっちちっ・・・」
「ウフフッ・・・もーう、ダメだってばぁ〜」
「♪ちっちちっちちっちちっち、ちち・・・」

「・・・をもげ?  なんちゃって。」

瞬間、チチが傍の店から出て来た人に鉢合わせしてしまった。
まずい・・・ど、どうしよう・・・

「・・・あ、あはは・・・こ、これは・・・その・・・」
「妖精さん・・・でしょ? この子はまだ子供の妖精さんだね。」

えっ?えっ??・・・・・この人は一体・・・・

194 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 14 投稿日:2004/05/01(土) 01:56 ID:???
「ハハハ・・・驚かせちゃったかナ ごめんね。」

チチはわたしの後ろに廻って、ビクビクしながら覗いている・・・

「いえ・・・この子まだこっちに来てあまり経っていないから・・・
 でも、なんで妖精の事を知っているんですかぁ?」
「僕は昔、その・・・“あっち”の人だったんだ・・・」
「あっちって・・・もしかして魔女なんですか??」
「ハハハハ、男で魔女はないだろう・・・魔法使いさ
 でも、今は ここ・・・人間界に住み着いて、時計屋をやっている。」

魔法使い・・・さんだったんだ。
その人・・・西さんは、ここ山下町でもう何年も前・・・喫茶マリカと同じ位昔から
時計店を営んでいるそうだ・・・でも、西さんって・・・見た目より随分と・・・
マリカさんも「ン百歳」とか言ってハッキリ言わないけれど、相当な歳なんだろう。

魔女と魔法使い・・・魔力を司る者は長寿になるのかなぁ・・・

「ん?かよこちゃんどうしたの?? 僕の顔がどうかした?」
「あ、いえ・・・なんでも・・・
 そうだ!時計って言えば・・・このボンボン時計なんですけど、壊れちゃったみたいで」
「ほーう、年代物だねぇ ・・・うん、ちょっと診てみようか」

西さんは時計を、細部まで分解して調べている・・・

「こうやってね、時計と話しながら悪くなった所を見つけ出してやるんだ
 この時計・・・すごく古いのに、傷みもないし、どの部品もまだまだ使える・・・
 ・・・持ち主さんに可愛がられているんだなぁ・・・」
「ええ・・・これが無いと落ち着かないー って言ってました。」

コチコチ・・・チッチッ・・・
店内に、たくさんの時計の音が響いている・・・こうやって聞いていると
なんだか時計たちが、お話をしているみたい・・・

「・・・キミはさ、どうして魔女見習いになったの?
 やっぱり正体を見破り、カエルにしてしまった魔女を、元の姿に戻してあげるため?」
「はい・・・それもありますけど・・・
 マリカさんは、わたしの命を救ってくれた人だから・・・恩返しって程じゃないけれど
 お店を手伝ったり、買い物に付き合ったり・・・一緒に居て、何かの役に立ちたくて・・・」
「・・・キミも良い子なんだね・・・その魔女さんが捨て身で助けたのも、解かる気がする。」
「いえ、そんな事・・・」

なんだか照れちゃうナ・・・
でも、マリカさんの為に、出来るだけの事をしてあげたい気持ちは本心だし、間違いは無かった。

「・・・っと、よし完成。」

ジーコ、ジーコ、ジーコ・・・・・・ボーン、ボーン、ボーン

「鳴った! すごーい!直ったぁ・・・」
「特に壊れていた訳じゃなかったみたい。こういう時計はちょっと気分屋でね・・・
 ・・・ひょっとしたら、キミにヤキモチを焼いていたんじゃないかなぁ
 いつも大切にしてくれている持ち主のマリカさんが、自分のほかに優しくする子を見ていて・・・
 ・・・ちょっと困らせてやろう・・って思ったんじゃないかな・・・・なんちゃって。」

寝てしまったチチを掌の上で優しく撫でながら、西さんはちょっと照れ臭そうにそう言った。

・・・そういえば、わたしがネジを巻いている時、すごくキツくてヘンな音がしていたけれど、
今、西さんが巻いた時は上手く・・・素直に廻っていた。

どんな物であっても、大切に使えば長持ちする。長く使われ、親しまれ・・・そして、魂が宿るんじゃ・・・
そんな事をマリカさんも言っていたっけ・・・

「・・・ごめんね、時計さん マリカさんを取り上げちゃうみたいな事しちゃって・・・
 でも、わたしもあなたと仲良くなりたい・・・お友達になりたいな」


・・・・・・・・・・・・・ボーン・・・・

195 名前:12 投稿日:2004/05/01(土) 02:20 ID:???
>>192 さん
どうもですー
かよちゃんの妖精をチチという名前したのは、他所様のSSでも見掛けない
ま だ 誰 も 使 っ て い な い だ ろ う な
という単純な理由だったりします。

決して、フォルゴレの歌から取った訳じゃないですヨ。>>西さんw

196 名前:71 投稿日:2004/05/01(土) 23:25 ID:???
かよちゃん話、いい具合ですなぁ。
出さないつもりだったという妖精チチもいい感じだと思います。
気になったのは「西さん」かな。もう少し魔法使いっぽい(?)名前が良いかと…
ん〜なんというか…話にぐっと惹きつけられているのに
「西さん」という平凡な名前が出てくることでぱっと妄想が切れてしまう、
そんな気がしてしまいました。

197 名前:West 投稿日:2004/05/02(日) 02:41 ID:???
>>12さん
実家の僕が昔使っていた部屋にもこんな時計があったなぁ。今度帰ったら久しぶりに
ネジを巻いてみようか。

いつもながら優しい雰囲気がいいです。
…見られてましたか、あうぅ m(_ _;)m


>>71さん
いや、魔法使いは魔女に比べて人間っぽい名前も多いみたいだし(♭4とか)
マキハタヤ・マリカさんとは逆に下の名前が妙なのかもしれないし…すみません平凡で。

198 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 15 投稿日:2004/05/07(金) 02:08 ID:???
真夜中

わたしはそっと起き上がり、ベランダに出る

「・・・・んー・・・やっぱり曇っていて見えないや・・・そうだ、雲の上に出れば見えるかも。」

魔女見習いに変身して、ホーキに跨る そして、飛び立とうとすると・・・

「・・ち・・ちち!ちちち」
「・・・あっ、チチ・・・ゴメン 起こしちゃったんだね。
 じゃあ、チチも一緒にお月様を見に行こうか!」

グングン高く上ってゆく、わたしとチチ
雲の中を通り抜け、その上にでると・・・星の夜空 そして西の空に月が見えた。

「きれいだねぇー、チチ」
「ちち、ちちち」
「もうすぐね、お月様がだんだん欠けてゆく“月食”が始まるのよ。
 太陽に照らされて輝いている月が、地球の影になってしまって起こる、数年に一度しかない
 珍しいことなんだ・・・って、チチにはまだ難しいよね。エヘヘ」
「ちちち。」

明け方が近付くに連れ、段々と沈んでゆく月が・・・赤く染まり・・・欠け始める。

「・・・・ち・・・ちちちちちちちちちちち!!!」
「!?どうしたのチチ・・・」
「・・・・・・・・ちち・・・ちちち」

チチが泣いている・・・どうして?

「どうしちゃったのカナ? チチ・・・眠くなっちゃった?? 帰ろっか?」

 ・・・・あなたは優しい人・・・私と同じ・・・・
 ・・・・でも、お願い・・・・どんな事があっても、この子を悲しませないで・・・・
 ・・・・私の過ちを・・・繰り返さないで・・・・お願い・・・・・・・・・

チチが言っているような・・・空から聞こえてくるような・・・何も聞こえないような・・・
・・・でも、わたしの心ににはその言葉がハッキリと聞こえた・・・

・・・誰?・・・・誰なの??

・・・・・・・

翌朝、起きるとチチは何事もなかったようにニコニコしていた。
でも、あの空での出来事は何も覚えていないようだった・・・

それに、あの時聞こえて来た声は一体なんだったのだろう?

「何を悩んでおるんじゃ?かよこ」
「・・・ええ、実は・・・」

あの時の出来事をマリカさんに話す、すると彼女は奥の書棚から古い本を取り出してきた。

「この本に書かれておる。読んでみなさい。」

しかしそれは、摩訶不思議な文字(魔女界語?)が並んでいて・・・

「・・・・・あのぉー・・・コレ何て書いてあるか解からないんですが・・・」
「・・あ、ああ・・そうじゃったのォ
 かよこは魔女界文字を知らんかったな・・・よし、ワシが読んでやろう。」

マリカさんはカウンターに座り、
赤い三日月が表紙に描かれているその本をゆっくりと読み始めた。

199 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 15 投稿日:2004/05/07(金) 02:11 ID:???
「昔、ある田舎の村に魔女見習いの娘がおった。
 その娘は、病気がちな母親と妹の三人暮しで、貧しかったそうじゃ
 じゃが、逆境にめげることなく、いつも明るく周囲の者をも幸せにする、
 とても良く出来た娘だった・・・

 しかし、ある月の欠ける晩のこと 娘は・・・
 「私はとても大事な用で、遠くに行かなくてはならなくなった
  済まない・・・本当に済まないが、暫くおまえに私の代わりを努めて欲しい・・・」
 そう妖精にいい残し、娘は出掛けていった・・・

 ・・・その翌日、娘は山で泣いている所を村人に助けられた。
 よっぽど怖い思いをしたんだろう・・・それ以来、娘は笑ったり泣いたりはするが、
 決して言葉を喋らなくなってしまったそうじゃ。
 でも、娘はその後も元気になった親、妹と暮らし、魔女見習い修行を続けた・・・

 半年後、一級試験に合格し、娘は魔女になった。
 じゃが、カエルになった魔女を元の姿に戻すと、なんと娘は妖精の姿になり

 そして・・・・息絶えてしまったそうじゃ。」

「それって・・・もしかして妖精が娘さんの代わりをしていたって事なんですか?」

「そうじゃ、妖精は娘を演じておったんじゃよ・・・

 実は・・・娘の母親は、肺結核を患ってしまっておってのぉ
 医学の発達しておらんかった当時、結核は不治の病だったそうじゃ・・・
 なのに、その病が何故か突然完治してしまったそうじゃ
 ・・・娘が、山で泣いていた・・・その日に。

 娘は・・・月の欠ける夜に母親の病を治す禁断魔法を使い・・・
 本当は亡くなっておったのじゃ。

 娘が居なくなった翌朝、妖精は心配になり、辺りを探し回った。
 そして、山で娘の亡骸を見つけた・・・

 妖精は泣きながら娘を葬り、そして娘の姿になる様、自身に魔法を掛けた。
 そして、元に戻る呪文を自己の記憶から消し去った・・・
 ・・・二度と妖精の姿に戻る事がない様に・・・

 でも、ひとつだけ問題があった・・・見習いである娘の妖精は、まだまだ子供で
 ・・・チチと同じように人間言葉を喋るまでには至っていなかった。
 そう・・・喋らないのではなく・・・喋れなかったんじゃ・・・

 そして、主が死んでしまい、魔力を受ける事の出来なくなった娘の妖精は、
 日々衰えていった。でも娘の残した言葉を・・・最後の願いを叶えたい
 その想いだけで、気丈に振る舞っていたんじゃ

 その事を知った人間界に住む魔女や魔女界の民は嘆き悲しみ、
 後に妖精は、主の眠る山へ埋葬されたそうじゃ・・・」

「赤い月・・・かぁ・・・とても哀しい・・・・お話なんですね。」

「うむ・・・今でも魔女界では、月食の月が赤く染まると、
 その娘と妖精のことを哀しんで・・・月が泣いているんだと言い伝えられておる。」

あの時聞こえた声・・・あれは娘さんの声だったんだ。
そして、あの時泣いていたチチにも・・・妖精さんの想いがきっと伝わっていたのだろう・・・

・・・大丈夫だよ わたしチチを悲しませたりしない・・・絶対にしないから!!・・・


帰り道、今日は晴れているので東の空に月がくっきり見えている。

いつもの白い月

・・・それはまるで娘さんと妖精が笑ってみているような・・・綺麗なお月様だった。

200 名前:12 投稿日:2004/05/07(金) 02:36 ID:???
Q・だったら呪文はどうしたの?
A・昔の見習いは呪文が要らないタップを使っていたのです。

下手な言い訳だな、オイ・・・ _| ̄|○

>>71 さん
うーむ・・・あまり深く考えずに書いてました。スミマセン
でも、こっち(人間界)でも魔女を続けている 巻機山リカさん と
魔女をやめた人 佐倉未来さん という例があったりするので、
魔女→奇怪な名 魔女辞め→人間に同化する為、一般的な名
っていう風に思ったりもしましたです。

>>197 Westさん
「晒されたネタは倍返し」が12のモットーですので・・・コレカラモヨロシクデス

自分の部屋にもあったりするんですよ、ボンボン。
もう壊れて動かないんですけど、亡くなった婆ちゃんが使っていた物なんで
捨てられなくって・・・未だに柱に掛かってたりします。

201 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 16 投稿日:2004/05/08(土) 02:03 ID:???
横浜の元町
高台へ向かう山道の途中に、その喫茶店はある。

飾らず、気取らず・・・静かで、とても落ち着いていて・・・
カウンター 椅子 柱時計・・・その全てが古めかしく
・・・でも、それがどことなく懐かしい

それは訪れる者が皆、昔の自分に戻れるような・・・
そんな感じがしてしまうような・・・不思議な喫茶店。

店員はいつも決まって、小学生ぐらいの女の子ひとり。
頼まれているのか、雇われているのか、はたまたここの娘さんなのか・・・興味は尽きない。

「・・・あのぉー・・・なにか?」

イカン・・・ついつい女の子をじーっと見つめてしまった。

「あ、イヤ・・ゴメン
 なんかいつもキミ一人でお店に居るからさ・・・ちょっと気になっちゃって。」
「あっ、えっと・・・その・・・わたし、ここのお婆さんに頼まれているだけですから」
「どうして?」
「・・・どうしてって言われても・・・」

困ったような、照れているような・・・でも少し警戒してる
ちょっぴり赤らめた顔が・・・なんともカワイイ

「ハハハ、ゴメンゴメン・・・別に怪しいモンじゃないよ。僕は・・・」

と、名刺を差し出す。

「えっと・・・週間・横浜の歩き方 槙さん・・・記者さんですか?」
「まぁ・・・そんなトコです。」

・・・雑誌記者さんが、なんでこんな所に??
マリカさんには悪いけど、とても雑誌で紹介するようなお店ではないしなぁ・・・
まさか・・・魔女見習いのこと気付かれた!?

「・・ま、槙さんこそ、どうしてこんな店に? まさか雑誌に載せてくれるとか」
「うん、最初はそう思っていた・・・でもやめた。」
「えーっ、なんでぇー??」

「・・・ここに来るとさ・・・何だか懐かしい気持ちになるんだ・・・
 夢も希望もあった・・・昔の自分に戻れるような・・・不思議な気持ちに
 だから、人に教えるのが勿体無くなっちゃってさ・・・エヘヘ・・・記者失格だな。」
「・・・そんな事無いですよ・・・その気持ち ちょっと解かるから・・・
 わたしもここへ来るようになってから・・・なんだか言葉では言い表せないような
 ・・・とっても温かくて優しい気持ちに包まれてる気がするの。」
「ふーん・・・でも僕は、ちょっと謎っぽい、かわいいマスターの居る
 “喫茶マリカ”ってのも好きなんだけどな。」
「・・・それって、わたしのコトですか?」

あっ、また赤くなっちゃった・・・

でもこの子・・・何処となく影を持っていて、
それをちょっぴり背伸びして覆い隠しているような・・・放って置けなくなるような子・・・

「なーんてな。ハハハ」
「んもう!!からかわないで下さいよぉ」
「ゴメン・・・おっと、そろそろ社に戻らないと・・・じゃあ、また来るから。」
「ありがとうございました!!」

なんだかカルそうな感じの人だなぁ・・・でも、悪い人じゃないみたい。

202 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 16 投稿日:2004/05/08(土) 02:04 ID:???
・・・ジリリリリン・・・ジリリリリン・・・
店の電話が鳴る・・・ここへ来るようになって初めてだ。
マリカさん留守だけど、取っちゃっていいのかな?

・・・ジリリリ
「・・もしもし、お待たせしました、喫茶マキハタヤ・マリカです。」
「・・・・・・・」
「・・・もしもし?」
「・・・・・・・」
「・・・あのぉー・・・どなたですか?」
「・・・・・・・プッ プーップーッ・・・」
「切れちゃった。・・・悪戯かなぁ?」

・・・ジリリリリン・・・ジリリリリン・・・
まただ・・・

「・・もしもし、喫茶マキハタヤ・マリカです。」
「・・・・・・・」
「・・・もしもし?」
「・・・・・・・」
「・・・あのぉー・・・悪戯ならやめてください!」
「・・・・・・・プッ プーップーッ・・・」
「もう!なんなのよ!!」

今の電話、ひょっとして・・・さっきの記者!
やっぱり、わたしやマリカさんの事を何か疑っているんじゃ・・・
何か勘付いて、ここを何処かで見張っているんじゃ・・・
まさか・・・変身している姿を見られたんじゃ・・・

「どうしよ どうしよ どうしたらいいのぉぉー
 こんな時に限って居ないんだから・・・もぅ、早く帰ってきてよマリカさん!!」
「なんじゃい?」
「う"わあああぁぁぁっ!!!・・・・・???
 まっ、マリカさんかぁ・・・ビックリさせないでくださいよぉー」

突然の大声に相手も驚いている・・・それは帰ってきたマリカさんだった。
わたしが(ひとりごとを)喋っていたので、
お店に客が居ると思って裏口から入ってきたそうだ・・・

「うーむ・・・確かにこの店を雑誌に取り上げうなんて、物好きにも程がある。」
「でしょ!でしょ!! わたしもヘンだと思ったんですよ!!」
「(オマエも容赦ないのぉー、かよこ・・・)ま、まぁ、落ち着け
 魔女見習いがバレたと決まった訳ではないし、ちと様子を伺ってみよう。」

・・・ジリリリリン・・・ジリリリリン・・・
電話の呼び出し音がまた、店の中に鳴り響く

「よし、ワシが出る。」

「・・もしもし、純喫茶マリカ。」
「・・・・・・・」
「・・もしもし?」
「・・・すみません、コーヒーのデリバリーをお願いしたいのですが」
「で、でりばりぃ・・・ってナンじゃ?」
「マリカさん、デリバリーって出前の事ですよ。」

トホホ顔で、マリカさんに突っ込む。

「おお・・・出前ですな。(ならそう言ってくれれば良かろうに・・・)」

さっきの電話と違ったみたい・・・良かった。

・・・・・・・・

「じゃあ、気をつけて行ってくるんじゃぞ」
「ハイ・・・って、すぐ傍のマンションなんだから大丈夫ですよぉ」

コーヒー二人分をトレイに乗せて、わたしは店を出る。


・・・これから起こることなど・・・何も知らずに・・・

「何か気になるのぉー
 かよこに・・・何か良からぬ事が起こらなければよいが」


先程まであんなに晴れていた空が、みるみるうちに暗くなり・・・雨が降り出そうとしていた。

203 名前:かよナイのオリない面々(登場人物紹介・1) 投稿日:2004/05/08(土) 02:08 ID:???
マジョマリカ(巻機屋マリカ)

年齢 ないしょ。 血液型 ? 誕生日 12月3日
横浜の元町で「純喫茶 マキハタヤ・マリカ」をひとりで営んでいたが、
かよこに正体を見破られ魔女ガエルになり、現在に至る。

浪費癖アリ。店には毎日ほとんど客が来ない割りに、
どこからともなくお金が出てくる。不思議・・・というか不安。
古本集め、買い物、特撮オタ、温泉好き・・・と多趣味。
妖精は現在、魔女大学へ留学中。

喫茶マリカという名前、実は勝手に名付けたもので、旧名称は「かふぇ魔法堂」
この件で現先代女王に「なにを考えているのです・・・」と大目玉を食らった。
だが「魔法堂なんて、魔女が経営してるって看板掲げているようなもんじゃ
危なくて仕方ない。」と、譲らなかったそうな・・・かなりの兵。
(ホントは、どれみ達のMAHO堂のことが、かよこにバレてしまうので・・・ですw)

204 名前:M.Uoz ◆0dv65rd4a. 投稿日:2004/05/10(月) 03:05 ID:???
>>12さん

さっき気付いて一気読みしました『かよナイ』。
面白いです。>>164>>166の間が全省略なのは上手い! と思いましたですヨ。
ワクワクで続きをお待ちしております。

205 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 17 投稿日:2004/05/14(金) 04:30
「うわ、おっきなマンションだなぁ・・・」

今流行のタワー型高層マンション。ここの1308号室が届け先である。

ピンポーン 「あの、お待たせしました喫茶マリカです。」

インターホンの向こう側は何も言わずに、ドアだけが開いた。
でも、玄関には人の姿が無く・・・
開いたドアから中に入り、中へ向かって声をあげる。

「あのぉ・・・ごめんくださーい・・・ごめんくださーい!!」

バタン、カチャッ
不意に背後のドアとカギが閉まった。
振り返るとそこには・・・

「・・・・・・・」
「・・・あのぉ・・・おうちの方は? いないのかな??」

背の高さからして、1、2コ下・・小学校4年生位だろう・・・男の子が黙って立っていた。

「・・・フッ・・・やっと手に入れたぞ・・・ぼくの“ちょうちょ”。」
「・・・はい?」
「コーヒーを電話で注文したのはボクだよ・・・このボイスチェンジャーを使ってね。」
「・・だ・・ダメだよ、キミ そんなイタズラしちゃ、お家の人に怒られちゃうよ?」
「家の人? そんなのいないよ。うちは両親とも海外で月末にしか帰ってこないから・・・
 いつもはお手伝いさんが居るんだけど、今日は帰って貰ったんだ。」

笑顔をわたしに向けながら話す少年。
だが、その行動は心の中を映すかのごとく、捻じ曲げられたものだった。

「あのね、お姉ちゃんお店のお手伝いをしているの。
 だからキミと遊んではいられないんだぁ・・・ごめんね。」
「・・・・・・・知ってるよ。ぼく・・・お姉ちゃんのヒミツ。」
「えっ・・・な、なんの事かなぁ?」
「フフッ・・・誤魔化したって無駄だよ? ほら、こっちにおいでよ。」

手招きされて、奥の部屋へと案内される。
飛行機の模型や玩具が並ぶ、少年の部屋。窓際を指差し少年は微笑む。
そこには天体望遠鏡が明後日の方向を向いて置いてあった。
・・・ふと、その方向を辿り・・・わたしは蒼ざめる・・・

「・・・・・・まさか!」

206 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 17 投稿日:2004/05/14(金) 04:32
「そうだよ。ここから毎日お姉ちゃんのこと見ていたんだぁー
 ・・・いつも3時過ぎごろ、店の裏庭にホーキで飛んできて・・・
 最初見た時はビックリしちゃったよ。夢を見ているんじゃないかって
 でも、夢じゃなかった・・・」
「・・・・・・・・」
「それからはこの望遠鏡でずっと喫茶店を見ていた。
 あんまりお客さんが来なくて、時々欠伸をしていたり・・・
 お店の中で、ヘンな毛虫みたいなのとお喋りしていたり・・・
 お客の男の子にバケツで水を掛けちゃったり・・・
 いつも楽しそうにニコニコ笑っているお姉さんが、好きになった・・・
 ぼくのものに・・・したくなっちゃったんだ。」

頭の中がまっ白になってゆく。
ぼーっとして、少年の声が遠くに聞こえている・・・

「でも大丈夫。この事、ぼく誰にも言わない・・・秘密にしてあげるから
 そのかわり・・・・“ちょうちょ”になって。
 ぼくだけの・・・・・・これはお願いじゃないよ
 命令・・・だからね?」

少年の笑顔とは裏腹に、発せられる言葉は突き刺さるように・・・冷酷だった。
わたしに残された選択肢は、もう残っていない

「・・・・・・・・いいよ、わたしなってあげるよ キミの“蝶々”に・・・」


・・・・・・・

「・・・おそいのぉー・・・どうしたんじゃろうか?
 やはりかよこの身に何かあったのでは・・・」
「ちち、ちちち」

ガチャ・・・
玄関ドアが開き、かよこが入ってきた。

「おお、お帰りかよこ・・・随分と遅かったが、何かあったのかい?」
「ちちちーち、ちちち?」
「・・・ごめんなさい・・・ちょっと道に迷っちゃっただけで、
 別に何もないよ・・・心配掛けちゃったね、ごめんねマリカさん、チチ・・・
 ・・・でも、ちょっと気分が悪いから・・・今日はもう帰ります。」
「あ、ああ・・・気をつけて帰れよ。」

・・・・・・・

「・・・泣かないでよ、お姉ちゃん。ぼくも悲しくなっちゃうよ
 ・・・安心して、ずっとここに居ればきっと楽しくなるから・・・
 ぼくも学校にいかないで、ずっと、ずーっとお姉ちゃんと一緒にいてあげるから」
「・・・ひとつだけお願いがあるの。
 お姉ちゃんにも、お父さんお母さん・・・それに大切なお友達がいるの。
 だから・・・お別れをしてきたいの・・・いいかな?・・・」
「わかった・・・じゃあ明日まで時間をあげる。」

・・・・・・・

もう後戻りは出来ない。でも、覚悟は決まっていた。

わたしがあの少年の為にできること・・・・

でも・・・でもその前に・・・

会いたい・・・会わなければならない人がわたしには居る。


こんな時、あなたなら・・・あなたならどうするの?


お願い・・・おしえて!!

207 名前:12 投稿日:2004/05/14(金) 04:47
>>204 M.Uoz さん
なんだかまたスゴイお方に見つかってしまいましたなぁ・・・
はじめましてです。

ステイゴールドや夢探し、未来さんのお話など
敢えて「描かない」書き方がちょっぴり気に入っておりまして 私。
まぁ足下にも及ばない(てか、比較する事自体失礼)ですが
気に入って頂けてウレシイです。

幕間を読んでて気付いたのですが、
ひょっとして“かよあい”好きさんなのかな・・・と思ってみたり テヘッ

208 名前:71 投稿日:2004/05/15(土) 00:40
12さんに「スミマセン」なんて書かせてしまうとは…ゴメンナサイ…
今度からは一言だけにしときまつ。

209 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/05/17(月) 01:48
>>71 さん
何を仰いますか・・・
前にもいった通り、良い刺激になっておりますので
止めるなんて言わないで下さいー!!
こんな辺境の駄文スレにレスを返して下さるだけで、ホント嬉しいんですよ。私


                  __ __ __ __ __                 __ __
                 ∠__∠__∠__∠_.∠_../ |        __∠__∠__∠l__
               ∠__∠__∠__∠__∠__/|  |        ∠__∠__∠__∠__/.|_
.                ∠__∠__∠__∠_.∠_./|  |/|       ∠__∠__∠__/   /|  |/|
.                /   /  ./   /   /  /! |/|  |     |  /  /  /| ̄ ̄|  |/|  |
              | ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|  |/  |/|     |_| ̄ ̄| ̄ ̄|  |__|/|  |/|
        __ _|    |__|__|__|__|/| ̄ ̄|  |    ∠__|__|__l/   /|  |/|  |
.         /   / | ̄ ̄|  |_|/|    |    |  |__|/|   |    |    |    | ̄ ̄|  |/|  |/
      | ̄ ̄| ̄ .|    |/|  |  |    |__|/|    |  |   |__|__|__|__|/|  |/|
.     ___|__|__.| ̄ ̄|  |_|/      |    |  |__|/     |    |    |    |    |  |/|  |
.   /   /   /  |    |/|.         |__|/|          .|__|__|__|__|/|  |/
  | ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|  |.         |    |  |            .|_|    |    |  |__|/
  |__|__|__|__|/        |__|/               |__|__|/


>>某お方
モウシワケナイ・・・今日気が付きました。貴方様の休業中スレ
漏れのDスレのK編・・・もろ被っていて・・・もうただただ↑な訳で・・・
ほんと、ごめんなさい。

しかし、あんな○なSS書いていたり、実はD○Gに裏参加してたりと・・・
芸達者振りが垣間見れて楽しかったっス。

210 名前:くろがね 投稿日:2004/06/01(火) 00:01
∀゚) ミタヨ イイハナシバッカリダネ!

゚) トコロデ イチブデディジャブヲカンジルノハキノセイ?w

彡 サッ

211 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/02(水) 02:04
○(゚▽゚)@ ?

○(゚▽゚;)@ ・・・・

○(゚▽゚;;)@ ・・・・キッ

_| |\ | _  |\     /         \     ./| |/| |
 |_   ̄| | |__,| |  \  .| ○    ○ |   /  | |  | |
 _| .l二. | _  | | ̄ ̄ ̄|   .|___|    .| ̄ ̄ ̄| | |  | |
 |_  _|.L]]\| |. \. ̄ ̄|    |  |     | ̄ ̄/ .|__|  |__|
 \ | |\\  | |-'''"`'ー-、.|  ', /     .|、,, /  ////
    |__,|  \r''|__|ヽ,.r ・:,/".\   ∨   /・:`)"`)/□/□
   ・., \ー'"\ ;・\,,.r─''"゛゛`‐-、/ r''⌒`/ ,--、・///,..
 ・''"⌒ヽ、 {"∴ \ r''`"r、r-'''`ヽ、,,  `)  /''"⌒r''"`` /r''"
   ,,.-\. /■\   ∧∧ ∧_∧  ∧∧  ∧_∧ -、,,_
 .",.r''" (´∀`∩) (*゜ー゜) ( ´∀` )(゜Д゜,,)(・∀・ )   `・
      (つ  丿 とと ./ ⊂    つ(|  つ (    つ
      ( ヽノ 〜  / /  ∧ \ |  〜 .|  ト、 \
                          ↑ドレミチャンスレコピペ

212 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 18 投稿日:2004/06/06(日) 13:11
夕方の、閉館間直の美空市立図書館
一年前まで毎日通ったこの場所も、随分と久しぶりだった。

そして彼女に逢うのも久しぶり・・・

でも、彼女はあの時と同じように
わたしを待っていてくれた。

「どうしたの? 元気ないね」

「・・・うん、ちょっとね・・・」

「・・・ここへ来た・・・って事は・・・わたしに何か聞きたいんじゃないの?」

「・・・うん」

「・・・あの子の事・・・でしょ?」

「・・・・・」

「・・・友達も居なくて、学校に行けなくて
 お父さん、お母さんにも話せない・・・話す事が出来ない
 辛くて、淋しくて・・・誰にも構って欲しくなかった・・・
 ・・・そっくりだものね。」

「・・・・・どうしたらいい?」

「ん?」

「どうしたら、あの子を助けてあげられるんだろう?
 あなたなら解かってくれる・・・この気持ちを
 いまのわたしの気持ちを・・・」

「・・・うふふっ・・・・もう答えは出ているじゃない。」

「・・・えっ?」

「どうにかしたい・・・あの子を助けてあげたい。
 その気持ちさえあれば、きっと通じるよ・・・
 自分が不要な人間だって・・・消えてしまいたい・・・って思った
 あの子と同じ 辛い気持ちを知っている かよこなら・・・
 きっと あの子を救い出せる。
 わたしは そう信じる。」

「・・・・・」

「・・・こんどはさ、かよこが どれみちゃん になる番なんだよ。」

「・・・ウン・・・わたし頑張ってみる
 ありがとう。」

わたしは涙を浮かべて、彼女に手を振る。
彼女も涙を浮かべて、わたしに手を振る。

いつも独りだったあの頃、一緒に話した彼女。

それは・・・図書館の大きな鏡に映る


もうひとりの わたし。

213 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 18 投稿日:2004/06/06(日) 13:13
「いらっしゃい さ、あがってあがって」
「・・・うん」

翌日、朝
わたしは少年の家へとやって来た。

「これからはずっと一緒だよ。ちょうちょさん
 ・・・さ、何して遊ぼっか?テレビゲームもパソコンもあるんだ。」

彼とゲームをしたり、テレビを見たり
でも、夕方近くなると少年は不機嫌になってしまう・・・

「・・・どうしたの?」
「・・・つまんない、もう飽きちゃったよ・・・」
「そう・・・ゴメンね、
 わたし・・・あんまり人付き合いとか上手くないから、退屈させちゃったね。」
「・・・・・・」

わたしの言っている事を聞いているのか、いないのか
そっぽを向いて返事すらしない。

どうしよう・・・
オレンジ色に染まっていた窓が、段々と藍色に変わってくる
まるで玩具箱のような 眼下に広がる街は、急かされる様に輝き始めた・・・

「ねぇ、お散歩に行かない?」
「・・・いいよ、面倒臭い」
「・・・いいの? ただの散歩じゃないんだけどなぁ・・・」

見習い服に着替え、ホーキを取り出し
少年を後ろに乗せ、暮れたばかりの夜空へ飛び立つ。

「・・・ねっ、スゴイでしょう」
「す、すごいやぁ・・・飛行機に乗ってるみたいに街が小さく見える・・・」
「うふふ・・・」

ベイブリッジやマリンタワー・・・街中をゆっくり飛び、海に出た
商船やクルーズ船が、蛍のように光って見える。

「キミはわたしの事を、どう思っているのかわからない・・・
 でも・・・でもね、
 わたしは・・・キミの友達になりたいな。」
「・・・トモダチ?・・・そんなのいらない。
 お姉ちゃんはボクのちょうちょさん・・・それで・・・いいんだよ。」

言い放ったその言葉とは裏腹に・・・彼は動揺している。
間違いない この子は・・・

「同じだね、わたしと・・・」

214 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 19 投稿日:2004/06/06(日) 13:16
「まだ一年も経っていないんだ・・・わたしが学校に行けるようになってから
 わたしもキミと同じ、学校へ行けなかった・・・不登校だったんだよ。」
「・・・うそ」

「辛くて、苦しくて、悲しくて・・・こんな思いするくらいなら、
 いっそ楽になってしまいたい・・・そんな事を考えたこともあった。
 でも、ある日・・・わたしの前に天使が舞い降りたの。」
「・・・・・・・」

「ちょっとお節介だけど、人の心の痛みが解かってしまう その天使は、
 あの手この手で、わたしが登校出来るように頑張ってくれたの。
 そのおかげで、半年経ったクリスマスの日に
 わたしは学校へ・・・クラスのみんなの元へ帰ることができた。」
「・・・・・・・」

「その天使は今も・・・わたしが誇れる
 大好きな“ともだち”なの。
 だから、わたしもキミの天使に・・・

 ともだちになりたいの!!」

・・・あの時・・・いちばん嬉しかった言葉・・・・・・

お願い・・・この想い 届いて!


「・・・いつの間にか、煩わしくなっていったんだ・・・何もかも」

気が付くと、かなり沖の方まで飛んできていた
眼下に広がる黒い海原・・・それを見つめながら、ぽつり ぽつりと
少年は喋り始めた。

「ぼくが小学校にあがる少し前位から、パパとママの仕事が忙しくなってきた
 ・・・その頃から、二人の仲は悪くなっていったんだ・・・
 お互い会わない事で誤魔化してる。今もずっと・・・

 ある日、ぼくは学校へ行かなくなった。
 転校した学校が、前居た学校より勉強が進んでいて・・・
 でもパパもママも怒らないで「行きたくなければ家で勉強すればいい」って・・・
 だから、それからずっと行っていない。

 欲しい物は何でも揃えてくれるし、料理だって家政婦さんが作ってくれる。
 嫌だった・・・人に頼んで、食べ物と遊び道具を与えられているだけ・・・
 これじゃまるでぼくは犬や猫・・・動物と同じじゃないか・・って

 もう何もかも、嫌で嫌で堪らなくなっていた・・・

 そんな時、お姉ちゃんを見つけたんだ。
 いつもいろんな人達に囲まれて、いつも笑っていて・・・
 羨ましかった・・・ だから だから・・・・」

「意地悪してやろうと思ったんだ。わたしの事」
「・・・・・・うん」

215 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 19 投稿日:2004/06/06(日) 13:17
「・・・わたしもそうだった・・・意地張ってさ・・・お父さん、お母さん、学校の先生
 みんな嫌だった・・・構わないでくれって思っていたんだぁ

 でもね、人間誰しも完璧じゃない。
 わたしだって、キミだって・・・
 でも、どうにかしようと頑張る事で、
 その欠けているピースが少しずつ・・・はまってゆくんじゃないかと思うんだ。

 チョットだけでもいい、わたしと頑張ってみようよ!!」

「・・・うん・・・・・・・・・・・・・・・・・ア・・・ト・・・・チャ・・・」

小さな小さな返事を返す・・・その声は、風の音に掻き消されてゆく・・・

でも、彼のその想いは・・・わたしを抱きしめている手の強さで伝わってきた。


・・・・・・・・

翌日 喫茶マリカ

「だいじょうぶですよぉー マリカさん。・・・もうバレてますから」

彼を喫茶マリカへ連れて来た。

・・・まず、初めは外へ出る事、人と触れ合う事・・・
ここは、それにもってこいの場所だもん。

「大丈夫じゃないじゃろうが!かよこ
 オマエ・・・こやつに「魔女見習い」と言われたらワシのように
 魔女ガエルになってしまうんじゃぞ? 解かっておるのか!!」
「解かってます。彼にも言っておきましたから大丈夫です。」
「・・・オマエは・・・もう勝手にせい、ワシャ知らん!」

「・・・いいの? あのカエルさん、怒ってるみたいだよ??」
「ふふふ・・・いいのいいの
 あっ、そうだ まだ名前聞いていなかったね・・・えっと」
「・・・ボク、仙崎とおる・・・って言います。よろしく、お姉ちゃん」

「わたしは、かよこ 長門かよこ! とおる君・・・・

 喫茶店・マキハタヤ マリカ へ ようこそ!!」






「フンッ・・・・・・・・・“純”が抜けとるぞい」

216 名前:12 投稿日:2004/06/06(日) 14:05
更新を待っていた、全国2〜3人の皆様 お待たせ致しました〜 ペコリ
いや、本当遅くなっちゃってスンマセンでした・・・


>>210 くろがねさん キター!!
いやぁ・・・貴方様にまで見つかってしまうとは・・・

デジャブ感じまくりでしょう?私、くろがねさんのファンですから。ハイ

どうにかして近付きたいと思って、いろいろ書いてみたんですが、
如何せん、書き手が低能なものでパクリにしか見えず・・・ホントニホントニ スンマセン

書き方はくろがねさん、設定は某お方・・・
真似ばっかだな、オマエ・・・_| ̄|○

という訳で、くろがねさんの新作SS激しくキボンヌ(ヨカッタラココデ・・・アヒョ)

>>某お方
時に6月ですが、1800行はどんな塩梅でつか?w イツモ カマッテクレテ トンクスデス。アヒョ

なにやらkageSSスレ住人にとって、気になる企画スレが立っておりますが・・・

kage町の町内会長サンとしては、どう考えておられるのか気になるトコロです。

217 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/07(月) 03:58
図書館での対話シーン…胸にズーンときました。

同じ痛みを知っているからこそ、癒すことができる…。
ここはとてもいい喫茶店ですね。


(;゚ー゚) …ってか、誰がkage町の町内会長やねん?

すいません。今居場所が無いんで、ここで現状報告しちゃいますね。
それというのも、おいどんを召還した貴方が悪いんであってゴメンナサイ。

>なにやらkageSSスレ住人にとって、気になる企画スレが立っておりますが…
kageスレの住人として意見を言いたいところですが、
2ヶ月強もスレ立て放棄してるんで、こっちにそれをいう権利は無かったり…(汗)
まぁ、あの企画が『どch』活性化に繋がるのなら、それもいいんじゃないかな?とか。

>時に6月ですが…
_| ̄|○ やっぱり告知期限切れが原因だったのか…?
現状ストックは、4章1話目(2500行:完了)と、2話目前半(2000行:完了)と
いったところです。
でも、今はお仕事が氏ぬほど忙しいので、6月中のスレ立ては無理かと。ゴメンチャイ。
…なので、某提携サイトの隠しページでも探しながら、気長にお待ち下さいませませ。

…人様のスレで無関係な長文を書いてしまったので、町内会長を辞任します。
というわけで、12さんを新会長にイピョー。


              _| ̄|○ 土日くらい休ませて〜(泣)

218 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 20 投稿日:2004/06/09(水) 20:57
昼前 喫茶マリカ。

「・・・・・・・」
「・・・・・・・ふぅ」

「・・・なに、カエルさん?」
「カエルさんではない!マジョマリカだと言っておろうが!!」
「ご、ごめん・・・ええと、マリカさん」

・・・こやつ、かよこに誘われたのが余程嬉しかったんじゃろう。

朝、マリカが気が付くと、とおるが店の前に立っていた。
かよこは昼の3時過ぎにならないと来ない・・と言っても、
邪魔でなければ居させて欲しい・・とカウンター席に座っていた。

「マリカさんって、魔女なんでしょ?魔法使えるんでしょ?」
「・・・うむ。」
「へぇー、魔女ってカエルなんだぁ・・・知らなかったよ。」
「・・・最初からカエルだったのではない。
 これは魔女ガエルの呪いに罹った姿であって、本当は人の姿なのじゃよ」
「そうなんだ・・・マリカさんかわいそう・・・
 よし・・・じゃあボクが、そんな姿にした悪いヤツをこらしめてあげる。」

拳を振りかざし、ヒーローのポーズのような仕草をするとおる。

「うーむ・・・困ったのぉ・・・気持ちは有難いんじゃが・・・
 かよこに聞いてはおらんのか?」
「んーん・・・ただ、「魔女見習い」って絶対に言っちゃダメ
 って言われただけだよ。・・・あと、マリカさんは良い人だから安心しろって」

・・・かよこのヤツ、なにが「だいじょうぶですよー」だ
何も教えておらんじゃないか・・・まったく。

・・・・・・・・

「・・・マリカさん、遅くなっちゃってごめんなさ・・・ん?」

「やった!またボクが親だぁ!!」
「むむっ・・・おのれ、次こそワシが」
「あ、とおる君 来てくれたんだぁ いらっしゃい」

店のカウンターに綺麗な絵札を並べて、二人はなにやら楽しげに遊んでいる。
・・・って、ちょっとまって コレは

「・・・マリカさん なにやってるんですか!」
「見て判らんのか? 花札じゃ。」
「かよ姉ちゃんいらっしゃい。ボクね、もう4回も続けて親なんだよ。」
「・・・どうじゃ、とおる? 次は賭けてみんか?」

「ちょおっと!マリカさん、とおる君にヘンな事教えないでクダサイよぉ!!」
「失礼な・・・花札はれっきとした“遊び”じゃ。」
「そうだよ、テレビゲームなんかより、すごく面白いや!」
「そうじゃ、今度はかよことチチも混ぜて麻雀でもやろうかのぉ?」

「もう・・・お店はどうするんですか!!」

219 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 20 投稿日:2004/06/09(水) 20:59
なんか・・・わたしのいない間に、マリカさんと、とおる君が仲良くなっちゃった
・・・でも、あのふたり・・・ホントに楽しそう。

そして、二人はチチを連れて、店の奥へ行ってしまった。

「・・・なーんか・・・今度はわたしが楽しくないんですけどぉ・・・」

椅子に中途半端に掛け、足をぶらぶらさせていると・・・
ドアが開く音が背中に聞こえた。

「いらっしゃいませ!」
「・・・よぉ、相変わらず客居ねぇなぁ」

この声は・・・間違いなく、いつもの冷やかし仕様の客だ。

「・・なーんだ、たつや君かぁ・・・」
「客に向かって「なーんだ」はないだろう?
 ・・・ったく、そんなんじゃお客さんに嫌われるぞぉ」
「ごーめんなさーい」

「かよ姉ちゃん! チチ凄いんだ・・・よ・・?」

そこへ、店の奥からとおる君が小走りでやって来た。

「・・・・んー誰だぁ?・・・」
「あっ、あっ・・えっと、二人とも初めてだよね?
 彼はたつや君。このお店の常連さんなの・・・
 で、この子はとおる君。この近くのマンションに住んでいて
 まだ知り合ったばかりだけど、わたしのお友達なの。」

怪訝そうな顔で見つめ合う二人・・・最初に口を開いたのはとおる君。

「・・・・・あの、よろしく」
「ああ・・・・でも、オマエ見たことない顔だなぁ・・・
 ここら辺に住んでるって事は、オレと同じ港小だよなぁ?何年何組だ??」
「・・・・・・・・」

たつや君の詰問に、黙り込んでしまうとおる君・・・マズイなぁ

「あ、あのね、とおる君は・・・」
「おめーは黙ってろよ。オレはコイツに聞いてんだ。」
「・・・・・・いいじゃん、そんな事どうでも・・・アンタには関係ない!!」
「はぁ?・・・んだとコラ!」
「やめてよ二人とも!ケンカしないで」

なだめるように、たつや君を席に座らせる。でも、二人はまだ睨みあったまま・・・

「・・・だいたい何だよコイツは 何時からここは託児所になったんだぁ?」
「違うの。とおる君はご両親がお仕事で殆ど家に帰って来られなくてね
 それでわたしがここへ来るように誘ったの。」
「ふーん・・・で、面倒見て母親気分ですか? かよこママ・・・あはは」

薄ら笑いを浮かべながら言い放つたつや・・・君。
それに今日はやけにツッ掛かって来るなぁ・・・なにカリカリしてんだろ?
それにまた追い討ちを掛けるように、とおる君が・・・

「・・・・あっ、解かった。
 アンタ、かよ姉ちゃんの事、ボクに取られたと思っちゃったとか?・・・アハハ」
「てっ、てめえ!!!」
「やめて、やめてよもう!!」

220 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 20 投稿日:2004/06/09(水) 21:01
二人は散々口げんかをして・・・というか、たつや君はわたしが宥めながら
帰っていった。

「はぁ・・・二人とも悪い子達じゃないのに、なんであんな風になっちゃうんだろう?」
「フフフ・・・かよこ、お前も意外とニブチンじゃのぉ」
「え?・・・ナンですかマリカさん わたしが鈍いって?」
「ちちち ちーちち。」
「・・・えっ?「解かってないなぁ〜」ですって!? あんたにまで言われたかないわヨ!」

・・・・・・・・

「お母さん、ただいまぁー」
「おかえりなさい、かよちゃん
 あ、そうそう かよちゃん宛てに書留が届いているわよ。テーブルの上」
「ありがとう・・・なんだろう?
 クイズとりびあん?・・・あ、そうだわたし懸賞に応募していたんだっけ
 当たったのかな?・・・ガサゴソ・・・あれぇ?

 『おめでとうございます。貴方は厳正なる抽選の結果、
  見事B賞「小磯ショートビーチ招待券」に当選致しました。』」


それは2週間ほど前、店で・・・

「ふぅ・・・温泉に行きたいのぉー」
「え?・・・確か、昨日魔女界の温泉に行って来たって言ってませんでした?」
「んむ。魔女界の温泉も良いんじゃが、最近ちょっとマンネリ気味でな。
 何処か良い所はないかの?」
「うーん・・・それじゃ今度、わたしと一緒に何処かの温泉へ行きましょうか?」

・・・って感じの話があって
たまたま、その夜テレビでやっていたクイズ番組で
箱根の温泉宿泊券が当たるクイズをやっていて応募をしたのだけれど・・・
どうやら違う賞が当たってしまったようだ。

「マリカさんを喜ばせてあげようと思っていたんだけどなぁ・・・
 世の中上手くいかないものね・・・・・・・・・・?


 そうよ、そうだわ!・・・これなら上手くいくかもしれない!!」

221 名前:12 投稿日:2004/06/11(金) 01:19
>>217 さん
○○○に○○○○o!の隠しPを、死に物狂いで捜索中。
・・・エ、チガウッテ? ソコシカシランヨ・・・アヒョ

は置いといて、お忙しいトコご報告ありがとうです!
てか、呼び出しちゃってごめんなさいです・・・

・・・でも、こんな人居ないスレで報告されるより
もちっとオープンな場所でしたほうが良いんじゃないかなぁ?
物凄い勢いで答えるスレとか、SS活性化スレ見ていると
気にされている方多そうな気がしたり・・・余計な事ですね スンマセン

楽しいものは、待っている時もまた楽しいものなのです。ハイ
だから焦らずにマターリと、お仕事に差し支えない程度に
がんばっちゃってクダサイ。kageながら応援しておりますyo

222 名前:くろがね 投稿日:2004/06/12(土) 00:49
(゚∀゚)アリガトウ12サン。モノスゴイコウエイダヨ!デモコウカイスルヨ、ワタシSSトウカシチャウヨw

(゚∀゚)イインダネホントウニ…

(゚∀゚)12サンノSSタノシミニシテルヒト ホントウニゴメンナサイネ

(゚∀゚)   ンジャ…トウカスルケド…ハンパジャネエヨw

223 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 00:52
【木漏れ日の彼方】


 こんにちは 春風どれみです。

 魔法と言う物が何なのか、それがあたしにとってどんな物なのか、
 それを気付かせてもらってから・・・ずいぶんと時間がたっちゃいました。

 あたしは今、充実した毎日を送っています。

 哲也とも・・・えへへ♪(てれっ) 言わなくたって...判るでしょ?

 小学生の時には『やなヤツぅ〜!』って思ってた彼も、
 あの日あいちゃんと見て、感じた、彼の心にあたしの心が揺れ始めて、
 卒業式が終わった日に起きた、あたしへの....彼からの本当の告白で....
 あたしは....心から彼との時間を過ごしてゆきたいと感じ・・・

 ・・・だから、あの日からあたしは今も、彼との素敵な時間を一緒に歩いています。

 え? 実際の所どうなのかって? 本当に良かったかって? 哲也を選んで後悔してないかって?

 うんっ!後悔するどころか、もっともっと彼と歩いていきたいもんっ!♪
 そりゃあさ、哲也って我がままでお子ちゃまなとこもあるけど、それだって実は・・・あたし可愛くって仕方ないんだよね♥
 てひひっ♪ なんていうかさぁ....男の子って、いつまでたっても子供っぽいトコがあるじゃん。
 あたしのお母さんも、『 お父さんは大きな子供みたいなもんよ♪ 』ってよくゆうんだけど、その気持ちすっごく判るんだよねェ。
 いとおしいってゆうかさ....なんていぅんだろ…なんか無性に抱きしめたくなる時があってね…(はっ!)
 い、いいい、今のなしっ! 聞かなかったことにして! お願いッ! ・・だ、だって恥ずかしいもんっ!
 ・・・んなこと言っちゃったなんて、哲也が聞いたら・・・(赤〜〜〜)

 もう....君のせいだかんね!(赤) こんな(ブツブツ)・・・

 あ、・・・でもさぁ....なぁんかあいつって....もてるんだよね....下級生の娘といい、他のクラスの娘といい・・・

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『ね、二組のクラスの小竹って子いるじゃん?!』 『あー知ってる知ってる、サッカー部で次期キャプテンの子でしょ!』
『ちょっといけてると思わな〜い?』 『だよねだよねぇー♥』 『なに?目ぇつけてんの?』
『あたしさぁ、ああいうヤンチャっぽくて、でもカッコいい子ってくすぐられんだよねぇー♪』
『カッコいいといえばー、おんなじクラスの矢田君もチョーいけてると思わな〜い?』 『(小指立てて)これ居んじゃーん!』
『そそ、クールで優しくて、カッコよくて大人びてて、居ない方がおかしぃって!』 『おまけにカレンときちゃ…』 『え〜ー・・・』
『んじゃ長谷部君とか、どう?』 『パースっ!』 『なんでぇ〜??』 『工藤がガードしてんじゃーん!』
『あー・・・あいつ・・・』 『レスリングか何だか知んないけどぉ〜 あんな筋肉娘はねのけるコンジョーねえしw』
『それよりやっぱ、あたしは小竹君よねぇー♥』 『下級生の子の面倒よく見てるしねぇ、案外優しいし♪』
『ノリいいしさぁ、ルックスだって十分いけてるよねぇー♪』 『でもさぁ・・・ほら二組のあの娘』 『え?なに小竹君も?』
『お団子変化の大化け娘!』 『なにそれ?』 『え、あんたマジ知んないのぉ?!』 『あの娘かぁ〜ー・・』
『確かに化けるよねー・・・あの娘・・・』 『あれ見たときあたしマジびびッたもん・・・』 『だよねぇ〜・・・』
『反則だよあのお団子w』 『あれってさぁ、めったなことじゃ見られないらしいよ?』 『だ か ら 誰だよぉ?!』
『春風 ど れ み ・・・付き合ってんだって、小竹君と』 『(ほら...居んじゃんあそこ)』 『(げ! マジ・・)』
『(あれってやっぱ付き合ってんの?)』 『(あれでぇー?!)』 『(ただのケンカ友達ってヤツじゃなかったのぉ!?)』
『(やば、こっち見てるって・・)』 『(わわっ!!)』 『(私し〜らねぇ〜〜)』 『(げ、目が合った〜〜!!)』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ・・・たまたま信ちゃんのクラスに遊びに行ったらこれだもんなァ・・・

 え、なに? あいつはきっと浮気もんだから、ろくなことが無い? それよりオレと付き合わないか、だってぇ?!
 ブー! 残念でしたぁー♪
 あたしと哲也はそんな安っぽい関係なんかじゃありませんよぉ〜だー!(にこやかに『べー!』)
 それにあたしはぁ! 今から哲也とデェトなんですぅーーーー!!!♥

 にゃはははは〜〜――♥


 そいじゃあ、また後でねっ♪

224 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 00:54
【木漏れ日の彼方】


「・・・お遅ぇよ!」

 哲也のぶーたれた口から出てきたのは文句の言葉だった・・・

「・・・あははーーー(あせっ!)ま、まぁいいジャーん!」
 頭かきかき、へにゃたれた引きつり笑いであたしは哲也に謝ったんだけど・・・

「よかねぇっ! 何回目だよお前ぇ・・・普通、逆だろぉ〜! 男が遅れて、女が『遅いっ!』ってぇのが!!」
「ほらぁ! そんな怒んないでさぁ、ねっ♪ 笑顔笑顔ぉ〜♪」
 ・・・やっぱ怒ってるから、あたしはその場で『くるッ』と回って、
 両手の人差し指で哲也のほっぺたをつついて『笑顔』を作ってあげたのだーーー!!

「・・・ぷっ....あははははははーーー!! なにその顔ーーーー!!!」
「・・・・ひょ(お)....ひょまへひゃぁ(おまえなぁ)」

 あんまりにも急に突っついたから、笑顔じゃなくって変な顔になってんだもん〜 哲也の顔!(ぷぷっ)
 でも、あたしの笑い顔と声につられちゃって、哲也も笑い出しちゃった。

 大体これがいつものあたし達のパターン。
 どっちかが遅れて、どっちかがつっこみいれて、怒って、・・・でも最後は笑顔でそれからの時間が、始まんの。
 デートらしいデートって言えば、実はした事が無かったあたし達。
 実は今日が、本当の意味での初デート・・・でへへぇ〜〜♥(赤〜)

 その割には、お互いラフな服装で、あたしはデニムのミニスカートにTシャツ、あと薄手のジャケット、
 哲也はルーズないつものジーンズの色違いで、ちょっとあせた感じの黒、そんでVネックのサマーセーター。

「はは....ほんっとどれみのペースだもんなぁー」
「えっへん! 惚れ直した?」
「ったくよぉ」(苦笑)
「てへへっ♪」(笑い)

 そう、大体があたしのペース勝ち。今日はこれから映画見て、ショッピングして食事してー・・・
 その後は・・・ま、その時の時間次第かな? これってちょっとドキドキ?♪

「んじゃまぁ、今から行ったらちょうどいい時間だから」
「いこっか?」

 ・
 ・
 ・
 ・

225 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 00:56
【木漏れ日の彼方】


 ・
 ・
 ・

「はぁ〜・・・良かったよぉ〜〜〜!!」
「だろっ!(サンキュー 瀬川っ!)見てみなきゃ分かんねえって!」

 上映が終わって、映画館のロビーに出てきたあたし達。

 今までの哲也からは考えられないようなドラマ仕立ての邦画を見に行こうだなんて・・・
 あたしは『うっそーー!! そんなのよりさぁ、バトルレンジャーの最新作が上映されてんだよぉ〜ー!』
 って言ったら、猛反対されちった・・・
 まさか、おんぷちゃんが出てたなんて全然知らなかったし、あんな泣けるお話....あんなに切ないお話.....
 ああん、もうなんでおんぷちゃんあたしに言ってくんなかったんだろー!!
 ずるいよあんなイイ映画に出演するんだなんて、ひとっことも言ってくんないんだもん・・

 おんぷちゃん...本当に...すごく素敵な女優さんになっていってるね!

「・・・どれみ....」
「(ぐすん)え? あ....っ」

 ・・・・こっそりふき取ったはずの涙だったんだけど・・・
 哲也がとっても綺麗で素敵なハンカチで、あたしのなみだ....拭いてくれたの。

「・・・ありがと」
 あたしはそう言って、哲也の目の端に光る涙を指で拭ってあげたんだ。
 おあいこだね・・・えへへ♪

 ちょっと恥ずかしかったけど、周りのカップルもあたし達とおんなじ様なことしてんの・・・
 何だかそれがおかしくって、つい・・・

「ぷっ! あははは....なに泣いてんのさ哲也ったら!」
「はは、おまえだってそうじゃねぇか、どれみ!」
「だってぇ〜! 泣くなってのが無理だよぉ〜! ずるいよねおんぷちゃんも! ・・・何で大親友のあたしに隠してたんだろぉ?!」
「う〜ん・・・俺よりどれみの方が知ってんじゃねぇのか?確かにチケットもらったのは俺だけどさ・・?」
 この件については、おんぷちゃんを問い詰めてやろぉっと♪

 話せば長くなるけど....今、あたし達大親友の時間はそれぞれ違っています。
 あいちゃんは大阪に転校...っていうか....帰って行きました。
 ももちゃんも....お父さんのお仕事の都合があってアメリカに行っちゃいました。
 はづきちゃんは、カレンに転入して....おんぷちゃんは遠近学園に転入して行きました・・・

 ハナちゃんも....今はあたし達の世界には.....人間界にはもう...いません・・・

 全ては....ハナちゃんの戴冠即位式の日から...あたし達の時間が違う時間に...動き始めました。
 もう、あたし達は魔女の資格を失いました。
 マジョリカ達も....魔女界に帰って行きました。
 マジョルカはおんぷちゃんのための会社、ルカエンタープライズをさらに守り立てるからって....
 おんぷちゃんの為に....残ってくれています。


 でも、それでも...あたし達の絆は何も変わりません。あの日からもずっと...そして、これからだって。

226 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:00
【木漏れ日の彼方】


 映画館から出たあたし達は、ショッピングをする為に歩き出しました。
 美空市でもここは中心部なだけに結構賑やかです。
 ・・・あ、こんなとこにもドッグランの施設公園があるんだぁ・・・

「・・・・へぇ....こんなとこにも公園があんだなぁ」
「だね〜・・・あ! 見てよ哲也、あの子犬、かぁ〜わい〜よねぇー♥」
「母親とじゃれてやんの♪」

 つんつん

 ? 何かあたしの足元に・・・! 小犬じゃ〜ーん!

「うわぁ〜〜♪ か〜わいぃーー!!」(だきっ♥)
「どれみ、ちょっと抱かせてくれよ!」(うずうず)

 そうだよねぇ・・・魔法を使えた時は、よく犬になって色んな事をしてたっけ・・・
 哲也の気持がわかったのも・・・全ては魔法で犬に変身できたからなんだよね。(うんうん!)

 ・・あ〜〜! 思い出したっ! あん時西沢先生に選んでもらえなかったのショックだったんだよぉ!
 後でおんぷちゃんがずいぶん慰めてくれたから、あたしも機嫌直したんだけどさぁ。
 へ? どんな風に慰めてもらったかって? 別に普通にあたま撫でてもらったり、抱きしめてもらったりだよ?
 だから! あたしあん時犬だったじゃん? それって変なことなの?! なんで?? あたし嬉しかったけどなぁ・・・
 そういやさぁ…あいちゃん達もあたしのこと抱きしめたがってたけど、子犬ってか〜わいいもんねぇ!
 ってことはさぁ! あたしって可愛いんじゃんやっぱ! それなのになんでハナちゃんだけなのさ・・・あんまりだよね。(ぶー)
 西沢先生っておっとりしてるのに、結構『ぐさぁっ!』とくるようなこと言うんだよねぇ・・・
 何かそういうとこ、はづきちゃんとかと似てるしさぁ・・・あ、はづきちゃんにはナイショね♪(笑い)
 そそ! どっか西沢先生とはづきちゃんのお母さんって、似てると思わない?

「・・・どこ向いて、何ぶつぶつ言ってんだよどれみ!」
「へ? あああたしなんか、言ってた?!」
「いや・・・まぁいいけどさ... そういうとこひっくるめて俺.... ! な、なんでもねえよ(赤)」
 ・・やだなぁ、哲也ったら....(赤〜)あたしにベタぼれってヤツぅ?(にへぇ〜)
 ! あは、くすぐったい♪ あたしの抱いてる子犬がほっぺたペロペロしてくんだけど。

 あ! 向こうから来んのって・・・

「わりぃわりぃ、デートの最中キャンディがジャマしちまってw」
「やっほー♥ どれみちゃん♪ こ た け くん♪」
「ちぃ〜っす! むっちゃんに長谷部くんッ!」 「は、長谷部!? 工藤も? 何でお前らここにいんだよ!?」
「どれみちゃんや小竹君とおんなじで、デートしてるの♥(////)」 「おい むつみっ!(///)」 「えへへへ♥」

 幼なじみがくっつく割合が多いのが、あたし達美空小出身者の運命なのかなぁ? えっへっへー♪

 むっちゃんと長谷部君、けっこうこの場所でキャンディを遊ばせてんだって。
 あ、キャンディってむっちゃんのお家で家族してる子犬の名前ね♪ ほんっと、か〜わいいんだよぉ!
 色々お話してると二人ともラブラブってのが伝わってくんだけど・・・なんだろねぇ〜もう。(笑い)
 長谷部君は『ンな事ねえ!(///)』って顔してるけど、むっちゃんは『い〜でしょー♥(////)』ってのが、
 照れた笑顔でい〜ッぱい伝わってくんだよぉ♪

「でもどれみちゃん、小竹君って結構人気あるからちゃんと掴まえといたほうがいいよ♪」
「実際の所、お前に春風はもったいねぇぐらいだからなw」
「う! うるせぇよ!!(////)」
「や、やだなぁ長谷部君もむっちゃんもぉー!!(////) 哲也にンな甲斐性あるわけ無いジャーーん♪」
「言ったなどれみーー!!俺だってこう見えても!」
「ふ〜〜〜ん・・・んじゃ、別れたげよっか?」
「え゛! ・・・い.....いや、あ...あのさ」
「なにさ!!」

(ほんと・・・まさかホントにくっついて)(クスクス!)
(俺たちの目の前で痴話ゲンカするようになるなんてなぁ)(くっくっく!)
(しかも・・・あははは♪)
(しっかり春風の尻に敷かれちまってw)

 ・
 ・
 ・

 以前とは時間の流れが違って、あたしの日常って変わったように感じてても・・・
 大事な所は、何にも変わってないんだなぁって....思います。


 あたしの大好きな大親友のみんなだって、絶対にそう思ってくれているはずです・・・
 あたしの中の魔法は、いつだってあたしを応援してくれているから。

227 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:02
【木漏れ日の彼方】


「長谷部のヤツ・・・散々からかいやがって(///)」(ぶすっ)
「そんな怒ること無いじゃン!♪ 全部事実なんだしー♪」

 あたしとの仲を冷やかされてぶーたれてる哲也。 嬉しいくせに、ほんっと....すなおじゃないんだから♪(照れ笑い)

 んで、むっちゃんと長谷部君はキャンディの散歩が終わって帰っちゃんたんだけど、
 あたし達はまだドッグランの公園でいるの。
 え? なんでって? ショッピングはどうしたって? だってお昼が来たんだもんっ!
 お食事が先さきっ! 乙女だっておなかは減るんだよっ!  ? だからってなんでここに居るんだ、だって?
 おなか減ったなら食事できる店にどうして行かないんだって? ちっちっちー! あまいな〜〜君もぉ〜〜!
 あたしはこう見えたって女の子だよぉ! 一年だけとはいえパティシエだってやってたんだかんねぇ!

 つ  ま  りぃ・・・

 あたしはお弁当を作ってきたのだぁ〜〜―――!! えっへん! あたし一人でぜぇ〜んぶ作ったんだから!!

「じゃーん!! みて哲也っ♪ おべんと作ってきましたー♥」
「おおっ?! ・・・おを?.....なんだこれ…歪んでるぞ・・・」
「あ、愛情はみ、見た目なんかじゃわかんないもんなのさぁ!! あたし、一生懸命作ったんだから・・・食べてみてよ...ね?」

「ぷっ! お前らしいや。食わねぇわけねぇじゃんか!!
 お前が作ってたクッキーだって、ゼリーだって、すっげぇうまかったしさ」
「よく言ったーー!! さっすが哲也、わかってんじゃん♪
 ・・・ぽっぷもさぁ、なんだかんだ言ってあたしのフルーツロールケーキ...食べてくれたんだよね・・・♪
 おいしいって言ってくれた時....嬉しかったなぁ」
「バーカw 当ったりまえだろ!」
「哲也・・・えへへへ(///)」

 哲也はそう言って...あたしの作った...ちょっぴりへんてこりんな形のサンドイッチを食べてくれたの。

 ぱくっ・・・もぐもぐ...もぐもぐもぐ....ごくん・・・

「・・・ど、どう?」
「...うん!! うめぇよこれ!!
 マスタードとマヨネーズの混ぜ加減やカリッとしたパンの焼き具合、レタスもしゃきっとしててよ、ハムもうめぇ!!」
「(ほっ)よかったぁ…ホントの所....形が変になっちゃったから食べてくんないんじゃないかなって...思ってさ」
「んなもん、俺が気にするかよっ!」
「ほんと?!だってあんたゼリーなんか・・」
「わわ、悪かったよあん時は!!・・・今はさ...いや....ほんとは前からお前の作るもんなら・・・」

 あたし達はここでちょっぴり『キックオフ』状態になっちゃったりしたのだ!(赤〜〜)
 え?キックオフなんて知んないって?そだよねぇ〜あたしだって知んないもん!
 えっと....メモ書きによると・・・何だか知んないけど『ネットで【少年ジャン○、キックオフ】で調べてください』...だってさ?

「な、どれみ、飲みもんって....ねぇよなやっぱ?w」
「う゛・・・ワスレマシター(シオシオ)」
「んじゃなんか飲むもん買ってくっからよ、何がいいどれみ?」

「麦茶〜〜――――!!!」

 ・
 ・
 ・

228 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:05
【木漏れ日の彼方】


 ずっこけながら『ウーロン茶で我慢しろー!』って文句を言って自販機の方に歩いてく哲也を...
 あたしは『ふわ〜〜んっ♪』て感じの気持で見送りながら、自分の分のサンドイッチをほおばった。

 ぱくり・・・もぐもぐ んむんむ

 うんうん♪ 我ながらおいしくできたよねぇ♪
 これもみんなで、ももちゃんやあいちゃんにお菓子作りやお料理教わったのが...生きてんだよね・・・
 会いたいな....ももちゃん...あいちゃん.....

 はっ!! だめだめ、何弱気になってんのさどれみ!

 ・・・目の前には色んな犬が、楽しそうにご主人様と遊んでる。
 今見てる当たり前の光景が、急に変わっちゃったら・・・
 みんなとお別れするとき、どうしようもない気持ちで一杯だったもんなぁ...でも、哲也がいてくれたからあたし…

 クンクン  ワンっ!!

「わわっ!!」

 ・・・び、びっくりしたぁ。足元見たら可愛い子犬が、しっぽふりふりあたしを見上げてるの。
 か−わい〜〜♥  サンドイッチ食べる? はい、あ〜〜ん♪

 (しっぽフリフリ♪)ワンっ!! パクッ アムアム モグモグ ングング♥

 はぁ〜〜ん♥ かわいぃ〜よぉ〜〜♥ ・・・あれ?このコ....なんかどっかで....
 あ! もういいの?!

 ワンっ!! (ハッハッハッ♪) とてとてとて....タタタタタッ!!

 ・・・行っちゃった・・・

 ・・・・   ?   ・・・   ドドドドドド!!! ダダダダダッ!!! マテコラー!! カエセッテイッテンダヨー!!
 !?・・・何やってんだろ哲也? あ!

「コラー!! 何やってんの哲也ー!! そのコ追っかけて何やってんのさー!!」
「!どれみそいつ捕まえろーーーー!!!」
「!? 何でそんなことしなくちゃなんないのさーーーー!!!」
「俺のっ!(ダダダダッ!!)返せコラー!! 俺の宝物! お前がくれた魔法グッズ!!どれみそっち行ったぞーーーー!!」
「え?ちょっと?? 何、うひゃぅ!?」

 ピョン!! 踏みッ!! ぼてっ!! ドダダダダダダダダダダダーーーー!!!

「うぎゅぅうう〜〜・・・・」
「くっそー!!・・・ッたく何やってんだよお前!!」
「ぃっ....たたた…(ムカっ!!)何さその言い方!!大体なんであんたあのコ追っかけたりしてんのっ!!」

 目の前に飛び込んできたあの子犬に踏み倒されて、
 ひっくりこけちゃったあたしを抱き起こして言った哲也の言葉にカチンときたあたし。

 だってそうでしょ〜〜ー!?

 美少女のあたしが、可愛い顔フミフミされてひっくりこかされちゃった上にっ!!
 哲也にいきなり怒鳴られたんだよぉー!そんなわけ判んない事に『えっへっへー しぃましぇーん♪』なんて言えないよぅ!!

 そんなあたしの剣幕に押されたのか、哲也は『う゛っ』ってなったけど、すぐに、
「ば、ばか、そんなこと言ってる場合じゃねぇんだって!」って言ってきたから、
「バカとは何さバカとは!!そりゃあたしはっ!」つい、あたしも勢いに任せて怒鳴り返しちゃった・・・

「聞けって!! お前がくれた魔法グッズ!! あいつが持ってっちまったんだよ!!!」
「バカかも知んない....へ? 魔法....グッズ....えぇ〜〜〜ーー!? なんでなんでさーーー??」


 ちょっと先では、あの子犬があたし達を見つめていた。


 その小さな口に....哲也があたしから買ってくれた....あたしと哲也をつないでくれた宝物…
 ちょっと昔にあたしが作った・・・魔法グッズをくわえたままで。

229 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:07
【木漏れ日の彼方】


「俺が飲みもん買おうとして財布出してる時、いきなり飛びついてきてそれで取られちまったんだよ!!」
「なんでそんなこと・・・」
「知らねぇよ んなことっ!」

 あの魔法グッズは、あれから哲也がお守りとしてお財布に付けてくれていたんだけど・・・

「よぉっし!! そうと判ったらあのコから取り返さなくっちゃ!!」
「あ...お、おうっ!!」

 そう言ってあたし達は、あの子犬に近づこうとしたんだけど・・・

 近づき 近づき・・・  後ずさり 後ずさり・・・

「こ、こわくないからさぁ....そんな逃げようとしないでよぅ」
「あーっ もういい加減にしろっての!」

 びくんっっ!!

(小声で)「こらぁっ!そんな大声出しちゃあのコ怖がるだけだよっ!」
(小声で)「だ...だってよぉ・・・」
(小声で)「他の人とかもこっち見てるし、いぢめてるみたいに思われたらどぉすんのさ!」
(小声で)「悪かったって言ってるじゃんか!」

 ダッ!!

あたし達『ア゛ーーーーーー!!!! 逃げたーーーーーーーーーーーー!!!!』

 あたし達は急いであの子犬の後を追った! んだけど、
 し! しまったーーー!! サンドイッチの入ったバスケット・・・・休憩コーナーのベンチに置いたまんまだよぉ・・・
 そんなこと思いながら、とにかくあたしと哲也はその子犬を追いかけていったの。
 あたしも足は遅くない方だし、スタミナだってある方なんだけど・・・哲也 早いぃ〜ー!!
 あたしは後を離されないようにもう必死!! しかもあのコ、野生のスピードで逃げまくるんだよー!!

(疾走中)「(ハヒハヒ)ど、どこまでいくのさぁーー!!」
(激走中)「し、知るかよーー!!」
(大檄走)(ーーーーー!!!ーーーーー)
 街中を騒ぎ立てながら、あの子犬を追っかけてったあたし達。
 街行く人たちはなんだなんだと振り向いてたけど、そんなこと気にしてらんなかった。

 ・
 ・
 ・
 ・

230 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:11
【木漏れ日の彼方】


 ・
 ・
 ・

「っ....っくー・・・(ハァハァヒィヒィ)ど、ど.....どこまで...き、来たのさ....こぉ...(ハヒーハヒ〜)ここ....どこぉ〜〜?(ヒ〜〜〜)」
「し、し・・・っ...かぁ〜〜〜・・・しらねぇ〜〜〜ぇーーー・・・・(ゼ〜ゼ〜フーフー〜)」

 無我夢中であのコを追っかけて、あたし達は来た事が無いような場所まで走らされていた。
 少し細い散歩道・・・その少し先には山に入れるように足場を固めた道のようなものが見えてんだけど・・・
 俗に言う遍路道みたいなんだよね。 えっへっへー♪ あたしだってこういう言葉くらい使いますよぉーだ!!
 へ、なに? お遍路さんの道が山にあるのかって? うん♪ あるみたいなんだってさ! お父さんから聞いたことあるもん!
 ま、それはいいとして。あのコはそこの入り口で....入り口でしっぽ振ってるーーー!?
 ムッキーーー!! 完全にバカにされてんジャーーーん!! う、うにゅれぇ〜〜ーー!! 可愛い顔してーーー!!!

「お願いだからそれ返して!! 他の物だったら何でもあげるから!! それだけはダメなんだよぉ!!」
「いい加減にしてくれよ! 何なんだよお前はー! 何で『それ』じゃなきゃいけねえんだよ!!」
「(しっぽフリフリ♪)」

 ・・・・言っとくけどそこの君! あたしはワンちゃんやネコちゃん、鳥さんやほかの動物も大好きだよ!!
 だけど・・・あたし達の大事なものを取り返すって行為は、絶対に動物さんをいじめたりする様なことじゃないからね!!

 それだけは信じて!!

 ってことで! 息の整ったあたしと哲也は目と目を合わせて『ウンッ!!』とうなづき、再び追跡開始ーー!!

 ・・・あたしもまだ子供だけど、どうして子供(子犬)ってあーんなに体動かしても疲れないんだろうねー・・・・・・
 そうです! あたし達はやっぱ振り回されっぱなし!! 今は前を悠然と歩くあのコの後を付いて行ってるだけって感じでさ....
 哲也も相当バテてきて、あたしと一緒に『両手を前にぶら〜〜ん、がにまた歩きでと〜ぼとぼ』って感じなの…とほほぉ〜・・・


 さわさわ   さわさわさわさわ   さぁーーー〜〜〜っ


 薄い緑色を敷き詰めた....安らぎのカーテンのような木の葉っぱ達が、ちょっぴり冷たい風に吹かれて揺れている・・・
 汗ばんだあたし達の身体を、優しく扇いで(あおいで)くれているみたいで...すごく気持がいい・・・・
 葉っぱの間からお日様の光がキラキラしてて....綺麗…


(どきっ!)あああ、汗のにおい...てて、哲也に判っちゃわないかなぁ(くんくん...)・・・


「・・・何やってんの....あんた・・・」
「(ぎくっ!!) お! お前こそ俺のこと言えんのかよ!!(赤〜)」
「や! やややだなぁ〜哲也ったら〜〜〜!! ・・・えっち....(真っ赤)」
「(ぼっ!!) なぁ!? なにいいいいってんだよどれみっ!!!(真っ赤)」

 あたしだって女の子だからさ....その....汗のにおいって気になるし....その...つい..哲也の方見ちゃったんだよね.....
 そしたら・・・(ぷぷっ!) 哲也もおんなじことやってんだも〜ん!!

「にゃ…にゃはははははは!! もぉやだぁーー!!  哲也あたしとおんなじことしてんだもん♪」
「う、ぅ....ぃい、いいじゃんかよー! 男だって気になんだよーー!!」

      『   ぷ!!  』  『あはははははーーー!!』

 おっかしーー!! でも・・・やっぱそういうとこ可愛いって思うし..........あたし...大好き....(赤〜〜〜)

 ?! あれ? そういやあのコ.....あ、いた(ほっ…)
 どっか行っちゃったかと思ったら、ちゃんと居てくれたんだよね・・・う〜にゅ....だったらいい加減返してくれてもいいのに。
 結局、追いかけようとするとすぐ逃げようとするから、おとなしくあのコの後を付いてくみたいな形で、
 あたし達はお遍路さんのような道を『てくてく』登ってったの。

231 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:14
【木漏れ日の彼方】


「・・・なぁ....何やってんだ俺たち・・・」
「仕方ないじゃん・・・今はついてくしかないみたいだし・・・」
 でも...何なんだろうねほんと。 ・・・あれ?....なんかここら辺って・・・

 ダッ!!!

(あたし)「なぁーーーーーーっ!?」 (哲也)「あーーーーーーーっ!!」

 や、やられたーーーー!!
 突然ダッシュしたあの子犬!! そりゃあもう追っかけたさぁ、あたし達!!

 とにかく走って登って!つまづいて! って!

「んきゃ!」 「あぶねぇっ!!(抱きっ)」
「あ、あり...ありがと(赤)」 「おうっ!(照れ笑い)」

 かっしりした哲也の体に抱きとめられて、ずっこけちゃう事はなかったけど、
 男の子ってにおいがしてちょっと『ドキッ♥』ってしちゃった・・・♪
 久しぶりだなぁ....こういうのって・・・・  !  べべべ、別に変な意味じゃないんだかんねっ!!

 ・・・そのまんまトキメキしたかったけど、あたし達は追跡を再会してあのコを追っていった。

232 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:16
【木漏れ日の彼方】


 ダダダダダダダ!!!  ザザッ!!
 バッ・・・・うわっ! ま...ぶしぃ・・・

 頂上....って言っていいのかな? 茂った木々の間からこぼれてくる、木漏れ日のカーテンを抜けると....
 そこは開けた場所になっていて、ちょっと向こうには、美空市の海岸沿いに見える街並みが見下ろせるようになってる。
 展望台ってゆうのかな、
 そんな感じに手が入ってて安全の為に海沿いの方には手すりと、その先には大きな柵が設置されてるんだけど・・・
 あれ?
 なんか.....あれれ?! あたし....前にここ来たっけ?

「あ! 哲也どこ行くのさ?!」 「・・・ついて来いよ、どれみ」
 ? どこ行くのかな....哲也・・・あ!! いた! あの子犬!!
「(小声)さっきチラッと見えたんだよ」「(小声)あ、それでかぁ」

 取りあえずあたし達は最後の手段....あのコに抱きついて捕まえちゃう作戦を決行しようとしているのだ!!
 も、もう一度言っとくけどさ! これって決していぢめたりするんじゃないんだかんね!!

 抜〜きあ〜し さ〜しあ〜し し〜のび足〜♪

 なんかこれやってるとさぁ....某ニンジャー思い出すんだよねぇ....今のあたし...体脂肪率何パーセントだろぅ…しくしく
 へ? そんなマイナーなの知らないって? そんなのよりマジョレンジャーの方がイイって?! な、なんのことかなぁ〜〜〜♪・・・
 そ、それはともかくっ!! とてとて歩くあの子犬に気付かれないようにだんだん距離を縮めてるあたし達。
 ちょうど向かい風だから、あたし達のにおいはあのコの鼻には届かないはずだし、いい感じで近づけてんだよぉ!♪

 もうちょっと....あと少し....あとすこ…?・・・?......!? こ、ここって!?
 思わずあたしは哲也の方を見た。哲也、こっちのh....? 哲也? どこ見てんの? ・・・〜〜〜ーーー・・・
 哲也はあたしの視線に気付いてないのか、ある一箇所だけをびっくりしたように見てんだけど.....


 え?  え?!  うそ!!  ウソッ!!!  いま、今あのコ居たよね?!  それなのになんで!?


 あたし達の視線の先には....女の子が居ました。
 キラキラした木漏れ日が降り注ぐ....並んだ木立の下に・・・

233 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:18
【木漏れ日の彼方】


 あたし達からは逆光でよく判らないけど....あたし達とおんなじくらいか、少し年下って感じの女の子がそこに居ました。
 あの子犬は、どこ行ったんだろ・・・
 女の子はあたし達には気付いていないようで、両手を広げて気持良さそうに木漏れ日を全身に浴びている・・・
 ボリュームのあるツインテールの髪が光を浴びてキラキラ輝いてるみたい・・・
 哲也は....むっ!

「(小声)な  に  見  と  れ  て  ん  の  か  な  ぁ  哲  也  君  ♪」
「(びくっ!)(小声)べべ、べつに見とれてなんかいねえよー!!」

「!?  だれー? 誰かそこに居るの〜ー?!」
 ぎくっ!! 気付かれた? ・・・そういや、別にあたし達、あのコ以外にコソコソすることなんかないんだよね。
 取りあえずあたしと哲也はその娘の前に姿を現そうとしたんだけど・・・

「!!?」
「!?!」

「???」

 逆光の中から....木漏れ日のカーテンから『すぅっ』と現れたその子は・・・

「ハナちゃんっっ!!!」
「ま、巻機山っ?!」

「はぇ?」

 ボリュームたっぷりのツインテールにつやつやの髪。
 ちょうど耳の後ろあたりにきているヘアバンドには....あのまん丸いパール色した羽根飾りが付いていた。
 それに特徴のある前髪。・・・ハナちゃん・・・ハナちゃん......


「・・・あの....あたしの下の名前どうして知ってるんですか・・・?」

「え?!」 「お?!」

 ・・・・確かによく似ていた。
 小首をかしげて、大きな目を『くりっ』とあたし達に向けるしぐさや表情は...まるでハナちゃんとおんなじ。
 でもこの子は、哲也の知ってる『巻機山 花』でもなければ....あたし達の『ハナちゃん』でもなかった・・・

「わ、わりぃ....人違いだ」
「・・・ハナチャン・・・」
「!(アセッ!!)そ、それより犬、子犬が来なかったか?」
 哲也があたしに気を使ってくれて、あの子犬の事をその子に聞いてくれたんだ。   ・・・ごめん...哲也...


「? ・・・ハルナぁ〜〜〜―――――!!」
(向こう⇒)                                                「わんわんっ♪」

「は?」 「はるなぁ〜?!」


 その子の、ころころとしたチョッピリ舌ったらずな可愛らしい声があたりに浸透すると、
 遠くからハルナと呼ばれた子犬があたし達の方に駆け寄ってきた。


 さっきまで追っかけてたあの子犬だ....

234 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:20
【木漏れ日の彼方】


 近寄ってきたその子犬、ハルナちゃんをひょいっと抱き上げて、女の子はあたし達に近づいてきてくれた。

「ひょっとして、このコ、(ぺろぺろっ!!)きゃはっ♥ ハルナのことぉ?」
「そいつっ!! そいつなんかくわえてなかったか?!」
「! こ、これのことかなぁ?」

 その女の子は、ふわっとした感じのちょっと短めのスカートのぽっけをごそごそと探ってる。
 ・・・なんか、強い風が吹いたらスカート すぐにめくれ上がっちゃいそうだよ・・・

 びゅーーーー!!

 誰かさんの期待にこたえて、やってきました風さんっ!!  って! あたしのスカートもピ〜〜ンチ!!

           ぶわっ、ぺろんっ!!

 こらぁ そこの君なに見てんのっ!!(赤っ)

「きゃ、きゃーーきゃーーーー!!!」
 ちょうど追い風だったうえに、女の子はハルナちゃん抱いて片手はスカートのぽっけだったから、
 すぐに押さえられるはずもなくパニックになっちゃって、それを見た哲也は
「うわっ!!(赤ー)ぶ、ブルーなんだ…どれみはストライプピンクだっt(ゴィンッ!!!!)」
 鼻の下伸ばして恥ずかしいこと言うもんだから、あたしは愛のげんこつを食らわしてその子のスカートを押さえてあげたんだよね。

 もぉ... 哲也、あたしのパンツも見たなぁ〜 …別に...あんただからいいけどさ(赤)

「(赤〜)あ、ありがとぅ・・・」
「あははーー ごめんねぇ〜あたしのバカタレが変なこと言ってさ!(じろっ)」
「〜〜〜〜〜いっってぇ〜〜・・・ひでぇ〜・・」
「(むっ!)こんな時は見ないのが 礼 儀 ってもんでしょうが!!」
 こんな時のあたしは強気なのだっ!!(むふー)

 それはそれとして、女の子は恥ずかしそうにぽっけからあたし達の宝物、魔法グッズを取り出したの。
 抱っこから下ろされたハルナちゃんは、女の子の足元でちょこんと座ってる。

「それだっ!! 頼むよ返してくれ、そいつがいきなりくわえてっちまって俺達ずっと追っかけてきたんだ!!」
「お願いっ!! ほんとそれあたし達の大事な物なの!! だから....返してほしいんだけど?」
「うんっ♪ はいっ♪ ・・あの、ハルナが勝手に持ってきちゃってごめんなさいっ!!(ぺこりっ)」

 あっさり返してくれて、女の子は深々とあたし達にごめんなさいのお辞儀をしてくれたんだよ。

  ・
  ・

「そうだったんだぁ、そんな思い出が」
「(赤)えへへへ〜〜♥」
「(赤)ま、まぁな♪」
 あたし達はさっきの木立の下に座って話をしていました。
 ちょこっとだけど、魔法グッズの思い出とあたし達の仲をこの子に話したんだよね。

「よく、ここに来んの?」

「はい! ここから見える景色がとっても素敵だから! でも・・・ごめんなさい…
 この子すぐどっかに行っちゃうクセがあって。いつもはこんなことする子じゃないんです・・・」
 その子はそう言って、自分の膝の上で『でれ〜ん』とくつろいでるハルナちゃんを撫でながら、
 申し訳なさそうにあたし達にそう言ってくれたの。

「あ、そんな気にしないで!」
「俺達もついムキになって追っかけちまって、怖がらせたかも知んねえから」

「優しいんですね、春風さんと小竹さん・・・」
「ンな事無いってば。それに、そんな顔しないで。 ね、所でさ♪ あたし達」
「まだ、君の名前聞いてないんだけど...教えてくれるかな?」

「あ! あたしつい・・・えっと、じゃあ改めて。 あたしの名前はっ、美風花香って言いまーすっ♪」
「みかぜ・・・」
「・・・はなか」

「えへへ、はいっ! 美しい風に花が香るって書きますっ!
 美しいかどうかは疑問だけど(えへへっ)、あたし、お父さんとお母さんがくれた...この花香って名前、大好きなんですっ♪」


 ・・お母さんがくれた....名前.......


 ・・・あたし達にそう言ってくれた花香ちゃんのしぐさや、満面の笑顔は....


 ・・・・まるで...ハナちゃんのようでした。


 ・・・・・   あたしの中に...


 ・・・・・・   ハナちゃんの香りが....


 ・・・・・・・   広がってくるようでした.....

235 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:21
【木漏れ日の彼方】


「?  あのぉ....あたし.....何か悲しいこと.....言っちゃいました...か?」
「  え  ?  あ、哲...也」
「・・・いいから...」

 あたし....涙浮かべてたみたいです・・・情けないぞっ!どれみ!
 花香ちゃんの言葉と同時に、哲也がこぼれかけた涙をそっと...そっと指先で拭ってくれました。
 あ〜〜もぅ...だめじゃんあたし・・・

「前までさ...あ、下の名前で呼んでも、いいかな?」
「あ...はいっ」
「花香ちゃんに似てる女の子がいたんだ・・・どれみの妹分みてぇな感じの子が」
「・・・」
「凄くどれみになついてて、元気一杯でひまわりみたいに明るくて....可愛い子でさ...」
「・・・・」
「ま、バタバタあってどれみの周りの....大親友って女の子が、次々転校したり遠くに行っちまったりして・・・」
「・・・・・」
「最後は、その子が遠くに引越しちまってさ....ま.....ちょっと思い出しちまったって訳なんだよ」
「・・・・・・」
「ごめんよ、しんみりさせちまって。でも....ほんと雰囲気とかさ....笑った顔とか...花香ちゃんに似てたんだ」


「・・・さっき....言ってましたよね...あたしのこと『ハナちゃん』って…    だから……」
「花香ちゃん...どれみ....ちょっと向こうの方、行ってみねぇか? ・・・ほら...どれみ」

 黙り込んじゃったあたしの手を優しく握ってくれて、花香ちゃんに自分の手を差し出した哲也。

「え、あのぉ...」
「あ、つい(苦笑)・・・わりぃw」
「・・・(///)♪ えいっ♥ 春風さんっ、怒らないでねっ♪」
「花香ちゃん....」
 あたしは嬉しかった。
 初めて会ったのに気を使ってくれて、ハナちゃんみたいな笑顔で...あたし達の真ん中に入って...哲也とあたしの手を握ってくれた。

 ・
 ・
 ・

「やっぱ、繋がってたんだなぁ...向こうとこっち」


 哲也が行こうって言ってくれて着いた先には、ルピナスの花が咲き揺れていました。
 分かってくれたかも知れないけど....そこは、哲也の大事な....あたしに見せてくれた大事な場所....
 哲也が弟のように可愛がっていたあの子が...大きな木の下に眠る...丘でした。


「・・・哲也、知ってたんじゃなかったの・・」
「いや....最初は分かんなかった....叔父さんの土地の方、柵してるからさ」
「いいんですかー? 勝手に入ってきちゃって??」
「あぁ、俺の叔父さんの私有地なんだ」
「そうなんだぁ〜〜!」
「わんわんっ♪」
「あ! こら、ハルナー!」

 子犬のハルナちゃんが嬉しそうにお墓の周りではしゃいでる・・・

「お墓....ですよね…あれってさっきの話の....」
「...ああ」

 ・
 ・

236 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:24
【木漏れ日の彼方】


 あたし達は大きな木の下に座って、そこから見える色とりどりのルピナスの花と....青い空....
 お日様の光を一杯に受けて...キラキラ光ってる海を見ていました。


           チチチチチチ  ……  チィーチチチチ  …  チチチチチ  …


     サァ〜――――…    ササササ …    カサカサ …     サ―――――…


 あたし達の時間を見守ってくれている大きな木。

 その根元で静かに存在している小さなお墓。
 お墓にかけられた新しい赤い首輪。

 頭の上からは、優しい木漏れ日と....小鳥さん達のささやき。
 風さんが優しく、撫でるようにあたし達を通り抜けていく・・・


 とっても静かで…キラキラしてて…暖ったかくて…優しくって…ちょっぴりだけど....切なく感じる時間が流れている……


「・・・ねぇ花香ちゃん....って呼んでいいよね?」
「はいっ♪ なんですかぁ?」
「そのヘアバンドって....いつも....つけてんの?」
「ううんっ! 普段は下ろしてます。ここに来る時とか、ちょっとお出かけの時くらいにしか付けません。でもどうして?」
「それと...多分おんなじもの....付けてたんだ、その巻機山が」

「これと・・・」
 花香ちゃんはそう言いながら、羽根飾りの付いたヘアバンドをさわってる。

「これ....おかあさんが買ってくれてたんです」
「ど、どこで!?」
「MAHO堂っていうお店だったと…思います。知ってますか〜?」
「MAHO堂・・・」 「はいっ!」
 知ってるも何も...あたしの今までの経験と思い出の....始まりと....終わってないけど、ひとまず幕を閉じた...場所だもん…
 何となく『そこで働いてたんだよね〜あたしってば!♪』とは言えず、花香ちゃんと会話の続きを始めたあたし達。

「今はもう....お店やってないみたいですけど、あんまり賑わってなかったのかなぁ・・?」

 哲也はあたしの方を見て 『にや〜〜』 だって・・・ほっとけっ!
 大体、こぉ〜んな可愛い店員さん達がいるお店に来なかった人達の方がおかしいんだよ!
 そりゃあ、おんぷちゃんは可愛いけどさっ....あたし達だって可愛いんだもん・・・
 おんぷちゃんがいないと閑古鳥鳴いてたなんて....そんなにあたし達って...お客さんに満足してもらってなかったのかな…
 そういえば.....悩み持った人たちって..何人MAHO堂に来てくれてたんだろ…?

「あ・・・思い出したぁ」
「なに、何を?」 「え、教えてくれよ!」

「ひょっとして....まきはたやまさんってMAHO堂でよくお手伝いしてたのかなぁ…
 おかあさんが美空町に行った時、たまたま入ったそのMAHO堂で、
 あたしによく似た子が...羽根飾りの付いたヘアバンドをお店の棚に並べてたらしいんです」

 ハナちゃんそんなの作ってたんだ・・・そういえば、あたしがお店に入れない時とか頑張ってたし...
 自分が作ったアクセサリーがぜ〜んぶ売れたって喜んでたことがあったっけ・・・

「それでその子....まきはたやまさん..だと思うんですけど...その子がしていたヘアバンドも同じ物に見えたらしいんです。
 だったら背格好の似てるあたしにも似合うんじゃないかなって...買ってくれたらしいんですよね....」
「ふ〜〜ん・・・  その通りじゃん、なーどれみっ!」
「え?!」
「よく似合ってるよな、花香ちゃん! 可愛いしさ〜♪ そう思わねぇかどれみ」
「や、やだぁそんなぁ(///)(てれっ)」

「・・・ほんとだね...」

 あたしは....多分いま....微笑みながら...花香ちゃんにそう言ってあげてると思う。

「それで..(赤)レジでお金払う時、その女の子がレジ打ちしてくれて...
 帰り際に.....『ありがとうございましたぁ〜〜♪』っておじぎしながら言ってもらったそうなんですけど、
 まるであたしがそこにいて、おかあさんにそう言ってるみたいだったって....
 おかしそうに、嬉しそうに話してくれたんですよね・・・えへっ♥
 へんだなぁ〜〜〜 どうして急に思い出せたのかなぁーー?あはっ(////)」

 哲也とあたしに、恥ずかしそうに照れながら花香ちゃんが微笑んでくれてる・・・


 その笑顔…本当に似てるよ....ハナちゃんに

237 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:26
【木漏れ日の彼方】


 あたしは何となく....胸がいっぱいになってきて....そっと花香ちゃんから視線を外した。

 戴冠即位を受けた後、しばらく日がたってから...暁君との婚儀を交わしたハナちゃん。
 本来の...魔女としての力を戻してあげる為に...あたし達は自分達の水晶玉を、ハナちゃんの力として与えてあげて…

 ずるいよね…  女王様も。

 命に関わるかもしれないのに...自分の水晶玉を更にけずって、ハナちゃんの水晶玉にしようとするんだもん・・・

 あたし達とマジョリンが行かなかったら...死んでたかもしれないんだよ....ユキ先生・・・


 当面は...肩書きだけの女王様でよかったはずのハナちゃんも...魔女界に戻らなきゃいけなくなったし。
 こっちでお店続けるはずだったマジョリカ達も....後見人と...宰相っていう何だか難しい役職に付かなきゃならなくなって…


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「・・・泣くでないどれみ.....」
「あたし....っ...あたしだけになっちゃうじゃない!! 何で..(ぇくっ)みんなあたしだけ置いて行っちゃうのさぁーー!!!」

 ・・・・・・

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「はな...ハナちゃんいい...暁君の言うこと聞いて、ちゃんと女王様のお仕事がんばるんだよ!!」
「どれみぃ・・・どれみ..ママ」
「おなか冷やしたり、風邪引いたりしないように、お外から帰ったらちゃんとうがいしたり手を洗うんだよ!!」
「ハナちゃん...赤ちゃんじゃないもん・・・」

 ・
 ・

「泣いたりなんかしちゃ...だめ...d....だ...だめだよ....」
「どれみまま....ハナちゃん...h....あ..あいに....会いに来るから(えぐっ、ひっく)ないちゃダメだよぉ...」

 ・・・・・・

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ・・・まともに見送れたのって....あたしとぽっぷだけだったし.....

 情けないよねぇあたしも。
 ぽっぷの胸で泣いちゃったなんて・・・
 恥ずかしかったなぁ。
 哲也の胸でも...泣いちゃったし・・・(赤〜〜)

 みんながあたしの元から離れていって....あたしは...どれだけぽっぷと......哲也の優しさに包まれてるんだろ…


「んきゃはははははは!!!」


      ごいぃぃん!!!


「ぃってぇええええ!!!」


「ハァハァ…(/////)ばかぁ!! なにすんのあんたはっ!! 今日あたしブラしてないんだから、そんな風にこそばされたら…」(赤〜)
「っつつぅ....ははっ! どれみ、おまえはやっぱそういう風に怒ったり笑ったりしてくれた方がいいよ!!」
「・・・・ゴメン」
「しんみりすんなってば!! な!  花香ちゃんだって心配してくれてんだぜ?」
「えっ?!…」

「(/////)ふたりって....ほんとに仲いいですよね。何か、見てるあたしの気持があったかくなってきちゃうぐらいに♪」
「そ、そっかなぁ(////)」
「(////)そりゃそうだぜ! 」

 子犬のハルナちゃんは、ルピナスの花にとまろうとする蝶と、楽しそうにじゃれて遊んでる。
 哲也は、照れた笑顔のまま、その姿を懐かしそうに...すごくあったかい目で見てる・・・
 今しがたのことで立ち上がったあたしと花香ちゃんも、哲也とおんなじようにハルナちゃんの遊ぶ姿..見てるの。

「これで三度目だよな…どれみが俺にくれた....俺に架けた魔法って」
「そう....なるのかな…(////)」


「?・・・? ? なんですかぁ魔法って?」


 簡単に話しただけだったから、そこまでの事、分からなくって当然だよね。ごめんね、花香ちゃん・・・

238 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:31
【木漏れ日の彼方】


「花香ちゃんのハルナが、俺たちの…これ持って、ここまで来ちまったから....
 こうやって俺たち、花香ちゃんと話が出来てるんだ」
「はい...   ?....??」

「その魔法グッズはね...あたしがお願い事こめながら作ったんだ....
 他の人には、何だかヘンな形のアクセサリーにしか見えないかもしんないけど」
「そんな! 形のよさだけがアクセサリーの良さなんかじゃないですっ!!」
「(うふふっ)ありがとっ♪」

 哲也は、そんなあたし達を見てくれながら話を続けだしたんだ。

「一度目はささっきもチラッと言ったけど・・・」

 そういって哲也は、さっきよりずっとずっと分かりやすく、あの時、子犬の姿してたあたしとのやり取りや思い出を....
 花香ちゃんに話してあげたの。花香ちゃんは目をくりくりさせながら聞き入ってて....ほんと、おっかし〜♪
 だってホント、ハナちゃんがすぐ側に居るみたいで....もう悲しさよりも暖かさの方があたしの心を満たしてくれて…

「そんなことがぁ〜〜・・・そのワンちゃんって実は春風さんだったりしてーー♪(///) あははっ、そんなわけ無いですもんねぇ〜♪」

 ドキドキ ……う〜〜ん…侮りがたし、花香ちゃんっ(苦笑)

「そう思うだろ花香ちゃんも? ・・・もし今あいつに会えるとしたら、どんな風になってんだろあいつ…」

 いるじゃんここに♪ あんたの側に、いるよ・・・あたし♪

「二度目はさ…(///)....(////)....(/////).....いいいい、言ってもいいかぁ(真っ赤)ど、どれみっ!」
「(/////)もっちろんさぁ!!♪ 花香ちゃんにあたし達のこと知ってもらいたいもん♪」

 ・・・もう二年近い前のことになるんだよね....哲也とあたしの時間が始まったのって♪
 花香ちゃん、哲也の話に夢中で...大興奮! ぷふふっ♥ ホントもうハナちゃんにしか見えないよ〜〜♪

「で....俺たちを繋いでくれたのが....どれみのくれた...こいつなんだ…」
「はぁぁあ〜〜〜〜・・・はぁ〜〜… ・・・ いいなぁぁあ〜〜! いいな、いいなぁぁあ〜〜〜〜〜―――!!!
 あたしも小竹さんみたいな人から思われてみたぁ〜〜いぃぃー! 春風さんうらやましすぎですぅ〜〜〜!!!」(じー)
「あ、いや、あのね、そんな....あれだよぉ..ほらよくある腐れ縁からの(////)....」
「(にひひひぃ)うそばっかりぃ〜♪ 二人見てたら分かりますよぉ!そんなことだけじゃ絶対に無いって♪」
「へへへ(////)...俺にとってどれみは....俺だけの『魔女』なんだ....ウワー!!何言ってんだおれーーー!!(//////)」
「(赤〜〜〜)ばか・・・」


 ・・・魔女かぁ・・・

 ・・・あたし達は魔女をやめちゃったし、それぞれの時間は別れちゃったけど・・・

 ・・・ でも、あたしは哲也といるから ・・・ 一緒の時間を歩いてるから ・・・

 ・・・  きっと今でも  ・・・

 ・・・  魔女でいられるんだよね  ・・・


  哲也....あんただけの魔女で...いられるんだよ

239 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:34
【木漏れ日の彼方】


「三度目は今日....俺たちが...ハルナと...花香ちゃんと...会えたことだな・・・」
「あたしやハルナと……」
「どれみってさ....色んなやつの世話焼いて....みんなの笑顔や、幸せになってる所見るのが大好きでさ・・・」
「(哲也....)・・・・」
「俺思うんだけど....どれみが....自分自身の笑顔を見るためにかけた魔法が...解けた代わりに、
 この今の時間が..新しいどれみ自身の魔法の.....始まりの時間なんだって思うんだ・・・」
「・・・・」
「・・・・・」

「だってさ、…吹っ切れたって顔してるぜ、どれみ。今のお前」
「ど、どういうこと・・?」
「みんなや巻機山は、今はお前の時間の中にはいないけど....今日...いま会えたから」
「・・あたし...と..ですか?」

「ああ! 時々悲しそうな顔してたどれみが今はもう、ずっと笑顔だから!
 巻機山以外の大親友は、会おうと思えば会えるんだけど....巻機山とはそういうわけにはいかないらしくってな…
 その巻機山のかわりに、今日...花香ちゃん、君と会えた事でどれみの新しい何かが始まったんだって、思うんだ、俺。
 そう思えるのも...どれみが俺に架けた魔法なんじゃねぇのかな...って思えるんだ......ホント何言ってんだろ俺ー」(照れ笑い)


 ・・・あたしはきっと母性が強いんだって思います・・・

  ・・・愛おしいって思うのはそのせいだけじゃないのかも知れないけど・・・


   ・・・あたしは...こんなに判ってくれて...想ってくれて...一杯 好きって気持ちをあたしにくれる・・・

    ・・・哲也が...抱きしめたくって....泣いちゃいそうになるくらいに・・・


                ・・・・ 大好きです ・・・・


「・・・あたしも今日って日が、この美空町に来て....とっても素敵な始まりの日だって思いますっ!♪
 向こうの場所を、ハルナが教えてくれたから♪ いたずらしちゃったハルナが春風さんと小竹さんを連れてきてくれたから♪
 今こうして♪ 二人とお話できて、とってもあったかい気持をもらえてるんだもんっ♪
 だから、『さらっ』て春風さんのことそんな風に言える、小竹さんと春風さんの仲がうらやましいし...素敵だなぁって思えますっ!」

「花香ちゃん…」
「はなかちゃん・・・」

「実はお散歩してて、あっちの場所を見つけたのもハルナなんです♪ だから、あたしハルナに感謝したいなって思いますっ♪
 あ!  でもハルナがふたりにご迷惑かけちゃったのは反省してますっ! ごめんなさいっ♪(ぺこりっ)」
「そんな謝るの無しなしっ!!
 あたしたちだって花香ちゃんにあえて、お話できたのがすっごく嬉しいんだもんっ! ねっ、哲也っ♥」
「ああ!そうだぜ花香ちゃん!」
「えへっ、そんなぁ」(赤)

「あ! そういえば、『美空町に来て』って言ってたじゃん、あれってどういう意味なの?」
「あ、はいっ! あたし達家族、半年前にこの美空町に引っ越してきたんです♪」


 じゃあハナちゃんとあたしが....お別れした日...くらいなんだ・・・

240 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:36
【木漏れ日の彼方】


「へぇ〜〜、どうりで見ないと思ったよ」


             ハナちゃん・・・あなたの居てくれた毎日....とってもまぶしかった・・・

             あなたが笑ってくれるたび・・・あたし達の心の中に・・・

             とってもあったかい花が・・・一つ一つ・・・

             咲いていくみたいだったんだよ・・・


「あれ...? でも...じゃあ学校は? どこ行ってんの?」


             きっとこの出会いは・・・あなたがくれたんだよね・・・

             ハナちゃん・・・


「はいっ! 美空第一小学校です♪」


             あなたから遠く離れちゃった・・・あたしの為に・・・

             みんなの分まで・・・優しく手を引いてくれるみたいに・・・


 〜〜〜〜〜(ハナちゃんね...これだけは…ぜ〜ったいに忘れたりしないし、ずぅ〜っと..思っていくの♪)〜〜〜〜〜

 〜〜〜〜〜(『ごめんね』ってきもちと…『ありがとう』ってきもちを想っていくの…)〜〜〜〜〜

 〜〜〜〜〜(だって...いつまでも素直にいえたら......みんなの心があったかくなるもん♪)〜〜〜〜〜


             さちこちゃんや....色んな子達と…放課後・・・


 〜〜〜〜〜(いっしょに、遊ぼうね〜〜〜♪)〜〜〜〜〜


             約束してたよね...まるでハートに指きりするみたいに・・・

             まるで...からんだ糸をほどくみたいに....柔らかい気持にさせてくれて・・・

             ハナちゃん....あったかいあなたの心が言ってたよね・・・

            『みんなだ〜いすきっ♪』って....


「えー じゃあやっぱ俺たちより年下なんだ!」


             まるでさ....ハナちゃんこう言ってるみたいだったよ・・・


〜〜〜〜〜(ハナちゃんの物語は〜 いついつまでも終わらないんだもんっ♪)〜〜〜〜〜


            「えっと、じゃあさ今って」

            「小学六年生でぇ〜〜っす♪」

241 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:39
【木漏れ日の彼方】


 あたし達の見上げる先の青い空には、ぽっかりと雲が浮かんでる。


「そっかぁー 六年生なんだ!」


 まるでハナちゃんが微笑んでるようで...そんなあたし自身が....なんだかおかしく見える(ふふっ♪)


「な、春風ぽっぷって子、知ってるか花香ちゃん?」
「あ! 春風ぽっぷって....そっかー春風さんの妹さんなんだ〜!」


             ハナちゃん...あなたと二人で帰ったあの道…チョッピリ遠回りしたよね・・・

             あたしとハナちゃん...ふたつの笑顔がいっぱい増えてくみたいで・・・


「まるで花束みたいな子なんだよな。どれみと正反対でしっかりしててさ♪」
「にゅわにぃ〜〜〜!! 哲也 あ ん た ねぇ〜〜!」(がぁ〜〜っ)
「わぁ! 春風さんおさえておさえてぇ〜!」
「わわ!(にへへ)だけど、ほんと...どれみの妹って感じでさ、ぽっぷちゃんも」
「(が〜ー!)? え ?」
「ほえ?」
「明るくって優しくって、色んな子の面倒とかよく見てたりさ...してるもんな♪」

「・・・なんだ....わかってんじゃん♪ あたしの妹のこと...ちゃんと!♪」
「あぅ〜〜二人の間に入るすきが無いよぉーー(ぶぅぅ〜)」

「あっははははは!!」「おっかし〜〜!!♪」

「なんだよそれー♪ ブ〜たれた顔まで巻機山そっくりじゃんかーー!(あははは)」
「あ〜もぅ、それ反則だって〜♪(ぷぷぷぷっ)涙出るほど花香ちゃん似すぎだよぉ〜〜!(おなかいたいぃ〜♪)」

「おかしくないもーーーーーんん〜〜!!(ぶぅーーーーー)」


             ハナちゃん...あなたのくれた想いが・・・

             小さな...だけどとっても大きな勇気になって・・・

             あたしの心の中で輪になって....大空にとけていくみたいだよ・・・


 あなたの心の中にも....今のあたしのこの気持ちを....あなたの心の大空に届けたいから....


 とどいてるかな....


 あなたの心に....


 ハナちゃん...




242 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:42
【木漏れ日の彼方】


 ++++++++++(つないだ 手をはなさずに)++++++++++


「じゃあ今度さ、あたしのうちに遊びに来なよ!」
「え〜〜〜! いいんですかぁーー!♪」(わくわくっ)
「話はしてないんだろ、ぽっぷちゃんと?」
「はいっ! したいしたいっ、ぽっぷちゃんとお話したいですぅ〜〜ーー!!」


 +++++++++++++(みんな 友達)+++++++++++++


「決まりだねっ、ね! 哲也♪」
「ああ、きっと驚くぜぇ〜〜ぽっぷちゃん!」
「えへへへぇ〜♥ うれしぃな〜〜♪ 今あたしあったかい気持ちで一杯ですっ!♪♪」


 ++++++++++(このまま いついつまでも)++++++++++


「nにゃーーーー!!! しまったぁーーーーー!!!」
「なっ! なんだよいきなりー?!」
「なななんですぅ?! 何か忘れてたんですか〜ーー?!」

「そうなんだよぉ〜〜 あたしが作ったサンドイッチーーー!!!」
「あーーーー!!! 置いてきちまったまんまじゃんかヨーーー!!! くっそーーーうまかったのに〜〜〜―――!!!」


「行こーーーーー!!! 取りにいきましょーーーー!!! そんであたしにもくださいっっ!!!」」

 

 

 ++++++++++++(終わらない 物語)++++++++++++




243 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:44
【木漏れ日の彼方】


 あたしの時間はみんなと違う時間に動いて...みんなの時間はあたしと違う時間に動いて・・・・・


 今、哲也との素敵な....あったかくって愛しい....時間を...歩き続けています・・・・


 きっとこうやって....あたしやみんなは...歩き続けていくんだって.....思います・・・


 今までの道が....おおきな....おおきな....ひとつの道だったけど・・・


 その道がいくつにも分かれても....あたしや...哲也の道は....ずっとひとつであって欲しいし・・・


 ・・・ううん...あたしと哲也の気持は繋がってるから・・・


 ひとつでいられると思うし...ももちゃん、おんぷちゃん、あいちゃん、はづきちゃん、ぽっぷ・・・


 きっとまたあたし達の時間も...ひとつになれると思います・・・


 今だって....素敵なひとつの時間が....天使の羽のようなあったかい時間が・・・

 あたし達の時間の中に舞い降りてくれたように・・・

 みんなの心の中にあったかい時間が舞い降りて・・・

 ひとつに繋げてくれるんだって....信じてます・・・


 それを信じさせてくれる....あなたが....あたし達の時間の中にいつまでも・・・

 いつまでも....輝いてくれるから・・・


 ねっ.....


 あたしの・・・あたし達の愛娘....あたし達の天使.....


                     (   ♪ ハナちゃん ♪   )


「ほらハルナぁーーー!!! 早く来ないと行っちゃうよーーーー!!!」
「わうんっ!!  わんわんわんっ!!♪」

 ・
 ・
 ・

 青空に浮かぶ雲。 暖かい時間の中にたゆたう雲。
 木漏れ日は優しく、大きな木に息吹く、新緑の葉の間から舞い降りる。
 ちいさなお墓と赤い首飾りに、出会いの挨拶をするみたいに柔らかく、暖かく。

 色とりどりのルピナスが、優しい歌声を聞かせてくれるように、柔らかな風を受け、ゆれている。

 この物語を感じてくれた、貴方の時間を....応援するように。
 貴方が感じ続けてくれる限り、終わることの無い物語を綴るように。

244 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:47
【木漏れ日の彼方 ――― 終わらない物語】


 きっと、貴方の中で綴られる、彼女達の物語。

 貴方が彼女達を忘れない限り、きっと綴られ続ける物語。


 つないだ手を離さずに....このままいついつまでも......


 貴方の中で綴られる.....


 彼女達の物語.....





【日差し ターニングポイント】   アフターストーリー   【木漏れ日の彼方】


 ――― 完 ―――

245 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 01:56
; ̄v ̄) ミナサマ 長文オツキアイアリガトウゴザイマシタ

 ̄v ̄) SSシュウバンノブンショウナイニ 終わらない物語 ノ歌詞ヲバッスイインヨウサセテモラッテマス ゴメンナサイ

v ̄) キャンセルニオチカラゾエヲクダサッタミナサン ホントウニアリガトウゴザイマシタ

 ̄) モシ カンソウトカイタダケマシタラ 至上の喜びデス!

) ソレデハシツレイシマス

彡サッ

246 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/06/12(土) 16:55
個人的には、いきなり小竹とどれみのラブラブに戸惑ったかな。
犬を追いかけていく、それもどれみの魔法グッズを咥えた犬を。
その事件の中で、ふたりの絆が深まる、そんな話のほうが良かったような気がします。

でも、素敵な文章に、溢れる情感。
とても楽しく読みました。
実に面白かったですよ。

247 名前:12 投稿日:2004/06/12(土) 18:28
物凄い勢いで新作キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!! ハァハァ
しかもどれこた続編ですよ。
って、キャンセラー手伝えなくてゴメンナサイ・・・ネテマスタ

熱いね〜 悔しいなぁ〜 羨まし過ぎるぞ、小竹!! もうどうしたもんだか・・・w

ハナちゃんを大人しくしたような印象の花香ちゃん
小竹とどれみの思い出の場所近くに居るあたりが、ちょっと謎めいていて
ホントにハナちゃんとは全く関係ないんだろうか?と勘繰ってみたくなってしまう・・・
それに、飼い犬のハルナも・・・ニヤリ

248 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/12(土) 20:17
>ブルーなんだ…どれみはストライプピンクだっ

(;´Д`)ハァハァ…

249 名前:246 投稿日:2004/06/12(土) 21:43
>>247
続編だったのですか?
ちなみに、前の話はどこに?

250 名前:12 投稿日:2004/06/12(土) 23:18
>>247 さん
私が答えちゃっていいのかナ?

つ http://www.doremich.or.tv/test/read.cgi/doremi2/1030766087/39-

ここから始まる「日差し」と68からの「ターニングポイント」でつ・・・よね?

実は私の以前書いた「星に願いを」のどれみ編
このスレの保守にと考えていたものだったのですが・・・
レベル高すぎてageられんかった・・・_| ̄|○

251 名前:246 投稿日:2004/06/13(日) 00:54
旅好きのおんぷさんのお供の方、すばやいレスありがとうございます。
早速読まさせていただきます。

252 名前:West 投稿日:2004/06/13(日) 18:30
大作ご苦労様です。少しほろっときました。
12さんのも楽しみにさせてもらってます。

253 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/06/16(水) 00:04
30点 もっと頭を使ってストーリーを考えろ。
ワンパターン過ぎるし、いかにも頭の悪い文章構成。
ズルズルと居続けるより、潔く退いたほうがまだ見所も有ると言うものだよ。

254 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/06/16(水) 03:03
kage

255 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 21 投稿日:2004/06/16(水) 06:25
日曜日 横浜駅

か「ごめんなさい突然誘っちゃったりして・・・迷惑だったかな?」
西「ううん、僕はいつでも暇だから・・・なんちゃって へへへ」

時計屋の西さんに保護者役をお願いして、小磯のショートビーチへ

西「それで、あと二人の友達は?」
か「うーん もうすぐ来るハズなんですけど・・・」

休みで凄く人通りが多い、駅の東西自由通路。
元町からやって来るふたりが迷わず来れるかなぁ・・・と少し心配していると、
MM線の出口から、たつや君ととおる君の姿が見えてきた。が・・・

か「おはよう・・・・ね・・・ねぇ、今日は仲良くする約束でしょ?」
た「ああ・・・」
と「うん・・・」

お互いそっぽを向いて、たまたま目線が会ってしまうと睨み合う・・・
ぜんぜん仲良くないじゃないのぉ・・・

・・・・・・・

3日前の喫茶マリカ

その日も二人は一触即発の状態で・・・

か「じゃーん!!」
た「ん?・・・小磯ショートビーチ招待券?」
と「かよ姉ちゃん、それどうしたの?」
か「当たったの。テレビの懸賞で
  それでね、今度の日曜日に行こうと思うんだけど・・・一緒に行かない?」

「いく!」と即答したとおる君に対し、たつや君は

た「・・・べっ、別にヒマだけどよ・・・かったりぃしなぁー
  それに、コイツが行くんじゃあなぁー 楽しいモンも楽しく無くならぁー」

とゴネる うーむ・・・困った。

チ「ちちーちちちちーち!」
か「えっ?「チチにまかせておきなさい!」って・・・なにを??」

・・・・・・・・

た「・・・ちっくしょう!! お前がこんなに花札強いなんて・・・不覚だぜ
  でも仕方ねぇ、男に二言はない。小磯でも大磯でも何処へでも行ってやらぁ。」
か「それと、仲良くも・・・お願いね!」

チチがわたしの姿に化けて、たつや君と花札勝負。
結果は意外にもチチの圧勝・・・

あの子にこんな特技があったなんて・・・ちょっとズルだけどね
でも、どうしても二人一緒に行って欲しかったから・・・ごめん。

256 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 21 投稿日:2004/06/16(水) 06:27
行きの電車内

か「良い天気になったねぇ・・・よかった。」
と「うん、そうだね かよ姉ちゃん」
た「・・・別に水ん中入って濡れるんだから、雨降っていたって関係ねーだろ?」
か「・・そりゃ・・そうだけど・・・・・」
と「・・・・・・・」

か「・・ね、ねぇトランプしよっか?」
と「うん、ボクババ抜きがいい」
た「・・・花札あんなに強いんだから、やったってかよこの一人勝ちだろ?面白くねぇ」
か「・・・・あ、アハ、アハハハ・・・・」
と「・・・・・・・」

か「・・・あ、そだ クッキー食べない? 昨日わたしが焼いてみたんだぁ」
と「うわ、かよ姉ちゃんすごいや・・・美味しそう」
た「・・・あんまり食うと太りますよ?かよこさん・・・ヘッ」
か「・・・ぶー、もうヒドイんだから・・・」
と「・・・・さっきから何なんだよ
  折角、かよ姉ちゃんが楽しくしようとしているのに」
た「あんだとー・・ヤル気かぁ?」
か「やめてよぉ!他のお客さん達に迷惑でしょ? それに約束・・・でしょ?」
た「チッ・・・」

なんだか天気とは裏腹に雲行きが怪しいなぁ・・・
頼りの西さんも、ニコニコしてるだけで全然助けてくれないし・・・
でも、こんな事でめげていちゃダメだ・・・がんばろ

二宮駅から海沿いの国道を歩いて20分ほどで目的地、小磯ショートビーチへ到着
入場ゲートに掲げられた料金表を見て・・・

た「大人5500円に子供2000円・・・タッケー」
か「そんな高価だと思わなかった・・・すごい物が当たっちゃったんだねぇ。
  ま、いいや ねぇ、早くプールに行きましょう。」
た「おう!」
と「うん!」

・・・・・・・

か「わたしちょっと理由があって、去年プールに入らなかったんだぁ
  それで学校の水着、小さくて着れなくなっちゃっていて・・・
  だから昨日、お小遣いで買ってきたんだけど・・・どうかな?」
た「・・・・・・」
と「うん、かよ姉ちゃん すごくカッコイイや」
か「ありがとう♪」

257 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 21 投稿日:2004/06/16(水) 06:29
か「わたしととおる君、泳ぎが得意じゃないんだぁ・・・
  だからさ、たつや君 とおる君に教えてあげて。わたしは西さんに教えて貰うから」
た「えぇーっ、オレがぁー? かったりぃ」
か「ねぇ・・・お願い!」
た「・・・・・・」

・・・何故か真っ赤な顔をして、渋々とおる君を見るたつや君。
なんだかんだ言って、彼は面倒見が良い。

問題はこっちだ、他人のこと言っていられない。
わたし・・・よく考えたら2年まともに授業でプール入った事ないんだった・・・

西「・・・ねぇ、かよこちゃん もしかして全然泳げない?」
か「・・・ハイ・・・・・スミマセン」
西「いやいいんだよ。誰にでも得手不得手はあるもんだ。
  大丈夫、ホーキで空を飛ぶ事が出来るんだからチョロイもんさ
  まずは・・・水に慣れる事から始めようよ。かよこちゃんガンバ!」
か「はいっ!」

・・・結局、とおる君は15m泳げるように、そしてわたしは・・・
顔を30秒間水につけていられるように(汗)なった所で、泳ぎの練習はおわり。
午後からは3人で水遊び。
西さんは・・・

西「ちょっとビーチでナンパでもしちゃおっかなぁ・・・なんちゃって
  僕はボウリングでもやっているから、何かあったら呼んでよ。」

と、園内のボウリング場へ行ってしまった。
プールへ泳ぎに来てボウリング・・・相変わらず良く解からない人だ。

わたし達はボディーボードや流れるプールで遊んでいた。

た「よぅし、もっかいフローライダーやろうゼ 今度は負けねぇぞ!!」
と「何回やったってボクの方が軽いんだから、早いに決まってるよぉ アハハ」
た「うっせー!オレはぜーったい勝つまでやるゾ!!」

段々と二人の仲も打ち解けてきて・・・やっぱりここへ連れて来て良かった。

夕方近く・・・
そろそろ帰ろうと西さんを呼びに行くと

か「・・・西さん、ひとりでやってて面白いんですかぁ? って・・・」
西「うーん・・・今日は調子が出ないや
  昔はもちっと良いスコア出して、女のコにキャーキャー言われたもんさ
  ・・・なんちゃって。」

204、235、244・・・十分スゴイと思うんですけど・・・てかプロ並?
マリカさんも多趣味だけど、この人もスゴそうだゎ。

258 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 21 投稿日:2004/06/16(水) 06:30
二人でたつや君ととおる君を待たせたあるロッカールーム前に戻ると
なにやら人だかりが・・・嫌な予感

と「このおっ!バシッ・・」
た「てめぇ!ドカッ・・」

二人が取っ組み合いのケンカをしてる。・・・もうっ!

か「やめて!やめてよ たつや君も とおる君も!!」
と「かよ姉ちゃん、コイツ・・許せない!」
た「許してくれなくて結構。だいたいうっせーんだよテメェ」
と「なにおっ!」
た「やるかぁ?」

か「もう・・もうやめて!!!・・・
  ・・・クスン・・ウッ・・・なんで・・ケンカ・・するのよぉ・・
  わたし・・わたし・・・二人に・・仲良くなってもらおうと思って・・・
  友達になって欲しくて誘ったのに・・・ここに来るの楽しみにしてたのに
  ・・・なんでなのよぉ・・・うっうっ・・」

と「・・・かよ姉ちゃん・・泣かないでぇ」
た「・・な、泣くこたねぇだろ・・・・・・んもう、わーった 悪かったよ。」
か「クスン・・じゃあ、仲良くしてくれる?」
た「ああ」
と「うん・・・ごめんね、かよ姉ちゃん」

か「えへへ・・・約束だよ。」

・・・・・・・・

帰りの電車の中

た「・・・ぐがぁzzz・・・」
と「・・・zzz」

二人寄り添うようにもたれ掛かって仲良く眠っていた。

か「ふふっ、二人とも遊び疲れて寝ちゃったみたい。
  たつや君もとおる君も人の気持ちの解かる良いコなのに、一緒になると・・・
  どうしてなんだろ?」
西「うーん・・・そうだナァ・・・
  かよこちゃんも男の子になってみれば解かる かな? 彼等のキモチが
  ・・・でも、きっと二人ともかよこちゃんの事がス・・・?」
か「・・・zzz・・・」

西「あ、アハハ・・・ま いっか   なんちゃって。」


後日、二人のケンカの理由が「わたしの水着が似合うか、似合わないか」
だった事を知ったわたしは、暫く二人の顔がマトモに見れなかった・・・(///)

259 名前:12 投稿日:2004/06/16(水) 06:54
・・・いや、いろいろとスンマセン・・・とくにWestさん・・・_| ̄|○

260 名前:West 投稿日:2004/06/17(木) 02:25
西さんカッコ良すぎですぅ…少なくともモデル(?)よりずっと。
それはともかく、あんま気にしないで下さい。

261 名前:くろがね 投稿日:2004/07/08(木) 20:55
・ω・`)えー・・・

お久しぶりで御座います。・・・
またなんか私のせいで、12さんを始めとする方々に
ご迷惑をかけていたっぽくて・・・

>>253さん
私に言っていますか、それ?!
だとしたら申し訳御座いませんでしたね。貴方がいつもの方かどうかは知りませんが、
他の方まで巻き込むようなレスはお止め下さい。私は私が自分の情景を見たいが為に
文章に転換して書いている趣味人に他なりませんので、気に入らない所が目に付くのは
仕方の無いことです。
私はプロでもなければ、人様を満足させられる程の人間でもないんで。
兎に角、いい加減にしませんか?私のことを気に入らない方は他にも多々お出でになりますが、
あなたはご自分が書けないから、面白がって抵抗しなかった私を叩いているだけでしょう?違いますか?

私が頭にこないと思ったら大間違いですよ。

さて、話題を切り替えて。

>>246さん
お気に召して頂けましたか?
いきなりラブラブ展開からの始まり、戸惑ったことでしょう。
なにせ二年近い前の初SSの続きですから。
そんな246さんには私の初作をお読み・・・下さっておられる最中ですのね!
紹介して下さってありがとう御座います、12さん!
ありがとう御座います246さん、お気に召していただければ嬉しいのですが(^_^;ゞ

>>247
12さん、紹介までして下さって本当にありがとう御座います。
私の中のどれこたの仲は、それはもぅ睦まじいほどのラブっぷりですとも!ええ、もう!
美風花香ちゃんですが、違う所では魅ラリ花と名乗ってますよ?
そっちも書かないといかんのですが・・・_| ̄|●;.......どうしよう・・・

花香ちゃんは、ハナちゃんとは随分印象等が似ていますが・・・別キャラです♪(^_^)
ハルナは・・・(; ̄v ̄)ポロリ〜ンピュアリ〜ン トカ ・・・ 言いませんよw
犬ハナちゃん似のワンちゃん(メス)ですから。

>>248さん
Σ(;゚Д゚) ああっ!しまった!こうなったら私も! ⇒⇒⇒ (*´Д`)は、花香ちゃんのパン(ry

>>252
Westさん。お読み下さったんですね、本当に感謝致します。ほろっと来て下さって…あぁ・・・嬉しいです!
作中の彼女達を感じて下さって本当にありがとう御座いました。

最後に。12さんの
>「星に願いを」のどれみ編
を、拝読させて頂きたいのですが、どこにお伺いすれば拝読可能か何方かご存知でしょうか?

262 名前:月光の小夜曲 投稿日:2004/07/12(月) 04:57
・・・瀬川おんぷ

私の所属事務所の先輩で、アタシの憧れで・・・目標で・・・

でも・・・


「・・・やっぱ、普通じゃないよ あの人の拘りは・・・」

 ・・・・・・・

名古屋駅 2番線ホーム

「・・・あ、もしもし代わりました瀬川と申します。
 無理に付き合って貰っていたら、帰りの新幹線が無くなってしまいまして・・・
 いえいえ・・・ホントに申し訳ありません・・・」
「ね、嘘じゃないでしょ? もうホントに疑い深いんだから・・・
 あー はいはい、帰ってから聞くから・・じゃ、おやすみなさい ・・・ピッ
 ・・・ったく、ウチの親は心配性なんだから 」

とは言うものの、中学生と小学生の女の子二人で外泊なんて
普通認めてくれないだろうな・・・ま、こうなっちゃったんだから仕方ない。


事の始まりは真夜中の電話・・・

「旅行の下見したいんだけど、ちょっと付き合ってくれるかなぁ」
なんて掛かって来たのが、今朝の3時・・・

「旅の醍醐味を教えてあげるわ」
なんて言うもんだから何かと思えば
名古屋くんだりまで、4回も電車を乗り換え、わざわざ鈍行使って行く始末。

「今日は山線だから、次回は海線ね」
とアタシにゃ理解不能の言葉を呟き
目的の廃止間際の電車に乗り、これで帰るのかと思いきや、突然

「名古屋ういろう食べたい」
とか言い出して、駅の売店で買えばいい物を
街中あちこち歩き回って、一番美味しいのを見つけ出し・・・挙句

「スイカはどうかしら?」
と、ますます意味不明な言葉を言い放ち
食べるだけじゃ飽き足らず、そのお店の人に頼み込んで
自分でういろうを作り始めちまうわ・・・

あー・・・もう付き合ってらんないわよ ホント。
それで最後のオチは

「・・・いっけなーい、夢中になっていたら時間の事すっかり忘れてた。
 これじゃ最終の新幹線に間に合わなくなっちゃう」
「エ"ーーーー うっそーぉ!! マズイっすよ、そりゃ」

結局21:45発の東京行き最終のぞみに間に合わず、夜行列車に乗るハメに・・・

263 名前:月光の小夜曲 投稿日:2004/07/12(月) 04:59
「快速・ムーンライトながら号 東京行き
 この列車は人気が高いから指定券すぐ売り切れちゃうんだけど
 良かったわ、空席があって・・・」
「無かったらどうするつもりだったんですか?」
「箒で飛んで行こうかしら?」

おいおい・・・

23:55、華やかなネオンと聳え立つタワービルを後に
列車は定刻どおり、名古屋を出発した。

少し大きめの駅に着くたび、少しずつ乗客を拾いながら
夜闇に包まれた鉄路をひた走る。

しかし、この列車・・・
電気が煌々とついたままで、眠れない
隣の先輩は、列車の揺れに身を任せて、黙って目を瞑っている。
もう寝てしまったのだろうか?

「・・・お、おんぷ先輩 起きてますぅ?」
「・・・・・・」
「・・・もう寝てるのかよ・・・・・・この旅キチが・・」
「起きてるわ。」
「うわっ!・・・あ、アハハ・・・」

オキテイヤガッタ!!!

「どうしたの 眠れない?」
「あ、はい・・・こう明るいと、なんか落ち着かなくって・・・」

駅を告げる案内放送はさっき過ぎた駅を最後に、朝の横浜到着まで休止
時折隣席の人の寝息が聞こえるくらいで、車内は静まり返っていた。

「ごめんね、こんな事になっちゃって」
「いいえ、いいえ・・・こんなトラブルなんて芸能人やってりゃ
 しょっちゅうありますから・・・ハハハ」
「・・・旅キチ・・・ねぇ・・・」
「ハハハハ・・・・・ごめんなさい。」
「いいのよ、その通りだし・・・
 わたしのパパって、夜行寝台列車の運転士でね
 中学生になって、パパと住むようになっても、お互いのお仕事の都合で
 たまにしか逢えないんだけれど・・・
 でも、線路は日本中何処へでも繋がっているでしょ?
 遠く離れていても、あまり逢う事ができなくても
 こうやって列車に乗っていると・・・パパの運転する列車が走っている
 同じ2本のレールの上に居ると、いつも一緒に居られるような・・・
 そんな気持ちになれるの
 だからわたしは・・・旅が好きなの。」
「・・・おんぷ先輩の旅好きには、そんな理由があったんですかぁ・・・」

いつも隙が無く、格好良く、気丈に振舞っている先輩の・・・意外な一面
なんだかちょっとカワイイかも。

264 名前:月光の小夜曲 投稿日:2004/07/12(月) 05:03
浜松を過ぎ、山間部でも走っているのだろうか
家々やネオンの明かりは見当たらず
だいぶ西へ傾いてきている月だけが、窓の外の景色を薄明るく照らしている。

先輩はその闇を、凝らすようにじっと見つめている・・・

「あのー、先輩はその・・・」
「えっ、なに?」
「・・・聞いて怒らないっスか?・・・」
「・・・場合によるけど」
「・・・じゃ、ズバリ 好きな人って居ますか?」
「いるわよ。」

・・・スゲェ 「・・・」で溜めずに即答かよ。

「あ、でも 恋したり、愛し合ったり・・・とかそういう「好き」じゃないの。」
「は?」
「なんていうか・・・大切な人なんだぁ・・・

 今のわたしって、家族や友達、それに沢山のファンに恵まれて
 お仕事も、学校も、忙しくて大変だけど
 そんな人たちの応援があるから・・・いつもわたしは頑張れるの。

 でも、そのコに出会わなかったら、そんな友達も出来ず、ファンも大切にしない
 昔のイヤな性格のままだった。

 心に囲いを作ったままで、
 幸せな今のわたしはいなかった・・・
 そう
 きっと“女優・瀬川おんぷ”も存在していなかった・・・」

・・・おんぷ先輩を幸せに導いてくれた、大切な人・・・かぁ
待てよ!・・・その人って、ひょっとして・・・

「あなたにもいるでしょ?」
「・・・はい??」
「出逢ってスグに気が付いちゃったわ
 あなたがいつもお手伝いしてる料理屋さんで、あのコを見ている、あなたの瞳・・・
 わたしと同じなんだもん」
「えっ、えっ・・・まったまたぁー・・・アハハ」

・・・冗談でしょ? だってアタシ、あのコの事そんな風に思ったコトない・・・


265 名前:月光の小夜曲 投稿日:2004/07/12(月) 05:04
「・・・自分の気持ちって、なかなか気付かないものなのよ
 わたしも最初の内は、鬱陶しいお節介って思っていただけだったもの
 それがね・・・いつのまにか変わってきたの。

 好きなんだ・・・ってキモチに」

嘘よ、嘘!!・・・ぜーったいにありえなーい!!!

 でも、なんでアタシ こんなにドキドキしてるの?・・・

  なんでこんなに 胸が 苦しいの??・・・

   イヤイヤ!! こんなキモチ 絶対に認めるもんか!!

    何か・・・なにか言い返さなきゃ・・・・・・・・

「・・・も・・もう!だめですよぉ先輩!!
 小学5年生の穢れ無き乙女をからかっちゃぁー ハハハハハ
 あのコとはただの友達ですって。
 ただ、ちょっとお人好しで、おっちょこちょいで、危なっかしくて
 放って置くと何を仕出かすか分からなくて、それで目が離せないだけなんですヨ」

・・・・・い、言えたぁ・・・

「フフフ・・・ま、そういう事にしときましょ」

・・・この性悪女・・・いつか覚えてろよ・・・
それにしても・・・・ハァー 疲れたぁー・・・

列車は横浜を過ぎ、あと30分ほどで終点東京に到着する。

アタシ・・・結局、一睡も出来なかった・・・


まだ誰もいない、起きたばかりの東京駅へ
長旅を終えた夜行列車が滑り込む。

「やっとついたぁー・・・ああ長かったぁー」
「ホントにゴメンね。」
「いいですってー・・・それに先輩のナイショ話も聞けたしっ エヘヘ
 先輩の大空駅と高久駅、方向違うし、アタシここからひとりで帰ります。」
「大丈夫?」
「へーきですって、イザとなりゃコレで・・・」

拳を左右に大きく振ってみせる。

それに笑い返す先輩・・・仕事の時では絶対に見せない優しい笑顔で・・・

「今日は付き合ってくれて、どうもありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。 んじゃ先輩、失礼します。ペコリ」

背を向けて、階段に向かって歩き出す。

「・・・ねぇ」

もうすぐ降り口という所で、ふと呼び止められ振り返る。

「お互い頑張ろうぜ、ライバル!!」

先輩・・・瀬川おんぷの声が
東の空が白み始める東京駅7番線ホームに響き渡る。


「・・・・・・ハイ!!」


        月光の小夜曲 〜 ムーンライトセレナーデ 〜   おわり

266 名前:12 投稿日:2004/07/12(月) 05:31
もちっとカッコイイ2人を書きたかったんですが・・・ダメダメp
この後輩さんが、今後どんな風に転ぶのかがトテモ気になる
旅好きの瀬川おんぷ。

>>260 Westさん
実は西さん、どれみで言う未来さん的な役どころにしようかと画策中。
テカ サイショカラソノツモリデシタ アヒョ

>>261 くろがねさん
うみゅ、関係なしでつか・・・花香ちゃん
てか、他所でもやっているのでつかい!!

ホントにもう、ここの人達はコソコソ楽しいコトやってよー・・・
 漏 れ も ま ぜ ろ ! ! w

「星に願いを」は期待してると禿げしくがっかりすると思うので、オシエマセン
・・・ジツハ「>>」デイケルトコニソンザイシテイタリ・・・_| ̄|                                ○

かよナイの方も更新せんとイカンのに・・・見てる人居たらゴメンナサイ
ネタ提供の居候さん、もうチト待っててクダサイ。

267 名前:West 投稿日:2004/07/14(水) 01:53
>>262-265
相変わらず元気に旅してるようですねw 「山線」「海線」というとこっちでは小樽回り・
室蘭回りの意味なんですがいつか来るかな?後輩さんもいい味出してます。

>実は西さん、どれみで言う未来さん的な役どころにしようかと画策中。
うわぁ…(//)チョットタノシミナヨウナ コワイヨウナ


……まだ決まってないのでしたら、下の名前は光太郎を希望(ボソッ

268 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 22 投稿日:2004/07/15(木) 19:55
  この街だ・・・
  きっとこの街に、あの人は居る。
  でも・・・どうしよう・・・
  この姿で行っても、気付いてくれないかもしれない・・・

  あの人に・・・どうしても伝えたいのに・・・

  そうだ!
  あの人がいつも言っていた・・・大切なおともだち・・・
  あの子の姿になれば・・・
  きっと・・・僕の姿に 気が付いてくれる。


梅雨の鬱陶しい、雨の降る日曜

ガチャ

「こんにちわ、かよ姉ちゃん。」
「とおる君いらっしゃい・・・ちょっと待ってて、今ミルクティー淹れるから」

とおる君の顔を見て、支度を始めようとカウンターに入ろうとすると

「ちょっと待って。この人・・・かよ姉ちゃんのお客さん・・・みたい。」
「・・・えっ?」

振り向くと、そこには
いつもの見慣れた服装、いつもの見慣れた特徴的な髪型の 彼女が立っていた。

「・・どっ、どれみちゃん!?」
「・・・・・・・」
「・・・どうしたの?ずぶ濡れじゃない! それに、足・・・怪我しちゃったの??」
「・・・・・・・」

とおる君の後ろから、少しびっこを引いて現れた彼女は
容姿は間違いなく彼女でありながら、何故か彼女ではない様な雰囲気
何故だろう?

声・・・そう、喋っていないんだ。
何時もならわたしの姿を見つけるなり、声たからかに話しかけてくる彼女が・・・

とりあえずマリカさん(元の姿)の服を借りる
どれみちゃんは、そのダボダボの服を不器用に着てから、椅子に腰掛ける。

「お店に来る途中にね、山下公園の傍を通ったら
 このお姉ちゃん、傘もささないで何かを探すみたいにウロウロしてて・・・
 声を掛けたらコレをボクに見せてくれてね
 それで「ここへ行きたいの?」って聞いたら頷いて・・・それで」

それは縁に「marika マリカ marika・・・」とロゴが入っている、このお店のコースター

わたしはどれみちゃんに、このコースターはおろか
喫茶マリカの事すら話した事は無いのに・・・なんで持っていたんだろう?

269 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 22 投稿日:2004/07/15(木) 19:59

「ねぇ、どれみちゃん 何があったの?」
「・・・・・・・」
「ひょっとして・・・事故にでも遭って
 それで怪我して、喋れなくなってしまったんじゃあ・・・どうしよう・・・・ん?」

私の服をちょっと引っ張って、手でブンブンと・・・「違う」という仕草を

喋らないものの、彼女はわたしの顔を見てニコニコしてる。
それはわたしの知っている・・・いつものどれみちゃんの顔。

あなたのそばに居るだけで・・・それだけでいいんだよ。

笑顔の彼女は まるでそう言うかのように わたしに笑みを向けていた。

「んー・・・えっとぉ・・・なんだか照れちゃうな エヘヘ
 それと・・・ゴメンね、ここへ来ている事を黙っていて・・・
 4月の初めくらいから来ているんだけどね、お店の御主人のマリカさんや、
 ここへ連れてきてくれた彼・・・とおる君
 ・・・お客さん達もみんな良い人達ばかりでね・・・
 ここへ来るのが とっても楽しいんだぁ」

魔女見習いのことはチョット言えないけれど・・・
今まで起こったいろいろな出来事を・・・いっぱい話した。

彼女は時々、わたしの淹れたコーヒーを
よーく冷まして飲みながら・・・話を聞いてくれた

とっても嬉しそうに・・・ニコニコ笑って・・・聞いてくれた。

ふと、店内が明るくなった
窓の外を見ると、先程までの雨空が嘘のように晴れ上がり
夕焼けで空が染まっていた。

「えっ、外へ出たい・・・の?」

わたしの袖を引っ張り「外へ行こう」と合図をする彼女
お店番をとおる君に頼んで、ちょっとおさんぽ。

「うわぁ・・・きれいな夕焼けだねぇ・・・でも、どれみちゃん本当に大丈夫?」

「大丈夫だよ」と言うように、頷いてニッコリ笑う。
店の前の山道を登りきり、港の見える丘公園へ

「こんな事改まって言うの、ちょっと恥ずかしいんだけど・・・
 わたし、どれみちゃんにすごく感謝しているの。
 今、ここにこうして居られるのは・・・みんなあなたのお陰
 どれみちゃんがわたしを・・・こんなに元気にしてくれたんだよ?」
「・・・・・・」


  ばっ!

270 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 22 投稿日:2004/07/15(木) 20:01

・・・瞬間、夕焼けの眩しさが消え
その代わりに彼女の温もりが、わたしの体に伝わってくる。

わたしもそっと、彼女を抱きしめる。

「・・・ありがとう、どれみちゃん」


・・・ごめんね かよこちゃん

「えっ?」

それは・・心に届いた言葉


・・・僕、本当はどれみちゃんじゃないんだ


どうしても、もう一度キミに逢いたくて、


この姿を借りてしまったの・・・騙しちゃって本当にごめん。


   キミの優しさ・・・絶対に忘れないよ


   ・・・ありがとう・・・かよこちゃん



ふっ・・・



気が付くと彼女・・・
いや、どれみちゃんの姿をした彼は わたしの前から消えてしまっていた・・・


・・・・・・

「ええっ!!・・・あのお姉さんって・・・」

かよこと客が出て行った後、とおると
店の奥で一部始終を見ていたマリカが話す。

「大変だよ、いま二人一緒に出て行っちゃったよ
 かよ姉ちゃん取り憑かれちゃうヨォ!!・・・どうしよう」
「その心配はないじゃろう・・・かよこに取り憑いたり、危害を加える様子もなかったし
 あやつ・・・何かを伝えたかったんじゃろう」


「・・・最後に・・・な・・・」


271 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 23 投稿日:2004/07/16(金) 06:26

僕は或る日、ご主人様に捨てられた
引越し先が、ペット禁止のマンションだった為・・のようだ。

「ゴメンネ・・・元気で・・・幸せになるんだよ。」

そう言って、家から遠く離れた海岸に僕を置いて
ご主人様は行ってしまった。

自分で捨てておいて幸せになれだなんて・・・勝手なものだ

でも・・・もう独りで生きていかなければならない。
しかし、僕に待ち受けていたものは想像を遥かに超えた厳しいものだった・・・

食べる物に困り、さかなを盗んで店主に追いかけられたり、
「余所者」として、他の仲間達に嫌がらせされたりは日常茶飯事
その時に、この足も痛めてしまったのだ・・・

冬の雪降る寒い日、僕はゴミ捨て場のダンボール箱の中でうずくまり
降り続く雪をボーッと眺めてた。

「このまま生きていても、きっと良いことなんてないだろうし・・・
 ・・・もう・・・・・いっかぁ・・・」

「こんなトコで寝てたらカゼひいちゃうよ?」

・・・?

初めてだった・・・
僕がご主人様に捨てられてから・・・人間に話しかけられたのは

その人は、僕のために家からマフラーと、さばの缶詰を持ってきてくれた。

「辛いよね・・・淋しいよね・・・でも、独りだって思っちゃダメだよ
 きっと何処かで、キミの事を想ってくれる誰かが・・きっといる。
 その事を・・・忘れないで・・・頑張って!!
 そうすればきっと・・・キミもきっと幸せになれる。」

その人は、独りでいることの「痛み」を知っていた。
だから僕の気持ちにも気付いてたんだ。

僕はその人の事が気になって仕方がなかった
ある朝、僕はその人の後を尾け・・・学校へ着いた。

でも、ちょっとヘンだった
いつもひとりで窓際に置かれた机に座って、勉強している・・・
学校というのは確か、沢山の子供が集まって勉強や運動したりする所ではないのか?

暫くそこへ通ううちに、その理由が解かった。
そして、僕の「痛み」に気付いてくれた理由も・・・

272 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 23 投稿日:2004/07/16(金) 06:28

・・・春 僕に家族が出来た。

子供達のエサを探す為に、今日も街を走り回る
僕はもう、独りじゃないんだ・・・

家に帰ると、子供達が何かを食べていた。
それは、子供達の人数分・・・3つのコースターの上に分けられた、さばの缶詰

・・・あの人・・・来てくれたんだ
僕もあなたと同じように・・・幸せになれたよ。  ありがとう・・・


でも、そんな幸せな日も長くは続かなかった。

子供達のエサを求めて港へやって来た。
釣り人がいつも、僕におこぼれをくれるからだ。

「おお来たか。今日は大漁だからたくさん持ってきな
 ・・・オマエもきっと、家族が居るんだろうなぁ
 オレも口煩いカミさんと、娘が2人居てねぇ・・・
 ま、苦労も多いだろうけどお互いガンバロウや、な? ハハハ」

長身の眼鏡を掛けた釣り人は、そう言いながら
アジを3匹、持っていき易いようビニール袋に入れ首に掛けてくれた。

これを見たらあの子達、きっと喜ぶに違いない。
自然と早足になり、家路を急いでいると
目の前に、如何にも悪そうな目つきの黒猫が立ち塞がった。


  バシャーン!!


魚を奪おうと飛び掛ってきた黒猫を交わそうと飛び上がった が、
運悪く防波堤の上から、海に落っこちてしまった。

・・・岸にたどり着こうと、必死でもがいたけれど
首のビニール袋が自由を奪ってしまって、泳げない・・・

くっそおおお・・・

息が・・・ 息ができない!!


・・・・・


今朝 アイツと喧嘩したままだったなぁ


子供達・・・無事に育ってくれると・・・いいな


あの人に・・・ひとことでも・・・お礼・・・したかった


ああ・・・・・・そらって・・・・こんなにも大きくて 綺麗だったんだ・・・


今まで・・・気付かなかった。


・・・・・

・・・




「マリカさんただいまぁ〜」
「おかえり、かよこ
 んむ? 随分と沢山の荷物じゃな そんなに頼んでおったかのぉ?」
「あっ、違うの こっちのはわたしのです。」

特売セールだったので、ついでにまとめて買った・・・と重たそうに持ったその袋には

「・・・鯖缶・・・しかも30コもあるではないか・・・
 かよこはサバが好物だったのか・・・知らんかった。」
「ち、違うんですマリカさん これは子猫たちのゴハンなんです。
 うちの近くの神社に猫が住んで居て、半年前くらいから時々見に行っていたんです。
 春に可愛い子猫が産まれて、すっごく幸せそうだった・・・
 でも何故か最近、親猫さんが居なくなっちゃって それでこれをを子猫達に・・・

 でも、いつかきっと戻ってきてくれる。
 だってあのコ、この鯖缶づめが大好物なんだもの・・・うふふ」

「・・・・・・・そうじゃのぉ・・・」

・・・マリカさんは、一言 そう呟き 優しく笑った。


 今日 まるでらしくなかった 梅雨が開けた。


 目を移した窓の外には、入道雲の浮かぶ


 おおきな おおきな なつのそら ・・・・





273 名前:12 投稿日:2004/07/16(金) 07:15
梅雨明けしましたね 皆様お暑ぅ御座います。
夕方近くに雨が降ったんですが、ちっとも気温が下がらず ヘヤガアツイ・・・
お陰でこんな時間まで書いてられますた。こらから寝ます・・・_| ̄|○
ああ 汗疹が痒い・・・ かゆい、うまw

>> 居候さん
な・・縄の記憶とか 入ってなくてゴメンナサイ
えちいのは「かよこを愛でるスレ」1さん辺りに書いてもらいませう・・・モレハエロカケナイダス

>>267 West さん
予讃線の内子、長浜廻りも(ry

・・・いや、聞いておいてホント良かった。マジヨカッタ。
あたしの頭ん中「西はじめ」が支配してたんで・・・ほんとよかった・・・_| ̄|○

>>217 さん
なんか更新時刻とか見ると、スゲェ忙しいのに
7月になったんで無理してやっているんじゃあないかと
ちょっと心配になったり・・・

しかしあんなんで、あそこまで解かっちゃうとは・・・
ピンボケなのは「周りの目」のせいです。w

@つttp://banban11.hp.infoseek.co.jp/ojamajo/banban1481.jpg

274 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 24 投稿日:2004/07/18(日) 04:16

「明日から夏休みだし、お店もたくさん手伝えそう。 よぉし、今日もがんばろう」

通信簿の結果も良く、マリカさんに見せようと上機嫌で
喫茶マリカの入り口ドアを開く。

「マリカさんこんにち・・・うわっ!!」

  バチィィン!!

・・・突然の事に、何が起こったのか解からなかったが・・・頬が痛い
なに?・・・わたし・・・ひっ引っ叩かれたの!?

「こらっリリ、何をするんじゃ!!」
「えっ?・・・・痛っ、いたた」

リリって誰・・・という間も無く、髪の毛を引っ張られているのだろう

「こらやめい!!!」
「いや、離してよマリカ! コイツ・・・コイツ・・・」

マリカさんが飛び掛り、わたしの頭の上でもみ合っている・・・
その時、初めて悪さをしている相手の声が聞こえた。

「かよこは悪くないとあれ程言ったじゃろうが!!なぜ解からんのじゃ??」
「だって・・・だって・・・コイツが居なければ
 マリカがこんな姿にならずに済んだのに・・・アタシの大好きなマリカが・・・
 ・・・マリカ・・が・・・ウェェェェーーーン・・・」

・・・・・・

「・・・あ、あの・・・わたし・・・・」
「かよこ こやつは興奮しておるだけじゃ、気にするでない。
 それに・・・リリはかよこを睨むんじゃない!」
「だって、こいつ・・・」
「いい加減にせんと本気で怒るぞ!!」
「・・・・はぁーい・・・」

わたしに悪戯をしていたのは、魔女界の大学が夏休みになって、帰省してきた
チチと違って、人間の姿をしている マリカさんの妖精「リリ」だった。

「・・・ごめんね、リリさん マリカさんを魔女ガエルにしてしまって・・・
 わたし頑張って魔女になって、きっと元の姿に戻してみせるから・・・
 だから・・・本当にごめんなさい・・・」
「マリカ、騙されちゃダメよ。コイツの言う事なんて当てになるもんですか!
 ズルくて、嘘つきで、平気で約束を破る・・・それが人間なのよ!!
 アタシを騙そうったってそうは行かないんだから!!!」
「違う・・・違うぞリリ 人間は嘘つきばかりではない。
 ・・・人は魔女の知らない事や出来ない事、
 魔女には無い、素晴らしいものを沢山持っておる。
 ワシがこうやって人間界に住み着いているのも
 そんな人間達が好きになってのことなんじゃ・・・」

マリカさん・・・そうだったんだ・・・

275 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 24 投稿日:2004/07/18(日) 04:19

もう何百年もこの場所に住み、人々の営みを見続けてきた彼女
遠い昔を懐かしむかのように、マリカさんは目を瞑りながら話す。

「・・・ワシはかよこを信じておる。
 ・・・だから頼む、リリもかよこの事を信じてやっておくれ。」
「・・・・・・・・・・・・・わかった。」

「じゃ、仲直りじゃ ほれ、挨拶せい!」
「・・・あ、アタシは・・・リリ・・・妖精リリ。・・・・・・・・よろしく」
「わたしはかよこ、長門かよこ リリさん、こちらこそよろしく。
 それに・・・このコはチチ わたしの妖精です。」

「へぇー・・・妖精が居るって事は、試験には合格してるって事よね?
 あなた今何級なの??」
「えっと・・・9級です・・・」
「え゛ーーーーっ、まだ9級ですって!?
 試験は毎月一度、笑う月の晩に行われているのに 今何月よ?
 7月ももうすぐ終わりよ?? あんた何時から魔女見習いやってんのよ!えっ!!」
「えっ・・・」

・・・知らなかった・・・毎月見習い試験が受けられるなんて・・・
でも、どうしてマリカさん その事をわたしに教えてくれなかったんだろう?

「エヘヘ・・・スマン、ワシがかよこに言うのを忘れとったんじゃ。
 まぁ、急ぐ事もないし・・・ゆっくり昇級すればよい。」
「マーリーカぁー・・・もう、しっかりしてよ!」

・・・・・・・

「・・・じゃあ、今日は帰ります。」
「ああ、ご苦労さん・・・ちょっとそこまで送るよ。」

夕方になっても、まだまだ日は高く、そして暑い
海から吹いてくる、少しだけ涼しい風を受けながら、二人はゆっくりと飛んでゆく。

「スマンのぅ、かよこ
 あやつも悪気があってのことじゃないんだ、許してやってくれ。」
「その事はいいんです・・・それより、昇級試験のこと
 ・・・ウソでしょ?忘れていたって・・・
 どうしてそんな大切な事を・・・言ってくれなかったんですか?」
「・・・・見習い試験に無事合格して魔女になる
 かよこはきっとなれる・・・ワシは確信しておる・・・じゃが・・・」

マリカさんは何故か、急にわたしに背を向けて 呟くように・・・

「・・・・・ワシが元の姿に戻ったら・・・・
 その・・・・・かよこはここに・・・・
 喫茶マリカに来なくなってしまうんじゃないかと・・・思っての・・・スマン」

「・・・・・そんなことないよ、マリカさん。
 わたしの事、そんな風に想っていてくれたなんて・・・嬉しい・・・」


「・・・なにが「嬉しい」よ・・・フン」

少し離れた場所からやりとりを聞いていたリリ・・・


「覚えてらっしゃい・・・ギャフンって言わせてやるんだから!!」




276 名前:12 投稿日:2004/07/18(日) 04:35
チチさんを麻雀好きにすべく
ネット暦4年目にして、初のチャット体験をしますた。

要領得なくてドキドキしっ放し・・・シンゾウニワルイデスネ
お相手してくれて、ここ見てくれている奇特なお方 アリガトウゴザイマシタ。
(あそこって観戦のみはご法度なのかナ?だったらゴメンナサイです。)

277 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 25 投稿日:2004/07/21(水) 04:05
・・・魔女界

魔女学校初等部でも、人間界と同じく1学期の終業式を迎えていた。
6年生A組は“あの”話題で持ちきりだった・・・

「ねぇねぇ聞いた? B組のマジョリズム、人間界への特別留学が許されたって」
「でもあのコ、特に魔力が強い訳でもないし、
 大人し目で目立たないフツーの子なのにね。なんで選ばれたんだろう?」
「なんでも女王様直々のご配慮だとか言っていたわ・・・
 お城のイベントの仕事をお手伝いしているって聞いたから、その伝じゃない?
 いいなぁ、私も行ってみたいなぁ 人間界へ」
「・・・そだ、確かあんた人間界へ行った事あったわよね?
 それで先生はおろか、学長にまで呼ばれてこっぴどく叱られちゃったんだよね。
 ・・・・ねえ・・・聞いてるのぉ? マジョヒルピー??」

「・・・魔力、学力、体力 どれを取ったって
 私のほうがずっと上なのに・・・納得いかない!!」
「えっ・・・って、何処行くのよぉー」

私は予てから人間界への留学を希望していた。
なのに何故、私が選ばれなかったのか?

担任教諭、学長にまで掛け合ってはみたものの

「彼女は女王様直々に、あるご命令を授かった為
 特別に8日間だけ、人間界へ向かう事を許されただけのことです。
 ・・・それにもし、留学が行われる事になったとしても貴女は選ばれないでしょう。
 理由は・・・自分が一番良く解かっているはずですよね? マジョヒルピー」

・・・はぁ・・・こんな事なら興味本位で人間界なんか行くんじゃなかった・・・
でも、あの時行かなかったら、あのコと出会えていなかったかも知れない。


・・・今頃、どうしているだろう・・・

・・・魔法を使わない魔女見習いは・・・



278 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 25 投稿日:2004/07/21(水) 04:06
芝生に寝転んで、人間界で出会った魔女見習いとの出来事を思い出し
目を瞑っていると、ふと耳傍で声を掛けられる。

「ねーえ」
「・・・?」

パッと目を開くものの、相手の姿は見えず・・・

「・・・ここよ、ここ」
「ああ、妖精だったのか・・・気付かずに済まない・・・」
「・・・アンタ、人間界に行きたいんじゃない?」
「えっ!? 何故その事を」
「いいじゃないのそんなコト・・・ねえ、アタシが連れて行ってあげよっか?」

悪戯っぽい目で、自分の事を見ている妖精
これはきっと何かウラがありそうだな・・・

「断る。」
「えーーっ、どうしてぇー?? さっき魔女学校の学長にまで頼んでいたじゃない」
「・・・お主、何か企んでおるだろう?」
「はっ・・・・そ、そんなコトないよ。ゼンゼン。
 ただちょっと・・・お願いしたいことがあるんだぁ・・・」
「お願い?・・・うむ、場合によっては考えてもよい。話してみろ。」

やったー とばかりに私の掌の上に跳び乗り、妖精は訴えかけるように語りだした。

「実はアタシの主が、人間に正体を見破られて魔女ガエルの姿にされてしまったの。
 見破ったその娘、魔女見習いになったのは良いんだけど
 今、主のことを騙して、あろうことか店を乗っ取ろうとしてるのよ・・・
 でも、主がすっかりその娘の事信用しきっていて、アタシの言う事を聞かないの。
 だからアンタに、主を説得して、娘を店から追い出してもらいたいのよ!」

絶対に何かあるだろう・・・が、ちと面白そうな気もするな・・・

「・・・本当に人間界へ連れて行ってくれるんだろうな?」
「あ、それならゼンゼンOK アタシこれでも魔女大学・魔法研究学科の学生だし、
 魔法研究の助手だって言えば、人間界への留学も出来るハズよ。任せておいて!」


・・・・・・・

夏休みに入ってから・・・というか、7月に入ってから猛烈に暑い日が続く
海沿いで都心部よりも比較的涼しい美空や横浜でも、今日は35度を超えていた・・・

かよこの提案で、申し訳程度の店前スペースに
オープンテラスなるものをセットしてみたものの、この暑さで誰も寄り付かず
冷房の効いた店内の方が、かえってアイスコーヒーを求めるお客さんで賑わっていた。

「・・・余計な事だったね。」
「ヨイヨイ、この暑さでは仕方ない。もう少し涼しくなれば客も使ってくれるじゃろう」
「・・・うん」

夕方になり、店も落ち着いたところで
マリカさんはわたしを呼んだ。理由は解かっていた・・・

「まったく、ソーサーは3つもダメにしてしまうわ、オーダーミスするわ・・・
 お願いをしているワシが言える立場ではないが、一応これでも客商売でのぉ・・・」
「・・・ごめんなさい」
「かよこ・・・まだリリの事を気にしておるんじゃろう?」
「そ、そんな事ないよ? わたしリリと・・・」

「あーら、早くも呼び捨て? 偉くなったものねぇ」
「・・・・・・・・」
「あっ、そうじゃないの ゴメンねリリさん・・・と・・・」

リリの後ろに立つ、紫色の魔女服を纏った・・・少女?
その顔を見て、わたしは驚く


「えっ!?・・・お、おんぷちゃん??」




279 名前:12 投稿日:2004/07/21(水) 04:11
こいつです。w

 つhttp://www.doremich.or.tv/test/read.cgi/doremi/1057346129/29-30

280 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/07/21(水) 16:12
いや、どうも皆さんアヒャいですね。
もうアヒャくてアヒャくて氏にそうですね。
職場に居てもアヒャいし、人と会っても「アヒャいですねー」
道行く人も皆「アヒャい、アヒャい」、独りで居ても「アヒャ・・・」
情報によると、昨日東京の大手町では観測史上一番にアヒャかったそうですが、

きっと「アヒャ」という単語が1日で使われた記録も更新ですね。アヒャ

281 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/07/21(水) 16:14
ところで今日は土用丑の日。
「どうせだったら“牛の日”にしてくれれば、ステーキ(ry」
とか、ベタでワカメな、恐らく毎年言っているだろうアヒャい理由で
今年も親に強請って、当然の如く却下されて
「あたしってば、世界一不幸な(ry」
を、迷惑にも鰻屋の店先で叫んでいるだろう 美空の牛娘2004。

・・・もうすぐ14歳になるってのに、どうなんでしょうかね?アヒャ

282 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 26 投稿日:2004/07/22(木) 02:31

「おんぷちゃん?
 ・・・ああ、この姿は以前人間界へ来た時に使った“仮の姿”なのだが」

その容姿は、まるで瀬川おんぷそのものだったが、
言動がまるで彼女のそれと違っていた。
それによく見ると、彼女のトレードマークである髪のワンポイントが
右側ではなく左側についている。

「アタシの研究助手として、魔女界から呼んだの。」
「マジョヒルピーと申す。よろしく。」
「ねぇ、マリカぁー このコ暫くここに泊めてあげてほしいんだけど
 ・・・いいでしょ?」
「あ、ああ良いが・・・」
「やったぁ! 決まり決まり!!
 ヒルピーは魔女界で喫茶店の仕事を手伝っていたことがあるから、
 きっと役に立つと思うわ・・・
 失敗ばかりで余計な事をする、万年9級魔女見習いよりは・・ね。フフフ」
「おいリリ、いい加減に・・・って、待てかよこ!!」


・・・・・・無くなっちゃった・・・わたしの居場所


走った。 メチャクチャに走った。
立ち止まってしまうと、きっと涙が零れてしまうから・・・
走って、走って・・・はっ!!


  ドンッ!!


「・・・痛っ」
「いたた・・・ご、ごめんなさ・・・はっ! に、西さん!!」
「どうしたの、かよこちゃん? そんなに慌て・・・?」
「うっ、うっ・・・うううううぅぅーー」

見られたくない顔を塞いで、みっともない声で・・・
でも、西さんの顔を見たら、なんだか安心しちゃって

・・・・・・

「・・・失敗を言われたのが悲しいんじゃないの。
 わたしがしてしまった事が、こんなにもリリさんを傷付けてしまった。
 ・・・許して貰えなほど彼女を深く傷つけてしまった自分が・・・許せないんです。」

「・・・かよこちゃんがこの間持ってきたボンボン時計、ちゃんと動いてる?」
「・・・え?・・・はい」

「・・・同じなのさ 時計も、人も、妖精も・・・
 みんな同じ“心”を持ってる。
 時には傷つき、時には許せないって思うこともある。
 そして嫉妬する事も・・・・・・
 って これはチョット、かよこちゃんには早過ぎるかな? なんちゃって」
「・・・んもー!!」
「アハハ、ごめんごめん でも・・・多分、
 その妖精さんも本当にかよこちゃんの事が嫌いな訳じゃないと思うよ。
 時計が、かよこちゃんの「友達になりたい」って気持ちに気付いたように、
 彼女にもいつかきっと、かよこちゃんの一生懸命な“想い”が通じるさ。」

「でも・・・自信・・・ないなぁ・・・」
「大丈夫、かよこちゃんには味方がいるじゃない。
 マリカさんにチチ、とおる君にたつや、それに僕も・・・
 キミを応援してくれる、たくさんの仲間いるってコト
 忘れないで欲しい。・・・かよこちゃん ガンバ!!」

「・・・ウン」


 ・・・いつも自分の事よりも先に 他人のことを考えてしまう・・・
                    優しすぎるんだよ、キミは・・・

 
 ・・・出来ることなら この“道”を 歩んで欲しく なかったな・・・



283 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 26 投稿日:2004/07/22(木) 02:33

空をゆっくりと飛び 喫茶マリカの真上までやって来た。
そこには、箒に乗ったひとつの影が・・・

「やっと戻って来たのか。探したぞ」
「あっ、ごめんなさい・・・えっと、ヒルピーさん・・・」
「ヒルピーでよい。同い年だ、遠慮するな。」
「あっ、うん・・・ありがとう、ヒルピー」

何故かすぐに店に入らず、屋根の上に腰を下ろす。
もう日は落ちかけているものの、日中の猛暑で瓦が・・・がアツイ・・・

「お主が、この喫茶店を乗っ取ろうとしている・・・
 そう言って、リリ殿は私を魔女界から連れ出したんだ。」
「わたし違う・・・」
「よい。言わずとも解かる。
 お主・・・あやつと同じ瞳をしている・・・だから解かるんだ。」

・・・あやつ って、一体誰の事なんだろう?・・・

「リリ殿は、お主にヤキモチを焼いておる マリカ殿を取られたと思って・・・
 だから、私に免じてリリ殿を許してあげて欲しいのだ。 頼む、かよこ殿」
「そんな、頼むだなんて・・・
 でも良かった。ヒルピーがわたしの味方になってくれて・・・」
「それはどうかな?」
「えっ?」

「リリ殿の嘘を許して欲しいとは言ったが、味方につくとは言っていない。
 彼女は私を人間界へ連れて来てくれた・・・その恩は返すつもりだ。」
「えーっ、うそぉー・・・」
「フッ・・・フハハハハハハハハハ」
「なにがおかしいの??・・・ふっ、ふふふふふふふふふ」

何故か笑った。可笑しくないのに笑えた・・・なんでだろう?

マジョヒルピー きっと、いいお友達になれそう。

「ハハハハ・・・ところでかよこ殿・・・その・・・熱く・・ないか?」
「ふふふふ・・・わたしもさっきからガマンしてたの・・・」



 「「おしりがあつーい!!」」




284 名前:12 投稿日:2004/07/22(木) 02:44
先週土曜日からの連休(日曜は出)で、ちょっと多めにageちゃいますた。
如何なもんでしょ?

と言って、レス付かないとめっさ寂しいので・・・・↓

285 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/07/22(木) 02:57
夜になってもアヒャいですね。どうもです、アヒャ
昨夜の報ステで言ってましたが、温暖化の影響で地球上の渚が
年間東京ドーム八十何個分、消失していくそうです。
・・・怖いですね、マジ他人事じゃないですね?ね??

砂浜じゃなくて、なぎさの消失ですよ?
・・・古館氏のコメントはテレ朝的にどうなんでしょ?アヒャ

286 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/07/24(土) 04:47
おはようございます。ちゃんと毎朝ラジオ体操行ってますか? アヒャ

もうすぐ「夏の暑さを吹き飛ばす」夏祭りが始まりますネ。
お神輿担いで、ヨーヨーつりして、盆踊りを踊って・・・
いつも見ているだけのももですが、とてもワクワクしちゃいます。

大人になっても忘れられない そんなオモイデ できたらいいね・・・ アヒャ

287 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/07/26(月) 01:39
おぼろ月がとってもステキな夜デスね・・・あなたの街ではどうですか? アヒャ

昨日、山形で空洞化が深刻な商店街の活性化策として「100均フェア」が開催されたそうです。
ネクタイ300本を売り切った洋品店店主は「忙しくて昼飯も食べられなかった」とのこと・・・
一時的な事とは言え、寂れた町が栄えるのっては嬉しいコトデスね。

百均と言えば、ももが昨日買った「おジャ魔女のメラミン製どんぶり」
・・・番組終わって1年半も経つのに、未だ店頭に残っているなんて・・・

喜んでいいのか、悲しむべきなのか・・・身内としては複雑なトコデスね。 アヒャ

288 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/07/27(火) 21:26
かよたん魔女見習い・・・イイ・・・(・∀・)

なぜ今まで気付かなかったのだろう _| ̄|○
某スレの紹介文(?)で気付きました。とてもイイ(´∀`)です。
今後も応援しまっす♪

甘々などれこたもイイなあ。なんかむず痒くなりましたw
つか前作を読んでいたので、すんなり入れたってのもありますが(・∀・)
出来たら次作も・・・orz

289 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:34
「えっと、ここから・・・どうするんだっけ?
 うーん・・・根室本線に乗り換えて厚岸駅まで行く・・・か。」

依頼人から渡された旅程表を読み終わり、仕舞おうとしたものの
あまりの日差しの強さに、それで目上を覆ってしまう。

夏休みに入ったばかりだというのに、美空の街でも連日猛暑が続き、
ちょっと涼しくてキモチイイ空気が吸いたいな・・・ってのも
この「おつかい」を引き受けた理由のひとつだったんだけど・・・

「あっつぅい。なんなのさこの暑さ、ホントに北海道なの?」

・・・・・・・

コトの始まりは、おんぷちゃんからの電話。

「・・・あ、どれみちゃん? 今いいかしら」
「ああ、おんぷちゃん・・・いいよ、いまオフロからあがったトコだし。」
「実はね、どれみちゃんに頼まれて欲しいんだけど」
「いいけど、なに?」
「明日、わたし厚岸へかき弁買いに行く予定だったんだけどね
 急にお仕事が入っちゃって・・・もうチケットも買っちゃってるし、かき弁食べたいし・・・
 どれみちゃん、代わりに行って来てくれないかな?」
「えっ・・・おつかい ってコトだよね? いいけどその「あっけし」ってドコ?」
「北海道よ?」
「ふーん 北海道かぁ・・・ってオイ!
 そんな遠くは無理だよう。いくらおんぷちゃんの頼みでもさ・・・」
「・・・明日急に入ったお仕事、三重県の松阪であるんだけどな・・・」
「・・・・・・・まつさか・・・ぎゅう?・・・・・・・しもふり・・・とか?・・・」

・・・・・・・

・・・てな訳で、わがままなチャ・・じゃなかった
おんぷちゃんの代わりに飛行機乗ってかき弁当買いに、釧路まで来ている訳なのです。

「13:08の根室行き普通列車だ・・・これに乗ろう。
 あぁー、もう あちぃーなぁー どっか涼しいトコは・・・」

電車、モノレール、飛行機、バスと乗り継いで釧路駅まで
ここまでずっと冷房の効いた場所に居た為、余計に暑さが堪える。

駅前を見渡したものの、都会のような華やかさは全く無く
タクシー乗り場、左手にバスセンター、右は・・・遠くに長崎屋が見えていた。

駅構内に入ってみる。
駅舎が大きい割りに改札は小さい。が、意外にも自動・・・
ミスド、レストランに挟まれて、待合室を見つけた。冷房も効いている。

都会の駅ではまず目にかかることがないそれは、
列車本数が少ない田舎の駅ならではの、乗り継ぎ客などのサービススペースと言ったところだろう。

「あと30分位だし、ここで待ってよう。」

290 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:36
据え付けられたテレビでは昔の2時間ドラマが掛かっていたが、
途中だし、どうせ最後まで見られないだろうからボーッと眺めていた。すると

「・・・うわあああぁぁぁぁーん、おかぁさぁーん・・・」

待合室に泣きながら、5歳くらいの少年が入ってきた。
みんな何事かと一斉に振り返る。

「あれあれ?どうしちゃったのかなぁ、お母さんとはぐれちゃったのぉ??」
「・・・うん」
「そっかぁ・・・よし、お姉ちゃんにまかしときなさい。」
「ホント!!」

「ねぇボク?どこでお母さんとはぐれちゃったのかな?」
「・・・あっち」
「あっちって・・・あそこから歩いてきちゃったの?」
「うん、だって帰るときいつもここに来るから」
「ああ、電車に乗って帰るんで・・・ここに来ちゃったのかぁ
 でもお母さんまだ買い物してるかもしれないから、とりあえず戻ってみよう。」

少年が居たと言っていた長崎屋へ行って、店員さんに聞いてみたところ
親はすぐ見つけることができました。

「すみませんでした。本当にありがとうございました。」
「いえいえ・・・よかったネ、ボク?」
「お姉ちゃんありがとう!!」

少年の頭を軽く撫で、バイバイと手を降る。
・・・その様子を、じっと後ろから見つめる人の事に気付きもせずに・・・

駅に急いで戻り、出発間際の改札を通ろうとした その時

「・・・ふーっ・・・重くてかなわないわぁ・・・」

札幌から来た特急列車から降りた乗客だろうか?
両手に沢山の荷物を持った老婦人が改札の前で困っていた。

「どしたんですか? 荷物お持ちしましょか??」
「あ、ありがとうございます。
 そこのタクシー乗り場までで良いので・・・お願いできますか?」
「まっかしといてください!」

「いやねぇ、牧場を経営している息子夫婦のところに土産を持って行こうと
 思ったんですが・・・どうも多すぎてしまったようで、助かります。」
「いえいえ、困った時はお互い様っスよ。」

タクシーに乗った老婦人を手を振って見送った後、我に帰る。

「・・・あ、電車行っちゃった。 ま、いっか次に乗れ・・・うぇい!!」

291 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:37
改札上に掲げられた、次発列車の時刻を見ると・・・

「じゅ、16:14って・・・・じゃあ、あと3時間も来ないってコト?
 ・・・・・・う っ そ お お お ぉ ぉ ぉ ! ! _| ̄|○ 」

うなだれて待合室へと戻る。テレビでは、さっきのドラマがEDを迎えていた。
・・・あーあ、こんなコトなら見ておけば良かった・・・って、それも無理だったか

「あんた、世話好きなんだねぇ」
「へ?・・・」

振り向くと、後ろの席に大きなバックを持った中年女性が座って話しかけていた。

「え、ええ・・・まぁ・・・」
「・・・あんたも旅の途中だろ?
 こんな所で見ず知らずの人助けをしたって、なんの見返りもありゃしないじゃないか
 それなのに・・・なんであんたは 人を助ける?」

不思議そうにあたしの顔を見つめるおばさん。
その表情は疲れ切っていて、寂しげだった。

「・・・見返りなんて無くていいんです。
 あたしはただ、喜ぶ顔が見たい・・・人が笑顔になるのを見たいだけなの。
 ただ それだけなんです。」

「いや違う、違うだろう?
 あんた、私と同じ心を持ってる。

 人に裏切られて、傷ついてしまうのが 怖くて怖くて堪らない
 だからそうやって 笑顔の仮面 を被って人を騙し続ける。
 いいひとのフリ し続ける・・・

 少し前・・・いや、昔の私もそうだった・・・だから解かるんだよ。
 そうなんだろう? あんたもそうなんだろ!!」

女性の声は、まるで叫ぶような大声になっていた。
驚いて振り向く人々
俯いたまま、何も言い返さない少女
そして沈黙・・・

「♪お待たせいたしました。ただ今から15:08発、
 根室本線帯広方面行き、普通列車の改札を致します。」

放送を聞き、待合室のほとんどの客が立ち上がり改札へと向かう。

292 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:40
「・・・そうなのかもしれない。
 あたしって、いつも周りに人が居ないとダメだから・・・

 でもね、そういうキモチを心の何処かに持っていることで
 同じ寂しい心を持っている人達のコトが・・・よく解かるんだ。

 寂しい気持ちを埋めるだけの、自己満足なのかもしれない。
 でも、相手がそれで喜んでくれるなら・・・それだけでいい

 あたしは、その人の笑顔・・・ココロの笑顔が 見たい
 ただ それだけなの。」

少女は俯いたまま、でも、ハッキリとした声で答えた。

「・・・私もさ、人がニコニコしてくれるのが好きでさ
 お人好し・・なんて言われるのが嬉しくって
 ついつい調子に乗っちゃうんだよね・・・

 その挙句、騙されて、生活奪われて・・・いまここにこうしている。
 この性格の所為で・・・

 騙されていたって解かった時、惨めで情けなくって
 どうしてこんな性格なんだろう・・・って、自分を呪ったりもした
 でもさ、何故か自分が嫌いになれなかったんだ。

 それは心の何処かで、まだ人を信じる気持ちが残っているから・・・だろうな
 こんな辛い思いまでして、何故なんだろう・・・って

 そして、あんたに出会った。
 迷子の子供や老婦人の荷物持ち・・・それで列車に乗り遅れ
 まるでお人好しを絵に描いたようなあんたを見て

 この子だったら、わたしの見えない答え・・・
 こんな目に遭ってまで、何故、人を信じ続けられるのかを
 教えてくれるんじゃないか・・・って・・・
 そう思ったんだ。

 ごめんよ。」


「・・・答えならでてるじゃん。」



293 名前:駅・春風どれみの場合 投稿日:2004/07/30(金) 21:42
椅子に腰掛けたまま、振り向かず、少女は話す

「人を信じられる、とっても大切な気持ち。
 それが自分の 偽りの無い ホントの気持ちなんだよ。

 だから人を信じて 嫌いにならないで!
 自分を嫌いにならないで!!

 お願い・・・だよう・・・・」


振り向いた少女の目は・・・涙でいっぱいだった・・・

その顔が、みるみるうちに涙でぼやけていく・・・


「・・・・ありがとう お嬢ちゃん」


・・・・・・

厚岸駅

「えええええーーーーーーっ 売り切れぇぇぇぇぇーーー」
「かき弁当は人気があるから、夕方にはいつも無くなっちゃうんだよ。
 あと2、3時間早く来てくれればねぇ・・・ごめんねぇ」


・・・・・・

羽田空港

「おかえりどれみちゃん、お疲れさま。」
「あ・・・お、おんぷちゃん迎えに来てくれたんだ。あはは・・・」
「で、かき弁は?」
「かき弁?・・・・・・・・・・・・・・かき弁は・・・あはは・・・」
「・・・ま、いいわ。どれみちゃんの事だもの
 じゃ、松阪牛霜降りステーキはわたしが美味しく頂きまーす。」
「えー、ちょ・・・ちょっとだけでもイイから・・・だめ?」
「だめでーす。」

そのやりとりの向こう、到着ロビーに置かれた一台のテレビから・・・

「・・・今日夕方、東都四菱銀行・仙台支店の横領事件で指名手配され
 逃亡を続けていた40歳の女性が、北海道の釧路で警察に自首しました。・・・」




 嬉しいこと、楽しいこと
 辛いこと、哀しいこと
 そんな思いを持った、沢山の人達を見つめながら
 今日も「駅」は あなたのことを見守っています。


                 駅・STATION 春風どれみの場合   おわり

294 名前:12 投稿日:2004/07/30(金) 23:59
てな訳で、どれみさんハッピーバースデー!!
みたいな感じです。ハイ

 怒んないでね ゴメンナサイ・・・・・


>>288 さん
久々に名無しのお客様キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!!
嬉しいっスよー 応援これからもヨロシクですー

295 名前:West 投稿日:2004/07/31(土) 19:40
>>289-293
久しぶりの旅物ですね。もしや、おんぷちゃんとしてはこれ自体が誕生日プレゼントの
つもりだったのでしょうか?どこへ行っても変わらない彼女の優しさに目が熱くなります。


*「電車」という言い方にああ、どれみさんは関東育ちだなぁというのを実感しました
(北海道の大半を走っているのは「汽車」)。

296 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/01(日) 11:09
旅SS激しく(・∀・)イイ!
このまま発展させて、
「ひょんな事からどれみちゃんとおんぷちゃんが一日デート」スレに
するというのはどうでつか?
・・・
どうみてもスレの趣旨に合ってないですね。すいません。

297 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/12(木) 23:49
高校野球が始まりマシタ。遊学館、今年もBAN×2ですネ ガンバレー!! アヒャ

先週、おんぷチャンと秋田のカントウ祭りを見に行って来ました。
駅に着くと、改札口に何やら人だかりが・・・
ナントそこにはニッポン映画界の“某有名人”が居りました。
氏らしく「新幹線こまち号」に乗って来たみたいデス

え?誰かって?? そんなの言わなくても解かるデショ?
新幹線“超特急”が似合う超有名人よ??

・・・いやぁ、映画って本当に良いものですネ ではまた来週。 アヒャ

298 名前:12 投稿日:2004/08/14(土) 00:12
かよこです……


   私は、お店の手伝いがあるので明日のお祭りには行けません。
   常連客に情報を流さないお店は大キライです。


                           かよこです……

299 名前:駅・春風ぽっぷの場合 投稿日:2004/08/14(土) 03:59


どれ「うわぁー、おっきなビルだねぇー」
おん「・・JRセントラルタワーズ。
   地下2階から11階までの「ジェイアール名古屋タカシマヤ」をはじめ、
   ホテルやオフィス、それに国内最大級のインドアガーデンもあるの。
   51階のパノラマハウスからは、遠くアルプスや御嶽山、伊勢湾が一望できるのよ。」
ぽぷ「行ってみたい、行ってみたいー!」
どれ「だーめ、電車の時間があるんだからぁ」

小学校に入って、はじめての夏休み
わたし達家族とMAHO堂メンバーで高山のお爺ちゃんのお家へ行く事になりました。

最初、うちの車で移動する予定だったんだけど、
お姉ちゃんがみんなを誘って、大人数になるので電車に変更。

お留守番のマジョリカ達やハナちゃんにはちょっと悪いけれど、
なんだか遠足気分でとっても楽しーい♪

渓介「ここから特急ひだ5号に乗り換えるんだ。
   えーと、新幹線の案内放送では確か・・・何番線からだったっけ?」
はづ「11番線、11:03発車 です。」
はる「流石はづきちゃん。
   私達だけだったら、きっと迷っていたでしょうね ・・ねぇ渓介?」
渓介「・・・あはははは・・・・・はぁー」

ホームに着くと、既に電車は停まっていた。
銀色の車体にオレンジのラインが入った・・・

ぽぷ「カッコイイ!!」
どれ「ぽっぷったら、さっき乗ってた新幹線の時もそう言ってたじゃん。」
ぽぷ「こっちのほうがカッコイイ!!」
おん「JR東海キハ85系、特急ワイドビューひだ号。
   車窓の景色を余すことなく楽しめるよう設計された側面の大きな窓
   そして、編成両端は前面展望のできるパノラマカーなのよ。」
もも「 wide view まさにその名の通りネ」
ぽぷ「・・・さっきもそうだったけどさ、
   おんぷちゃんって、スゴイ物知りなんだねぇー わたし感心しちゃったよ。」
おん「パパのお仕事が寝台特急の運転手だから・・・
   小さな頃から電車とか旅行に興味があってね それでなの。
   中学生になったら、日本中あちこち旅してみたいなぁー なんてね、テヘッ♪」


300 名前:駅・春風ぽっぷの場合 投稿日:2004/08/14(土) 04:01

わたし達の乗っている1号車を先頭に、列車は定刻通り名古屋駅を発車した。

景色は市街地から住宅地、田園風景へ
そして大きな木曽川を渡って暫くすると、最初の停車駅 岐阜 へ到着する。

おん「ここから方向転換をして高山本線に入っていくの。
   だからこの車両は最後尾になっちゃうのよね、残念だけど・・・」
ぽぷ「えー、そうなんだぁー・・・つまんないのぉ」

岐阜を出ると、おんぷちゃんの言うとおり逆向きに走り出した。
運転席の後ろから、前面の景色を一緒に見ていたお姉ちゃん達も、
座席を回転させてトランプで遊び始めた。

どれ「ねぇ・・・ぽっぷはやらないのぉ?」
あい「みんなでやった方が楽しいでぇ、一緒にやろう ぽっぷちゃん」
ぽぷ「わたしは・・・いいよ・・・ちょっと探検してくる。」
はる「いいけど、他のお客さんに迷惑掛けちゃダメよ?」
ぽぷ「はーい・・・」

どれ「・・・・・ゴメン、あたしちょっとぽっぷの事・・」
おん「いいわ。わたしが見てくる。」

デッキへ出て、ドア窓から見える飛騨川の景色をぼーっと眺める。
日の光に照らされ、川の水が鮮やかなグリーン色に染まりとてもきれいだ。

ぽぷ「・・・・・・はぁ」
おん「どうしたの?ぽっぷちゃん」
ぽぷ「あ、うん・・・・川のお水が・・とってもキレイ」
おん「・・・そうだね。この辺りは川底が深いから、お水の色がよく解かるの。」

列車はスピードを落とさずに駅を通過してゆく
流れる景色に、小さな駅舎と行き違いのたった2両の列車・・・駅名は読めなかった・・・

ぽぷ「・・・わたしだけ、違うんだよね・・・」


301 名前:駅・春風ぽっぷの場合 投稿日:2004/08/14(土) 04:03

ぽぷ「みんなと一緒にMAHO堂のお手伝いしたり、ハナちゃんの面倒見たり・・・
   でも・・・なんか違うの。
   なにか起きても、わたしだけ何の役にも立てなくって・・・いつもただ見ているだけ
   ・・・まるでさ、お姉ちゃん達の舞台を客席から見ている「お客さん」みたいじゃん」

おん「ぽっぷちゃん・・・わたしが売れっ子のチャイドルで居られる訳、解かるかな?」
ぽぷ「それは・・・おんぷちゃんが可愛くて、演技や歌がとても上手で・・・」
おん「それだけじゃなれないわ。
   歌って、演じて、それを見てくれる・・・そして応援してくれる人が居る、一生懸命に
   だからわたしも頑張れるの。一生懸命になれるの。
   ・・・「お客さん」が居なかったら、わたしはただの女の子なんだよ?」

ぽぷ「・・・・・・」

携帯電話を掛けに来たサラリーマンが、わたし達に気遣いながら小声で会話し、
また座席へと戻ってゆく。

おん「わたしも4年生になったばかりの頃、ぽっぷちゃんと同じだった。
   どれみちゃん、はづきちゃん、あいちゃん・・・3人ともすごく仲良くって、
   わたしにも・・・
   嫌なことばかりしていた、あの頃のわたしにも、とっても優しくしてくれたの。
   でもね、それがなんだかイヤだったの。
   わたしだけにいつも気を遣って、まるで他人行儀みたいで・・・
   ・・・それで何度か「お仕事がある」って嘘ついて
   MAHO堂に行かなかった事もあったりしたんだぁ」

ぽぷ「おんぷちゃんも・・・そうだったんだ。」
おん「うん・・・
   でもね、ある時気付いたの・・・それはただの、わたしのヤキモチだって事に・・・
   みんなは純粋にわたしと、ホントに仲良くなろうとしてくれているのに、
   わたしは何つまらない意地を張っているんだろう・・・って」

意外だった。

すぐにお姉ちゃん達と打ち解けて、あんなに仲が良いと思っていたおんぷちゃんも

わたしと同じように・・・悩んでいたんだ・・・


列車は下・・・ちょっと口に出して言いたくない駅を出て、
また山間の渓谷風景が続いてゆく・・・


302 名前:駅・春風ぽっぷの場合 投稿日:2004/08/14(土) 04:04

おん「ぽっぷちゃんの応援が、パティシエ試験を頑張ろうって気持ちにしてくれるの。
   わたし達の大切な見習い仲間、そして、
   わたし達みんなのかわいい妹がいるから・・・
   どれみちゃんも、はづきちゃんも、あいちゃんも、ももちゃんも
   それから・・・わたしも・・・ぽっぷちゃんの事が大好きなんだよ!!」


・・・なんでわたし、こんなつまんない事で悩んでいたんだろう・・・

とびっきりのおんぷちゃんの笑顔を見ていたら 不思議

そんな惑いが、フッと消えていった。


ぽぷ「・・・・・・・あり・・・がと・・・エヘヘ」



  ・・・おんぷちゃんの魔法に かかっちゃったのかなぁ・・・


・・・・・・・

「ご乗車お疲れ様でした。まもなく、高山に到着致します。1番線到着、お出口は右側です。
 高山では1〜3号車、後ろ3両を切り離します。その作業の為、4分停車致します・・・」

ぽぷ「お父さん、電車の写真撮ってよぉ〜」
渓介「そうだなぁ、名古屋駅で時間が無くて撮れなかったし・・・
   少し停車時間があるみたいだから、みんなで撮ろうか?」
全員「さんせ〜い!!」


高山駅到着
わたし達の乗ってきた車両はここで切り離し、3両の身軽になった編成が
山を越えて日本海側の街、終点富山を目指す。

「ひだ」のマークが入った先頭車両をバックに、わたし達6人が並ぶ


渓介「それじゃあみんな撮るぞー・・・はい」

全員「マルチーズ!」


  パシャ!


ぽぷ「あーー、ももちゃんそんな前に出て ずーるーいー!!」


              駅・STATION 春風ぽっぷの場合   おわり




303 名前:12 投稿日:2004/08/14(土) 04:35
丸の内線スレより

15 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/08(日) 03:13
そろそろSSが上がる頃か?w

・・・  呼  ん  だ  ?   w


という訳で、かなっぺさんの絵に触発されての「ぽぷたん編」でした。

>>295 West さん
モツカレサマです・・・
で、今回も姉妹揃って“電車”な訳です。w
てか、恐らくおんぷちゃん以外は皆「電車でGO!」デショ?

>>296 さん
が煽てるから、またこんなの書いちゃったyo・・・テヘッ
そんな296さんにはココがオススメ!

http://www.doremich.or.tv/test/read.cgi/doremi/1076437547/l50
無料チャイドルお@ぷちゃんと丸1日デート本当に無料
旅費昼飯代当然無料、ここに来れば解る
今日から時刻表ともお別れです。すべてただ
http://www.doremich.or.tv/test/read.cgi/doremi/1076437547/l50


雨にも負けず、風にも負けず
夏の暑さにも負けず
夏込みに逝けない悔しさにも負けず

次こそ、かよナイの続きを・・・_| ̄|○

304 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/15(日) 12:50
 ああっ!いつの間にか良いものが上がってるじゃないですか!
どれみちゃん、ぽっぷちゃんと来たなら他のメンバーも書きますよねっ!(爆)

305 名前:かなっぺ ◆Gw1H0Youjo 投稿日:2004/08/18(水) 12:19
うお! うお!! いつの間にかこんなSSがっ(;´Д`)=3=3
普段来ないスレなので下手すりゃずっと気づかないままでしたょ…
おんぽぷだし、絵のシーンも再現していただいたし、最高ッス。
ありがとうございます。

306 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/21(土) 00:07
・・・絨毯爆撃なんて書いてあるから、
今度は絨毯のセールスカキコでもあったのかと一瞬素で思ってしまいました。 アヒャ

山陰本線に由良という小駅があります。
そこに着くと「コナンとスイカの町 大栄町」と駅出口に大きく書かれた看板が目に付きます。
そう、そこはサンデーとよみうりテレビでやってる「名探偵コナン」の原作者青山氏の故郷なのデス。
町には「コナン通り」「コナン大橋」など、もうコナンだらけ・・・
数年前発行された地域振興券にもコナンが描かれてマシタ(ももはレプリカ持ってマス)

たかなし♥サンの故郷も「どれみとスパンクの町」とか売り出してくれたら良かったのにねぇ  アヒャ

307 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/08/21(土) 00:34
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今日から交通渋滞ともお別れです。すべてただ

308 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/23(月) 00:16
・・・お説教は大嫌いですが、説教臭いのは大好きです。  アヒャ

優勝旗がついに津軽海峡を越えました。オメデトウゴザイマス
汗 涙 熱い声援 歓声・・・そして運命の女神は微笑んだ。

あんなに暑かった甲子園に吹く風は もう秋の匂いです・・・
高校球児の皆さん、今年も感動をありがとう そしてお疲れ様でした。

あと、2週分おあずけ食らっていた関西プリオタの皆さん モツカレー  アヒャ。

309 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/30(月) 17:52
台風が来てますネ 中四国地方の皆さん、ホント気をつけてクダサイね。

実はもも、今 何故か広島に居ますの。
昨日の夜行列車に乗って九州入りし、大牟田でハナチャンとどれみチャン
が活躍中の「プリティーオンアイス」を見に行こうと思ったんですけどね・・・
まぁ、今のトコこんなカンジです・・・ つttp://www.uploda.org/file/5494.jpg

開催は明日までですので、ご近所の方はゼヒお見逃しなくぅぅぅー!  アヒャ

310 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/30(月) 19:08
つーかリアルで台風直撃してますのだw
さっきはトイレに入ったら停電になったし、今日は今日で仕事が集金・・・
店舗に入るまで雨風に晒されてきつかったですなぁw

プリティオンアイスかぁ・・・って、行くに行けず帰るに帰れないことになってますね。
えっと、無事ですか?ももさん?キコキコダッシュで帰ってこられればいいのにね・・・
自分の場合、例え近場でも素面だと一人で絶対に行けないだろなぁ。

311 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 22:57

「あー もおっ!! オトコってどうしてこんなワケ解かんないこと突然すんだろ?」

新宿発新潟行き、ムーンライトえちご
大きなリュックに、自転車の入った大きな袋を持った彼女は
列車を待つ列に並び、ブツブツと呟いている。

・・・・・・

6月も終わりに近付いた或る日
彼・・・森川君から電話が掛かった。

「なぁ、木根 夏休みにさ・・・その・・・あのだなぁ・・・えっと」
「なーに? もう、なんなのよ勿体ぶっちゃって」
「あのさ・・・ツーリングに出掛けないか? 北海道へ」

高校までは一緒だった彼とも、さすがに大学までは同じにならなかった。
わたしは短大、彼は四年生の私大

でも、逢えない時間が多くなった分
1、2ヶ月に一度の、会える時間がとても大切に思えた。

わたしは彼が好き。
彼はわたしのことをとても大事にしてくれる。

・・・お互いの気持ちが確かめられたようで、かえって良かったかも知れない。
でも・・・

一昨日の事。
旅程の詳細を知らせる為に、掛かってきた彼からの電話で・・・

「・・・わたしさ、今度 警察官の試験を受けてみようと思ってるんだ。」
「なっ なんだよ藪から棒に・・・」
「ホントはね、直接会って話さなきゃいけないことなんだけど・・・
 こんな大事なことを黙って旅行に出掛けてしまったら
 森川君を騙すみたいで・・・つらかったの。」

・・・暫くの沈黙の後、彼は優しく笑って 答える・・・

「バッカだなぁ、おめーは
 オレはそんなこと、とやかく言える立場じゃねぇよ
 オレだって、整備士になりたいって夢があるんだ。
 木根は・・・そのことに反対するか?」
「ううん・・・応援する。
 森川君だったら、きっと立派な整備士になれるよ! 絶対応援する!!」

「だろ? オレだって気持ちはおまえと同じなんだよ。
 自分が進みたい道・・・夢先を自分で決めたんだ。
 オレも木根の事・・・応援するよ  ガンバレ!木根巡査!!」

なんて気の早い事言って・・・応援するって言ってくれたのに・・・

「ええっ、森川君もう出掛けちゃったんですかぁ!?」
「昨日の夜よ? 私てっきり、ひろこちゃんと一緒に出掛けたものだと思って・・・」

電話に出たのは森川君のおばさんで、彼は昨日の夜行で出掛けてしまっていた。

なんで? なんで一日早く行っちゃったのよぉ・・・


312 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 22:59

これから普通電車を乗り継ぎ、北海道への長い旅が始まる。

全席指定の列車は全て満席。
私と同じように自転車を持った若者、グループのおばさん達
大きな時刻表を広げ、仲間達と話し込んでいる学生・・・
旅への思いを馳せ、列車は新潟へ向けて出発した。

午前一時、高崎
ここで小休止 後発の夜行急行能登に追い越される。

「・・・うーん、眠れん。」

なかなか寝つけない。夜行列車に乗るのが初めてだからだろうか?
それとも・・・

「ったく バカ!」

こればかりが口をついて出てしまう。
でも、それを言いたい相手は・・・隣にいない・・・


・・・早朝、まだ明けきらない新潟駅に列車が着く。
ここから普通列車を乗り継ぎ青森まで、文字どおり「鈍行の旅」が始まる。

途中村上駅、酒田駅と秋田駅で乗り換え。
しかも後者2駅では、次の列車までの待ち時間が1時間以上もある。

「一体この荷物で何処へ行けというのよ・・・トホホ」

酒田から先の電車は、座席は向かい合わせではなく、
窓側に張り付いた長い椅子 そして並んだ吊革・・・
それは都会で目にする「通勤電車」そのものだった。
今まで乗ってきたデッキ付きの車両と違うので、自転車の置き場に困る・・・

11:31秋田着

「お腹すいたなぁ しゃーない、外に出るか。」

朝ご飯が、パンとお茶だけだったので、空腹に負けて駅の外に出る。
駅前のヨーカドー内レストランで昼食
のち、まだ少し時間があるので本屋で立ち読みをする・・・

「えっと・・・確か13:31発よね・・・
 あ、あれ・・・誰も居ないし、なんで電車も停まってないの?
 ・・・・ゲエッ! 31分じゃなくて13分だった・・・あっちゃー」

乗り継ぎ列車に乗り遅れてしまった。
急いでポケット版の時刻表を開き、次の列車を確かめる・・・

「うーん・・・15:28の電車で、途中大館で乗換えて・・
 青森の到着が19:45・・・予定より2時間半も遅くなっちゃうなぁ」

「・・今日は臨時便が出てるから、少し早く着けるわよ? お嬢さん」


313 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 23:02

お婆さんというにはまだ少し早いような・・・
“おばちゃん”という言葉がピッタリ来るような女性が覗き込んで見ていた。

「いやぁー、助かりました。そんなの書いてないし、気付かないトコでしたぁ」
「今日一日だけ、五所川原のお祭りへ行く臨時列車なのよ。
 付録のページには書いてあるんだけれどね」
「え そなの?・・・・あ、ホントだ。あははー」

14:53、列車は秋田駅を出発する。

「一人旅かい?」
「・・・ええ、まぁ」
「あたしもそう。」

国内の旅行にしては、ちと大袈裟な大きなスーツケースには
色々なステッカーが所狭しと貼られている。

「どちらまで行かれるんですか?」
「札幌。家へ帰るの
 一昨日の夕方、ロスから帰って来てね。久々に電車を乗り継いで帰ろうと思って
 新宿からずっと乗ってきたの。」
「へぇー、私も同じムーンライトに乗ってきたんですよ。
 自転車で北海道一周しようと思って、函館まで行くんです。」

そのおばちゃんは、結婚して暫くアメリカに渡って暮らしていた。
でも、半年前にご主人を亡くし、実家のある札幌へ戻ることに決めたらしい。

結婚当時は貧しく、元軍人だったご主人と
汽車と連絡線を乗り継ぎ、横浜からアメリカへと旅立っていった・・・
その頃を懐かしみ、その道筋を40年振りに辿る事にしたそうだ。

「あの頃はお金もないし、軍人を辞めてしまった旦那に職のあても無かった
 彼は映写技師、私はスタイリストになる・・・そんな夢を描いて渡米したの
 お互い誰にも負けない 夢と希望だけはあったわ・・・若かったのね フフッ」
「素敵な思い出ですね・・・いいなぁ・・・」

列車を弘前で乗り換え、青森まで
おばちゃんの思い出話を聞いていたら、あっという間だった。

19:06青森着
ねぶた祭りへ向かう人達で駅はごったがえしていた。

「ねぇ、折角だし ちょっと見ていかない? ねぶた祭り」

ここから先、北海道方面へ向かう列車は特急と急行以外無いので、翌朝の列車になる。
もともとここで泊まるつもりだったので、一緒にねぶた見物をすることにした。


314 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 23:04

歴史的な物語を題材に、鮮やかに彩色された大ねぶたを
何十人もの大人達が必死になって動かす。
また、子供達が引く小ねぶたも可愛らしい。

「テレビでしか見た事なかったけど・・・すごくきれいですねぇー」
「・・・随分と様変わりしたものねぇー
 三沢のクラブで働いていた時、当時米軍基地に居た旦那と出会ったの。
 それで、初めてのデートが・・・このねぶた祭りだった・・・
 その頃は、数もこんなに無かったし、もっと小さなねぶただったわ
 でも・・・祭りに賭ける人達の情熱は 昔も今も変わってない。」


懐かしむような遠い目で語るおばちゃんが、
なんだかすこし羨ましく思えた。


おばちゃんは、札幌へ向かう夜行急行に乗って、この後も旅を続けてゆく
祭り客でごった返すホームで、私は彼女を見送る。

「ごめんねー 昔話ばかりで退屈だったでしょ?」
「そんな事ない。おばちゃんの話、すごく面白かったよ」
「フフッ・・・ありがと。
 本当言うとさ・・・ちょっと落ち込んでたんだよね 柄にも無く・・・
 実家に帰るって言っても、親はもういないし、妹は東京に住んでいるし、誰も居ないの。
 ・・・これから先 一人で、どうやって生きていこうか って・・・
 考えちゃうとね・・・ダメなんだなー・・・」

「・・・人は その姿形が無くなっても
 大切に想われた人の こころの中 思い出の中で 生き続ける事ができる。

 本当に死んでしまうのは 想われた人の記憶からも 消えてしまう時。

 おばちゃんは一人じゃないでしょ?
 今まで仲良く暮らしてきた、ご主人との40年間があるじゃないですか!
 そんなコト言ってると、旦那さんに怒られちゃうぞ!!」

・・・おばちゃんは、えへへ と照れ笑いを浮かべ・・・


 ぎゅっと私を抱きしめた。


「・・・大丈夫 忘れないよ・・・ 忘れられるもんか!」


「♪〜まもなく6番線から、津軽海峡線 札幌行き、急行・はまなすが発車致します。」

「・・・これ、あんたにあげるよ。」

おばちゃんは、古ぼけた鈴を私に手渡す。

「ねぶたの鈴は幸運の呼ぶって言い伝えられてるのさ。
 この鈴には40年間、世話になったからね。あたしはもう十分。

 あんたの人生はこれから
 いい仕事に就いて、いい旦那を見つけて、幸せになるんだよ。

 ・・・あんたに出逢えて 本当に良かった。」

「また、いつか何処かで・・・」

そう言い掛けたところで、ドアが閉まってしまう

走り出す列車の中で、おばちゃんは手を振っていた。
私も負けじとおもいっきり振り返す。

いつまでも いつまでも


お互い名乗りもしなかった でも、何故か そう思えた。


「・・・またいつか何処かで 必ず逢える その時まで・・・」




315 名前:駅・木根ひろこの場合 投稿日:2004/08/30(月) 23:06

「・・・って、キレイに締めたいトコだけど・・・そうもいかないのよね ハハハ」

駅付近のホテル、旅館はお祭りの所為で何処もかしこも皆満室。
こんな事なら、おばちゃんと一緒に夜行急行に乗れば良かった・・・

駅前で私と同じ「宿無し」の若者が固まって寝袋の準備をしていたので、混ぜてもらう。

「女の子一人にこんな思いまでさせて・・・ったくアイツは・・・」


・・・ いい旦那を見つけて、幸せになるんだよ ・・・


「幸運の鈴・・・かぁ・・・
 覚えてなさい ぜったい見つけてタダじゃおかないんだからね。
 でも、もし見つからなかったら・・・

                 ・・・ま、そのときはそのときよ。 アハッ」



 
                     駅・STATION 木根ひろこの場合   おわり

316 名前:12 投稿日:2004/08/30(月) 23:37
想定外の場所で、予想外の空き時間が出来てしまったので・・・_| ̄|○
書きかけのひろこタン編をしageてみますた。

>>304 さん
どうもです。
こうなったら他のメンバーも書いちゃいますよぉー

でも、おんぷたん編ばかり思いついてしまうのは、やはりあのスレの怨念か・・・
保守して貰っちゃったし、久々にあっちのも書いてみようかな?

>>305 かなっぺさん
本人様降臨キタ━━━━━━━━◎(゚∀゚)◎━━━━━━━━!!!!!
いや、ハズカスィーやら嬉しいやら・・・
実は、このひろこ編を先に書いていたのですが、かなっぺさんの絵を見て
もう書かずに居られませんデシタよー
こちらこそありがとうございました。

>>307 さん
◎( ´∀`)◎σ)´Д`)

317 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/08/30(月) 23:49
心配してくれてアリガトウ。今は雨も風も止んでますヨ
てか、>>310サンのほうが心配デース・・・
もう列車とか動き出したみたいなので、明日の最終回には間に合うかナ?

とりあえず飛鳥地蔵尊にお祈りしておきまショー  アヒャ




◎(゚∀゚)◎
              ( O┬O
          ≡ ◎-ヽJ┴◎   キコキコ

318 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/30(月) 23:50
ズレタ・・・明日はダメってコトだろか?  _| ̄|○

319 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/08/31(火) 14:58
いいズレっぷりだ・・・むしろ清々しい(w

320 名前:◎( ゚∀゚)◎ 投稿日:2004/09/05(日) 00:27
すがすがしくズレたお陰で、グリーンランドでお散歩出来ましたyo  アヒャ

9月になりました。長いようで短かった夏休みが終わってしまいましたネ
皆さんちゃんと学校行ってますか?仕事してますか??絵やSS書いてますか???
楽しい時間はスグ過ぎていってしまうものです。これは宿命。ガンバリましょう。

・・・ももはまだ、こんなカンジです。
◎つttp://www.uploda.org/file/6230.jpg
人のコト言えNeeeeeeeeee

絵師さんガンガレ。超ガンガレ  そしてももにネタをください。  アヒャ

321 名前:駅・藤原はづきの場合 投稿日:2004/09/08(水) 03:06

彼女に気付いたのも 今日と同じ 風の強い日だったなぁ・・・


中学二年生になった春
住んでいた社宅の建て替えとかで、暫く電車通学を余儀なくされた。

志土にある中学まで、太陽電鉄・京南線で通う
この線は各駅のホーム出口が中央付近と前方に偏っているのと
下りで都心とは逆方向になる為、車両の後方は通勤時間帯でも多少空いている。

一番後ろの車両の 一番後ろのドア
そこが毎朝、俺の特等席・・・って立っているから席じゃないか。

ドア横に立ち、ぼーっと窓の景色を眺める
川岸にある桜並木、美空駅近くなると見えてくる海原
いつもと変わらない いつもの風景

そんな風景の中、いつも変わらず いつも同じ場所に立っている人影に気付く。

雨の日も、日差しの照りつける暑い日も、風の強く吹く日も・・・
屋根も無い 美空駅上りホームの外れにひとり
登校日には必ず立っている

私立の制服を着た 女の子

彼女は何故いつも、あんな場所に立っているのだろう?
後から来る友達か誰かを待っているのだろうか?

俺はいつしか、車窓の彼女を眼で追うようになっていた。


・・・今日は何か、楽器のケースのような物を持ってる。バイオリンだろうか?
彼女は音楽部にでも入っているのかな?

・・・今日から6月、衣替えだ。
彼女も俺と同じに、夏服に変わっている・・・

・・・今日は何だろ? ジャージを着てるな。
彼女の学校は体育祭なのか、それとも課外授業でもあるんだろうか?


毎日そんな妄想に耽って
毎日・・・彼女を見るのが楽しみになっていた。


彼女は 彼とかいるんだろうか?


好きな人はいるのだろうか?


一言だけでもいい 彼女と 話をしたいな・・・



322 名前:駅・藤原はづきの場合 投稿日:2004/09/08(水) 03:08

翌日 いつも乗るひとつ前の列車に乗り、美空で下車する。


・・・正直、俺はこれまで女の子に振られたこともあった。
同じサッカー部のマネージャーで、お互い何度かデートみたいな事もしていた。
でも、或る日 思い切って彼女に告白したら・・・

「えっ、何でだよ! 俺じゃダメなのかよ!!」
「・・・アンタの事は良い友達だと思ってるよ。
 でもね、それとこれとは別・・・私は先輩の事が・・・どうしても好きなの。
 黙ってて・・・ごめんね。」

そのコは、一年先輩の副キャプテンが好きで
その為にサッカー部のマネージャーになったのだと・・・


別にあの彼女と付き合いたいと思っている訳じゃない。
ただ「何でいつもこんな場所に立ってるの?」と聞いてみたいだけ

ただの好奇心なんだ。

でも何故だろう・・・
あの振られた時の苦い思いが、何故か心をチクチクと突付いているような気がした。



電車を降り、改札へ向かう階段を降りる。
そして、反対側の上り方面の階段を上ってゆく・・・

乗車口番号に整列して、都心方面へ向かう列車に乗る人達を潜り抜け
ホームの端までやって来る


・・・いた。


いつものようにホームの隅で列に並ぶわけでもなく
彼女はひとり佇んでいた。


一歩 また一歩と彼女に近付く
その度に、俺の心臓はバクバクと早鐘を撞くように高鳴る。

7m、6m・・・どんどん彼女との差が縮まるにつれ
彼女がもし、俺の事をヘンな奴だと思ったりしたらどうしよう・・・とか
無視されたらどうしよう・・・とか
今更どうしようもない思いが頭を突いて出てくる。

もう・・・どうしたらいいんだよ!


目をおもいっきり瞑り
意を決して、パッと見開いた瞬間

もう俺の目の前まで来ていた彼女の右手が ふっと小さく振られた。


彼女の目線は・・・俺に向いてはいなかった。
反対ホームでもなく、列車でもなく・・・

高架下の道路に向かって・・・


・・・そうか そういうことだったんだ・・・



323 名前:駅・藤原はづきの場合 投稿日:2004/09/08(水) 03:11
思った途端、俺は彼女に背を向けていた。
ホームの人ごみを掻き分けるように走っていた。


彼女はいつもあの場所に立って
高架下を歩いて、地元中学に通っている男に向け、手を振っていたのだ。

多分小学校の同級生か何かで・・・彼氏なのだろう
その嬉しそうな彼女の顔を見た時
・・・はじめて気付いた。



あ、俺 あのコの事 いつの間にか 好きになっちゃっていたんだなぁ・・・・・・・



恥ずかしかった。自分がみっともなかった。


男のくせに・・・男のくせに・・・・・涙がでた・・・


「あーあ コンチクショウ!  あはははは・・・」


・・・・・・・

また台風が近付いている。
今日もまた、強風で壊れてしまいそうな傘をしっかり握って
美空駅上りホームのいちばん隅っこで


                         彼女は・・・・・




                        駅・STATION 藤原はづきの場合   おわり






324 名前:12 投稿日:2004/09/08(水) 03:29
自サイトで勿体振らず、早くd−ch絵版にageてクダサイと書こうと思ったら
もう既に上ってますな。

・・・bの字さん、スミマセンとお伝えください。 アヒャ


よくよく考えると、このスレのトップバッターでありながら
それ以降書かれているモノでは、ほとんどストーリーに絡んでいない
はづきさん主役話でした。

え、台詞すらないのに何処がだ って?
いいえ、それでこそ は づ き さ ん 主 役 話 で す 。

・・・_| ̄|○ ゴメンナサイ



えっと、月に1〜2本程度しかagaらないのにこんな事言うのもアレですが、
ワタクシちょっと理由あって、暫くROM専に戻ります。
かよこのナイショのおはなしとか中途半端でゴメンナサイです。

投槍とか和食とかRBD裏表とか、全裸正座で待ってますので ガンガレー!!

325 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/12(日) 17:07
あうぅ・・・_| ̄|○

実はこの理由っての、この駅みたいなのを幾つか書いて
イベントで本を出してみようかナ とか思っていたのですが
つまんないですかネ・・・

反応全くないと正直すごく悲しいので
もし見てくれている方が居りましたら
一言だけでもいいです。このスレに「エサ」ください。

おねがいしまつ。

326 名前:b 投稿日:2004/09/12(日) 18:29
ペギャ━━━━(゚Д゚;;)━━━━ !!!!

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!
このところ立て込んでて、どchスレの閲覧をすっかり怠けてましたッ!!
「日曜日にまとめて見ちゃお〜っ!」なんて言ってたらアンタっ!_| ̄|○

まさるっちに尽くすはづ吉さんの一途さと、それを遠巻きに見る主人公と。
いろんな感情が混ざって、いろんな色の溜め息が洩れて来ます。切ないなあ……


改めて、本っ当にごめんなさいっ!(マッハで土下座)
いやはや、もったいないオバケが疼いて結局投稿しちゃいました。
まあ、裏でくすぶらせておくよりは……ね?w


Σ(゜Д゜;) 裏ページ、バレバレだーーー!!

327 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/14(火) 15:45
見てますヨー(´▽`*)駅〜STATION〜(違

大丈夫。だからきっと大丈夫(´ー`)

328 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/15(水) 00:25
駅、見てますよ〜。毎度読ませてもらってます。なので、「エサ」投下。
はづ吉さん編はbさんが描いてくれたので(違?)こっちは・・・

ttp://www.geocities.jp/mu_and_mo/hiroko.jpg

・・・すいません!1時間描きじゃコレが限界です!3日間だけ置いときます。
あぁ・・・イベントも挿絵も絵板も手付かずなのに、なにやってんだ俺は? orz

329 名前:12 投稿日:2004/09/15(水) 19:42

皆様レスありがとうございます。
なんか、だだっこみたいなカキコしちまって情けないですね。ゴメンナサイ

>>326 bさん
御呼び立てしてスミマセンです。
絵の中の、ちょっと寂しげな
はづきちゃんの表情に、おもいきり惹かれマスタ
これにどう鉄分を加えようかと悩んでたら・・・コンナンナッチマイマスタ_| ̄|○

あっこにはネタがいっぱいありますネ(よさこいとかも使っちゃおうかとオモタ)
bさんみたく書けて描けるヒトがホント羨ましい限りです。
ありがとうございました。

>>327 さん
アリガトー!
なんていうか、その・・・
もしレス来なかったら、もう書くの止めちゃおうか なんて思うことあるんですよ。
そういう時にポッとネタにしてくれたり、ミテルヨってレスがあったりすると
ホント救われるんですよ。マジで・・・ダカラコレカラモ ヨロシコデス

>>328 試食の絵師さん

ヒロコタンin青森キタ━━━━━━━━━━━━◎(゚∀゚)◎━━━━━━━━━━━━!!!!!

もう、なんとお礼を言ったらいいものか・・・

クレヨン画(違うかな?)って温か味があってすごく好きなんですよー 私
美味しく美味しく美味しく頂かせて貰いましたyooooooooooooooooooooo ハァハァ・・・


あと

今回も影でお骨折りくださった某お方
貴方が居なければ、おそらく私ゃもうここに居なかったでしょう。
ありがとうございます、マジ感謝してます。


暇つぶし程度でいいんです
見てくれて、ちょこっとレスしてくれるだけで
死ぬほど嬉しいので 名無しさんとか、ホント宜しくお願いします。

330 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/15(水) 20:01
 私も物陰からじーっと見守っていますのでがんばって下さい〜w

331 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/09/16(木) 02:38
ゴメンナサイ…もぅずっと来てなかったYO…

起きたら必ず拝読しますんで、ここに居なかった、なんて言わないで。
お願いですから・・・ね♪

という訳でお詫びの前払い…ロクデモナイミカンセイモノデゴメンネ

つ彡ttp://www.geocities.jp/fairydodotyan2/graphic/momo03.jpg

332 名前:12 投稿日:2004/09/17(金) 09:56
12です……

 慰められると泣きそうになります。

             12です……

                    _| ̄|○


>>330 さん
超即レスどうもです。
ホント心配掛けちゃってゴメンナサイ
これからもどうぞ宜しくお願い致します。(ヤフオク定型)

>>331 さん
気に掛けてくださってアリガトウです。
なんだか最近こちらでのご活躍が無いので少し寂しいのですが・・・

oh! ももたんだぁー! アヒャ!!
331さんの絵は、描く度に画風がガラリと変わるので興味津々です。
このももたんがどうなってゆくのか楽しみにしておりマツ。

あ、このスレは後ろ乗り、前降りの運賃後払い方式ですのでお気兼ねなくw


完全に私的スレにしてしまってスミマセン。
ひと月位したら、かよこ編再開しますので

みなさまどうぞ、よろしくおねがいしますー。

333 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/10/06(水) 22:05
ホシュがてら。

どれみが終わってからとんと泣くことがなくなった……。
これだけ新作アニメが(新作週47本!)作られても、涙が止まらなく
なる作品というのは全く無さそう。

それだけどれみが稀有な作品だということだろうなぁ。
嬉しいような、寂しいような。

334 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/09(土) 03:02
こっち(名古屋方面)は明後日が土管最終回です。
といっても、先々週のFriendsでもう十分に泣かされましたが。

星の数ほどあるアニメの中から、どれみに出会えた俺らはラッキーですよ。

自分はといえば、ファンファンファーマシィーや夢クレが終わって、
どれみがそういう作風でなくてがっかりしたものでしたw

しかし!第3話「あいこ登場!」ではもうどっぷりはまっていたのは
我ながら現金というか何と言うかw
「世界を救え!」ではなく、「ご町内や小学校で、自分の大事な人のために」
というスタンスが素晴らしかった。

335 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/11(月) 09:41
正直、この歳でアニメにハマるなんて絶対ないと思ってたのに…

無印初期のはづきちゃん話に夢中になり、現在に至ります。w

これだけハマり、夢中になれるアニメなんてこの先きっと無いだろうな…

336 名前:★彡ななしっち○ 投稿日:2004/10/11(月) 23:46
>>333
ゆき先生スレなみに板違いなネタになっちゃうけど、最近泣いたのっていえば
「プラネテス」だなぁ。特にユーリの奥さんの話は涙が止まらんかった。

ああいう、お互いを愛しく想う姿ってのに弱いんだな洩れは。どれみもしかり
(なんとか繋がった)。

337 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/12(火) 01:05
なんだかスレタイ通りの流れになってきたな

338 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/13(水) 00:22
どの話でハマったという訳でなく
なんかこう、ジワジワと溢れ出す温かさに惹かれました。

飽きっぽい性格の自分が、未だに好きで居られるのが不思議なくらい
どれみにハマりました。

339 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/13(水) 23:20
初めのうちは、ビデオで録画したのを2、3本まとめて見ていたけど
#が始まる頃には、リアルタイムで見る習慣がついて
目覚まし無しでも8:30には必ず起きれるような体になってた。

ハマってるなって実感したのはその頃だな。

340 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/10/20(水) 23:16
>>339 俺もかつてはそういう習慣があったが今は・・・

341 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/11/30(火) 08:46
保守?

342 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 27 投稿日:2004/12/01(水) 23:39

お久しぶりです、かよこです。
たった1週間しか経っていないのに、なんだか半年ぐらい経ってしまったような気が・・・

・・・コホン。ま、そんなことキニシナーイ


今日も朝からとても暑いです。
そのせいか、お客さんは全然来なくて・・・
「ちいとな、夏物のバーゲンがあってのぉー こやつらと出掛けてくる。」
とマリカさん達は、お買い物へ行ってしまった。

夏物って、服の事よね?・・・マリカさんが着るの??・・・・・ま、いっか

オープンテラスに出て、椅子に腰掛ける。
海沿いの高台近くにあるこのお店には、時々そよかぜが吹き込んできて心地良い。

夏休み課題のひとつ、読書感想文。ついつい本を読むのに夢中になってしまい、
気が付いたら空が明るくなり出すまで読み続け・・・
徹夜状態だったわたしは、ついつい うとうと・・・

・・・ ・・・ ・・・ ・・・・ん?

「・・・あっ、やだ わたしったら眠っちゃってた!?・・・!!」
「お目覚めかな、ねむり姫?・・・なんちゃって」
「・・・あ、あの・・・わたし・・・えと・・・」

気が付くと、向いの席に西さんが座っていた。
寝顔を見られていたのが恥ずかしくて、言葉がスグに出てこない

「寝顔の次は真っ赤になった顔・・・今日はかよこちゃんのかわいい顔が見放題ですね。」
「・・・・・・」
「ハハハ・・・ゴメンゴメン、コーヒー頂戴な。」
「・・・・・ハイ」

そそくさと店の中へ消えてゆく、かよこの後姿を見ながら微笑む。

・・・あいつも・・・あんな風に コロコロ表情を変えるやつだったな・・・

「おまたせしました。」
「ありがとー・・・今日はかよこちゃん一人なんだ。」
「うん。マリカさん達はお買い物に行ってるし、とおる君は昨日から田舎だって」

お昼には少し遅いし、三時のお茶にはちょっと早い
そんな微妙な時間のせいか、お客さんどころか道を歩く人もほとんどない。
時折、船の汽笛が聞こえるだけの 静かな午後・・・

「・・・ところでさ、さっきの読書感想文 かよこちゃんは何選んだの?」
「伊藤左千夫の「野菊の墓」です。
 ・・・親たちの世間体に引き裂かれてしまう政夫と従姉民子
 ちょっとわたしにはまだ早いかなって思ったけど、読んでみてよかった。」

「・・・悲恋・・・小説かぁ」


343 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 27 投稿日:2004/12/01(水) 23:42

「ふゎあぁ〜っ・・・あ、ゴメンなさい なんかボーっとしてると眠っちゃいそ。」
「いいよいいよ・・・・・
 そだ。子守唄代わりに僕が眠くなりそうな昔話でもしてあげようか?」
「やめてくださいよー!・・・でも、昔話は聞きたいかも。」

持っていたトレイを置き、西さんに向かい合わせる席へと腰掛ける。

「これは・・・えっと、魔法使い界に伝わるお話なんだけれどね・・・
 昔、界の掟を破った青年がここ人間界へ追放処分となったんだ。
 その時の青年はまだ若かった・・・腹癒せに人間界に来ても無茶なことばかりやって
 ついに魔法力まで奪われる破目になってしまってね。
 もう何もかもが嫌になって、自棄になって・・・
 そんな時、青年はある人間の少女に出会ったんだ。
 その子はドジでおっちょこちょいだったけれど、面倒見が良くて誰からも好かれていた。」

なんだか、どれみちゃんみたい・・・

「青年は恋に落ちた・・・その子のことが好きで堪らなくなってしまったんだ。
 でも青年は仮にも魔法使い。追放処分になっているとはいえ、
 種族の違う者同士の結婚には魔法使い界が猛反対した。
 やがて青年は決意した。魔法使いを辞める事を・・・そして、二人は結ばれたんだ。」
「困難を乗り越え、自分の能力を捨ててまで愛を貫く・・・素敵なお話ですね。」

「・・・そうだね。ここで話が終わってしまえばね・・・でも実際は違ったんだ。
 その後10年間、彼らは幸せに暮らした。
 しかし、ある日突然、彼女は彼の前から消えてしまった・・・

 「あなたが好きです。今までも、これからもずっと。
  だから私はあなたの元を去ります。ごめんなさい・・・」

 そう書かれた、ただ一枚の紙切れを残して・・・何も言わずに」
「そんな・・・好きなのに離れるなんて・・・おかしいよ。」

「好きだから別れる・・・
 彼もその意味が解からなくて、居なくなってしまった彼女のことを懸命に探し回った。
 もう好きでなくても、自分と別れることになってしまってもいいから
 ・・・もう一度だけ会って話がしたかった。
 でも・・・ついに彼女を見つけることは叶わなかった。
 その代わり、ひと月に一度、彼の元へ差出人の名の無い手紙が届くようになったんだ。
 彼はそれが彼女からの手紙だと確信した・・・」
「・・・どんな手紙だったんですか?」

「絵手紙さ。海や山、花火や季節の花・・・
 その全てが丁寧に心を込めて描かれたいた・・・そうだよ。
 それから毎月、ずっと欠かさずに絵手紙は届いた。
 そして、その手紙が30年程続いたある日、
 ふと彼は、その絵手紙の画風が少し変わったことに気付いたんだ。
 気になって、消印の新潟・柏崎だけを頼りに彼女を探しに出掛けた。
 虫の知らせだったのだろうか・・・あれだけ必死になって探していた
 彼女の行方が、ついに解かったんだ。」
「会えたんですか?彼は彼女に」

「会えたけど・・・会えなかった。」


344 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 27 投稿日:2004/12/01(水) 23:44

「!?・・・どういうことなんですか?」

「柏崎で彼を出迎えたのは・・・彼が出会った時のままの彼女だった・・・
 絵手紙の差し出し主は、彼女の娘さんだったんだよ。
 彼女の遺言で、娘さんが絵手紙を引き継いで描き続けていたのさ・・・そう
 その半年前に・・・彼女は既に・・・亡くなっていた・・・」
「・・・・・・」

「亡くなる少し前に、彼女は娘さんに・・・

 「わたしには、昔いっしょに暮らした・・・好きな人が居たの。
  その人とは、私がどんなに頑張っても超えられない壁があってね・・・
  私は・・・彼にこんな老いた・・・惨めな姿の私を見られたくなかった・・・
  彼の前では、ずっと綺麗なままの私で居たかった・・・だから逃げてしまったの。
  でも・・・彼に忘れて欲しくないって想いが心の何処かに残っているのでしょうね
  こうやって今でも絵手紙を出し続けているのよ・・・
  お願い。出来る限りで良いから
  私が亡くなった後も・・・月に一度、彼に絵手紙を描いてくれないだろうか?」

 そう言い残したそうだ。
 ・・・彼女は彼と暮らした10年の間に、悟ってしまったんだよ
 人間と魔法使いの時の流れの違いを・・・
 やがて自分は老い、死んでいってしまう。
 その姿を若い青年のままの彼に見取られる・・・それが辛くて堪らなかったんだろう。」
「・・・そんなのってないよ・・・悲しすぎるよ・・・」

「人間界で暮らす魔女や魔法使いは皆、
 人間達とたくさんの出会いと別れを続けている
 故に別れが辛くて、あまり人間に深く関わらない者も居る・・・
 でも、人間も同じだったんだよね。
 去る者も、去られる者も・・・その思いは同じだったんだよ。」


聞こえていたミンミンゼミの鳴き声が
いつしかヒグラシの鳴き声に変わっていた・・・

それはまるで泣いているみたいに寂しく・・・哀しく聞こえた。


345 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 27 投稿日:2004/12/01(水) 23:46

「・・・それでその後、青年はどうしたんですか?」
「その青年は・・・」

「青年がどうしたんじゃい?」
「てか、誰こいつ?」
「ちちー?ちちちー!!」
「かよこ殿、泣いておるのか?・・・むむ、こやつ人間ではないな!!
 ・・・貴様、かよこ殿に何かしたのだな!」

気が付くと、買い物から帰った4人が真横で聞いている。
しかもヒルピーちゃん、勘違いして西さんに何か発動しようとしてるし・・・

「ま、待って!違うの・・・ってアレ?」

今まで目の前に座っていた西さんがこつぜんと消えてる・・・

「ハハハ、残念だけどこの続きはまた今度だね。
 ヒルピーちゃんとやら、人間界での魔力のご利用は計画的にね♪ なんちゃって
 かよこちゃん、お代はカップの下に置いといたから・・・ではさらば。」
「まて!逃げるな なにが計画的にだ!馬鹿にしおって!!」
「ちょっと落ち着いてよ、ヒルピーちゃん」

あーあ、聞きそびれちゃったなぁ
青年はそのあと、どうしたんだろう・・・





・・・青年は彼女と出会い、そして暮らしたこの横浜で
彼女と刻んだ“時”を忘れない為に 今もずっと・・・




346 名前:12 投稿日:2004/12/01(水) 23:52
なんかフツーに、スレタイ通りの流れになってしまったので
続きはどーしようかと思ってたんですが、
やはり愛着があるこのスレを離れられませんでした・・・

ホシュして下さった御方、アリガトウゴザイマス

347 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2004/12/02(木) 22:01
 ををっ!これはこれは・・・

>たった1週間しか経っていないのに、なんだか半年ぐらい経ってしまったような気が・・・
>・・・コホン。ま、そんなことキニシナーイ

なんか、某和食料理店の店員さんに芸風が似てきましたねw

348 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 28 投稿日:2004/12/05(日) 09:55

雨、そして強い風・・・
季節外れの台風から変わった温帯低気圧が、関東付近を通過してる。

今日は空を飛ぶのがちょっとコワイので、電車通勤(?)です。

車内の熱気と湿気で窓が曇ってしまい、景色も見えない。
たまにハンカチで拭いても、またすぐに曇ってしまう・・・

暇だな・・・読む本でも持ってくればよかった。

 ・・・トサッ

・・・ん?・・・

隣に腰掛けていた、小さな女の子がわたしにもたれ掛かっている。

あー、眠っちゃったのね フフッ
わたしはどうせ終点まで乗るんだし、
起こしちゃかわいそうだから・・・このまま眠らせてあげよう。

少女の寝顔を見ていたら、なんだか・・・わたしも・・・


・・・ ・・・ ・・・ちゃん ・・ねぇお姉ちゃん?

「・・・はっ・・・えっ? な、なに?」

隣の女の子が起きて、ニッコリ笑ってわたしの顔をみていた。

「お姉ちゃん、とってもいい匂いがする・・・」
「えっ・・・そ、そうかな?」
「なんだか、おかあさんみたい。」
「・・・あ、ありがと。」

お母さん・・・かぁ
でもさ、わたしまだ小学生だよ?・・・喜んでいいのかどうか複雑だなぁー

「雨、いっぱい降ってるねぇー」
「うん、そうだねー。風もびゅんびゅん吹いてる・・・」
「お姉ちゃんは、雨・・・キライ?」
「うーん・・・どちらかと言うと晴れた日の方がいいかも?
 わたしはね、夜にお星様を見るのがとっても好きなんだぁ。
 雨が降っていると雲が出ていて見えないでしょ?お星様」
「そ、そうだよねぇー・・・」

そう言って、なんだかちょっぴり寂しそうな顔をする少女・・・


349 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 28 投稿日:2004/12/05(日) 09:57

「でもね、雨はよごれた空気をおそうじしてくれるから、
 雨上がりの夜空は、遠いお星様まで見えてとってもきれいなの。
 だから、嫌いじゃないよ。」
「キライじゃない?ホント??」
「うん。」
「そっかぁー・・・アハハハ」

曇った顔が、みるみるうちに笑顔に変わってゆく・・・
この子は雨が好きなんだ・・・

「ワタシね、ずーっと遠いとこからゆっくりゆっくり旅して、この街にきたの。
 みんなとお友達になりたくって、そばからずっと見ていたんだぁ
 でも・・・みんなワタシのこと迷惑そうな・・・嫌な顔して見ているの。
 だから、どうしてワタシのことがキライなのか聞いてみようと思って・・・
 おかあさんに「人と話しちゃ絶対ダメ」って言われてたんだけど、
 嫌われたままなんて・・・ワタシ絶対にイヤだもん
 だから・・・だから・・・」
「わたしに話しかけてきたんだ?」
「うん・・・」

「雨が降ると、木や草やお花たちが水を飲むことができる。
 雨が降ると、カエルさんたちが楽しく歌い始める。
 雨が上ると、とってもきれいな虹が浮かぶ・・・
 イヤな事もあるけど、いい事だっていっぱいある。
 好きじゃないと思う人も居るけど、喜んでいる人もきっといるはずだよ。
 わたしは絶対嫌ってなんかいない・・・だから・・・心配しなくていいよ。」
「うん・・・わかった!」

雨が止み、雲の切れ間から太陽が顔を覗かせる
走る列車の窓から、薄日が差し込んできた。

「そろそろ行かなくっちゃ・・・おかあさんが心配しちゃう」
「そう・・・じゃあ、さよならだね。」
「でも、そのまえに・・・チョットだけ」

 トサッ・・・

「お姉ちゃんのやさしい匂い、忘れないよ・・・」

わたしにもたれ掛かり呟く、女の子の香り・・・

雨上がりの時みたいに 甘く・・・ 何処か、せつない・・・


ふと気が付くと、隣の席から少女は姿を消していた・・・

あの子は一体誰だったんだろう・・・夢、それとも幻?
ううん、違う。
だって今は、こんなにも雨の事が好きになってるんだもの。



曇った窓ガラスをハンカチで拭き、外を見る。

 

晴れ上がった夏の空に おおきな虹が ぽっかり浮かんでた。




350 名前:12 投稿日:2004/12/05(日) 10:08
コッチのほうは、夜中に雨風がスゴかったス・・・
んで、チト書いてみますた。

>>347 さん
大丈夫です。某和食料理店店長にちゃんと許可とってますので。ハイ



 

 
大ウソです・・・ スマソ

351 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 29 投稿日:2004/12/06(月) 00:17

夏休みに入ってからというもの、
ぜんぜんお客さんが来ない日があったり
はたまた、オープンテラスも満席になる程の忙しい日もあったりと・・・
お客さんの流れがイマイチ掴みにくい。

今日は まぁ ・・・前者な訳なのですが。

「かよこ、ちょっと頼まれてくれんかの?」
「はい・・・なんですか?」
「銀行へ行って、振込みをしてきて欲しいんじゃよ
 いやな、この間行ったバーゲンの梯子で、ちとプラスチックマネーを使い過ぎての。」
「ぷ、ぷらすちっくまねー!!?」
「・・・クレジットカードの事じゃよ。TVでデウィ夫人が言っとった。」

・・・ビックリしたー
魔法でプラスチックをお金にでもしてるのかと思った・・・

という訳で、今日は関内にある銀行までお遣いです。


「お振込みですね。では、こちらのカードを取ってお席で暫くお待ちください。」
「はい・・・」

一人で銀行へ来るなんて初めてだなぁ・・・なんか、こーいう雰囲気って苦手。

ソファに腰掛け、傍に置いてある雑誌をペラペラと捲る・・・

「某有名タレントb氏と、歌劇女優mさんが熱愛・・・はっ
 こんなの読んで、何が面白いんだろ・・・」
「・・・手をあげろ。」

・・・・!!
背中に当たる筒状の感触・・・これってもしかして、銃?!

「こーらっタケル!!駄目でしょ悪戯しちゃ! バシッ」
「・・・いてーなぁー、何すんだよぉ」

振り向くと男の子と、お母さんが立って居る。
どうやら銃のようなモノは、おもちゃのピストルだったようだ・・・

「バカやってんじゃないの! ビックリしたでしょー?ゴメンなさいねー
 ほら、アンタもお姉ちゃんに謝りなさい。」
「・・・ごめーんなさい。」
「い、いえ・・・」


・・・ホントにビックリしましたよ・・・


352 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 29 投稿日:2004/12/06(月) 00:19

その後も、男の子は店内を歩き回って、またお母さんに怒られてた。
でも、その様子がなんか見ていて微笑ましい・・・

「89番のカードをお持ちのお客様、窓口へお越しください。」
「あ、はい」

「手を上げろ。」

まーたやってるのか、あの子・・・・・?

・・・・・違う。全然違う大人の声。

「手を上げろっつってんだろ?さっさとしろよ!おまえら!!
 それと、ちっとでも居る場所動いたら、これブッ放すぞ?え??」

カウンターのすぐ手前まで来ていた
わたしの真後ろから、男の怒鳴り声が聞こえてくる。

・・・どうしよう、本物だ・・・本物の銀行強盗だ!

外から見えないように、店のシャッターを閉めさせ
行員と店の客を、一箇所のソファに座らせ、後ろ手を縛らせた。
支店長らしき人物だけ連れて行き、金庫のカギを開けさせて、
男が持ってきた鞄に、お金を詰めさせている・・・

魔法を使って、なんとかしたいけれど
手を縛られていて、タップをポケットから取り出せない。
それに、こんなに沢山の人たちの前じゃ、変身すら出来ない・・・どうしよう

「よーし・・・ダミー札とかヘンなもん使って下手な真似したら、解かってんだろーな?」
「・・・わ・・解かってますから、銃口向けないでくださいよ。」

パンパンになった鞄を持ち上げて、男は笑った。

「どうせ地道にやったって高が知れてるんだよ。
 これさえありゃ・・・当分、遊んで暮らせるっしょ?アハッハッハッ」

そう言いながら職員通用口から出ようとした。
扉を開けようとしたもの、辞めて、用心深くそっと覗き窓から外を伺う・・・

「・・・・くっそおー」


 パン!! パン!! パン!!

353 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 29 投稿日:2004/12/06(月) 00:23

天井に向かって、男が銃を撃つ
客や行員達が一斉に悲鳴を上げる
その時、外から・・・

「・・・こちらは横浜中央警察です。銀行は完全に包囲されています。」

拡声器を使った大きな声が外から聞こえてくる。
助かった・・・

「・・・くっそぉおおお!! 誰だ、チクリやがった奴は!!」
「・・・・・・・」

当然、誰もその問いには答えない。

「言わねぇと皆殺しにすんぞ?え?」
「・・・・・・・」
「もういい、5分毎にひとりずつ殺す。いいな・・・」

どうしよう・・・もうこうなったらわたしが・・・・?

お金の用意をさせられた支店長が、わたしの前に座らされていた。
そして、さっきから何かを紙に書いて・・・その紙片を男に渡す。

「なんの真似だ?おい 動くと殺すって言ったろうがぁ!」

言うと同時に、支店長は男に突き飛ばされる。

「フンッ・・・おまえ、外の警察と交渉して逃走用のヘリコプター用意させろ。」
「そ、そんな無茶な・・・」
「人質取ったって、車で逃げりゃ絶対に追いかけてくる。
 でもヘリなら車じゃ追いつけないし、成田近くのヘリポートまですぐ着く。」

成田って・・・海外へ逃げるつもりなんだろうか
こんな騒ぎを起こして、簡単に出国出来るとでも思っているの?

「・・・ねぇ、お姉ちゃん これ。」
「えっ?」

わたしの隣に座らされていた、さっきの男の子が小声で言い、
突き飛ばされた支店長の傍に落ちていた紙片を、片足で引き寄せた。
支店長は男の要求通り、ヘリを手配すべく携帯電話で警察と連絡を取っていて
男の子の行動に気付かない。

その紙には、こう書かれていた・・・



354 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 30 投稿日:2004/12/08(水) 04:43

「へたな真似はやめて下さい。そんなむ
 りな事をしても、絶対捕まります。気
 を確かに持ってください。
 用事でここへ来ている沢山のお客様に申し訳がない。
 意味のない行動はやめて自
 しゅして下さい。このまま立て篭もっても
 ろくな事にはなりません、お願いです。」


所々平仮名の、ちょっとおかしな文章・・・でも、動揺しているのだから仕方ない。

「あの支店長もグルだよ。きっと」
「えっ、な、何で!?」
「暗号だよ暗号。この文、先頭をたてに読むんだよ。」
「縦読み・・・えっと・・・“へりを用意しろ”か。なるほど」
「先週のバトルレンジャーでワルワル将軍の手下が使ってたんだ
 これ見てからすぐにアイツ、ヘリコプター用意しろって言い出したじゃん。」
「確かに・・・よく気付いた、キミえらい!」
「エヘヘ・・・それより、このままじゃアイツに逃げられちゃうよ。」

「おいガキ共、何さっきから喋ってんだ。あ? てめぇらから殺してやろうか?」

銃口を少年に向け、男は構える。

「やめてください!!この子を撃つのなら、わたしを撃ってください。」

少年の母親が叫ぶ。その声に一瞬、男が怯んだ。

 ・・・ドンッ!!

その隙に、座っていた少年が男に体当たりしてしまった。

「・・・このクソガキがぁ」
「みんな騙されるな!コイツとその支店長は仲間なんだ!!」
「!?・・・わ、わたしは被害者です・・・見りゃ解かるでしょう?
 坊や、これはテレビじゃないんだよ。
 本物の強盗事件なんだ。お願いだから大人しくしててくれ・・・」

「うそつけ!暗号文を渡していたじゃないか・・・解かってんだぞ!!」
「!!・・・・・」
「もういい、このガキから殺す。」

男はなんの躊躇いもなく、銃の引き金に手をかける。

・・・本気だ。間違いなく殺る気だ・・・

「やめてぇーーーー」



  パン!!




355 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 30 投稿日:2004/12/08(水) 04:45

「ううっ!!・・・はっ・・・・あっ・・・・」

「お姉ちゃーーーん!!!」
「キャーー」


・・・だって、しょうがないじゃん。

目の前で男の子が撃たれるのを黙って見ていられなかったんだもの。

魔法が・・・使えていたらな・・・


「お姉ちゃん、しっかりしてよ・・・お姉ちゃん、お姉ちゃん」
「救急車呼んでよ!この子死んじゃう」


 ガシャーン!! バリッバリバリ!!!


「キャー」
「畜生!何しやがった!!」

激しい衝撃音と共に、店内に煙が充満してゆく
先程の銃声で、警察による強行突入が始まったみたいだ。


ちょっと遅いよ・・・もう少し早ければ、わたし撃たれなかったのに・・・

胸がすごく痛い  息が苦しいよぉ・・・

わたし、まだ何もしてない・・・何も出来てないのに

お父さん、お母さん、許して・・・

マリカさん、元の姿に戻すこと 出来なくなっちゃった・・・

どれみちゃんに・・・お返しも・・・できなかった・・・


みんな みんな ごめんね・・・


周りの景色が、だんだん白くなってゆく
聞こえる音も、どんどん小さくなってゆく



わたし、やっぱりこのまま死んじゃうのかな?



そんなの・・・やだな




356 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 30 投稿日:2004/12/08(水) 04:47


翌日、喫茶マリカ


店のカウンターには、昨日の男の子とそのお母さんが持ってきた
大きな花束が花瓶に生けられている。

「気に食わなかったけど・・・こうなっちゃうとアレよね
 思い出が美化されるってゆーか・・・アイツも結構良いやつだったのかな?」
「かよこ殿は最初から良い人間だった。
 いや・・・良い人過ぎたのかも知れない。」

その傍に座り、ヒルピーとリリが呟くように話している。

「かよこ、この花 綺麗じゃな・・・」

窓に向かって、ニッコリ微笑むマリカさん

外から差し込んでくる、日差しが あまりにも眩しくて・・・目を細めた


何事もなかったように、今日が始まろうとしている・・・


今日も昨日と同じ・・・


暑い一日になりそうだ・・・















357 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 30 投稿日:2004/12/08(水) 04:49
















「って、ちょっと!やめてよぉー!!
 これじゃまるで、わたしが死んじゃったみたいじゃないのぉ!」

「ちぃちぃ・・・ちちー、ちちっち ちちちっち ちちちーちち。」
「まぁまぁ・・・ヒルピーが共犯説をうやむやにして、逃げようとしてた
 往生際の悪い支店長にお灸すえて来たんだから、
 そんなに怒らないであげて・・・ですって?
 まぁいいわ・・・あとマリカさんも、ちゃんとわたしを見て喋ってくださいよぉー」
「い、いやな・・・ワシの道楽のせいで危険な目に遭わせてしまったんでの
 おまえに悪くて、顔をマトモに見れんのじゃよ・・・許せ、かよこ。」
「んもー、気にしてないってばぁー」

「しかし、本当に頑張ってくれたよな・・・こいつ。」
「うん・・・これが無かったら、本当にわたし・・・死んじゃってた。」

オープンテラスに座り、西さんに診て貰っている・・・それは

わたしの身代わりとなって、金属部分がぐにゃりと捻れてしまった
たいせつな・・・わたしのペンダント

「直りますか?ペンダント」
「ガラスの部分にはヒビも入ってないし、付け根の部分だけ交換すれば無問題。」
「よかった・・・」





またわたし、助けられちゃったな・・・


ありがとう、どれみちゃん。




358 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 31 投稿日:2004/12/08(水) 04:53

「アタシがついて行きゃ、合格間違いナシよ。」
「やめーい!リリ どうせオマエは、かよこにプレッシャーかけるだけだろうが!!
 邪魔をするでない!」
「チッ・・・」

月の笑う晩。
今日はずっと滞っていた、8級試験の日です。

「本当はな、試験など受けんでも良いんじゃ・・・ワシはおまえと・・」
「マリカさん、それは言わない。・・・それじゃ、行って来るね。」
「・・・ああ、気をつけてな。」

・・・・・・

前のときもそうだったんだけど・・・
思い描いていた魔女界の厳かなイメージっていうのが全然感じられないのは
わたしがまだ半人前の魔女見習いだからなんだろうか?

「足八本に、足十本って、タコとイカの事だってすぐ解かってしまうし、
 夫婦でタコヤキ屋台引いてるのがすぐ見つかったし、
 今回もなんだか拍子抜けだったなぁ・・・
 こんな簡単に進級して行っちゃって大丈夫なんだろうか?」

と、ブツブツ呟きながら、試験官屋台への帰り道。
不意に誰かにつけられているような気配を感じ、振り返る

「誰? だれかいるの??」
「・・・・・・」

気のせいだったのかな・・・?

 ・・・カサ・・カサカサ・・・

「そこね!」
「み、見つかってまったかいな?」
「・・・・・・・・うっ!?」

シダの葉のような物の裏に、隠れ潜んでいたそいつは・・・

「な、なんでサザエが喋ってるの?」
「だって、あんさんが指定したんやないか
 “サザエのつぼ焼きがキライ”って・・・だから出てきたんよ?」

指定?? あー
試験開始前にアンケートとか言って書かせた、あれね。
って考えてる間に、サザエがじりじりとわたしに寄ってくる。

「ちっ・・・近寄らないで、お願いだから・・・
 わたし、サザエの匂いを嗅いだだけで・・・・うっ!?」



359 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 31 投稿日:2004/12/08(水) 04:56

わたしは小さな頃から、サザエのつぼ焼きが苦手だ。

確かあれは・・・幼稚園くらいの時だったろうか?
お父さんが出張か何かのお土産で買ってきたものを、家で焼いていて・・・

「ねぇ、おとうさん これなーに?」
「これはサザエって言うんだよ、かよこ。
 焼くと、とても美味しいんだ。食べてみるかい?」
「うん、たべてみる!」

お父さんは、貝の蓋を取り、器用にサザエの身を取り出す・・・

「あなた、サザエなんて まだかよちゃんには早いんじゃない?」
「まぁまぁ・・・味見程度に、少しくらいならいいだろう。
 かよこ、さあ お食べ。」
「いただきまーす!・・・パクッ・・・・・・うっ!?」
「か、かよこ・・・」
「かよちゃん!!」
「・・・うえぇーん・・・うっ、うっ・・に、ニガイよぉー」

・・・先に尻尾(?)の部分だけ食べてしまったわたしは
そのなんとも言えない味と苦さに、思わず泣き出してしまった。

・・・それ以来、あの磯の香りを嗅ぐだけで避けてしまう程
サザエのつぼ焼きがキライになってしまったのだ。

「・・・・って訳なのよ、わかる?」
「なにゆーてんねん!! あの苦味こそ、通の好みなんやないか!
 ・・・って言うても、5歳のオコチャマにはちとキツかったんやろう。
 しゃーない、ワイがあんさんを立派な“サザエ好き”にしたる。」
「いえ結構です。わたし急ぎますので、それでは・・・」

「待ちぃー!! ピトッ」
「いやぁーーーー!!触らないでぇーーーー!! ・・・うっ!?」

アカン・・・嫌いっつーか、拒絶反応起こしとるわ・・・

「ちいと聞くが、あんさんカレー食べられるかい?」
「カレーなら・・・好きだけど?」
「・・・わかった。んじゃ、食べんでええから料理を作ってくれ。」
「・・・サザエ料理?・・・・・やだなぁー」

・・・でも、これって試験の一環なんだよね・・・仕方ないか

「わかった。作るだけなら・・・やってみる。」



360 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 31 投稿日:2004/12/08(水) 04:58

「まず、サザエの身を取り出す。そしてワタを切り離す。
 そして、身を4つか5つ程度にきざむ。あと人参、じゃがいも、玉ねぎも適当な大きさにする。
 下準備が終わったら、フライパンに油を敷いて玉ねぎを炒める。
 さらにサザエ、人参、じゃがいもも入れて炒める・・・
 その具を今度は鍋に移し、水300cc程度を入れ、だいたい15分くらい煮込む。
 焦げないよう、よくかき回しながらカレールーと牛乳少量を入れ、
 1〜2分さらに煮込んで・・・サザエカレーの出来上がりや!」

「出来ました。」
「おお、どれどれ・・・うん、美味い!」
「それじゃ、わたしは・・・」
「待ちぃなぁー、折角作ったんやさかい・・・チョットだけでもいいから食べてんか?」
「だめです。約束と違います。」

どうにか食べさせようと、わたしを説得するサザエ・・・なんとも奇妙な光景だ

「・・・和食、中華、洋食・・・
 世の中にはいろんな食べ物屋があるやろ?
 そこに居る料理人達に、料理する食べ物が嫌いな者が居ると思うかい?」
「いないでしょう? 好きじゃなきゃそんな職に就かないと思う。」
「やろ? 食べ物が好きじゃなきゃ、美味い料理なんぞ出来やしないんや。
 あんさんは、こんなに美味しいサザエカレーが作れたんや
 きっと好きになれる・・・そう、ワイは思うよ。」

「・・・・・わ、わかったわよぉ・・・・ホントにチョットだけよ?」
「そうこなくっちゃ!!」

覚悟を決め、目を瞑り、そぉーっとカレーを口に運ぶ・・・

「・・・パクッ・・・」
「・・・どや?」

このコリコリするのがサザエよね・・・うん、意外と大丈夫かも。

「・・・・・・・うん、まぁまぁね。 パク パク パク 」
「一生懸命、真心込めて拵えたモンには
 目に見えん、とっときのスパイスが加わる・・・
 どんなキライな料理でも、美味しく食べられるようになる
 それは不思議な“魔法の料理”ができあがるんや。
 あんさん、一生懸命カレー作っとった・・・だから美味しく出来たんや。」
「うん・・・ありがと。」

なんだか照れちゃうなぁ・・・
“まほう”の料理かぁ・・・って

「いっけなーい! わたし試験中だったんだ。それじゃ、行くね。」
「おう、頑張れよぉ!」
「うん・・・えっと・・・
 これからは、ちょっとだけなら・・・サザエのこと、好きになれそう。
 アナタのお陰だよ。ありがとう!」


ホーキに乗って飛んでゆく彼女を見送りながら・・・サザエは呟いた。



「あんさんの頑張りはホンマもんや・・・きっと立派な魔女になれるよ。」



361 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 32 投稿日:2004/12/08(水) 05:01

今日も暑く、猛烈な日差し・・・
外に出たくない人が多いのか、デリバリーの注文が多い。

「えっとねぇー、山下町3丁目の村岡さん。ホット3つに、アイスひとつ
 ・・・だってさ、アンタ聞いてる?」
「はい、聞こえてますー。30分位でお持ちしますって伝えてください。」
「あぁ?なんで妖精のアタシがこんなことしなきゃならないのよっ! てか、何様?」
「ゴメンなさい、マリカさん買い付けで出掛けちゃってるし、
 今お客さんいっぱいで電話取れるのリリさんだけなの。お願いします・・・」
「んもう!わかったわよぉ・・・ったく」

プンプン怒りながらも、きちっと対応している。
客は今より少なかったが、以前は2人きりでこのお店を切り盛りしていただけあって
リリは勝手がよく解かっている。

「かよこ殿、届けてきたぞ。」
「あ、ヒルピーちゃんご苦労様・・・じゃ、今度はわたしが配達に行ってくるから
 お店の方をお願いしてもいいかな?」
「了解した。」

・・・・・・

「・・・えっと3丁目って、このホテルの横からだったよね。・・・」

そのホテル、マリカさんが言うには、戦前から建っているそうだ。
それだけあって、年季は入っているものの、手入れが行き届いていて綺麗なホテル。

その場所で、少し前くらいからだろうか、ちょっと気になっていることがあった。
そのホテル前のタクシー乗り場に立つ、ひとりの女性。
タクシーは待っているのに、それに乗らず、ずっとその場に立っている・・・

「あのひと、今日も待ってる・・・」

その女性は昨日、一昨日の配達の時も見掛けていた。
・・・一体、なにを待ち続けているのだろう?

あまり見ていては失礼だとは思いつつ、配達の帰り道もつい目がいってしまう。

「・・・あれ、いないや・・・今日はもう帰っちゃったn」


  ドカッ!



362 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 32 投稿日:2004/12/08(水) 05:05

よそ見をしていて、思わず人とぶつかってしまう。

「あ、ごめんなさい・・・大丈夫?」
「大丈夫です、こちらこそすみません・・・あ。」
「・・・はい?」
「あ、いえ・・・」

あのひとだ・・・ これって偶然? それとも魔法の力??

「あなた、時々このホテルの前の道を通ってるわよね?」
「あ・・・はい」
「それで、私のこと見ていたりするでしょ?」
「・・・ごめんなさい」

「ふふっ・・・いいのよ、別に。
 いっつも何待ってるんだろうって、変に思ってたんでしょ」
「ち、違います。ヘンに思ってなんていません。
 ただ、何でいつも立っているのかなって・・・ちょっと気になっちゃって
 本当にごめんなさい。」

「こんなトコで立ち話もなんだし・・・
 そうだ、あなたの喫茶店にでも連れて行ってもらおうかしら?」
「なんでわたしが・・・あ、これか」

おぼんを持って道を歩く人なんて、そうは居ないものね。


喫茶マリカ

夕方近くなって、一息ついたお店に彼女を招き入れる。

「いいお店ね。とても静かで落ち着くわ・・・」
「ちょっと待っていてください。今、コーヒー淹れますから」

先程から姿の見えない3人(マリカさん除)は、何処かで聞き耳を立ててるんだろう。
彼女はコーヒーカップをゆっくり揺らし、冷ましながら喋りだす・・・

「私はあそこで、タクシーを待ってるの。」
「えっ? だって、目の前に沢山停まって・・・」
「違うの。フツーのタクシーじゃなく
 黄泉の世界へ連れて行ってくれる、特別な車なんだ・・・
 それに乗りたくて、ずっと待ってるの。」



363 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 33 投稿日:2004/12/10(金) 02:13

「この世に未練も何もなく、誰にも迷惑を掛けずに消えてしまいたい・・・
 そんな思いの人が、あの古いホテル前のタクシー乗り場で待っていると、
 この世から跡形もなく消え去ることの出来る
 黄泉の国行きのタクシーがやって来るって、昔、噂があってね。

 ・・・私ってさ、何やってもダメなんだよね・・・
 派遣先の会社で失敗ばかり起こして、契約切られちゃうし、
 彼氏が信じていた友達に奪われちゃって・・・友達と彼、同時に無くしちゃったし、
 親は親で、私と母を保証人にして借金拵えてドロン・・・
 もう・・・誰も信じられないし、信じない。

 つくづく嫌になっちゃったんだよね・・・この世に居るのが疲れちゃった。
 それで、あそこでタクシー待ってたって訳なんだ・・・
 って、ゴメンゴメン・・・こんな話、するつもりじゃなかったんだけど・・・
 ・・・どうしてかな?」

もうすっかり冷め切ってしまっているのに、まだカップを揺らし続けている。
それは、今の彼女の心のうちを見ているようで・・・哀しくなってしまう。

「生きてゆくのは大変です。疲れちゃいます。
 でも、それが生きていくって事なんじゃないでしょうか?
 辛くて、悲しくて、何をやっても失敗ばかり・・・
 でも、それがあるからこそ、楽しいこと、嬉しいこと
 何かが成功した時に、何倍にもしあわせを感じられるんだと思うんです。

 こんな小娘が言ったところで、なんの慰めにもならないし、説得力もないけど・・・
 それでも・・・わたしには・・・わたしには・・・」

「うん、わかったよ。あなたの温かい気持ち、スゴク伝わったよ。
 だから・・・泣かないで、ね?」
「・・・もう、タクシーを待たないって・・・約束してください。」
「う、ん・・・わかった・・・約束する。うん。」

そう言い、笑って店を出て行く彼女を見送った。

彼女は笑った。確かに約束してくれた・・・でも
去り往くその後姿に、見えない影が潜んでいるような気がして・・・ならなかった。


あの店は、何故かこころを温かくしてくれるような不思議な場所だった。

言葉では上手く表現出来ないけど・・・なんだか勇気が沸いて来た。
このまま、なにもかも丸く収まりそうな・・・



 プルルルル プルルルル・・・ガチャ

「はい、もしもし・・・」
「オラァ、何昼間逃げ回ってんだコラ!そんな暇あったら、とっとと金返せや!
 返す当て無いんだったら・・・どや、いいとこ紹介したろか? ケッケッケッ・・・
 それが嫌だったら、ババァ殺せ。その保険金で・・・ガチャ」

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・いっ・・・イヤァアアアアアア」



364 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 33 投稿日:2004/12/10(金) 02:15

翌日、ホテル前

虚ろな目をして、タクシー乗り場に立つ彼女・・・

「ごめん・・・やっぱり、もうだめだよ・・・
 お母さん、ごめん・・・それから・・・名前聞くの忘れちゃった・・・
 喫茶店の女の子・・・約束破っちゃって・・・ごめん」

その目の前に、黒塗りのクラシックなタクシーが一台 停まり、ドアを開ける。
彼女は吸い込まれるように、その車に乗り込む。

初老の運転手は、行き先も聞かず
ただニッコリ笑って、車を発進させる・・・

「ま、待って! 待ってよお!!」

そこへ、かよこが駆け込んできて、走り出した車のドアを叩く。
だが、彼女は手でゴメンのポーズを取ったままで・・・
タクシーは停まることなく、走り去ってしまった。

「よし、こうなったら魔法で・・・」
「やめておけ、かよこ殿」

振り向かずとも判るヒルピーの声を無視し、走り出そうとするわたしを
すごい力で押さえつけ、阻んだ。

「いやよ!!ジャマしないでヒルピーちゃん。あの車、止めなきゃ!」
「無理だ。あれは、黄泉の国の使いの車なんだ。
 我々魔女や魔法使いの力でも、走り出したら止める事は出来ない。」
「そんな・・・それじゃあ、あの人は・・・・・・」

・・・・・・

「お客さん、もうすぐ黄泉の国の入り口です。」

それまでずっと黙っていた運転手が口を開いた。

「ここを入ったら、もう二度と元の世に戻ることはありません。
 安心して、黄泉の国での生活を送ることができますよ。」
「・・・もう・・・二度と戻れない・・・」

その言葉で、急に怖くなってしまい、我に返る。

「ちょっと待って、気が変わったわ。今すぐ、元の世に戻して頂戴。」
「それはできません。
 まぁ、最初は皆さん怖がられて「帰りたい」と仰られる方も居ります。
 でもすぐにこちらの生活に慣れて・・・」
「やだ、やだやだ! 戻る、戻りたいの。ねぇ、お願い わたしを戻してよぉ!!」


365 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 33 投稿日:2004/12/10(金) 02:19

初めは気にも留めずに進めていた運転手が、急に車を止める。

「ん? これは・・・いや、参ったなぁー
 こんなことは初めてだ・・・仕方が無い。わかりました、元の世に戻りましょう。」
「・・・あ、ありがとう。」

「もう二度とこのタクシーに乗ろうなんて、考えを起こしちゃいけませんよ。
 それと・・・礼なら私ではなく、“その子”に言ってあげなさい。」
「えっ・・・その子って?・・・」

パァァーっと、光に包まれ
気がついたときには、元居たホテルのタクシー乗り場に立っていた。

「おかえりなさい。」

涙でグシャグシャになりながらも、女の子は笑顔で私を迎えてくれた。

「・・・ただいま。それから・・・ごめんね」


・・・・・・・


ヒルピーの無駄だと言う言葉を聞きもせず、魔法玉が無くなってもなお
「あのひとがここへ戻ってきますように」と体力の限界が来るまで呪文を唱え続けたわたしは
翌日、店に出ることも出来ず、眠り続けた・・・

しかし、後にその労力が無駄であったことが判明する。

「えっ、赤ちゃん?」
「そう・・・お腹の中に、元彼の赤ちゃんが生まれていたのよ。
 だから私、あの車から降りることが出来たんだと思うの。
 このお腹の子の「生きたい」って気持ちが、そうさせたんだって・・・」
「そう・・・だったんだ・・・・・はぁー」

それじゃ、わたしが必死になった努力は徒労に終わったって事でFA?・・・_| ̄|○
・・・でも良かった。ほんとに良かった。

「だから言ったであろう、魔法は効かないから無駄だと。」
「あ、あたしの努力が・・・それはいいとして
 無くなっちゃった魔法玉、マリカさんにどう説明したらいいのよぉー・・・ウエェェーン」
「フッ・・・ハッハハハハハ・・・」
「あー、笑ったなぁー ヒルピーちゃんヒドーイ!!」




・・・まぁ、あの女性のお腹で眠っていた子供の心を呼び覚ましたのは
他ならぬ、かよこ殿の仕業なのだが・・・


それはもう少し黙っておこう。






366 名前:妖精リリのひ・と・り・ごと 投稿日:2004/12/10(金) 02:21

あー、暑い。アツイわ・・・
こう暑いと、なーんかイライラしてくんのよねー。

いや・・・このイライラは暑さの所為だけじゃない。
アイツよ あ い つ !
あろうことか、アタシの主・マジョマリカをカエルの姿にしてしまった

憎っくき魔女見習い、長門かよこ!!

もう何がイラつくかってと、全部。チョー全部。

まず、アタシが人間界に戻って来たじゃない? そしたら、あれよ
店にガキンチョ連れ込んでるわ、勝手に店を増床してるわ
マリカ丸め込んで和気藹々やってるわ・・・
おまけにコッチのコマとして用意したマジョヒルピーまで、上手く味方に付けちゃって
敵を味方にする戦略って・・・まさか、りりかは見てないわよね?
やってたの9年前だし、一体何処で覚えたんでしょ?
キーーーッ、もうムカツク!!

もう何がムカツクかってと、すべて。チョーすべて。

まず、こないだ行ったショッピングで貰った、元町商店街の福引券
どーせ当ったって未等の飴か、ティッシュ位だろうと思って、アイツにくれてやったの。
そしたらどーよ、2等が当ったって大喜びで帰ってくるじゃない?
おまけに景品が「エステ3万円分無料券」だったんで、
「わたしじゃ使えないから、リリさん良かったらどうぞ」だってさ
天然なんですか?かよこって・・・そういう申し送り事項受け取ってないけど?
キーーーッ、もう腹立つ!!

もう何が腹立つかってと、オール。ちょーオール。

アタシ「ぬれせんべい」が好物なの。意外でしょ?
それはどーでもいいんだけど、たまたま手持ちのぬれ煎が無くなっちゃって
フツーの煎餅をわざと湿気らせて、なんちゃってぬれ煎作っていたら、どうよ?
アイツ「あっ、湿気っちゃってたから捨てちゃった」だってさ?
そんでアタシが怒ったら、ホーキで新潟まで飛んでって、ぬれせんべい買ってきたの。
嫌味ですか?ってか、あんたいつから旅好きのおんぷになった訳?
キーーーッ、もう許せない!!

もう何が許せないかってと、ことごとく。チョーことごとく。

アイツの妖精チチ。結構使えるのよね、主と違って
そんで、アタシの舎弟にしようと思って、上手く言い包めたんだけど
ダメね・・・「訳(かよちゃんに限って、絶対そんなことはない。わたし信じてる)」
だってさ?師弟愛・・・ああ、なんと良い響きだろうか・・・
ケッ、バッカじゃないの? ハッ 魔女見習いが妖精持つなんて、100億万年早いわよ。
キーーーッ、もう・・・・えーっと・・・


367 名前:妖精リリのひ・と・り・ごと 投稿日:2004/12/10(金) 02:23


「もう終わりなのか?リリ殿」
「・・・いやいや、まだよ。アタシの浴槽に使ってたスープ皿を・・・
 って、うわぁあああー・・・ビックリさせんじゃないわよぉー」
「いや、何か独りでブツブツと、寂しそうだから聞いておった。」

「え・・・何時から聞いてたの?」
「ナースエンジェルの辺りからだ。」
「ほとんど聞いてら・・・_| ̄|○」

「お主は妖精の中でも群を抜いた頭脳を持っておる。
 かよこ殿がどんな娘か、もう気付いているはずだろう・・・何故毛嫌いする?」
「・・・からよ」
「ん?何て言ったのだ」

「・・・フッ・・・フフフ・・・それはね、アイツが か よ こ だからよ。フハハハハハハハハ」



 ・・・なんか、もう必死でしょ? 最近の妖精リリ。






「・・・フーン。じゃ、わたし 風 右 子 にでも改称しようかしら?」
「エッ・・・((((; ゚Д゚))))))))」




368 名前:12 投稿日:2004/12/10(金) 02:31
ども。
次のを読む前に、こちらを読んで頂けるとチョット解かるかもです。

http://www.doremich.or.tv/test/read.cgi/doremi2/1073481999/196-197

369 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 34 投稿日:2004/12/10(金) 02:32

今日はお空を飛んでます。
と言っても、ホーキではなく飛行機だったりします。

お盆の5日間、マリカさんにお休みを貰って
家族で、北海道の伯父さんの家へ出掛けることになりました。

「確か、最後に足寄へ行ったのが、お義母さんが亡くなった時だったから
 かよちゃんと私は5年ぶりになるのよねぇー・・・」
「ああ、兄さんだけになってしまったからね。
 たまには家族全員で墓参りしないと、おふくろ達も寂しがるだろうし」

わたしが星座に興味を持つ、きっかけを作ってくれたのが
足寄のおばあちゃんだった。

亡くなる3日前、体調が思わしくないのに無理して、わたしを連れ出し
夜の星空を・・・沢山の星達をわたしに見せてくれた・・・
あの日のことは、今でも忘れない。

女満別空港から、バスと鉄道を乗り継ぎ、足寄へ到着
駅前まで、伯父さんが車で迎えに来てくれていた。

「兄さん、ひさしぶり」
「ご無沙汰しております。」
「いやいや、遠くからよく来てくれた。
 あれ・・・かよこちゃんかぁ、随分大きくなったねぇー」
「こんにちわ。」

小さなショッピングセンターとコンビニがあるだけの市街地を抜けるとすぐ
ただただ草地と林が続く、北の風景へ変わる。

「この景色を見てると、子供の頃が懐かしいよ・・・
 都会は相変わらず忙しなくて、心の余裕ってのが無くなってしまう。」
「こっちはこの間、電話局が閉鎖されちまったし
 鉄道の、ちほく線も廃止するだ何だって、よく騒いどる・・・
 人が居なさ過ぎるってのも、あんまり良いことないもんだよ。」

車は、舗装道からあぜ道へと進む。
暫くすると、記憶の中にあった古いサイロが見えてきた。
家の前に、伯母さんが出迎えている。

「いらっしゃい。長旅で疲れたでしょう?
 ・・・あら、かよこちゃん大きくなったねー」
「あ、はい・・・こんにちは」

・・・大人から見ると、やはり子供の成長ってのが一番驚くことなんだろか?


370 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 34 投稿日:2004/12/10(金) 02:34

早速、散歩に出て 新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。

「うーん・・・きもちいいなぁー」
「久しぶりだね。かよこ」

えーっと・・・誰だっけ?
中学校の制服を着て、自転車に乗ってやって来た少年が、わたしに話しかける。

なんて言うか・・・たつや君を2、3歳年上にしたような感じの、悪ガキ風のコ。
わたしのこと呼び捨てにしてるって事は、かなり親しいって事だよね?

「おいおい! まさかオレの事忘れちゃったりしてないだろうなぁ?
 帰る時に「大きくなったらこっちへ来て、おにいちゃんの恋人になる」って
 べそ掻いて言ったこと・・・覚えていないのか?」
「わたしそんなこと言ってません!」
「・・・そうか、やっぱり忘れてしまっていたんだ。5年も前だもんな、仕方ないか
 でも、名前くらいは覚えてるだろ?」
「えっと・・・さとにい?」
「・・・ヨカッタ、名前まで忘れていたら立ち直れないトコだった。」
「ごめん・・・」
「いいっていいって・・・エヘヘ」

隣の牧場の、さとし兄さん
照れ臭そうに鼻の頭を掻いている、その仕草をみていて
だんだんと、昔の記憶が蘇ってきた。

牧場の囲いに間違って入っていっちゃって、牛に驚いてワンワン泣いていた
わたしを助けてくれたのがきっかけで、よく遊んでくれた。

広い家の中でかくれんぼしたこと、牛のお乳を飲ませてもらったこと
遠くの川まで行って、帰り道疲れて泣いてしまったわたしを
おんぶしてくれたこと・・・

「それにしても、かよこ・・・おっきくなったな。」
「もー・・・さっきからそればっかり
 わたし、背はそんなにおっきい方じゃないんだけどな。」
「いや、前に来た時はオレの半分くらいしか背丈がなかったからさ
 それで、みんな驚いてんだよ。」
「そう言うさとにいだって、随分大きくなったでしょ?
 あの時と、見上げる顔の高さが殆ど変わってないもん。」
「ま、お互い様ってコトですね。」
「「ハハハハハ・・・」」

「ホラ、これ」

と、鞄の中の本から取り出したそれは
ふにゃふにゃのビニールのような物の中に、茶色い何かが入っていた。


371 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 34 投稿日:2004/12/10(金) 02:36

「川に行った帰りに、おぶって帰って来たじゃない
 その礼にって、かよこが作ってくれた栞だよ。」
「ああ、あれね・・・さとにい物持ちいいんだ。」

お花を摘んで、電話帳に挟んでおいて、それをラップに包んで作った栞
もう中身の花は変色してボロボロなのに、まだ持っていてくれたんだ。

「・・・あ、さとしこんなトコ居たの?
 グランド整備をサボって帰ったって、先輩カンカンだったぞぉー」

さとにいと同じ制服姿で自転車に乗った女の子が、喋りながら近付いてくる・・・

「あちゃー、バレてたか・・・」
「私が謝って、残りやってきたんだから感謝してよね。」
「スマン!この通りだ
 いや、コイツが今日来るって聞いてたから、早く会いたくてつい・・・
 紹介するよ、長門かよこ。オレの・・・妹みたいなヤツさ」
「あ、はじめまして・・・」

「私は中谷葉月、さとしのクラスメートなの。よろしく」

葉月さん・・・藤原はづきちゃんと同じ名前だ。

「妹ねぇー・・・ふーん」
 で、かよこちゃんはさとしの事、どう思ってる訳?」

何故だろうか 少し意地悪そうな目をしてわたしに聞いてくる。

「かよこはオレの事、今まで忘れてたんだとさ・・・ハハ」
「ゴメンナサイ・・・
 わたしも、さとにい・・いや、さとしさんはお兄ちゃんみたいに思ってます。」
「・・・そうなんだ・・・そうなのかぁー ハハハハハ」

そう言いながら、葉月さんは笑顔になっていった。
・・・一体なんだったんでしょ?

「こっちには何時まで居るんだ?」
「来週の火曜日まで、5日間居るよ。」
「じゃさ、明後日
 ウチとこの家族で雌阿寒岳へハイキングに出掛けるんだ、一緒に行かないか?」
「あ、確か近くにオンネトーって凄く綺麗な池があるんだよねー
 行ってみたいかも。わかった、お父さん達に相談してみる。」
「うん。じゃ、そのつもりで準備しておくよ。」

「私も・・・行ってもいいかな?」
「おっけー。じゃ、オマエは弁当全員ぶん作ってくること。」
「え゛ー・・・でもまぁ、いいか。」
「おー、言ってみるもんだなぁ・・・期待してるぞ」

なんだか見えてきた・・・葉月さん、さとにいの事が・・・
それでさっき、わたしのコト勘違いしてあんな目でみてたんだな。

 

 今回も楽しい思い出、たくさんできそう・・・

372 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 番外編 投稿日:2004/12/12(日) 00:38
とある、お盆の日の朝・・・

リリ 「あー・・・ヒマね。お盆に入ってから客がパッタリ来なくなったわ
    ・・・まー、かよこが居ないから丁度いーけど」
ヒルピ「うむ。私も先程、表通りまで行ってきたが、人はおろか
    いつもは必ず渋滞している公園通りに車が殆ど居なかった・・・
    何故、急にこんなにも沢山の人々が居なくなってしまったのだ?
    もしや、これは何か良からぬ事が起こる前触れで、
    人間達は皆逃げ出してしまったのではなかろうか!?」

リリ 「フッ・・・アンタも想像力豊かねぇー
    人間・・というか日本人は、盆と正月・・8月15日と1月1日の前後は
    生まれ故郷の田舎へ帰るっていう慣わしがあるのよ。
    それで、その時期になると都会がガラーンとなっちゃう訳。」
ヒルピ「そうなのか・・・流石リリ殿、博学であるな。」
リリ 「まぁ〜 それほどでも・・・あるけど。」

お昼過ぎ・・・

ヒルピ「うーむ・・・マリカ殿はまだ起きて来ないのか?
    もしや、病に罹っているのではあるまいな??」
リリ 「違う違う!ただの徹夜麻雀よ。ほっときなさい」

ヒルピ「麻雀とは!?・・・相手など居るのか??」
   「それが居るのよっ! ホラ、あのガキンチョが
    インターネット麻雀とか言うのをマリカに教えてくれたのよ。
    パソコンと電話回線を使って、見えない相手と対戦することが出来てね
    一緒に会話もすることができるらしいのよ・・・」
ヒルピ「なんと!?・・・まるで魔法のようだな!」
リリ 「なんか最近、人間界もちょっとの間にスゴク進歩しちゃうから侮れないわ」

見えない相手と麻雀・・・どうすればそんな事が出来るというのだ?
かの有名な発明家・マジョトロン氏だって、そんな発明は見た事がないだろう。
人間界とは、とてつもなく凄い所なのかも知れん・・・

リリ 「ねぇ、何意味深な顔してんのよ?
    どーでもいーけどさ、アタシお腹空いちゃった。ヒルピーなんか作って。」
ヒルピ「うむ。かれーらいすで良いか?」
リリ 「いいわよ。お願い」
ヒルピ「了解した。」

・・・・・

ヒルピ「リリ殿、出来たぞ。」
リリ 「ありがと!んじゃ早速、いっただっきまぁーす!! パクッ・・・・・?!
    ・・・・・ウギャーーーーーーー!!!!!」



373 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 番外編 投稿日:2004/12/12(日) 00:40

ヒルピ「どうした?リリ殿  パクッ パクッ パクッ・・・うむ? こ、これは・・・」
リリ 「水、水、みず、ミズゥーー ハァハァハァ・・・
    ちょっとアンタこれ・・・まさか、かよこから貰った?」
ヒルピ「そうだ。かよこ殿から
    「ご飯だけ炊いて、これをお鍋で温めて掛ければ食べられるの」と頂いた。」

それはこの間来た客が、沖縄行って買ってきたというボンカレー。
フツーのボンだけど、パッケージがオバチャンになってる。
昔はこれがデフォルトだったが、今はコレ、九州と沖縄だけでしか売られていなくて
ちょっと珍しい・・・とか何とか、よく解かんないこと言いながら
かよこにくれてたヤツ。かよこもカレーが好きみたいで、喜んでた・・・

そこでアタシ、ひらめいちゃった訳。
そのボンの中身を、アタシが買ってきた リーの辛さ30倍カレーとすり替えちゃうの。
それをかよこが食って・・・あまりの辛さに悶え苦しむ・・・って寸法よ。
フフフ・・・良いアイデアでしょ、まるで王様?

ヒルピ「で、その王様のアイデアに自分で嵌ったって訳か。
    リリ殿も随分と器用な事をするな。 パクッ パクッ 」
リリ 「だいたい、折角仕掛けたトラップを、アンタが・・・
    ・・・ハァ〜 辛っ・・・  ってか、アンタよく平気で食ってられるわね?」
ヒルピ「平気も何もこのカレー、実に美味ではないか。パクッ・・・」

・・・前から少し変わってると思ってたけど・・・やっぱコイツ、へん。


3時過ぎ・・・

リリ 「あー・・・まだ口の中がヒリヒリするわ・・・ったくぅ」
マリカ「ふぁ〜・・・よく寝たわい。」
ヒルピ「マリカ殿、やっと起きたか。待っておったぞ。」

マリカ「んむ?なんじゃいヒルピー」
ヒルピ「いや、その・・・私も、いんたーねっと麻雀と言うのを体験してみたくなってな
    魔女界の手伝い先で、問屋魔女とよく手合わせするので、少し練習してみたいのだ。
    ・・・やらせては貰えないだろうか?」
マリカ「そりゃ良いが・・・パソコンはとおるからの借り物だからのぉ? 丁寧に扱えよ。」
ヒルピ「了解した♪」

数時間後

ヒルピ「うーむ・・・こ、こやつ手が汚いぞ!
    それに・・・さっきからしきりに書いておる「リアルしょうじょ ヒルピーちゃんハァハァ」
    ってどういう意味なのだ?  あーもう!!イライラしてきた・・・このぉっ!!」

 
 バシッ!! ・・・ぴぴぴぴぴーーーーーーーー・・・・プスッ


374 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 番外編 投稿日:2004/12/12(日) 00:42

マリカ「なんじゃい、いまの音は!?」
リリ 「あーーーーーっ、アンタなんて事を!!」
ヒルピ「ん?・・・いやな、コイツが汚い手や訳の判らない事を言い出すから、
    今、少しだけ仕置きをした。」

リリ 「仕置きってアンタ・・・パソコンがフリーズしちゃってるじゃない!
    ・・・ってか、再起動もしないじゃないのおー!!」
マリカ「こ、壊れた・・・のか?」
ヒルピ「そのようだ。」

リリ 「そのようだ じゃないわよ!!
    どーすんのよ、コレまだ最新機種だから30万くらいするわよ?」
マリカ「そんなにするのか!?・・・ふぅー、マイッタわい。」
ヒルピ「・・・すまぬ」
マリカ「よいよい。ワシが付いて見ておれば良かったんじゃ
    ・・・そうだ、あやつに相談してみてはどうじゃろうか?」

夕方・・・

西  「い、いくら僕でもパソコンはちょっと・・・」
マリカ「そこを何とかならんかのぉ?頼れるのはおまえさんだけなんだよ・・・
    お、おいヒルピー、何を構えておるんじゃ!」
ヒルピ「そやつ・・・魔法使いであろう
    それに、この間かよこ殿に何か良からぬ事を吹き込んでおったのだろ?
    油断はならぬぞ、マリカ殿!!」

マリカ「やめい!西はもう人間界の住人じゃ。
    ってオイ、人の話を聞かんか・・・うわぁ」

  バシュッ!!・・・・ ドッカーーーーン!!

西  「おいおい・・・」
マリカ「はっ、パソコンはどこじゃ・・・・・・・_| ̄|○」
リリ 「あーあ・・・木っ端微塵だしぃ? どーすんのこれ??」

夜・・・

古くからの慣わし、今まで食べたことも無い美味なカレー、そして奇妙な発明品・・・
人間界には、まだ私の知らない物が沢山ありそうで、毎日が楽しみである・・・まる。

リリ 「あー・・・なんか今日、めっさ疲れたわ・・・」
マリカ「ふー・・・このままでは店も破壊されかねん。早くかよこが帰ってこんかのぉ・・・」


ヒルピ「どうした?二人とも、元気が無いな。そんな調子では夏は乗り切れんぞ!ハッハッハッ」




マリカ・リリ「「・・・あんたのせーだよ。」」




375 名前:ゾウのハナちゃん はづきとハナちゃんのないしょ 投稿日:2004/12/12(日) 00:44

「ねぇ、はづき。行こう!」「行くパオ」
「それじゃあ、行きましょうか。」

最近、週末になると決まって遊園地に行きたがるハナちゃん
それは、遊園地で遊びたいという訳ではなく・・・

電車で6駅行ったところにある、美空市のはずれに
美空が丘遊園という、遊園地がある。

ジェットコースターに観覧車、ゴーカートにお化け屋敷
その遊具からすこし離れた、林の中にそのコはいた。

「はーなちゃん、きたよぉー」「きたパオー」

そのコ・・・ゾウのハナちゃんは
遊園の何周年記念かに外国から贈られた、年輩のゾウ

実際、小さな頃から何度かこの遊園に足を運んでいた私も、
その存在に気付いていなかった。

「はなちゃん、今日はリンゴとね、バナナを持ってきたよ。食べる?」

その声に反応するかのように、鼻を高く上げるゾウ
ポーンと放った果物を、器用にキャッチして、口に運ぶ。

「おいしい?」「オイシイって言ってるパオ」
「・・・そうか、おいしいんだ。アハハッ」

同じ名前という事があったからか、ハナちゃんはこのゾウがとても気に入ったようだ。

・・・・・

そんな事が暫く続いたある日、私はあまり良くない噂を耳にする

遊園地の閉園・・・

それは同時に、ゾウのハナちゃんも居場所を追われるという事になる。

いつものように、少しの果物を持ってゾウの前にやってくる。
しかし、ゾウはその噂を知ってか知らずか・・・少々、元気が無い。


376 名前:ゾウのハナちゃん はづきとハナちゃんのないしょ 投稿日:2004/12/12(日) 00:46

「・・・ねぇ、はづき はなちゃんどうなっちゃうのかな?」
「係員さんのお話じゃ、近くの動物園に引き取られる予定なんですって
 でも、閉園は来年の6月だから、暫くはこのままここに居るみたい。」
「じゃあ、これからもはなちゃんに会えるんだ。良かったぁー」

無邪気に飛び跳ねながら、はしゃぐハナちゃん。
その姿に、ようやくゾウが立ち上がっていつものように鼻を上げる・・・

「そっかぁ、はなちゃんも嬉しいんだね。アハハッ」


その帰り道
電車の中で寝てしまったハナちゃんから、
奇妙な形の帽子が、私の頭の上に乗り移る・・・

「ど、どうしたの? パオちゃん」
「・・・あのゾウ、もう・・・・・・」
「!!!・・・・」


・・・・・・

その次の週末
どんよりとした空が、遊園地に着く頃には雨空に変わっていた・・・

「今日はリンゴとおイモ・・・ねぇ、はづき ゾウさんっておイモ食べるの?」
「うん・・・食べると思うわ・・・」
「・・・なんか、はづき・・・元気ないね どうしたの?」
「・・・・・なんでもない」

いつもと同じように、ゾウ舎へ向かう。でも・・・

「あ、あれ・・・はなちゃん居ない。どうして?」

檻の丁度まん中付近に、立て札と・・・・・花束が置かれている。

「・・・・・ハナちゃん、ゾウのはなちゃんはね
 今朝・・・・・天国へ行ってしまったんですって。」
「・・・・・てんごく?
 ・・・・・・・・・・う、うそだうそだ! だってこの前だって
 リンゴ食べてくれたもん! お鼻を高く上げて喜んでくれたもん!!
 ・・・・・そうだ、きっと今日は雨でお客さんが少ないから
 遊園地のどこかで遊んでるんだよ・・・・ハナちゃん探してくる。」
「待ってハナちゃん! ゾウさんはもう何処にもいないわ」
「うそだ! ハナちゃん信じない!!」


377 名前:ゾウのハナちゃん はづきとハナちゃんのないしょ 投稿日:2004/12/12(日) 00:48

雨の中を、持ってきたリンゴやおイモをバラバラと落としながら
ハナちゃんは走ってゆく。

そして、雨で滑りやすくなっていた坂道で 見事にすっ転ぶ。

「い・・・イタイよぉ!!」
「ハナちゃん!!」

・・・・・

あまりにも突然過ぎた 受け入れたくない事実
まだ2歳のハナちゃんにとって、それは酷だったのかも知れない。

「痛かったね、ハナちゃん・・・・」
「・・・・ウェーェーン・・・はづきぃィィィーー・・・」

痛いのは腕に負ったキズよりも、きっとココロに負ったキズ。

その傷が少しでも癒えるように・・・優しく、そっと頭を撫でた。


・・・・・

「はづき、あのね 夢にはなちゃんが出てきてね・・・こう言ってた。」


 わたしは ちいさなころに ここへやってきて

 たのしくあそぶ たくさんの こどもたちを みてきたの

 だから わたしは このゆうえんちと ずっといっしょにいたいの

 ごめんね ハナちゃん
 
 いままで いっぱい ありがとう


「そう・・・」

「でも・・・でもね
 はなちゃん 笑ってたの。
 だからね、ハナちゃんも 笑って バイバイしたの。」

「そっか・・・きっとゾウさんも、ハナちゃんの笑った顔が見たかったんだね・・・」




「ウン・・・」






 とおいおそらの ゆうえんちで  またいっしょに あそぼうね。






378 名前:12 投稿日:2004/12/12(日) 00:49

bの字さんの「泣きっ面ハナたん」に触発されて、ちと休憩話でした。

一昨年の4月、桜の花が散るのを待っていたように息を引き取った
「あやめ池遊園」のゾウのハナちゃん。
その遊園地も今年6月に閉園してしまったそうです・・・

379 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 35 投稿日:2004/12/13(月) 01:15

「いい天気になって良かったなぁ
 ・・・しかし両手に花とは、さとしもヤルもんだなぁー ハハハ」
「うっせーなぁー、そんなんじゃねーよぉ!」

バックミラー越しに息子の顔色を見てニヤニヤする、さとにいのお父さん
どういう反応を取ったらいいのやら、わたしはただただ苦笑い・・・

信号も交差点も無く
すれ違う車も殆ど無い国道241号線を、阿寒方面へ向けて車は走ってゆく。

「あっ、鹿だ。親子みたい・・・カワイイ」

道路脇の崖の上から、鹿の親子が顔を覗かせている。

「鹿はこっちじゃ、あまり有難がられてなくてねぇ
 冬場、食べ物が無くなってしまうと、鹿は木の幹や根をかじってしまうんだ。
 そうなっちゃうと木が枯れてダメになってしまう・・・」
「そうなんだぁ・・・でも、ちょっと可哀想だね。」

暫く走ると、右手に富士山に似た形の整った山と、
それに寄り添うようにある、どっしりとした山が見えてくる。

「あれが雌阿寒岳と雄阿寒岳。
 富士山似の雄阿寒岳は傾斜がキツくて健脚向きだけど、
 今日登る雌阿寒岳のほうは、行程も比較的緩やかでファミリー向けなんだ。」

とはいえ、予想していたよりかなり高い山に見える。
大丈夫だろうか・・・

「山の上のほうにはこの時期、たくさんの高山植物が咲いているよ。
 ・・・ほら、かよこは植物とか好きだろ?」
「へぇー・・・さとにい、よくそんな事覚えてたね」
「そう言って栞をくれたんで覚えてた。」
「・・・・・・」

「あ・・・えと、葉月さんは植物とかは・・・」
「キライ。」
「・・・そ、そうですか・・・・・・」

わたしばかり構ってちゃ、葉月さんが気を悪くしちゃうじゃない。
もー・・・さとにい、鈍感なんだから・・・でも
そういうわたしも、こういう展開は苦手だったりするのよね・・・お互い様か

「雌阿寒岳は一応、家族向けの山だけど、油断は禁物だよ?
 葉月ちゃんもかよこちゃんも、辛くなったら無理しないで言いなさい。」
「「はい。」」


380 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 35 投稿日:2004/12/18(土) 19:12

さとにいのおじさん、葉月さん、わたし、さとにいの順で山道を登り始める。

遠くにカッコウ、変わった鳴き方をするエゾセミの鳴き声・・・
そして、山の木々から漂う 緑の匂いがとても心地よい。

登るにつれ、広葉樹林が針葉樹林へ
さらに行くと、木の数も減って、火山灰の砂地へと変わってきた。

少しづつ視界が開け、先ほどの雄阿寒岳が眼前に広がる。
また、岩の所々を高山植物のコマクサやメアカキンバイの黄色が鮮やかに彩る。

「よーし、みんな着いたぞ」

登り始めて2時間30分、ほぼ予定通りに山頂へ到着。
雌阿寒岳は火山で、山頂には大きな火口が広がっている。

「うわぁー・・・きれい」
「いい眺めだなぁ・・・」
「苦労して登ってきた甲斐があるってものよねぇ・・・」

少し離れた場所にある阿寒湖や、出発点のオンネトーがとても小さく見え
所々に雲が、綿菓子のように浮かんで・・・まるで空の上のよう。

魔女見習いになって、空を自由に飛びまわることが出来る今でも
やはり、自分自身の足で登ってきたという爽快感が、
見る景色を何倍にも素晴らしいものにしてくれた。

「さ、それじゃあメシにしますか?」
「「「はーい!」」」

一昨日言っていたとおり、葉月さんはみんなの分のお弁当を作ってきてくれた。

「おおっ・・・葉月にしては頑張ったなぁ」
「にしては は余計よー!
 今朝4時に起きて作ったんだから、さとし全部残さず食べなさいよっ
 さっ、おじさんも、かよこちゃんも食べて食べて」

どれもこれも、とても美味しくて
わたしには真似できない、手の込んだ料理・・・

葉月さんが作ってこなかったら・・・と思って、
わたしがこっそり作ってきた、オニギリの出番はどうやらなさそう。

食後に、少し辺りを周って
お父さんから借りてきた、デジタルカメラで景色や植物を撮る。

「かよこは、今でも植物とか好きなんだ。」
「うん・・・普段は図鑑でしか見た事の無い
 高山植物の実物が見れるなんて思いもしなかった・・・ありがと、さとにい」
「あ・・・うん」

「なーんか・・・さとしとかよこちゃん・・・
 兄弟っていうより・・・恋人みたいだね。
 ・・・・・私、ちょっと頭が痛くなってきちゃったから、先に山下りるね。」
「お、おい待てよ葉月!」


381 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 35 投稿日:2004/12/18(土) 19:13

制止する さとにいやおじさんを振り切って、葉月さんはひとりで下山してしまった。
慌てて帰り支度をし、わたしたちも後を追いかける。

「ん・・・まずいな、ひと雨くるかも知れん。少し急ごう。」

さっきまで、あんなに晴れ渡っていたのに、
今は空一面、白い雲がかかってしまっていた。

下り道は登りよりも多少楽で、所要時間も少ない。
が、足に掛かる負担はかえって登りの時よりも大きい。

少しつっぱった足をポンポンと叩きながら歩いてゆく。
その所為で、ちょっとづつ
さとにいとおじさんとの間が離れていってしまっていた事に
わたしも、さとにい達も気付いていなかった・・・

「・・・あ、あれ? さとにい おじさん?・・・・・・いない」

ふと気付くと、歩いている場所が
来た時にはなかったような、細い道へと変わり・・・だんだん獣道のようになってくる。

「・・・え・・・うそ!? わたし、逸れちゃった?」

木々の間に道が無いかよく目を凝らしていると、
山の麓の方からだんだんと白いものが這って登ってくるのが見えた。

・・・・・ガスだ。
それに気がついた時には、もう辺り一面真っ白になってしまっていた。
サーッと血の気が引いて、わたしはしゃがみ込んでしまう・・・

「・・・どうしよう・・・わたし・・・わたし・・・・・・あっ!」

震える手で脚を擦っている手が、不意にポケットのタップに触れた。

・・・そうだ、わたしは魔女見習いじゃない!
今まで怖気づいていた自分が嘘の様に、パッパと見習い服にお着替えを済ます。

「なんだかミョーに久しぶりな気もするけど・・・ま、いいや  コホン・・・
 ♪トゥルリラ トゥーリラ ファソラシ ペーペルト! 霧の道よ、晴れて!!」

・・・スゥーっと、わたしの前の霧がぽっかりと開いて、トンネルが出現する。
その道は有難いことに、正規の登山道へと続いているようだ。

「よし、これでさとにい達の所へ辿り着ける。」


382 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 36 投稿日:2004/12/18(土) 19:15

魔法で出来たトンネルを伝って、山道を駆け下りてゆく。
その途中で、何かに躓き転びそうになる・・・

「・・・あっ、これは」

見覚えのある赤い水筒・・・葉月さんのものだ。

霧に包まれた、周りの林に目を凝らす。
すると、少し離れた岩の影にちょこんと座る人影が見えた。

「あの、葉月さん?」
「・・・・・かよこちゃん?」
「良かったぁ、わたしもさとにい達と逸れちゃって・・・」
「ダメだよ、かよこちゃん!
 山でこーいう悪天候になった時、下手に動くと遭難しちゃうのよ。」
「えっ・・・あ、ハイ・・・すみません」

・・・魔法で道作って歩いてきたので大丈夫・・・なんて言えないものね。

葉月さんの隣に腰を下ろし、辺りを見回す。
わたしが出したトンネルは、魔法が切れてしまったのか、いつの間にか消えていた。

「・・・ごめんね、先に下りてきちゃって
 もしかして、私を探していて逸れちゃったとか?」
「あ、いえ・・・ゆっくり歩いていたから
 わたし、小さい頃からみんなより何かをする事が遅くて・・・
 いつも置いてけぼりになっちゃうんです。」
「フフ・・・なんか、私とかよこちゃんて似てるのかも知れないな・・・」

葉月さんは、何かを思い出すように
霧の中に目を遣りながら・・・話し始める。

「・・・私は・・・小さい頃、札幌から転校してきてね、
 なかなかクラスに馴染めなくって、意地悪されたりしたの。
 なんて言うのかなぁ、そういうのって妙な連帯感とか出てきちゃって
 嫌われてない子達も、何故か私と口を利いてくれなくなっちゃったりしてね・・・
 でもただ一人、私を助けてくれた人が居たの。
 それが、さとしだった・・・

 後になってから解かった事なんだけど、私に構ったことで
 彼もみんなに無視されたり、随分と嫌がらせを受けたりしていたの・・・
 でも、そんな事ゼンゼン顔に出さないで、私の前で彼はいつも笑ってた。

 その時思ったの。
 私を救ってくれたこの人に・・・いつか恩返しをしなくっちゃいけない。って」

葉月さんの想い、わたしがどれみちゃんに抱いている気持ちと同じ・・・

「でも・・・そんな気持ちがいつしか
 好き・・・って想いに変わってしまったの。

 私はさとしの事が・・・好きになっちゃったんだぁ。」


383 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 36 投稿日:2004/12/18(土) 19:16

やっぱり葉月さんは、さとにいの事が好きだったんだ。ふーん・・・

・・・もしどれみちゃんが男の子だったら、
わたしもこんな気持ちになれたのかなぁ・・・

「でも・・・でもね
 さとしは違ったの。彼にはずっと昔から・・・好きな人が居たの。」

えっ、そんなぁ・・・
昔って、わたしの知っている頃のさとにいは、
川で遊んで、駆けずり回って、悪戯をしてよく怒られて・・・
とても好きな人が居るような素振りはなかったけどなぁ?

「その子は遠く離れた所に住んでいて・・・まぁ、遠距離恋愛ってやつなのかな?
 その彼女がね、3年前位に学校に行けなく・・・登校拒否になってしまったの。
 さとしはそれを知り、なんとか彼女の事を助けたくて
 春休みに家族に黙って独りで、彼女の居る街へ行こうと試みたの。
 でも結局、足寄の駅でお巡りさんに見つかって連れ戻されちゃったんだけどね・・・」

・・・3年前・・・登校拒否!?・・・

「さとしはその後もずっと元気がなくって、クラスでもどうしたんだろう?って
 心配されちゃうくらいに落ち込んじゃってて・・・
 それでわたし、彼のこと元気付けてあげようと思ってさ、
 12月の中頃に、ふたご座流星群が来るから一緒に見ようって誘ったの。」

・・・・・・・・・・。

「彼、流星群を見に来てくれた・・・私、すっごく嬉しかった・・・
 でも同時に、これは叶わない恋だって事に気付かされた・・・

 ・・・さとしね、星が流れる度に、一生懸命お願いしてたんだ。
 「アイツが学校に戻れますように」・・・ってさ」

どうしよう・・・ドキドキが・・・止まらないよ・・・

「私、泣けちゃったよ。彼の健気さと、自分の惨めさに・・・
 でも・・・それでも私はアイツが好き。」

霧の中、お互いの顔もぼんやりとしか判らない中・・・
わたしは何の言葉を発する事も出来ず、ただ黙って下を向く。

葉月さんは、そのコが誰なのか・・・きっと解かっているに違いない。
それで、わざとわたしに聞かせたんだ・・・

「でも、私は負けないよ。
 さとしが、ずっと彼女の事を想っていても
 いつか必ず、さとしをふり向かせてみせる。絶対に

 だって私は・・・さとしの事が大好きなんだもの!」


「さとにいは優し過ぎるから・・・気付かないだけだよ。」


384 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 36 投稿日:2004/12/18(土) 19:19

「えっ?・・・」
「わたしの友達にもね、そっくりな女の子が居るの。
 人の痛みがすごく解かって、いつも誰かの為に頑張って・・・

 傍に好きだと想ってくれる男の子が居るのに、彼女はそれに気付いてない・・・
 周りの人間はみんな気付いているのに、本人はゼンゼン気付かないの。」

「ハハハ・・・ニブチンさんなんだね。」
「人に優しくなる余り、ついつい自分の事には無頓着になっちゃうのかな?
 きっと、さとにいも同じだと思う。
 うん、きっと・・・だから・・・

 だから、葉月さんも諦めちゃダメだよ!」

すごくビックリしたような顔でわたしを見つめ・・・そして、フッと微笑んだ。

「うん・・・そうだよね・・・
 もうちょっとだけ、頑張ってみようかな・・・」

すうっと目の前が明るくなり、霧が晴れてきた。

「さぁ、いこっか?」
「はい」

少し道を降りたところで、探しに戻ったさとにい達に合流する。
わたし達は無事に麓まで下りることができた。

・・・・・・・

帰る前日の夜、わたしはさとにいを連れて星空を見に出掛けた。

「明日帰るんだよな? 一週間なんて、あっと言う間だったなぁ・・・」
「うん、楽しい時間は早く過ぎるって言うけどホントだね。」

街灯も、街の明かりも無く
持ってきた懐中電灯の明かりを消すと、辺りは何も見えなくなる。

そのかわり、夜空には・・・

「やっぱり素敵だなぁ・・・これが本当の星空なんだよね。」

天の川、時折見える流れ星、そして幾千、幾万もの星達・・・
小さな頃、おばあちゃんに教えて貰った わたしの大切なたからもの。

「あ、あのさ・・・かよこ オレさ・・・」

その言葉を遮るように、わたしは喋る・・・

「・・・この前足寄へ来た時、わたし さとにいの恋人になりたい って言ったけど
 わたし、そのコトはおろか、さとにいの事すら忘れていた。
 ・・・さとにいの気持ち・・・聞く資格なんてないよ。」


385 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 36 投稿日:2004/12/18(土) 19:21

「それに・・・わたしはまだ、男の子を好きになる気持ちって
 正直、よく解かんないんだぁ。」

まっ暗で、お互いの顔がなにもみえなくて・・・夜空を見上げたまま・・・

「・・・そうか・・・・・
 フラれちゃったか・・・いや参ったなぁ アハハハハ・・・」

「・・・でも、さとにいがわたしをずっと想っていてくれた事
 スッゴク嬉しかったよ。ありがとう・・・」


それから・・・・・ごめんね。


・・・・・・

翌日、足寄駅
伯父さん達、さとにいのお父さん、そして葉月さんが見送りに来てくれた。

「お世話になりました」
「いやいや・・・なぁーんにも無い所だけど、また来てくださいね。」

・・・でも、その中に さとにいの姿はなかった・・・

「ったく、何やってんだろう あのアンポンタンは!」
「いいの・・・これきり会えないって訳じゃないし・・・」

昨日の事は・・・葉月さんには言えないな・・・でも

「葉月さん、諦めty・・」
「そーんなこと!! 言われなくっても解かってるって
 大丈夫 だってまだ・・・
 私の恩返し、終わってないもん。」

そうだよね・・・わたしも葉月さんに負けないように頑張らなくっちゃ!

帰りは帯広空港から飛行機に乗る為、往きとは逆の池田方面行き列車に乗り込む。
これからまた長い旅が始まる・・・

列車が走り出すと、車窓左手に利別川が見えてくる。

「・・・あっ、あれ  さとにいだ!!」

川の対岸に立つさとにいが、こちらに向かって大きく手を振っている。

その姿を見たら 何故だか涙が零れた・・・




もしかしたら・・・


わたしも 失恋しちゃったのかな・・・




ありがとう、さとにい・・・ バイバイ



386 名前:12 投稿日:2004/12/18(土) 19:57
おかげさまでこのスレも無事、終焉を迎えることが出来ました。
新作を書いてくださった方、ひたすら応援して下さった方
そして、このスレを読んで下さった皆さん

  ほんとにほんとにありがとう !!

387 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 37 投稿日:2004/12/18(土) 19:59

長かったようで、短かった夏休みが
もうすぐ終わろうとしている。

「ああっ、その分量は3:1じゃなくて4:1って言ったでしょお?
 ったく使えないわねぇー・・・何やってんのよぉ!」
「は、はい・・・ゴメンナサイ」
「そんな細かい事まで覚えてられるかっ!
 分量なんて、やっていりゃ体で覚える・・・勘でいいんじゃい」
「なーに適当な事言ってるのよ! マリカがそーやって甘やかすから
 コイツがつけあがるんじゃない!」

リリの通っている大学の夏休みは9月20日まで続くが、
同行のヒルピーは31日で終わってしまう為、一緒に帰ってしまうらしい。

一日に一回はあるだろう、こんな事も
もうすぐ無くなってしまうのかと思うと、ちょっぴり寂しかったり・・・

「・・・ってか、アンタ聞いてる?」
「あ、はい聞いてます。」
「・・・大方、アタシがもうすぐ帰るんでラッキー!とか思ってたんでしょ?
 ハッ・・・甘い!甘い!! 甘すぎるぅー!!!
 ちゃんと冬休みにも戻ってきて、しっかりアンタをイビってやるからさ
 まぁ、楽しみに待ってなさいよ。ハハハハハ・・・」

・・・前言撤回。

それはそうと、ヒルピーちゃんの様子が昨日からどうもおかしい。
何かそわそわして落ち着きが無いし・・・

「・・・んむー・・・あー・・・やはり辞めておこう。・・・
 いや、でも・・・うーん・・・」

・・・今日も朝から、こんな感じだ。

「どうしかたの、ヒルピーちゃん」
「ああ、かよこ殿・・・実は・・・いや、何でもない。」
「・・・何でもないのに、そんな風にはならないと思うけど
 それとも、わたしじゃ頼りにならないかな?」
「そんな事はない!!」
「じゃナンデ??」

一瞬困った顔をしたものの、なおも食い下がるわたしにようやく観念した。

「実は、以前私は人間界に来て、とある魔女見習いと会ったのだ。
 そやつ・・・いや正確にはそやつらは、もう見習い修行を4年もしていて
 幾多の困難を乗り越えながら魔女の赤ん坊を育てたり、
 今は魔女界の元凶となっている先々代女王を目覚めさせようとしている・・・」
「あ、わたしそのヒト達のことマリカさんから聞いたことある。」


388 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 37 投稿日:2004/12/18(土) 20:00

ヒルピーちゃんが前に会った魔女見習い
それはどうやら、以前マリカさんから聞いたツワモノの見習いさんらしい。

その時、相手がどれだけの魔法力を持っているか試す為
怯ませる目的で変身したのが、今のおんぷちゃんの姿で
この格好をしていれば、偶然また見習いさんに会えるかも知れないと
今回もこの姿になって人間界に来たそうだ。

「へぇー、そうなんだぁー
 わたし、もともとおんぷちゃんに似てるのかと思ってたよ・・・」

そーいえばここへ来た時、仮の姿云々言ってたっけ・・・

「でも、何故その事で悩んでるの?」
「いや・・・折角人間界へまたやって来れたのだから、
 またあの魔女見習いに会ってみたいと思っているのだが・・・」

だが?・・・ヒルピーの視線の先には、夕方近くで今は空いてきたお店・・・

「もしかして・・・お店が忙しかったから言い出せなかったんでしょ?」
「いや・・・そんな事はない」
「ごめんね・・・わたし、ついついヒルピーちゃんの事頼りにしちゃって
 明日でお休み最後なんだし、見習いさんに会っておいでよ!」
「あ・・・いや、やはりいいのだ。今の話は無かった事にしてくれ。」

「無かったことに出来ません!」
「うーむ・・・・・・」

・・・かよこ殿は優しいのだが・・・かなりの頑固者である
一度言い出すと、頑として引き下がらない・・・困ったものだ。


あやつが元気にしているかどうか、判るだけでもよいか・・・
かよこ殿の好意に甘えて、明日行ってみることにしよう。

・・・・・・

翌日・・・

週末は気温も落ち着き、めっきり秋らしくなったなぁ・・・と思ったのも束の間
今日は午前中から30度を越える真夏に逆戻り。

「なんというか・・・ずっと暑かったというイメージしか残らんなぁー
 ・・・まぁそんな事でも、今日が最後となると妙に感慨深いものがある。」

かよこはまだ出勤前。
マリカとリリはまた暫く会えないのでと、伊豆の魔女が経営している
温泉つきペンションへ昨夜から泊りがけで出掛けてしまった。

ヒルピーはひとりで、開店前の掃き掃除を始める。


389 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 37 投稿日:2004/12/18(土) 20:03

・・・ジリリリリン・・・ジリリリリン・・・

店の電話が鳴る。注文電話にしては時間が早いな・・・と思いつつ、受話器を取る。
「もしもし、喫茶マリカです。」
「・・・あー、もしもし ワシじゃワシじゃよ。解からんか?」
「ん、ワシ?・・・マリカ殿か?」
「そうそう、マリカじゃよ。お前、元気にしておったか?」

「・・・元気も何も、昨日別れたばかりだろうが?
 それにマリカ殿、今日は随分と野太い声だな、どうかしたのか?」
「い、いや 今日はチョット風邪気味でのぉ・・・
 そんな事より、実はさっき車で事故を起こしてしまってな」
「なに!?それは一大事であるな・・・怪我はないのか!」

「ああ、ワシは大丈夫だったんじゃが
 相手の車が運悪くヤクザのベンツでなぁ・・・今そやつらに捕まっておって
 示談金50万円持って来ないと開放しないと言うんじゃ・・・参ったよ。」
「ヤクザとは、悪の一味か何かなのか!?
 まぁそんな事はどうでも良い。今助けに向かうので、場所を教えろ!」
「それが・・・解からないんじゃよ
 ここに連れてこられてすぐ、目隠しをされてしまってのぉ・・・
 それに、下手な真似をしたら生かして帰さないと言っておるんじゃよ
 お前だけが頼りなんじゃ  お願いだ・・・ワシを助けておくれ!!」

魔女ガエルになっていても、魔力は使えるはず。
その力を封印出来る程の強力な術士に、マリカ殿は囚われてでもいるのであろうか!?
これはただ事ではない・・・

「わかった。50万円、私が用意すれば良いのだな。」
「ああ・・・ありがとよー 済まないねぇ・・・」
「して、その金をどうするのだ?」
「今日12時までに、マリンタワーの入り口まで持って来ておくれ・・・
 そこにこやつらの代理人が居るから、50万円を渡して欲しいんじゃ」

「昼にマリンタワー前だな。了解した。」
「ワシの命が掛かっておるんじゃ・・・くれぐれも頼むよ。」

そのままプツリと電話は切れてしまった。

「マリカ殿・・・そうだ、金を用意せねば」

と、3歩歩いたところで我に返った。
そんな大金、マリカ殿も居ないのに、どうやって用立てるのか?

店のレジには数千円と小銭のみ。私の所持金はリリ殿に貰った120円(「ジュース代よ」と
言われ貰ったが、人間界の自販機の使い方が解からなかったので使わなかった。)のみだ。

「そうだ、魔法で出せば・・・いや、人間界の通貨は馴染みが無いので
 イメージが沸かないし、もし相手が魔術者だとしたらすぐにバレてしまう・・・
 うーむ、どうしたものか・・・」


390 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 37 投稿日:2004/12/18(土) 20:06

10時を回り、かよこ殿がやってきた。
ガチャ・・・

「ヒルピーちゃん、おはよー・・・ど、どうしたの? そんな深刻な顔して・・・」
「かよこ殿、一大事である。金を貸しては貰えないだろうか?」
「うんいいよ。いくら?」
「50万円だ」
「ふーん、50万円かぁ・・・って、ナニィ!! そんな大金一体何に使うの!?」
「実は・・・かくかくしかじかで・・・」

「ヒルピーちゃん、その電話“オレオレ詐欺”だよっ!!
 自分の名前を言わず、さも孫や家族みたいに装い
 ありもしない事故の慰謝料やら示談金の名目で、お金を騙し取る手口なんだよ。」
「なんと!?」
「だいたい考えてもみなよ。
 魔女ガエル姿のマリカさんが車なんか運転するハズないでしょう?騙されてるんだよ!」
「・・・私としたことが、不覚を取ってしまった。
 人を思う気持ちを悪用するとは、何たる卑劣な行為・・・許せん、仕置きをしてくる!」

「ちょっと、やめなよヒルピーちゃん・・・・・って、もう居ないし」

・・・・・・

約束の時間の12時、マリンタワー前

辺りを警戒するような素振りをしながら、初老の男がやって来た。

「・・・まだ来ていないのか? やはり失敗したんじゃ・・・」
「おい、私はここに居るぞ」

少し離れた自販機の上で、腕組みをして男を睨みつけるヒルピー。

「かっ、・・・金は持って来たんだろうな?」
「・・・ああ、持ってきたとも、今くれてやる。・・・パチン」

 ドスン!!

いきなり男の周りが真っ暗ななってしまう。

「・・・お、お前何をしたんだ!」
「お主の望みどおり、かねを持ってきたのだ。
 もっとも、現金ではなく“鐘”だがなっ ハッハッハッハッ・・・
 これに懲りて、もう二度と人を騙そうなどと思うのではないぞ!」

「わ、判った。だから、ここから出してくれ!」
「ならぬ。少しそこで反省しておれ。」

そういい残し、鐘の中に閉じ込められた男を放って、その場を後にしようとするヒルピー
しかし、次の言葉でその歩みを止める。


「・・・ワシだって・・・被害者なんだよ!!」


391 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 38 投稿日:2004/12/18(土) 20:11

タワーの売店で、自身の所持金で2個買えるボリボリ君(ソーダ味)を買い
男に勧めながら話を聞く。

「・・・先週、ワシもオレオレ詐欺に引っ掛かってしまってなぁ
 郵便局で下ろしたての年金50万を騙し取られてしまったんじゃよ。
 警察に届け出ても犯人が捕まらない限り、金は戻ってこないし、
 日々の生活いっぱいいっぱいでやっておったワシに貯金など残っていないし・・・
 ・・・目には目を・・・騙されたなら、騙し返してやろうと思ったんじゃ。」
「それで、最初に電話を掛けたのが喫茶マリカだったという訳か」

「すまん、本当に申し訳ない・・・これから警察に行ってくるよ。」
「待て! 私は騙されておらぬから、その必要は無い・・・」

すまない、すまないと何度も言いながらヒルピーに土下座を続ける男を
もう良いから気にするなと、ベンチに座らせ・・・

「しかしお主、生活費が無くなってしまって、これからどうするのだ?」
「・・・・・・まぁ、どーにかするさ」

その表情から見て、当てがないのがすぐ判った。
・・・もしこのまま帰してしまったら、また同じようなことを繰り返すやも知れん。

「よし、わかった。その金 私がなんとかしよう!」
「そんなこと、お嬢さんに頼めないよ。・・・もういい いいんだよ・・・」
「遠慮は無用だ。夕方6時、もう一度ここへ来てくれ!」


夕方、それは私が人間界を離れるタイムリミットでもあった・・・

・・・・・・

夕方までに用立てるとは言ったものの
ヒルピー自身にその当ても無く・・・

「何か手っ取り早く稼ぐ方法は無いだろうか・・・うむ!?」

“時給5万以上、若い人大歓迎!!”
店の前に貼られたそのチラシを見て、目を輝かせる。

「すまぬ、ここで働かせては貰えぬか 今すぐに」
「あのねぇ・・・キミ、ここで何するか解かってるの?」
「掃除に炊事、洗濯・・・何でもやる。頼むから使ってくれ。」
「わかった。キミみたいなカワイイ子は大歓迎だ
 ・・・10年経ったらいらっしゃい。採用を約束しとくよ。」

・・・子供だからと馬鹿にしおって・・・うむむ!?


392 名前:かよこのナ・イ・ショのおはなし 38 投稿日:2004/12/18(土) 20:13
野毛、場外馬券売り場・・・
馬のレースの1着と2着を予想し、ここで馬券なる物を購入する。
見事的中させれば何倍もの配当金が得られる・・・とリリ殿が言っておったな
ま、見習い4級試験レースの時にやるアレと同じような物だろう・・・

「そうだ、このレースを魔法で予想して配当金を得れば・・・
 ダメだ、賭け事予想は禁止魔法で魔女界では厳しく罰せられるし、
 それ以前に私には1円の元手もない・・・
 ダメダメであるな。 ハァ・・・」

街のあちこちを歩き回ったが、結局なんの当てもなく時は過ぎ・・・

・・・・・・

夕方、喫茶マリカ
伊豆から戻ったリリは、魔女界への帰り支度を終えてヒルピーの帰りを待っていた。

「もう、なにやってんのかしらあの子は・・・」

かよこは落ち着き無く、店の中を往ったり来たりしている。

「鬱陶しいわねぇ・・・ちょっとアンタ、なんか知ってんじゃないの?」
「い、いえわたしは何も・・・」

リリさんはわたしの目の前に飛んできて、睨みつける。

「うそコケ! 知ってるんでしょ、あのコの行き先」
「・・・・・・」

パタン・・・

店のドアが開き、ヒルピーがしょんぼりした顔で帰ってきた。

「ヒルピーちゃんどうしたの? 心配してたんだから・・・はっ」
「心配って何よ、え?・・・ったく最後まで反抗的な態度を取ってからに・・・
 まぁいいや、ヒルピー帰るわよ。」

「・・・・・・・・クスン・・・」

・・・・・ヒルピーちゃんが・・・泣いてる
気が強くて、感情を殆ど顔に出さず、何事にも動じないと思っていた彼女が・・・


「私は魔女に生まれた事を誇りに思っている。
 でも・・・私は・・・ここ人間界で
 たった一人の人間をも救うことが出来なかった。」

今日あった出来事をヒルピーちゃんは話してくれた。

「そんな事があったんだ・・・」
「・・・魔法は万能。魔法さえあれば何でもできるし、望みも叶うと思っていた
 でも、ここ人間界では魔法が如何に脆く、無力なものなのかを思い知らされた。」

わたしはヒルピーちゃんの頬をそっと拭い・・・

「うん・・・確かに、人間界で魔法は非力でしかないのかも知れない。
 でも、ヒルピーちゃんの人の為に何かをしようっていう・・・優しい気持ち
 それは、わたし達人間に負けていないと思うよ。
 ・・・だから、元気を出して ね?」
「かよこ殿・・・」

スッ・・・
その目の前に、長方形の封筒が差し出された。

「・・・これはなんだ? マリカ殿」
「この一月ちょっとの間、
 夏休みで忙しい店を手伝ってくれたじゃろ? これはそのバイト代じゃ
 それと・・・かよことワシから、少しばかりの餞別じゃ 受け取れ。」
「50万円もあるではないか、こんなに沢山・・・・・はっ!!」
「・・・あと30分待ったげるから、早く行ってきなさい。」

「みんな・・・すまない。」

・・・・・・

「これは私が夏休みの間働いた金だ。気にせず使え。」
「気持ちは嬉しいけど・・・この金は貰えねぇ
 汗水して働いたんなら尚更だ、有難く気持ちだけ受け取っておくよ。」
「・・・よし、ではこうしよう
 お主がこの金を返せるまで、貸すという事にしておこう。それなら良いであろう?」
「・・あ、いや・・・でも・・・?」

顔を上げたそこに、少女の姿は無く・・・いつの間にか男の手には
お金の入った封筒と、ボリボリ君の当たりバーが握らされていた。

「ありがとう、お嬢さん・・・」

・・・・・・

「帰っちゃったね・・・」
「よーやく喧しいヤツらが帰ってくれたわい。」
「でも 明日からちょっと、さびしくなっちゃうな・・・」

「かよ姉ちゃん、マリカさんただいまぁー」

夏休み中、田舎へ行っていたとおる君が真っ黒に日焼けして帰ってきた。

「おかえりー、とおる君田舎は楽しかった?」
「うん、えっとね・・・」
「あー・・・土産話の前に・・・
 とおる、実は借りていたあのパソコンの事なんじゃがな・・・」


・・・・・・

魔女界への帰路

結局、あの魔女見習いには会えなかったな・・・
でも、「お互い立派な魔女になった時、名乗り会おう」と約束をしたしな
私はまだ半人前魔女故・・・今はまだ会えなくて正解だったのかも知れん。

「なぁ、リリ殿 人間界へ戻る時、また私を誘っては貰えぬだろうか?」
「そうね・・・いいわよ、アンタ面白いし また誘ったげる。」


なんたって・・・人間界には、私の友達が2人も居るのだからな。


 しばしの別れだ。   かよこ殿 また会おう!!

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