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おジャ魔女どれみ旅情編
- 1 名前:☆彡ななしっち@ 投稿日:2005/04/23(土) 03:04
- おジャ魔女どれみのキャラとの、
日本全国津々浦々いい旅夢気分な妄想を語っちゃうスレです。
・SS、絵、一行レスなど形態は問いません
・おジャ魔女どれみキャラ同士の、でも可
・もちろん海外旅行も可
- 9 名前:サクラ舞う、小さな駅にて・・・ 投稿日:2005/04/24(日) 18:32
北陸、金沢でのコンサートを終えたわたしの楽屋に
ちょっとぴり懐かしい友達が尋ねてきた。
「ごめんね、折角来てくれたのに家を留守にしちゃってて・・・」
「ううん・・・だって今、おんぷちゃんと会えてますから 問題ナシです。」
彼女・・・魔女のりずむちゃん
魔女界の春休みを利用して、ニューヨーク、それから美空市、大阪と周り
最後に、お仕事で金沢まで来ていたわたしのもとへやって来てくれたのだ。
「・・・変わってないね、りずむちゃん」
「おんぷちゃんは・・・変わりました。」
「えっ、どこが?」
「えっと、あの・・・・・すごく綺麗になりました。」
「フフッ・・・ありがと♪」
宿泊先のホテルに戻り、
あの夏の日の・・・彼女が魔女界へ帰る前日の夜と同じように
ベッドで二人は語り合う。
わたしのこと、人間界のみんなのこと・・・
りずむちゃんのこと、魔女界のこと・・・
話す事がいっぱいあり過ぎて、気が付いたら朝になってた。
「りずむちゃん、今日の夕方までこっちに居られるんだよね
それじゃあさっ、ちょっと付き合ってくれる?」
「はいっ!」
金沢の繁華街、香林坊の宿を出て、バスに乗ろうかとも思ったけれど
ラッシュで混み合っているバスが嫌で、二人で駅まで歩いてみることにした。
もうすぐ4月だと言うのに 外へ出ると、まだ吐く息が白い
北陸の春は、まだまだ先のよう・・・
あれだけお話したのに、まだ尽きず
30分ほど喋りながら歩き、真新しい北陸の玄関口・金沢駅へと着く
「とても大きな建物ですね・・・」
「駅って言ってね、ここからあちこちへ向かう鉄道列車が発着しているのよ。」
「鉄道列車・・・ですか・・・」
「フフッ、りずむちゃん初めてばかりだからね・・・
ま、乗ってみれば解かるわよ。行きましょ」
金沢駅から電車に乗って、七尾駅まで
そこから、のと鉄道に乗り換えて中居駅へ向かう。
「これが人間界の“鉄道”ってものなんですねぇー
私はじめてなので、なんだかワクワクしちゃいます。」
「うふふ・・たまにはこうやって、ホーキじゃない旅もいいものでしょ?」
七尾を出てからは、右手に時折、海を見ながら・・・
「あっ、おんぷちゃん また海が見えてきました!」
その度、りずむちゃんは喜び、わたしに教えてくれた。
- 10 名前:サクラ舞う、小さな駅にて・・・ 投稿日:2005/04/24(日) 18:34
- オレンジが基調の少しくたびれた感のある
たった1両のディーゼル列車が、無人駅に到着する。
「駅って・・・ここもさっきの金沢駅と同じ“駅”なんですかぁ・・・
なんだか全然違いますねー。」
「ここは利用する人が少ない駅だから、ちょっと小さいんだぁ」
ホームと待合室、駅舎もない中居駅を出て
少し歩くと、前方にカキの養殖筏が浮かぶ、大きな海が広がる。
「・・・あまり波が来ませんね。」
「内海だからね・・・そーいえば、りずむちゃん海見るの初めてじゃないんだ?」
「うん、美空海岸へあいちゃんと一緒に・・・・・」
「一緒に?」
「えーっと・・・・・何でもないです、あはは」
・・・魔法でイカやタコの大群を呼び寄せちゃったとか?・・・まさかね
駅傍の脇道に入ったところにある「能登中居鋳物博物館」まずはここへ入ってみる。
「ここは鋳物の・・・
溶かした金属を型に入れて造ったものの、日本で唯一の博物館なの。」
「魔女界で云う「大魔女博物館」のようなトコなのですかー
心して見ないといけませんね!」
展示物は古い寒雉鐘や灯篭などが並ぶ・・・
その中にある、鋳物で出来た鬼面をじーっと見つめるりずむちゃん。
「これは鬼さんですねぇ?」
「日本には2月に節分っていう、病気や災いの象徴とした鬼に
マメをぶつけて、家から追い払う慣わしがあるの。この鬼面はその節分のもとになった
「鬼やらい」の置物として使われたものらしいわ」
「お豆をぶつけちゃうのですかぁ・・・鬼さんが痛そうです。」
「そ、そうだね・・・」
博物館を出て暫く海沿いの道を歩いてゆく
すると、前方に木組みのやぐらが見え始める。
「おんぷちゃん、あそこに何か塔の様なものが建っています。」
岸から少し離れた海の中にぽつんと、それは建っていた。
そのてっぺんには人形が置かれ、使われていた当時を再現している。
「これは“ぼら待ちやぐら”と言ってね、
海面7〜8mの高さに三角やぐらを組み立て、その下にフクロ網を仕掛けるの。
そして、やぐらの上から泳いで来る魚、ぼらをジーッと見張っていて
網に入るのを見計らい、網を手繰り上げて捕る・・・昔から伝わる原始的漁法なの。」
「・・・自分から獲物を捕りに行かず、相手が入ってくるのをひたすら待つ・・・
人間は随分とのんびりした事をするのですねー。」
不思議そうに呟く、りずむちゃん
「・・・わたしは、昔の人がちょっぴり羨ましいな。
お仕事に学校・・・毎日慌しく過ごして、あっと言う間に一日が終わっちゃう
一度でいいからなーんにもしないで、こーやって海を見ながら、
のーんびり過ごしてみたいなぁー・・・」
「なんにもしなかったら、お魚は捕れません。」
「あ そっか、アハハ・・・」
小春日和・・・遠くの方から小鳥の囀る声
海から吹いてくる風はまだ冷たいけれど、春の匂いがちょっぴりして 心地良い。
近くのベンチに座って、自販機で買ったホットコーヒーを飲む。
- 11 名前:サクラ舞う、小さな駅にて・・・ 投稿日:2005/04/24(日) 18:37
「私・・・おんぷちゃんは、てっきり魔女になるものだと思っていたから・・・
だから、魔女にならないと聞いた時はビックリしちゃいました。
それから・・・ちょっと寂しかったです。」
「・・・ゴメンね・・・
もちろん魔女になることは、すっごく魅力だったよ
でも、わたしはりずむちゃんと違って人間として生まれてきたの・・・
その運命を捻じ曲げてまで、魔女として生きていってしまっていいんだろうか?
そう思っちゃってね・・・」
「魔女になれば・・・人間の何倍もの時間が与えられます。
だからこうやって、ずーっと海を一日中見ていることだって・・・叶う」
「そうだね・・・でもね、りずむちゃん
慌しく生きているからこそ、のんびりしたいって気持ちが沸いて来るのであって
長い長い時を与えられてしまったら、それは無用になってしまう・・・
それがね・・・ちょっと怖かったの。」
「怖い・・・ですか?」
「長く生き続けていくうちに、楽しいと思う事が、楽しくなくなってしまうんじゃないか?
生きることに飽きてきてしまうんじゃないか?って思ってしまうの・・・
だからわたしは、人間として生きていく。
短くても、儚くても、悔いの残らないように精一杯生きてみせる。」
りずむちゃんは俯いたまま、泣きそうな顔をしてる
わたしは彼女の手をとって、ギュッと握る・・・
「ホラ、こんなに温かい
魔女と人間、その道程は違うけれど
持ってるココロは同じ・・・お互いを想いあえる大切なココロを持ってる。
離れていても、会えなくても・・・その気持ちはずっと続くわ・・・
だから・・・泣かないで、りずむちゃん」
「おんぷ・・・ちゃん・・・」
眼鏡の奥の瞳をみてたら、わたしも泣きそうになってしまうので
ふっと顔を上げ、空を仰いだ。
今では遠く・・・ほんとに遠くなってしまった 淡い青色の空を
鳶がゆっくり、ゆっくり飛んでいた・・・
中居駅へ戻り、帰りの列車を待つ
ホームには花壇と桜の木があるけれど、それはまだ蕾さえ付けていなかった。
「それじゃ私、そろそろ魔女界へ戻ります。」
「今日は付き合ってくれてどうもありがとう。
最近お仕事で、どれみちゃん達とも会えなかったりして、ちょっぴり凹んでたんだけど
りずむちゃんのお陰で元気になれた。 うん!」
「・・・わたしでよければ・・・そばにいるよ」
「えっ?」
振り向いた時、既にりずむちゃんの姿は無くなってた・・・
駅傍の踏み切りが鳴り始め、列車が駅に入ってくる
その時、ふと目の前に白い何かが舞った。
「あれ・・・雪? かな・・・・・ あーっ!!」
見上げたそこには、満開になったサクラ
そして花壇にはサルビアとパンジーの花が咲き揃っていた。
・・・ ありがとうりずむちゃん、また会おうね ・・・
http://www.doremich.or.tv/paint/bbsnote.cgi?fc=continue&No=790
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